著者
金 エリ 三友 仁志
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_57-1_70, 2011 (Released:2011-10-05)
参考文献数
38

本研究は、モバイル版SNSの典型的なサービスであるモバイルツイッターの主たる利用者である大学生に焦点を当て、その利用がユーザー間の関係性と社会に与える影響の実証的分析を行うことを目的とする。対象として、モバイルインターネットが世界で最も高度に利用されている日本と韓国を選び、両国の大学生において、人間関係や社会的な影響にいかなる効果を及ぼすかを実証的に検証する。分析の結果、モバイルツイッター利用によるユーザー間のコミュニケーションの頻度数は増えたが、実質的な人間関係の変化に与える影響は限られることがわかった。また、フォロワーが多い政治家や有名人などの影響力より、良質の情報を提供するユーザーの影響力の方が大きいという結果となった。このことから、今後提供される情報の内容は、さらに詳細に細分化された専門的なものになる可能性があることが示唆される。
著者
古川 敏明 ハウザー エリック 大野 光子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.197-212, 2023-09-30 (Released:2023-10-31)
参考文献数
14

日本の保育所は共感の社会化を主要な目的とし,従来に比べ,保育士が子どもたちの間で生じた揉め事に介入するようになったと指摘されている.本稿は東京都区部にある保育所の2歳児クラスを対象として,大人と子ども間の相互行為をマルチモーダルに会話分析する.特に,遊びの最中に生じた子ども間の揉め事に養育者が介入する場面において,2人の養育者が発話と身体資源を用いて「行なっていること」にどのような核心的相違があるかを記述する.また,養育者たちの発話や身体資源をモラル性の社会化におけるどのような志向の違いとして記述できるかも探究する.養育者が子どもを自らの行為に責任を負う主体として扱う発話を行ない,かつ,視線,身体の配置,道具の使用を含むマルチモーダルな働きかけを行った介入では,子どもから望ましい応答を引き出し,モラル性の社会化が達成されている.
著者
サンシェズ エリー 山川 烈
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.3, no.11, pp.23-33, 1989-11-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
14

この解説は, 医療診断問題におけるファジィ集合論を読者に紹介することを目的とする. 患者の診断にグレードをつけるような, きわどい問題を処理する一般的な方法論を, 具体的な例を用いて説明する. ここで使用する医学的知識は, 言葉で記述された表である. 検査結果の属性と診断の間の関係は, 数値で表されるものではなく, 可能性分布とみなすことのできるファジィ集合 (もっと厳密に言えば, ファジィ・インターバル) のラベルで表現される. ここでは, 可能性測度をどのように用いるか, また検査データから診断を導くのにその可能性測度をどのように組み合わせるかについて述べる.
著者
タウンゼント エリザベス
出版者
日本作業科学研究会
雑誌
作業科学研究 (ISSN:18824234)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.12-27, 2017-12-20 (Released:2019-04-04)
参考文献数
42
被引用文献数
2

社会はあらゆるところで,社会の課題を変換し,減らすことができるように取り組んでいる. 日本,カナダなど高齢者や障害者に優しい地域で,高齢者がよりよく生きる機会を模索している国であっても,多くの国の高齢者は社会の課題と考えられている. 作業のレンズは,人生の最期における意味のある作業の探求を理解する視点など,日常生活の課題に新しい洞察を与えるものであり,多くの個人主義的な視点を持つ素晴らしい概念の贈り物である. 批判的な作業のレンズは,現実の生活の中でどのように作業的公正,作業的不公正,作業権が経験されているか (されていないのか) を決定する権力関係に対する社会の視点において,この贈り物を豊かにしている. この論文の第一の目的は,日本の高齢者の例を基に考えながら,公正や権利を見るために,作業のレンズと批判的な作業のレンズを区別することである. もう一つの目的は,特に,作業的公正や作業権を理解し,他者へ伝え,表現するための基礎となる作業的リテラシーについて研究することや日本と世界中の高齢者にとって作業的にちょうど良い世界に向かうために必要な社会の変革を研究することを通して,学際的研究におけるこの視点の有用性 (非有用性) を簡潔に検討することである.
著者
グットマン ティエリー GUTHMANN Thierry
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.30, pp.39-43, 2013

