著者
杉岡 裕子 荒木 英一郎 岡元 太郎 石原 靖 伊藤 亜妃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

海溝近傍で発生する超低周波地震と呼ばれる破壊過程が異常に遅い地震は、古くから存在は指摘されていたものの(和達,1928)、陸上からの遠地観測では実態を把握するには限界があった。先行研究で実施した南海トラフでの広帯域海底地震観測では、超低周波地震を直近で捉え、観測地震波の近地項から地震に伴い生じた海底変動を初めて推定した(Sugioka et al., 2012)。本研究では、この上下変位を直接測定することを目的とし、高分解能水圧計である差圧計と広帯域地震計とを組み合わせた地動・水圧同時観測システムを開発した。本システムは固体・海洋の境界面である海底観測に有用な幅広い帯域をカバーするものである。
著者
畠山 茂久 安野 正之 青木 康展 高村 典子 渡辺 信
出版者
国立公害研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

重金属によって高度に汚染された宮田川を通年調査し, 付着藻類と水生昆虫について以下のような知見を得た. また代表的な重金属耐性種である硅藻やコケやコカゲロウの一種についてはその耐性機構の検討を始めた.重金属汚染地区から単離培養した硅藻と緑藻類は, その付近の非汚染河川から培養した藻類に比較し, 銅, カドミウム, 亜鉛に対しすべて高い耐性(50%光合成活性阻害値)を示した. 汚染地区から採取したラン藻は光合成活性試験では低い重金耐耐性を示し, 実際の河川での耐性機構を更に検討する必要がある. 種によっては汚染区と非汚染区の両地区に生育していたが, 同一種でも汚染区から単離培養したものは非汚染地区から採取したものよりも高い重金属耐性を示した. 重金属耐性種である硅藻の一種, Achnanthes minutissmaを銅を高度に添加した培養液中で3週間培養した. その結果, ほとんどの銅は細胞壁や硅藻の殻に分布し, その他は細胞膜や細胞内小器官の分画に存在した. 細胞内可溶性分画に存在する銅は極めて少なく, この種の耐性機構として, 銅の細胞内侵入防止, 有機酸による無毒化, あるいは銅が有機酸に結合後細胞外に排出されるなど機構が実験結果から示された.宮田川における重金属耐性水生昆虫としては, 数種類のユスリカ(幼虫), コカゲロウの一種Baetis thermicus, オドリバエの幼虫などが明らかにされた. 3種のコカゲロウを人工水路で10ppbのカドミウムに10日間暴露した. 3種はすべて同種度のカドミウムを蓄積したが, 暴露5日後から重金属耐性種のみ, 重金属結合蛋白が誘導され, その量は10日後にかけ増加する事が明らかにされた. 一般に重金属結合蛋白, メタロチオネインは有害金属を体内で結合し無毒化する. 誘導された重金属結合蛋白と本種の重金属耐性の関係を更に明らかにする必要がある.
著者
土肥 徹次
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、MRI 画像計測のための高感度なマイクロコイルとして、円錐型マイクロコイルの試作手法を確立し、MRI 画像計測を行った。円錐型マイクロコイルとして、直径 30 mm、高さ8 mm、抵抗値 2.14 Ω、インダクタンス 1.29 μH の良好な電気特性を持つコイルを試作することができた。 試作コイルにより、オクラやうずらの卵の MRI 画像計測を行い、深さ方向に深い画像を高感度に計測できることを確認し、高分解能な MRI 画像が取得可能であることを示した。
著者
宮崎 悠
