著者
沢 和弘 植田 祥平 相原 純 湊 和生 小川 徹
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.113-125, 2007 (Released:2012-03-07)
参考文献数
55
被引用文献数
1

Interest in the future hydrogen economy has prompted the research and development of the Very High-Temperature Gas-Cooled Reactor (VHTR). To achieve the targeted outlet gas temperature exceeding 950°C, material problems have yet to be solved. The development of advanced coated particle fuel is also due in view of the vulnerability of the SiC layer of conventional TRISO-coated particle fuel at temperatures exceeding 1,600°C. The coated particle fuel employing ZrC instead of SiC has been developed in JAEA. Although the past irradiation tests on the ZrC-coated particle fuel were exclusively on samples from the laboratory scale production, the promising results have been obtained. The properties, fabrication and inspection techniques as well as the results of irradiation and post-irradiation tests are reviewed. The post-irradiation heating tests at accident temperatures above 1,600°C revealed the durability of the ZrC-layer, which maintained the tightness to noble-gas and volatile metal fission products. From 2004, JAEA started (1) ZrC-coating process development by large-scale coater, (2) inspection method development of ZrC coating and (3) irradiation test and post irradiation experiment of ZrC coated particles under contract research which is entrusted to the JAEA and MEXT.
著者
相澤 省一 森 勝伸 小池 優子 角田 欣一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.271-279, 2017-04-05 (Released:2017-05-13)
参考文献数
15
被引用文献数
3

赤城大沼湖心部の堆積物では放射性セシウムは湖底下5 cm以内の表層にとどまるのに対し,水深の浅い流入部や流出部では15 cmから20 cm付近まで放射性セシウムが含まれていた.流入部や流出部では,粒度の粗い堆積物粒子間への湖水の浸透あるいは湖底での水の流れによる表層堆積物の撹乱が下方まで放射性セシウムが取り込まれた原因と考えられる.湖底堆積物の主な構成鉱物はクリストバル石,石英,斜長石であり,そのほか比較的多量の非晶質物質が含まれる.これらの非晶質物質が放射性セシウムの保持に係わっている可能性がある.周辺土壌の多くは500 Bq kg−1から5000 Bq kg−1の放射性セシウム含有量であり,放射性セシウムの分布について湖周辺で地域的な顕著な偏りは見られなかった.湖底堆積物及び周辺土壌の放射性セシウム含有量から赤城山一帯に降下した放射性セシウムの降下量を見積もったが,その数値は文部科学省が航空機モニタリングで求めた赤城山一帯の沈着量に近い値だった.
著者
鳥屋尾 博 小林 準人 安藤 利和 半杭 英二
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-32, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
7

小形化が進む無線機器の内部では,電磁ノイズによって生じる干渉の低減が課題となっている.メタマテリアルの一種である電磁バンドギャップ (EBG) 構造は,この電磁ノイズの放射を抑制する新たな技術として注目を集めている.本稿では,メタマテリアル技術の産業応用の例として,これまでに提案されているEBG構造の種類や原理を中心に,筆者らによるEBG構造の応用事例も含めて紹介する.更に試作機レベルでの電磁ノイズ抑制効果についても評価結果を示して解説する.
著者
山内 慶太
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.33, pp.131-162, 2016

小特集 : 新塾歌制定七五年一 はじめに二 富田正文作詞の経緯三 塾歌の歌詞の意図四 塾歌の作られた時代五 おわりに
著者
田島 義士
出版者
日本フランス語フランス文学会関西支部
雑誌
関西フランス語フランス文学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.40-52, 2011