明治維新、フランス革命、いずれにおいてもかなりの血が流され、革命の前後という時期の差こそあれいずれにも恐怖政治が存在し、その後両革命はともに権威主義政治体制へと展開し、また日本もフランスも、新国民国家統一のために類似した様々な措置や政策を講じている。したがって、思われている以上に、明治維新とフランス革命の間には類似点が数多く存在している。ひるがえせば、日本人論思想において主張されているほど、「革命(維新)」という歴史的な分野の場合においても日本の独自性は認められないと思われる。Pendant la restauration de Meiji comme pendant la Révolution française une quantité nonnégligeable de sang a été versée; avant la restauration pour le Japon, aprés la Révolution pour laFrance, dans les deux cas un régime de terreur a sévi; les deux révolutions ont toutes deux aboutià la mise en place d'un régime autoritaire; enfin, la France comme le Japon ont pris un certainnombre de mesures et mis en place des politiques similaires afin d'assurer l'unité du nouvelEtat-nation. Aussi, dans une proportion plus large qu'on ne le pense généralement, existe-t-il ungrand nombre d'analogies entre la restauration de Meiji et la Révolution française. D'un autre pointde vue, et à l'opposé de ce qui est généralement affirmé dans les nihonjin-ron (ou «Discours sur lesJaponais») - dans ce domaine de l'histoire des révolutions également - il est difficile de souscrire àl'idée de l'exception japonaise.
著者
ブライシュ エリック 冨増 四季 駒村 圭吾 奈須 祐治 東川 浩二 Erik Bleich Tomimatsu Shiki Komamura Keigo Nasu Yuji Higashikawa Koji
出版者
金沢大学人間社会研究域法学系
雑誌
金沢法学 (ISSN:0451324X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.165-261, 2018-07

1. シンポジウム『ヘイト・スピーチはどこまで規制できるか』 企画・司会 東川浩二2. 基調講演「ヘイト・スピーチとは何か」 エリック・ブライシュ/ 東川浩二(訳)3.「ヘイトスピーチ事案における不正行為法・填補賠償法理の担う役割の再評価~京都・徳島事件を題材に、反差別(差別被害への共感醸成)の運動展開の文脈において」 弁護士 冨増四季4. ヘイトスピーチ規制賛成論に対するいくつかの疑問 ー憲法学的観点、政治学的観点、哲学的観点のそれぞれからー 駒村圭吾5. ヘイト・スピーチと「公の施設」 川崎市ガイドラインを素材として 奈須祐治
著者
望月 正哉 澤海 崇文 瀧澤 純 吉澤 英里 Mochizuki Masaya Yoshizawa Eri Takizawa Jun Sawaumi Takafumi ヨシザワ エリ サワウミ タカフミ モチズキ マサヤ タキザワ ジュン
出版者
大阪大学大学院 人間科学研究科 対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.17, pp.7-13, 2017-03

原著In recent years, some forms of interpersonal communication among the youth are labeled as "ijiri". The current paper investigates what characteristicsijiri is perceived to have, in comparison with similar types of behavior, teasing and bullying. We identified conceptual characteristics of each behavior in an open-ended preliminary survey. In a following study, we asked participants to rate to what degree each feature would characterize each of the three kinds of behavior while taking an observer's perspective. Results revealed that ijiri was perceived to be different from teasing and bullying based primarily on intention of the behavior: ijiri was perceived to carry more positive features such as the provider's and receiver's mutual intention to get closer to each other while less holding negative characteristics such as malicious and contemptuous attitudes toward the receiver.近年、若年者を中心とした対人コミュニケーションのなかでいじりという言葉が用いられる場面がある。本研究では、対人行動におけるいじりとはどのような特徴をもつ行動と認識されているのかについて、類似する行動と考えられるからかいやいじめとの比較を通じて検討した。初めに自由記述による予備調査を実施し、いじり、からかい、いじめがもつ概念的特徴を見出した。そのうえで、本調査では、第三者の立場から、いじり、からかい、いじめにおいて、それらの概念的特徴がどの程度あてはまるのかを評価させた。その結果、いじりは他の2つの行動に比べ、好意や互いが仲良くなりたいといった肯定的な特徴をもちつつ、悪意や受け手をバカにするといった否定的な特徴をもたないと評価されていた。このことから、いじり行動はからかいやいじめ行動と比較して、それぞれの意図性などをもとにして異なる特徴をもつと認識されていることが示された。
著者
吉村 エリ
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.147-162, 2011-03