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、政治における公共宗教の役割と、それが国民国家の台頭に与えた影響を明らかにする事にあった。研究の対象は、世紀転換期から戦間期までのポーランド(ポーランド会議王国~第二共和国)とした。その理由は、国民国家の枠組みが流動化する中で宗教が果たした役割の変遷が顕著に表れた時代・地域であったと考えられるからである。19世紀末から1939年までの僅か半世紀で、ポーランドは行政的・地理的分割状態から第一次大戦後の領土変更を経て主権国家として統一された。しかしその領域にはロシア系、ドイツ系、ユダヤ系をはじめ多くのマイノリティ集団が含まれ、宗教的にもカトリック、プロテスタント、東方正教、ユダイズムなどが重層的に存在していた。政治的ナショナリズムを標榜する各集団は、信仰というモチーフや教義をとりこみ、また同時に、宗教の側もナショナリズムと共にある事で生存を図った。現段階での成果として、前年度までに取り組んだテーマ「ポーランドにおけるシオニズムの析出」を深化させ、「世紀転換期ポーランド・シオニズムにおける空間概念」というタイトルの論考にまとめた(『東欧史研究』へ投稿、修正作業中)、また、空間概念の理論的整理を兼ねた書評「板橋拓己著『中欧の模索:ドイツ・ナショナリズムの一系譜』創文社、2010年」が『境界研究』第三号に掲載された。2012年10月には日本国際政治学会のパネル「宗教、国際政治、ナショナリズム」において報告を行い、近現代のポーランド社会においてカトリック教会が果たした役割を俯瞰すると同時に、同国出身のローマ法王ヨハネ・パウロ二世と「宗教間対話」の試みを取り上げ、「普遍教会」の代表たる宗教者が政治的アクターとして果たした役割を再検討した。同年11月には福岡=釜山で行われた国際会議BRIT2012において報告し、A.ハルトグラスの思想分析を元にシオニズムの多義性を論じた。
著者
武 小萌
出版者
国立情報学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、多様性に富んだ大規模放送映像アーカイブに放送メタデータの階層的構造化を目指し、視覚特徴と放送メタデータの統合に基づいた顔認識・構造化技術高度化を実現した。照明条件、姿勢及び表情による特徴量変動に頑強な顔画像照合法を提案した一方、放送メタデータと映像間の相関関係をもとに、顔認識をネットワークの経路を伴った因果関係の発生確率を定量的に予測する課題に帰着させ、放送メタデータ・ベイジアンネットワークに基づいた新たな顔分類法を実現した。
著者
園田 明人
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、随伴性判断のバイアス認知に及ぼすオプティミズム特性の役割と、オプティミズムやバイアル認知の持つストレス適応のメカニズムを調べる実験と調査を行った。実験1では、2種の刺激条件(ノイズ/得点獲得)と4種の随伴条件(25-25,25-75,75-25,75-75)を組み合わせた8条件の随伴性判断課題に取り組んだ。オプティミズムに関する個人差特性として、説明スタイル(ASQ)、認知スタイル、絶望感、生活志向(LOT)を取り上げ、随伴性判断バイアスの差異が認められるかどうかを調べた。その結果、負の抑うつ的説明スタイルの持つバイアス効果が示された。すなわち、嫌悪刺激を用いた75-75随伴条件で、オプティミズム群に正のバイアス効果が認められ、得点獲得刺激を用いた25-25随伴条件で、オプティミズム群に負のバイアス効果が認められた。他の個人差特性によるバイアス効果はみられなかった。実験2では、客観的に非随伴性の事象の経験が、後の反応-結果随伴性事態における学習課題の遂行を阻害するか、特に、オプティミズム特性や随伴バイアスがこの遂行阻害を防衛する働きを示すかどうかを調べる実験を行った。その結果、負の抑うつ的説明スタイルによるオプティミズムス水準の差異は、先行処置の随伴性判断にも、後続のテスト課題の遂行にも、有意な差異をもたらさなかった。しかしながら、随伴性判断のバイアスの有無により群分けし(非バイアス群、正のバイアス群、負のバイアス群、統制群)、テスト課題の遂行を比較したところ、非バイアス群は、バイアス群の統制群に比べ、遂行が遅滞していた。実験2の追跡調査として、実験の先行処置におけるバイアスの有無が、自然状況でのストレッサーに対するストレス適応に関与するかどうかを調べた。その結果、ストレス反応が増加していたのは、負のアドバイス群であった。
著者
矢野 重信 木下 勇
出版者
奈良女子大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