Rimbaud explicite sa poetique dans la lettre a Paul Demeny du 15 mai 1871, dite <<Lettre du voyant>>. L'expression contradictoire, <<raisonne dereglement>>, se compose de plusieurs regles et ordres. Dans <<Delires II Alchimie du verbe>> d'Une saison en enfer, Rimbaud se refere a <<Voyelles>> en se focalisant sur la couleur des voyelles, la forme et le mouvement de chaque consonne. Ces trois elements, couleur, forme et mouvement, determinent la beaute dans les esthetiques et rhetoriques du XIX^e siecle. <<Voyelles>> est logiquement constitue de ces trois elements pour creer un <<langage universel>> accessible a tout le monde. Les couleurs tout d'abord, le noir et le blanc, symbolisent la naissance de la lumiere dans les tenebres, et l'ordre des autres couleurs, rouge, vert, bleu et violet, correspond au changement prismatique du rayon lumineux. La forme represente la permutation d'un nouveau langage a l'aide de l'ordre de l'alphabet grec : de l'alpha a l'omega. Le mouvement des images inspirees de la theorie de <<Langage des couleurs>> construit l'intrigue poetique. Ce poeme enigmatique n'est pas l'expression arbitraire des sensations, mais une tentative theorique. Rimbaud semble vouloir inventer un nouveau langage poetique par la fusion de ces trois ordres qui existent separement dans la litterature au XIX^e siecle.
著者
赤井 龍男
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.34-47, 1975-12-13

尾鷲地方は一般に急峻な地形, 多雨という自然的条件のほか, 密植短伐期皆伐とひんぱんな間伐にともなう下刈りなどの施業的条件のため, 地力の低下が著しく, またヒノキの天然更新もきわめて困難な地域である。しかし林分によってはヒノキ稚樹の発生, 成立がみられるので, 比較的更新の良好な7林分を対象として, 種子の散布から稚樹の成立までの過程を1972年8月から3ヵ年間調査, 解析し, 特にこの地方の更新の困難性について検討してみた。種子の結実量には豊凶の差があり, またその散布量も地形や林分の状態によって不均一になるが, 並作以上の結実量があれば散布種子数と稚樹の発生, 成立本数との間にはほとんど相関がない。したがって天然更新の困難な理由は種子の生産, 散布状態ではなく, 種子の発芽後に問題があるように思われた。播種による追跡調査の結果, 多雨なこの地方では樹冠から大粒の雨滴によって種子がはねとばされ, 発芽直後の稚苗が掘り起されやすいことがわかった。しかし落葉枝や下層植生の適当な被覆はこれらの障害を防ぐ効果があった。一方, 立枯病害や虫害はそれほど多くなかった。また急斜地においては種子や稚苗の流失が多く, ほとんど定着できないようであった。稚樹の枯死は一般に10数cm以下の小さいものに多い。成立稚樹数は毎年の稚樹の発生と枯死, 消失の収支によってきまるが, 下層植生が比較的少ないところでは増加し, 繁茂するところでは減少する傾向がみられる。なお当地方では数年ごとに繰り返される下刈りによってほとんどの稚樹が刈り払われてしまうが, これが更新を困難にしている一つの理由である。一般に光条件にめぐまれた林縁付近ほど林内より稚樹の成立数が多く平均高も大きいが, その差は年とともにますます広がるようであった。また林縁付近では大きい稚樹ほど生長率は高く, 年に50 - 80%ほど生長するものも少なくないが, 林内では全般に生長率は低く平均20%前後で, 特に下層植生の存在するところの生長は悪いようであった。したがって尾鷲地方でも急斜地以外では林冠と下層植生を適当にコントロールすればヒノキ稚樹の更新は可能であろう。
著者
村田 賢太
出版者
Global Business Research Center
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.841-850, 2013

クックパッドは、レシピ共有をはじめとし、ユーザーが毎日の料理を楽しめるようなサービスを提供している。本報告では、リーンスタートアップという手法のサイクルを回すために利用しているオープンソースの技術について、Ruby で開発されたもの、特にChanko とRSpec に関して説明する。そして、クックパッドが実際にどのように開発されているのかを紹介する。Chanko は新しい機能を作る際、できるだけ本来機能の安定性を損なわないように開発したい、コードの品質を落とさずに新しい機能を開発したい、できるだけ早く開発したい、という要求を実現するために開発された。後者はテストを実行する仕組みである。最後に、クックパッドの技術者が働くうえで尊重しているマニフェストについて紹介する。
著者
櫛引 俊宏 大川 晋平 平沢 壮 石原 美弥
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.394-401, 2014-03-15 (Released:2015-04-16)
参考文献数
37
被引用文献数
1

