著者
徳永 弘子 武川 直樹 木村 敦 湯浅 将英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.1, pp.3-14, 2013-01-01

複数人が集って共にする食事(共食)は,人のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているが,共食の場の構造を定量的データに基づき分析した研究例は少ない.本研究では,3人が食事をしながら会話をする映像から,参与者の視線,発話の行動を定量的に調査し,共食会話の構造を分析した.特に,視線持続時間と参与の役割ごとの発話行為,会話の順番交替直前の視線先と順番交替の関係を詳細に調べた.その結果,共食会話は食事のない会話に比べ,人に向ける視線持続時間が短く,会話は話者発話-聞き手発話-話者発話の隣接で構造化されること,更に話者発話による会話の順番交替では,会話者同士が視線を合わすことなく発話が遷移するケースが多いことが明らかになった.これにより,共食中は会話への参加の義務が緩く,話し手の発話は場に投げられ,次の発話は誰が開始してもよい場として形成されていることが示唆された.
著者
武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.108, no.317, pp.17-18, 2008-11-16
参考文献数
2
被引用文献数
1

人の「共食」をコミュニケーションとしてとらえ,共食におけるインタラクション研究の重要性を述べ,そのアプローチ方法を提案する.また,期待される結果について述べる.
著者
西沢 美奈子 徳山 治 深山 雅人 川村 直樹
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.148-154, 2014

女性の尿閉は10万人あたり7人と報告されており,とくに婦人科疾患によるものはまれとされている.子宮筋腫はその原因疾患に含まれるが,腫大子宮による尿路系圧迫に伴う症状としては頻尿が比較的多く認められるものの,尿閉をきたすものはまれである.これまでに1~3例の症例報告はみられるが,まとまった症例数での系統的解析が行われた報告はない.今回,われわれは子宮筋腫が原因と思われる急性尿閉を発症した10例を経験したので,その臨床背景,発症時の状況,病態について診療録をもとに後方視的に検討した.対象は,2006年4月から2012年3月までの6年間に当院子宮筋腫外来を受診した2032例の患者のうち,急性尿閉をきたした10例(0.49%)である.年齢は38~51歳,子宮の大きさは妊娠12~21週相当,3例が頸部筋腫を有し,7例は体部筋腫のみであった.いずれの症例も尿閉は膀胱に尿が充満しているときに発症しており,起床時にみられることが多く,確認できた残尿量は175~1600mlであった.導尿後は尿閉が継続してみられることはなく,膀胱充満時に腫大子宮体部が上方あるいは後方へ変位し,その結果,尿道の変位・延長,後方からの子宮頸部の尿道圧迫などが生じて一過性尿閉が出現したものと推測された.子宮筋腫が原因と思われる尿閉の既往がある場合,原則外科的介入の適応とされるが,眠前の多量水分摂取を控えたり,膀胱に尿が充満しすぎないよう注意することなど生活習慣を指導することで,その後尿閉を繰り返さず経過する場合が多い.したがって,とくにまもなく閉経を迎える年代では1度の急性尿閉のエピソードは外科的介入の絶対適応ではないものと考えられた.〔産婦の進歩66(2): 148-154,2014 (平成26年5月)〕
著者
岡久 雄二 小西 広視 高木 憲太郎 森本 元
出版者
The Japanese Bird Banding Association
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2011

キビタキ<i>Ficedula narcissina</i>の雄について,外部形態に基づく齢査定の方法を検討した.第1回夏羽の個体は第2回夏羽以降の個体よりも自然翼長,尾長とも短かったが計測値は重複が大きかった.また,脛羽の色は第1回夏羽,第2回夏羽,それ以降の第3回夏羽以降の3群でそれぞれ異なっており,第1回夏羽では淡褐色,第2回夏羽では灰黒色の羽が疎らに生え,それ以降の第3回夏羽以降では純黒色の羽が密に生えていた.さらに,虹彩の色は第1回夏羽では灰褐色,第2回夏羽では褐色であり,第3回夏羽以降の個体の多くは赤褐色であった.これらより,キビタキの雄の齢は脛羽と虹彩の色によって第1回夏羽,第2回夏羽,第3回夏羽以降の3群に識別することができると考えられた.
著者
近宗 干城 金井 幸雄
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.236-241, 1978
被引用文献数
1

白色型と褐色型のウズラを交配し, それから分離した野生色型, 白色型, 暗色型, 褐色型, 暗白モザイク型および褐色モザイク型の遺伝について調査した。その結果, これらの羽色型は2対の常染色体性遺伝子の組合わせによって決定されることが示された。<br>すなわち, 有色羽の色は2つの対立遺伝子の組合わせをよるもので, 暗色羽は単一の遺伝子+<sup>D</sup>により, また野生色は+によって決定する。+<sup>D</sup>は+に対して不完全優性で, これらのヘテロ型 (++<sup>D</sup>) は両者の中間色である褐色となる。<br>他方, 有色羽と白色羽の分布は, これとは別個の2つの対立遺伝子の組合わせによって決定する。白色羽は単一遺伝子<i>i</i>による。これはメラニン色素の沈着を抑制する作用をもち, この遺伝子のホモ型である<i>ii</i>は, 頭頂部と背部に小さな有色の斑点があらわれる以外全身白色羽装となる。有色羽は<i>i</i>の対立遺伝子である<i>I</i>によるもので, この遺伝子のホモ型 (<i>II</i>) は全身有色となる。これらのヘテロ型(<i>Ii</i>) では, +<sup>D</sup>+<sup>D</sup>あるいは++<sup>D</sup>と共存する場合は白色とのモザイク型になるが, ++と共存する場合は, <i>Ii</i>は++に対して下位であるため野生型となる
著者
今野 怜 村上 速雄 松尾 武芳
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.65-76, 2013
被引用文献数
1