1.光機能を兼ね備えた触媒機能を持つ錯体の設計・構築は、人工光合成や環境親和型酸化反応触媒等の機能を開発する上で重要なステップとみなされる。本研究はポルフィリンを光機能性部位として、酸化反応性を持つと見られる多核錯体に組み込んだ複合系の設計・構築を目指した。すなわちポルフィリンを機能性錯体の配位子として機能性多核錯体への組み込み、および機能性部位を持つスペシャルダイマーモデルの構築について検討した。2.酸化触媒活性部位として三脚型三座配位子の1,4,7-trimethyltriazacyclononane(Me_3-TACN)を用いて2つのFe(Me_3-TACN)ユニットを5-(o-,m-,p-carboxyphenyl)-10,15,20-triphenylporphyrin(TPPCOOH)亜鉛錯体のカルボン酸によって、ヘムエリトリン型架橋したものを合成した。2,6-[5-(n-carboxylamidophenyl)-10,15,20-triphenylporphyrin]pyridinは脱プロトン化して金属に配位しうる非環状アミド部分とポルフィリン部分をともに含んだ構造をしている。この集積系はTPPNH_2が2,6-[5-(n-carboxylamidochlo ride)]とアミド結合し、スペシャルペアーのモデルとしての構造を設計構築、更に連結部分に新たな反応部位を導入しようとする物である。スペシャルペアー類似構造を取るためには二つのポルフィリンの相対的配置が問題となる。そこでo-,m-,p-位にアミノ基を持つフェニル基を有するポルフィリンと縮合し、一連の異性体を合成した。p-,o-異性体の立体構造についてはX線構造解析によって解明した。p-異性体では二つのポルフィリン環とアミド部位が同一平面上に存在し、アミド部位への包接構造には有利であるが、スペシャルダイマー構造としては不適当であると考えられる。o-異性体は結晶中では二つのポルフィリン環は直交しており、そのうち一つはアミド部位とほぼ並行に、もう一つは垂直に位置している。電気化学的測定ならびに電子吸収および過渡吸収スペクトルの測定結果から、溶液中では結晶中と異なりo-位に異性体を持つ異性体のみ、ポルフィリン環同士のスタッキングに起因するとみなされるな様々な現象を示すことを見いだした。
著者
小川 仁 佐々木 巌 舟山 裕士 福島 浩平 柴田 近
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

当初、無菌マウスに腸内細菌叢を導入した際の肛門を用いて研究を行う計画であったが、無菌マウスの購入が不可能となり、この計画は中止せざるを得なかった。直腸切断術の手術標本から肛門組織を採取し、免疫染色等で肛門免疫機構について研究を行った。肛門には、肛門腺付近を中心とした豊富な免疫担当細胞が存在するが、機能的な解析には至らなかった。また、肛門免疫機構と密接に関連すると考えられる回腸嚢炎について研究を行った。回腸嚢炎は潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術後に発症する長期合併症であり、多くはciprofloxacinやmetronidazoleなどの抗菌薬内服により軽快する。我々はこれらの治療に抵抗した回腸嚢炎患者の便中にClostridium Difficile toxin(以下、CD toxin)を検出した3例を経験した。3例中2例は以前の回腸嚢炎に対しては通常の抗菌薬が奏効していたが、再燃時には効果を認めず、この時点で便中CD toxin陽性と判明した。残り1例は回腸嚢炎初発の時点で通常の抗菌薬治療が効果なく、便中CD toxin陽性と判明した。3例とも「C.Difficile関連難治性回腸嚢炎」と診断し、vancomycin内服により治療したところ速やかに軽快した。通常の抗菌薬治療によって改善しない回腸嚢炎ではC.Difficileの関与を疑い、適切な抗菌薬治療を行う必要がある。これらの研究成果を学会、論文で発表した。
著者
松澤 暢 内田 直希 内田 直希 有吉 慶介 島村 浩平
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アスペリティ(地震性すべりを起こせる領域)の連鎖・連動破壊のしやすさが何に規定されるのかを調べた.その結果,別の大地震の余効滑り(地震の後のゆっくりした滑り)等の擾乱があると連鎖破壊がしやすくなること,二つのアスペリティが隣接していても,破壊の伝播方向と反対側に位置していれば連鎖・連動破壊は生じにくいこと,連動破壊したときのすべり量は個々のアスペリティの破壊履歴に依存することが明らかになった.
著者
高安 美佐子
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