光技術と遺伝子操作技術を組み合わせたオプトジェネティクス(光遺伝学)により,光技術を用いた遺伝子発現制御,細胞形態や細胞内シグナルカスケードの制御が報告されている.本稿ではオプトジェネティクスで用いられるチャネルロドプシンやLOV(light oxygen voltage)ドメインなどの光活性化タンパク質について記述し,最近の研究報告を紹介する.オプトジェネティクスにより,様々な生理学的現象の解明だけでなく,疾患や薬剤作用機序の解明が期待されている.
著者
吉田 雅則 西澤 真樹子 見明 暢 和田 岳
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本申請研究においては当初の目的どおり、博物館や資料館に収蔵されている動物(主に哺乳類)の骨格標本から「手」を題材としてフォトグラメトリーにより3Dデータ化、3Dプリンタによる立体出力を行い、手作業による組み立てを経て正確な交連骨格標本のレプリカを作成する。さらにデザイン関係者やアートの実践者、博物館関係者に向けて広く公開し、様々な意見や活用方法に関するレスポンスを得るなどし、それぞれの専門分野への応用の糸口を探ることを目的としている。当該年度においては、昨年度に確立したクリーンなデータを得る手法や立体出力のノウハウを基盤とし、それを実践。撮影方法やデジタルツールの使用法を工夫しつつさらなる効率化を獲得することができた。また「大阪市立自然史フェスティバル」、「いきもにあ」などの展示イベントへの出展や日本哺乳類学会における自由集会での発表なども行うことができ、デザイン関係者や博物館関係者からの意見を収集するなど、当初の目的に適った発表を行うという点においても順調である。さらに、特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワークの協力により、ヘラジカの前肢の骨格を借り受けてスキャンを実現した。前年ながら欠損した部分が数点見つかったため、現在は今後は足りない部分を他の標本から流用したりゼロから仮の形状の制作を行うなどの展開を見込んでいる。また、現在は大阪市立自然史博物館より、カバ、シカ、ゾウの前肢を借り受けてスキャンを行っている。 新たな展開としては微細な動物の拡大模型についても検討中である。
著者
土屋 公幸
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.101-106, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
百崎 良 岡田 昌史 奥原 剛 木内 貴弘 緒方 直史 安保 雅博
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.606-613, 2018-07-18 (Released:2018-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

目的:本研究の目的は日本におけるリハビリテーション医学領域の研究登録状況を調査し,今後のリハビリテーション医学研究のあり方について検討することである.方法:UMIN-CTR(2005年以降)の登録データを用い,リハビリテーション医学領域の介入研究を網羅的に検索した.研究デザインや結果公開状況,登録時期などのデータを収集し,検討を行った.結果:21,410件のデータより,529件の研究が抽出された.研究デザインは並行群間比較が54%と最も多く,有効性の検討を目的とした研究が65%と多かった.比較試験の86%はランダム化がなされており,53%はブラインド化がなされていた.研究開始前の事前登録は50%あり,事後登録研究に比べ,結果の公開割合が少なかった.結論:研究登録数は経年的に増加していたが,研究の透明性を確保するためにも事前登録を心がける必要があると考えられた.リハビリテーション医学領域においても臨床研究を適切に計画・登録できる医療者のさらなる育成が重要だと考えられた.
著者
萩原 周一 古川 和美 村田 将人 中村 卓郎 大山 良雄 田村 遵一 大嶋 清宏
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.319-324, 2011-07-15 (Released:2011-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

症例は53歳の男性。既往に高血圧,糖尿病,アルコール性肝障害あり。飲酒後入浴し,浴槽に沈んでいるところを発見され救急搬送された。来院時意識障害と呼吸不全を認め,集中治療を行ったところ病態は改善傾向となったが,第6病日に発熱し呼吸不全となった。acute respiratory distress syndrome(ARDS)と診断し,シベレスタットナトリウムおよび高頻度振動換気を用いた集中治療を行ったところ奏功し第9病日に抜管,第40病日に退院した。二次性溺水によるARDSは好中球エラスターゼの関与が考えられ,シベレスタットナトリウムの効果が期待できる。また,高頻度振動換気はARDSに対し酸素化改善に有効であった。