George Eliot was a woman writer active in the Victorian period when women writers were not favorably accepted. So Eliot masked herself as a male in order to become a novelist. The Mill on the Floss is often regarded as an autobiographical novel in which readers can appreciate something of Eliot's own experience through its heroine, Maggie Tulliver. Many critics have pointed out that Maggie finally returns to "the past represented by her brother Tom because Tom symbolizes the patriarchal system. However, feminist criticism insists that Maggie takes "unconscious" revenge on Tom at the end of the narrative, through causing their accidental deaths by drowning. The purpose of this paper is to show that this novel can be read as Maggie's rebellion against Victorian society by comparing Maggie with the idealized images of Victorian womanhood. First, I examine how Maggie satisfies her thirst for knowledge which was restricted for women through her relationship with Philip Wakem. Second, I analyze Maggie's defiance toward puritanical aspirations such as innocence and the repression of sexual passion. Maggie expresses her sexual passion when she falls in love with Stephen Guest, the fiance of her cousin Lucy, and she is labeled a "fallen woman" due to her escapade with Stephen. Third, I discuss Maggie's refusal to marry even though marriage was considered the safest way for women to choose at that time. Stephen proposes to Maggie on their escapade, but she rejects him searching instead for a life of independence. In the last chapter, Maggie received the letter from Stephen who still cannot give up marrying her and again she suffers ,In the middle of her suffering, she is killed by the sudden flood. This conclusion implies that she struggles with Victorian convention to the end. The Mill on the Floss can be read as the novel which Eliot offers a challenge to the ideal images of Victorian woman through the extraordinary behaviour of the heroine,Maggie Tulliver.
著者
加藤 聖文 黒沢 文貴 松田 利彦 麻田 雅文 カタソノワ エリーナ バルターノフ ワシリー キム セルゲイ ムミノフ シェルゾッド フセヴォロドフ ウラジーミル
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究実施前から把握されていたロシア国防省中央公文書館(CAMO)が所蔵する関東軍文書のすべての画像データを入手し、目録を作成した。また、研究成果の一部として、ロシア側研究者らを招いて2017年2月24日に法政大学において国際会議「第二次世界大戦史研究(ソ連における外国人捕虜問題)」を開催し、60名以上の参加を得た。しかし、今回収集した関東軍文書は1990年代のロシア混乱期に明らかになった文書と異同があることが明らかになった。今回収集した文書の公開に加え、これらの未確認文書の調査に関しては、ロシア側と交渉を行ったが、研究期間内に解決することができず、現在も協議が継続中である。
著者
杉山 裕美 三角 宗近 岸川 正大 井関 充及 米原 修治 林 徳真吉 早田 みどり 徳岡 昭治 清水 由紀子 坂田 律 グラント エリック J 馬淵 清彦 笠置 文善 陶山 昭彦 小笹 晃太郎
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.149-149, 2009