ブログやツイッターなどの公開されているインターネットの書き込み情報を自動的に収集蓄積した巨大なデータを、統計物理学的な視点に基づき科学的な分析をした。まず、日常的に一定の頻度で使われていると期待される単語に注目し、その基本的なゆらぎの特性を明らかにした。次に、流行語やニュース用語などに注目し、その上昇・下降が指数関数やベキ乗の関数形で記述できることを示した。
著者
衣笠 竜太 谷口 圭吾
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アキレス腱屈曲点を出現させるメカニズムとその機能的意義は解明されていない。そのため、受動的足底屈動作中におけるヒトアキレス腱の屈曲点出現の解剖学的構造とメカニズム解明を目的とした。アキレス腱は、Kager’s fat pad剥離に伴って座屈したが、腹側への曲率は保持されていた。しかしながら、Kager’s fat padの位置に樹脂を入れると、腹側への曲率は消失した。腱のスティフネスやコラーゲン線維は腱の長軸方向に対して均一な分布であった。つまり、アキレス腱の構造自体が屈曲点をもたらす要因であった。屈曲点によるlength gainは腱の弾性よりも力学的効果によってもたらされていた。
著者
藤谷 秀雄 福住 忠裕 崔 宰赫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

制振ダンパーとして、履歴型ダンパーと粘性型ダンパーを研究対象とした。平成17年度の各種ダンパーの単体載荷実験から得られた、制振ダンパーの必要なエネルギ散逸特性や特定した数学モデルに基づき、平成18年度は、履歴ダンパーで連結された連結制振構造物の必要なエネルギ散逸特性や接続された構造物群の制振効果を確認するため、エネルギ散逸要素に対する載荷実験をオンラインで結合した地震応答実験によって行った。まず、低降伏点鋼を用いたせん断パネル型履歴ダンパーについて、パネル部の厚さが薄い場合,パネル部の面外座屈による局所的な耐力低下が全体連結構造物に及ぼす影響を調べ、その影響が少ない既存のスケルトン・シフトモデルを用いた応答解析結果を準用することが出来ることが判明した。また、梁間方向の伸縮と上下動、桁行き方向の水平変位に対して履歴減衰を付加することが可能な多方向ダンパー(鋼管ダンパー)を製作し、地震時の挙動を調べた。鋼管ダンパーの形状の特性によって、鋼管ダンパーの亀裂進展による耐力低下は入力振幅の大きさ及び入力波形によって極めて大きく変動することを示し、等価単調載荷曲線を用いてスケルトン・シフトモデルの適用範囲を提案した。そして摩擦ダンパーについて、連結制振部材としての適用可能性を検討した。せん断型摩擦ダンパーを完全弾塑性モデルでモデル化して地震時の応答挙動を制度良く追跡できることを示し、卓越する変位低減効果を有することが明らかになった。更に、上のいずれの履歴型ダンパーに対しても、連結制振性能曲線を作成し、これからの連結制振構造物の設計時に有効な指標(ダンパーの剛性と耐力)や制振効果の予測に関する情報を確認した。粘性型ダンパーについては、オイルダンパーと粘弾性ダンパーを適用し、17年度に実施した単体特性試験の結果から得られたダンパーのモデルを用いて、地震応答解析を実施した。17年度は、構造モデルは弾性であったが、より現実の建築物への適用性を高めるために、弾塑性系の構造物、および多質点系の構造物に適用した解析を行った。その結果、新設S造の固有周期が短い(ブレースの設置などによって剛性が高い)場合は、新設S造の質量を既存RC造の0.25倍以上となるようにし、既存RC造の重量1000kNあたり、粘性減衰係数C_d=5〜20kNs/cm程度のオイルダンパー、または等価粘性減衰係数C_<dVE>=8.5kNs/cm以上の粘弾性ダンパーを設置すれば、既存RC造の変位を低減できるということが明らかになった。
著者
堂山 昌男 松井 正〓
出版者
