著者
奥平 康照
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.6, pp.7-22, 2013-03

『山びこ学校』は出版直後から高い評価を受けた。教師たちはそこに新しい教育実践への希望を見出し、教育学者はその理論化こそ、これからの仕事だと考えた。さらに哲学者も社会科学者も、日本の民衆の内側から生れる思想と理論の可能性を、そこに読みとることができると考えた。しかし『山びこ学校』大絶賛は、それに見合うほどには理論的思想的成果をもたらすことなく、50年代後半になると急速に萎んでいった。当事者の無着さえも、「山びこ」実践から離脱していった。50年代後半から始まった急激な経済成長と、政府による教育内容の国家統制強化とに対して、日本の民主教育運動と教育学の主流は、「山びこ」実践とその思想を発展させることによって、対抗実践と理論を構築することができると見なかった。「山びこ」実践への驚きと賞賛は、戦後日本の民衆学校の中学生たちが、生活と学習と社会づくりの実践的主体になりえる事例を、直観的にそこに見たからであろう。しかし戦後教育実践・思想・理論は子どもたちを学習・生活・社会づくりの主体として位置づけることができなかった。
著者
安岡 孝一
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.113(1998-SLDM-090), pp.99-106, 1998-12-10

LUT型FPGA上での組合せ回路の各結線の論理関数を記述するための表現法として、SPD (Sums of Products to be Distinguished)を提案する。また、LUT型FPGA上での順序回路の状態割当を記述し、さらに各結線の論理関数を記述するための表現法として、SPSD (Sums of Products and States to be Distinguished)を提案する。

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出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.540-541, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.980, pp.70-71, 1999-03-01

自動車のスピードメーター、給油告知灯などが付いた計器盤は、夜、暗いなかでもはっきり表示できるよう、なかに小さな電球を備えている。自動車のライトをつけると、計器盤内の電球も点灯して、計器盤を後ろから照らす仕組みだ。こうした電球は赤、緑、オレンジなど色とりどりの光を放つ。
著者
藤原 郁郎
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-21, 2007

2007年4月16日ヴァージニア工科大学において一人の学生の銃の乱射により32名の学生・教師が生命を失った。現在2億丁を超える銃を抱え毎年400万丁以上の銃が増え続けるアメリカ社会において、銃規制また銃の保有と携行に関する各種の政策の評価が多くの研究者により行なわれている。1990年代のアメリカ社会における銃による死傷者の数は劇的に減少をしたが、このことを予測した研究論文の発表はなかったことが指摘されている。ロットとマスタードは、この原因を1986年以来、各州がシャル・イシュー法を採用し、銃の携行を願い出た一般市民にほぼ一律に許可を与える州が増大したからであると1997年の論文において結論付けた。これに対し、クックとルートウィックは、銃による死亡事件の社会費用は、関連する諸費用をすべて含めれば一件当たり100万ドルを超えるとし、銃規制の重要性を訴えると共に、ルートウィックは、90年代の銃による死傷者の減少はシャル・イシュー法とは統計的に有意な関係は認められない、と反論を試みた。銃による殺人と死傷者の件数の劇的減少が、はたして銃規制派の議会への運動により実施されるに至ったブレイディ法とその後継法か、それともシャル・イシュー法にあるのか、アメリカ銃規制問題の焦点の一つとして現在も論争が続けられている。本稿においては、1976年から2004年の28年間の全米50州にワシントン特別行政区を加えたパネル・データを構築し、ブレイディ法とシャル・イシュー法を政策変数化することで、数量分析を行ない、ブレイディ法と1999年以降のその後継法である全国即時背景システム(National Instant Check System)が統計的に有意な影響を与えていることを論証した。
著者
門田 明
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.44-82, 1977 (Released:2010-06-04)
参考文献数
63

Candida albicans (以後C. alb. と略) 感染症の発症機序を解明すべくC. alb. の生物学的作用を窒素含有物質, 特にケラチンに対するアミノ酸の動態の面より検討した。C. alb. は亜硝酸ナトリウム及び硝酸ナトリウムを窒素源としては発育せず, 塩化アンモン及び硝酸アンモンを窒素源としては発育することを指摘した。また, C. alb. を接種した糖添加, 非添加単一アミノ酸培地より3種類~8種類のアミノ酸を検出した。菌の発育は糖添加により促進されたが, C. alb. のアミノ酸同化能と培養濾液中の検出アミノ酸の種類及び量との間には一定の関係は認められなかった。糖添加Gelatin培地に比し, 糖添加, 非添加Peptone培地において菌はよく発育した。C. alb. 接種爪添加培地よりCystineを含む15種類~16種類のアミノ酸を検出したが, Prolineは検出されなかった。菌の発育は糖・爪添加培地及び糖・尿素・爪添加培地で著しかった。光顕的, 電顕的観察により培養爪甲内にC. alb. の菌糸及び分芽胞子を認めた。如上の成績より著者はC. alb. のケラチン分解能の存在を確認した。かくして, C. alb. の菌体内外におけるアミノ酸代謝の動態の一端を解明するとともに, C. alb. 寄生の皮膚アミノ酸代謝及び皮膚カンジダ症の感染機序に関し二, 三の新知見を加える所があった。
著者
坂本 多穂
出版者
福島県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高コレステロール血症治療薬スタチンは横紋筋融解症や筋力低下などの筋毒性をもつが、その発症機序は不明である。低分子量G蛋白質Rabは、脂質ゲラニルゲラニルピロ燐酸(GGPP)を介してオルガネラ膜に結合し、小胞輸送を制御する。我々は以前、スタチンがGGPPを枯渇させ、Rabを不活性化させて筋空胞変性を起こすと報告した(Sakamoto et al.,2007EASEB J)。しかし、Rabには60以上のアイソフォームがあり、それぞれが固有の輸送経路を制御する。本研究では、スタチンがどのRabアイソフォーム、どの経路を阻害し筋毒性を起こすのか調べた。小胞体・ゴルジ輸送は全小胞輸送系の起点であり、Rab1Aが制御する。初代培養ラット骨格筋線維に1μMフルバスタチン(Flv)を4日間作用させると、Rab1Aは膜から離脱した。GGPP補充で膜への結合は回復した。GGPPは、Flvによる空胞変性と壊死も抑制した。ER-ゴルジ輸送阻害薬ブレフェルジンAはFlvによる毒性を再現した。以上より、スタチンがRab1Aを阻害し、細胞内の物流が停滞して、筋が壊死すると考えられる。さらに、スタチンによる筋収縮低下について検討した。Flv(10μM)存在下で筋線維を3日間培養するとカフェイン誘起性収縮が有意に抑制した。スタチンは、筋原線維には影響しなかったが、筋小胞体Ca^(2+)貯蔵量および筋ATP量を低下させ、これらが収縮抑制の原因と考えられた。スタチンはミトコンドリア障害を起こし、これがATP低下の原因だと思われる。GGPPはスタチンによる収縮抑制、ATP低下を抑制した。本研究より、スタチンによる筋壊死や収縮抑制が低分子量G蛋白質の不活性化が原因であることが分かった。またスタチンの毒性が、GGPP補充で軽減できることも分かった。治療への応用が期待される。
著者
水野 りか 松井 孝雄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16327, (Released:2017-09-30)
参考文献数
21