シマゴマ,ムジセッカ,カラフトムジセッカを繁殖地であるサハリンで捕獲し,その形態的特徴について詳しく調べた.シマゴマの幼羽では体上面の広い範囲に淡色の軸斑があった.ムジセッカとカラフトムジセッカの幼羽では,ともに体上面は褐色,体下面はより淡い色で,前者は体上面と体下面ともに灰色みがあり,後者では体上面にはオリーブ色み,体下面には黄色みがあった.3種とも成鳥の繁殖後換羽は完全換羽,幼鳥の幼羽後換羽は部分換羽であった.幼鳥の自然翼長の平均値はシマゴマ 66.0 mm,ムジセッカ 58.7 mm,カラフトムジセッカ 60.0 mmであった.シマゴマは羽衣を問わず大きさと尾羽の色で同所的に生息する小型ツグミ類と識別できた.ムジセッカとカラフトムジセッカは翼帯を欠く点でサハリンや日本で繁殖する他のメボソムシクイ属の種と異なっていた.この2種は互いによく似ているが,識別には嘴の形,脚の太さと色,眼の大きさが役立つであろう.
著者
武田 清子
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.22-79, 1956-12

Since Meiji Restoration the Emperor system was re-established and re-emphasized by the government along the line of the national policy to establish the absolute monarchy, and in order to mold the Japanese people as the obedient subjects of the Emperor, education was nationally organized under the authority of the Imperial Rescript on Education of 1890. Thus for the majority of the people the Emperor system has become not merely a political system but a kind of idol or absolute authority which gives the centre of value and meaning of life, and has determined the way of thought and the nature of personality development. Through the history of Protestantism in Japan, for Christianity the Emperor system has been one of the most serious obstacles to penetrate into the heart of the Japanese culture. Even the Christians themselves have been often tainted by this earthly authoriity in their way of thought and attitude towards community or national life, though at this point many felt contradiction and were impelled to struggle. Therefore how the Japanese Christians have struggled with and found solution to this problem is one of the crucial points in examining the nature and problem of their thinking. In order to examine this question I prepared questionnaire on this subject and asked about 200 the Japanese Christians of all generations (from those who were born in the early part of Meiji period to the post-war generation) and of various kinds of profession to answer. Fortunataly there was a very good response, and I recieved both answers to the questionnaire and the general remarks and opinions on Emperor system. Besides this I had personal interviews with some outstanding Christian leaders and common church members. The present paper is an analysis of the ideal types of the way of thought of the Japanese Christians with the use of these materials. Three general types were distinguished: (1) Traditional affirmative type (2) Co-existential type (a) Affirmative type with Christianity as medium (b) Negative type with Christianity as medium (3) Confrontational negative type.
著者
馬場 幸大 西尾 正輝 山崎 裕治
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-66, 2016 (Released:2016-10-03)
参考文献数
34

要旨 国指定天然記念物であるイタセンパラについて小規模水槽飼育を実施し、飼育条件の違いが成長や生残に与える影響を調査した。実験条件として、1日あたりの給餌の頻度(1回、3回)、個体の密度(5匹、20匹)そして日当たり(日なた、日陰)の3つの項目に注目した。これらの条件を組み合わせた8通りの実験群を3組ずつ用意し、1か月ごとに生残率を算出し、標準体長および体重を計測した。さらに、本種の繁殖期とされる9月および10月における計測については、性成熟の判定を行った。飼育実験の結果、豊富な餌量の供給および低密度における飼育によって、良好な成長が期待できることが示唆された。一方で、残餌や高水温に起因する水質悪化が、摂餌活性および生残率の低下をもたらす可能性が示された。また、すべての実験群において性成熟する個体が出現した。これらのことから、保護池のような広大な土地が確保できない場所においても、効果的な条件を整えた小規模水槽において本種の飼育は可能であり、有効な保全方策の1つとなることが明らかとなった。
著者
平石 典子
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.83-118, 2002

「煩悶青年」---現在では聞き慣れないこの呼称は、明治三十年代から大正時代にかけて、メディアを賑わせた一種の流行語であった。徳富蘇峰は、大正五年に著した書『大正の青年と帝国の前途』の中で、当時の青年たちを「模範青年」 ...
著者
乾 孝司
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-2, 2014-03-14 (Released:2014-06-14)