西東京科学大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本研究においては、分子動力学の方法を用いて、金属の結晶成長をシミュレートすることを目的として行なった。まず、純物質のN体多体原子間ポテンシャルを開発した。これらのポテンシャルを用いて、気相からの結晶成長を分子動力学を用いて計算し、その成長機構を調べた。金属那珂の相互ポテンシャルは2体ポテンシャルによっては扱えない。本研究では、いわゆるembedded atom法を用いた。面心立方格子をもつ金、銀、銅、六方晶のチタニウムについて計算した結果、面心立方で(111)最密面、六方晶で(0001)最密底面では吸着原子が非常に動きやすいことがわかった。また、吸着原子クラスターを作ると、とたんに動きにくくなることがわかった。表面との吸着エネルギーも計算した。これにより、2体ポテンシャルと多体ポテンシャルの相違が明らかになった。当然のことながらボンドの足し算では表わせない。松井らは銅の分子動力学を用いて、銅の(100)面気相成長を動画に表わした。以上の結果を用いてモンテカルロ計算により、銅の(111)面結晶成長、シリコンの(100)面気相成長のシミュレーションを行なった。これにより、成長速度と結晶成長の関係を明らかにした。結晶速度が速いときには面がアイランドを作りながら成長し、結晶速度が遅いときには1面1面完全に近い結晶が成長することがわかった。これらの結果は平成5年8月末から9月初旬研究代表者が組織したInternational Union of Materials Research Societiesのsymposium D Computer Application to Materials Scienceおよび、平成5年11月末米国ボストンで開催されたMaterials Research Societyにおいて十数編の論文として発表された。
著者
村上 存
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

従来のカラー・ユニバーサルデザインは、色覚異常者にとって識別が可能な色の組合せのみを用いるアプローチが多い。いま色覚異常者が識別困難な2色C1, C2の組合せを考える。一方の色C1を明度を上げた色と下げた色のディザで近似表現すると、正常色覚者にはディザの合成によって元のC1、C2の2色の組合せと同様に見える一方、色覚異常者にとっては無地色C2と、C1の明暗ディザパターンに知覚され、両者が識別できる可能性がある。本研究はこの仮説に基づく、新しいカラー・ユニバーサルデザイン技術を提案、検証した。
著者
角山 照彦 越智 徹
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、学力の多様化に対応するため、動機づけに効果的とされる映画を活用して、習熟度および動機づけに大きな差がある大学生の英語運用能力の向上を目指した英語教材を開発した。開発教材は著作権法上の制約が少ないパブリックドメイン映画2作品を使用しており、映画の同一場面を素材とした難易度の異なるレベル別のe-learning教材であるが、実験の結果、習熟度の異なる3調査群すべてにおいて有意な得点上昇が観測された。
著者
大上 正直
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本人フィリピン語学習者用「フィリピン語辞典」編纂のための大きな規模のコーパスを構築した。この作業および辞書データベースの作成には、将来における正式版のアプリ開発も視野に入れ、かなりの時間を割いた。最後に上記辞書データベースのうち頻度の高い約300語の語根と1,800語の派生語を選定し、理系大学院生の協力を得て、アンドロイド系アプリの作成支援ツールを用いて当初の計画どおり上記辞典試作版アプリを試験的に開発した。
著者
勇 秀憲
出版者
高知工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

