著者
ファッサン エリック ファヨル入江 容子
出版者
東京都立大学 西山雄二研究室
雑誌
Limitrophe = リミトロフ = Limitrophe (ISSN:24370088)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.72-82, 2022-03-31

特集 フランスにおけるインターセクショナリティ批判
著者
浜井 浩一 エリス トム
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.67-92, 2008

内閣府等の世論調査によると,現在の日本では,80%を超える人が日本の治安が悪化したと感じ,同じく80%を超える人が死刑制度の存続を支持している.こうした世論や被害者支援団体等に後押しされて,1990年代後半から,日本でも厳罰化が進んでいる.Pratt(2007)のいうPenal Populismの基本は,マスコミを通して語られる市民団体や被害者支援の活動家の体験に基づいた常識的で分かりやすい声によって,司法官僚を含む専門家が刑事政策の蚊帳の外に追いやられた結果,厳罰化が進行することにある.この現象は,現在日本で起きている厳罰化によく似てはいないだろうか.小泉改革以来,力強く,常識的で,分かりやすい解決策がもてはやされるようになった.光市で発生した母子殺害事件は,その事件そのものだけではなく,9年間にわたって続いた公判の様子は,被害者遺族の言葉を通して様々なメディアで報道され,世論の強い支持を背景に,検察官の控訴,上告によって,無期懲役刑判決が破棄され,差し戻し控訴審において死刑判決が下された.この間,治安対策や刑事政策の分野でも,厳罰化に向けた施策が次々と打ち出された.しかし,もともと,Penal Populismは,アメリカのように裁判官や検察官が選挙で選ばれるなど,司法官僚の人事が政治的な影響を受けやすい制度を持っている国で起こりやすい.日本の裁判官や検察官は,司法官僚と呼ばれるように,巨大な官僚機構の一員であり,終身雇用制度のもと人事は政治からほぼ独立している.つまり,国際比較的な観点から見ると,日本は,制度的にみて,Penal Populismの影響に対して最も強い抵抗力を有している国だといえる.このことを前提に,近時の日本の厳罰化の過程を見てみると,Penal Populismとはやや異なった姿が見えてくる.最近の厳罰化に向けた法改正は,刑法,刑事訴訟法の改正や裁判員制度の創設を含めて,厳罰化に向けた量刑等の動きは,市民や被害者遺族の声が大きな原動力となって動き出したものであるが,すべて司法(法務)官僚である検察官を通して実現されたものであり,検察官の権限が縮小された制度改革はほとんどない.日本のPenal Populismの特徴は,司法官僚や刑事法の専門家が抵抗勢力とはならず,むしろ世論と一体となって厳罰化を押し進めた点にある.
著者
ウェイジャー エリザベス
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.443-450, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

研究や出版分野における不正行為は今に始まったことではないが,情報技術の発達は出版倫理に大きな影響を与えた。コンピューター•ソフトは,不正行為(剽窃や画像処理等)を容易にさせたが,一方でその不正行為を検出するツールとしても役立つ。また,電子出版により,訂正や撤回文を対象論文に直接リンクすることにより,読者へ問題に関する警告を出すことも可能とした。しかし,強力なツールが利用できても,疑いのある不正行為を扱うには,慎重な判断が必要である。したがって,ジャーナルや機関は,さまざまな状況に備え,適切なポリシーと対処手順を策定しておくべきである。The Committee on Publication Ethics(COPE:9,000以上のジャーナルがメンバーとして参加する国際機関)は,不正行為に関する多様な問題について助言する情報源の1つであり,本稿ではその活動について述べる。不正が疑われる,あるいは明らかにされた場合には,ジャーナルと機関が協力して対処することが重要である。最近,日本の機関が協力して効果的な調査が行われた事例を紹介する。
著者
羽石 英里 河原 英紀 岸本 宏子 竹本 浩典 細川 久美子 榊原 健一 新美 成二 萩原 かおり 齋藤 毅 藤村 靖 本多 清志 城本 修 北村 達也 八尋 久仁代 中巻 寛子 エリクソン ドナ
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歌手は自らの身体が楽器であるため、歌唱にかかわる諸器官の動きを視認することができない。本研究では、歌手の身体感覚と実際の現象との対応関係を検証することを目的として、歌手へのインタビューを行い、歌唱技術の要とされる横隔膜の動きを実時間での磁気共鳴画像法(MRI動画)を用いて可視化した。その結果、プロ歌手の制御された横隔膜の動きが観察され、その現象が歌手の主観的な身体感覚の説明とも一致することが明らかになった。また、声道や舌の形状、ヴィブラートにも歌唱技術を反映すると思われる特性がみられた。本研究で提案されたMRIによる撮像法と分析法は、歌唱技術を解明する上で有用な手段のひとつとなりうるであろう。
著者
越村 俊一 江川 新一 久保 達彦 近藤 久禎 マス エリック 小林 広明 金谷 泰宏 太田 雄策 市川 学 柴崎 亮介 佐々木 宏之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

リアルタイムシミュレーション,センシングの融合による広域被害把握,被災地内外の人の移動と社会動態把握,医療需要および被災地の医療活動状況を入力としたマルチエージェントシミュレーションで構成する仮想世界でのwhat-ifの分析を通じて,物理世界となる被災地での災害医療チームの活動を支援するための「災害医療デジタルツイン」を構築する.災害医療の最前線で活動する研究者との協働を通じて,南海トラフ連続地震により連続して来襲する津波のリスク下において,医療システムの一部の機能が一定期間低下しても,被災地内外の災害医療の機能を速やかに回復できる医療レジリエンスの再構築を先導する.
著者
クレア コニー クルス マリア パパドプール エリ サベジ ジェームズ テペレク マルタ ワン イェン ビトコフスカ イーザ ヨーマンズ ジョアン 海外におけるRDM支援実践事例の日本語化事業ワーキンググループ
出版者
海外におけるRDM支援実践事例の日本語化事業ワーキンググループ
巻号頁・発行日
pp.1-148, 2022-01