Homophone effects, which refer to the phenomenon in which lexical decision times are longer for homophones than nonhomophones, have not been consistently observed for Japanese homophones with multiple mates. Mizuno and Matsui (2016) explored this inconsistency, finding that phonological familiarity of homophones—namely, the total frequencies of a homophone and all of its mates—can countervail homophone effects. However, it remains unclear why phonological familiarity has such a great influence on homophone processing by native Japanese readers, who rely very little on phonological information when processing words (Mizuno & Matsui, 2013). We hypothesized that high phonological familiarity influences lexical decision. Accordingly, we conducted lexical decision and semantic categorization experiments using Japanese homophones with high and low phonological familiarity. The results revealed that high phonological familiarity decreased lexical decision time, but not semantic categorization time, indicating that lexical decision tasks are sensitive to the phonological familiarity of stimulus words. Finally, we discuss the need to control the phonological familiarity of homophones in some way in the context of lexical decision tasks.
著者
藤本 武
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.347-370, 2010-12-31

近年アフリカにおける小規模な紛争について環境変化による希少な資源をめぐる争いとする議論がある。牧畜民と農耕民の間の紛争では放牧地を確保しようとする前者と農地を拡大しようとする後者の土地をめぐる争いとされる。本論はエチオピア西南部の牧畜民と農耕民の間で発生してきた紛争事例について検討を行った。この地域では低地に暮らす牧畜民間の紛争が変動する環境下での資源確保や民族形成との関連で考察されてきた。ところが牧畜民の一部は1970年代から近隣の山地に暮らす農耕民を襲い、遠方の農耕民にまで対象を拡大してウシなどの財を略奪してきた。本論の分析から、紛争の背景には19世紀末にしかれた牧畜民と農耕民に対する国家の異なる統治策、国家支配のエージェントである入植者の私的関与、20世紀前半に主として農耕民になされた奴隷狩り、そして近年の自動小銃の流入など、外部からの地域への関与の問題が無視できないことが明らかとなった。じつは、他のアフリカの牧畜民と農耕民の紛争でも、紛争当事者間の土地などの資源をめぐる争いの背景に、国家や国際機関などによる開発政策が結果として争いを激化させていたり、過去の奴隷制が集団間の関係に影響をおよぼしているなど、資源紛争の構図におさまらない同様の問題が認められた。小規模な紛争を対象に、その個別具体的な相を掘りさげて分析する人類学の紛争研究は、今日常套句的になされがちな紛争説明に対して発言していくべきであるとともに、紛争後も長期に関わることで地域の紛争予防にむけた動きを支援するなど、独自の貢献を果たしていくことが求められる。
著者
PENDLEBURY David A.
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.546-549, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

ユージン・ガーフィールドは20世紀後半の情報革命の牽引者であった。彼は,著者が自分の論文の中の引用文献で作ったリンクを活用して,引用索引を科学文献検索の世界に導入した。引用索引は,研究者に新たに正確な情報検索の手段を提供するだけでなく,科学文献から科学の構造と動向研究を可能にし,科学をマッピングする方法に拡大するとともに,国,研究機関,雑誌,著者の研究のパフォーマンス分析にも導入されている。彼は,情報科学者としてだけでなく,科学と芸術分野やホームレス支援の社会福祉団体へも多大な貢献をおこなった。デービッド・ペンドルベリー(安藤聡子 訳)
著者
朱 然 シュ ゼン Zhu Ran
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.31-49, 2016-11

論説(Article)蜷川府政期の京都府は,「革新」を掲げたゆえに,福祉ばかり力入れ,行政投資が少ないというのは通説となっている。しかし,先行研究が皆無の中,京都府の行政投資は検証されたことがなく,実状は不明のままである。本稿は京都府における行政投資額が,全都道府県に占める割合の変化に注目する。その上,国,府,市町村と施行主体別にわけて分析し,変化の原因をつきとめて,また事業決定の政治過程を検証する。