地域における良好な景観形成のためには,その地域特性や地域住民の意向に合致した総合的な景観評価法の確立が急務である。特に橋梁景観においては,橋を含む景観の形状と色彩がその景観イメージ・感性に大きな影響を及ぼす。本研究は,橋梁景観の形状特性と色彩特性を相互に考慮し,橋梁新設・改修時や再塗装時などでの色彩評価・選定のための合理的で定量的な工学指標を含む景観評価法・設計法の確立を目標とするものである。平成25年度は,平成24年度に提案した橋梁景観を構成する背景と橋梁の形状に着目した橋梁景観評価法に関し,背景を含む橋梁景観のカラー画像・白黒画像および背景を取り除いた橋梁のみの白黒画像の3種類の画像を対象に,それぞれSDアンケート調査と因子分析の結果から,色彩の有無と背景の有無によるイメージの変化を多変量解析により定量的に調べた。因子分析とクラスター分析を用いてイメージの変化の分類を行い,数量化II類を用いてイメージの変化の分類と景観属性(構造形式,架設場所など)との相互関連性を調べた。色彩の有無や背景の有無によるイメージの変化は,ともにその景観要素(構造形式,架設場所など)に依存することが示された。また,平成23・24年度の研究で提案した色彩評価法の適用事例として,主な世界の絶景風景を対象に,それらの「美しさ」のイメージの分析を実施した。SDアンケートを実施し因子分析から,イメージ特性,主色彩および地域との相互関係を評価し,本色彩評価法の妥当性を示した。なお,主色彩は本経費によるカラーイメージ分析ソフトウェアと色彩色差計により測色し定量化した。本研究提案の色彩評価法,カラーイメージ評価法およびフラクタル解析を連携させることで,本研究を基にして,各種景観に対し色彩特性と形状特性を総合的に配慮できる新しい定量的な景観設計システムの構築を目指すことがきるものと考える。
著者
前原 紀敏 中村 克典
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

「マツノマダラカミキリの分布の北限は、夏の夜の寒さが成虫の卵巣発育に影響することによって決まっている」という仮説を立て、マツノマダラカミキリの卵巣発育に対する温度の影響を室内実験で調べた。日中の気温が25℃であれば夜間の気温が15℃であっても、卵巣発育には影響しなかった。一方、日中の気温が25℃であっても夜間の気温が10℃にまで下がれば、卵巣発育が遅れ、成熟卵数が少なくなった。しかし、成熟卵が全くできないわけではないため、夏の夜の寒さが成虫の卵巣発育に及ぼす影響だけで分布の北限を説明することはできなかった。
著者
伊東 学 赤澤 敏之 放生 憲博
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

超音波溶解析出法により市販多孔性バイオセラミックスを部分溶解後、材料表面にリン酸カルシウム微結晶を析出させ、骨形成蛋白質(rhBMP-2)の吸着徐放性を制御し、生体吸収性と骨誘導能に優れたリン酸カルシウム系セラミックスを開発した。バイオセラミックスの表面改質方法として、輸液中の超音波処理技術を確立し、その抗生物質(セファゾリン)吸着徐放性を解明した。組織誘導再生に適当な生体模倣性アパタイト/コラーゲン複合材料を合成し、良好な生体吸収性を立証した。臨床感染巣の新しい定量的評価法の確立には、8例の難治性脊椎感染患者に対して、FDG-PETCTによる感染重症度マッピングの作成を行った。
著者
浅川 雅美 岡野 雅雄
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

464名の大学生を対象に食品CMを用いた視聴実験を行い、(1)「伝達内容」と「Aad」の間に及ぼす「情報的価値」の媒介機能、(2)「視聴印象」と「情報的価値」が「Aad」に及ぼす影響、について検討した。結果は以下の通りである。(1)「情報的価値」が高いケースは低いケースと比べて「Aad」の評定が高い、(2)「伝達内容」と「Aad」の間には、「伝達内容→情報的価値→視聴印象→Aad」と「伝達内容→情報的価値→Aad」の二つの反応プロセスがある、ことが推察された。