[日本語版] 翻訳・編集協力: 海外におけるRDM支援実践事例の日本語化事業ワーキンググループ(京都大学図書館機構、大阪大学附属図書館、神戸大学附属図書館、奈良教育大学図書館、奈良女子大学学術情報センターの共同事業)
著者
木村 妙子 花井 隆晃 木村 昭一 藤岡 エリ子
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.91-94, 2016-03-31 (Released:2016-10-20)
参考文献数
12
被引用文献数
6

The smooth cordgrass Spartina alterniflora, native to the east coast of North America and the Gulf of Mexico, was first found from Japanese tidal flats in 2008. The species has been reported from Aichi and Kumamoto Prefectures where it settles on tidal flats lower than native reed grass Phragmites australis and other saltmarsh plants. In 2014, the Ministry of Environment in Japan designated all Spartina species as the invasive alien species. While S. alterniflora has been exterminated extensively by local governments, it still has invaded other tidal flats in Japan. We review the situation of S. alterniflora in Japan with the comparison of morphological characteristics of S. alterniflora and P. australis native to Japan for early detection on Japanese tidal flats.
著者
平 英彰 吉井 エリ 寺西 秀豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1187-1194, 2004-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
5

スギは日本の準固有種で, 最も古い化石は秋田県田沢湖の北方, 檜木内川の上流にある宮田のおよそ530万年前の地層から発見されている. このことから, 日本におけるスギの出現は, 他の針葉樹に比べ比較的新しいと考えられている. スギは現在, 青森県から鹿児島県の屋久島まで広く天然分布している. 日本列島に生育しているスギは, 環境に対する適応性が高く, 他の樹木に比べ成長が早く, また, 材は通直で割裂性が高いため, 柱などの建築材やたらい, 桶等の生活品として古くから利用され, 日本の文化を支えてきた重要な樹木である. 万葉集(十巻1814)にも「古の人の植けむスギが枝に霞たなびく春は来ぬらし」と歌われているように, スギの植林は1000年以上も前からおこなわれていた. 商品としての材を生産するための大面積の植林も400年以上も前からおこなわれており, 江戸時代においては, 都市近郊に大面積のスギの植林地があった. そして, 江戸末期から明治年代にかけて, 産業の発展に伴いスギ材の需要が高まり, 全国でスギの植林が盛んに進められた.
著者
ヤスハラ エリF
出版者
俳文学会
雑誌
連歌俳諧研究 (ISSN:03873269)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.55, pp.33-41, 1978-07-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
34

米国に於ける俳諧文学の歴史と現状を考察するに当って, 時代と内容両方によって区別して取り上げて行きたい。先ず年代的には―これは米国の日本に関するあらゆる事についても言えるのだが―第二次世界大戦を境に, 戦前と戦後とに大きく分け, さらに戦後は1950年代と, それ以後とに分けられる。そして, 又, 俳諧文学を, 学問的研究の対象としての面と, 文芸活動としての面とに, さらに分けて考える事ができる。尤も, 文学とは, その創作と研究とを完全に切り離す事はできないものであるが, ここでは, それが妥当と思われる限り区別して考えたい。そして, 作品集や研究書などを取り上げながら, 概説的ではあるが, できるだけ具体的に述べて行きたいと思う。
著者
岩田 健太郎 北原 エリ子 高橋 哲也 長谷川 信 横田 一彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.796-801, 2020-07-15

高橋 本日は,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の患者に直接対応されている最前線の先生方にお集まりいただきました.最初に自己紹介を兼ね,それぞれの現場で何が起こっているのか,これまでの経緯をお話しください. 岩田 当院ではCOVID-19患者を受け入れて以降,受け入れ初期,緊迫期,安定期という3段階で進んできました.緊迫期は院内感染と並行して健康観察に伴う職員の離脱が増え,病院全体が不安に覆われていました.それから日々情報がアップデートされ,目の前の変わりゆく変化に常に対応していかなければいけない時期でもありました.この時期は災害と同じだったと技師長とよく話しています.その後,COVID-19の実態がある程度見えてきて,現在は安定に向かいつつあります.
著者
西園 晃 アハメド カムルディン 齊藤 信夫 山田 健太郎 鈴木 基 グエン キューアン パカマッツ カウプロッド エリザベス ミランダ
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

東南アジアにはイヌ肉を食する文化があり、感染犬とその食肉の取り扱いに伴う狂犬病感染リスクが想定されるが、実態は全く知られていない。3年間の計画で、ベトナム、フィリピンでのイヌ肉取り扱いによる非定型狂犬病曝露の可能性、リスク因子の解析を行った。その結果、これらの国では動物咬傷に依らずイヌ肉を食するまたはその肉を扱うことで、狂犬病ウイルスに感染する非定型的な感染様式が存在することが明らかになった。特にベトナムのイヌ食肉市場従事者の中には、イヌからの咬傷曝露歴や狂犬病ワクチン接種歴がないにもかかわらず狂犬病ウイルスに対する抗体を有し、微量のウイルスの曝露による不顕性感染が成立したと考えられた。