【目的】放射線影響研究所は、原爆被爆者コホート(寿命調査集団)において、病理学的検討に基づき、1987年までに罹患した皮膚癌の放射線リスクを検討し、基底細胞癌に放射線リスクがあることを報告している。本研究では観察期間を10年延長し、皮膚癌の組織型別罹患率の放射線リスクを再検討した。<br>【方法】寿命調査集団120,321人のうち、原爆投下時に広島市、長崎市とその周辺で被爆し、放射線線量推定方式DS02で被爆放射線量が推定されている80,158人を対象とした。皮膚癌は1958年から1996年までに登録された症例について病理学的な検討を行い、第一癌を解析の対象とした。ポワソン回帰により、皮膚癌における放射線の過剰相対リスク(ERR=Excess Relative Risk)を組織型別に推定した。<br>【結果】寿命調査集団において、336例の皮膚癌が観察された。組織型別には悪性黒色腫(n=10)、基底細胞癌(n=123)、扁平上皮癌(n=114)、ボウエン病(n=64)、パジェット病(n=10)、その他(n=15)であった。線量反応に線形モデルを仮定しERRを推定したところ、基底細胞癌について統計的に有意な線量反応が観察された。前回の解析(1987年までの追跡)ではERR/Gyは1.8(90%信頼区間=0.83-3.3)であったが、今回の解析ではERR/Gyは 2.1(95%信頼区間=0.37-1.2, P<0.01)であった。さらに基底細胞癌の線量反応について赤池情報量規準(AIC)に基づき検討したところ、0.6Gy(95%信頼区間=0.34-0.89)を閾値とし、傾きが2.7(95%信頼区間=1.1-5.1)とする閾値モデルがもっともよく当てはまった(ERR at 1 Gy = 1.1、95%信頼区間=0.43-2.05)。また基底細胞癌においては被爆時年齢が1歳若くなるほどリスクが有意に10%上昇した。<br>【結論】皮膚表皮の基底細胞は放射線に対する感受性が高く、特に若年被爆者において放射線リスクが高いことが確認された。また基底細胞癌における線量反応の閾値は、1Gyよりも低く、0.6Gy であることが示唆された。
著者
山元 恵理子 ヤマモト エリコ Eriko YAMAMOTO
雑誌
東洋英和大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.67-80, 2008

Japan and Russia are in dispute over the Northern Territories (Etorofu, Kunashiri, Shikotan, and the Habomai Shoto) in the Chishima Archipelago held by Russia since 1945. Although this issue will be solved by the governments of both Japan and Russia, there has also been since 1992 a system of so-called "Interchange without Passports / Visas", or unofficial diplomacy by citizens of Japan and Russia in the Northern Territories. This system has been crowned with great success, especially after the Hokkaido Tohooki Earthquake occurred in 1994. The first group to deliver necessities of life to Russians in Shikotan was not the Russian government, but the group of Japanese former residents. Since that time, the Russian residents have changed their sentiment and now say that they may be able to live a life together there. We can say that this "Interchange without Passports / Visas" has helped to improve their mental infrastructure. This thesis is not only makes use of the academic analysis of the former research, but it is also based on original interviews of former residents, diplomats, Russian residents, and Japanese teachers. Moreover, it reflects the author's own inspection, conducted through participation in the "Interchange without Passports / Visas" in 2005 and 2006.
著者
長瀬 エリカ 遠藤 浩士 竹中 良孝 根岸 朋也 水田 宗達 佐々木 良江 浦川 宰 名塚 健史 藤縄 理
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P1583-G3P1583, 2009

【はじめに】埼玉県理学療法士会スポーツリハビリテーション推進委員会では、平成20年7月27日~8月21日に埼玉県で開催された、平成20年度全国高等学校総合体育大会埼玉県大会へのコンディショニングサポート(以下、CS)を、アーチェリー・新体操・体操・ウェイトリフティング・ボート・水球の6競技において行った.CS実施の意義と今後の活動への方向性について知見が得られたので報告をする. <BR>【目的】理学療法士(以下PT)のスポーツ現場におけるCS活動の意義の把握と今後のCS活動の方向性を検討する.<BR>【方法】対象は上記6競技のCS活動(期間中延べ37日間)に参加した埼玉県士会員101名であり、アンケート用紙調査より集計を行い検討した.アンケート回答内容の使用についてはアンケート用紙調査にて承諾を得ている.<BR>【結果】アンケートの回収は82名(男53名、女29名)であった.(回収率81%)参加者の平均PT歴は5.3年、1日施術平均人数6.37人(最少競技3.0人、最多競技11.5人).CS内容はマッサージ92.7%、ストレッチ90.2%、テーピング41.5%、相談(リハビリ・進路)29.3%、アイシング28.0%だった.選手の反応は80.5%が「良好」、障害状態の把握は73.2%のPTが「できた」とし、また、98.8%が「CS活動の中から情報が得られた」「PTが現場にいる意義がある」と答えた.73.2%が「CS内容は病院で行うスポーツリハビリとは異なる」とし、「今後のCS活動への参加希望者」は63.4%、「競技による参加希望者」は26.8%、「しない」は6.1%だった.<BR> 自由記載ではスポーツ現場では短時間内での評価と即効性のある治療が要求されること、自己の力量不足の再認識をしたなどが多かった.また、競技団体による関心度の違いや競技傷害特性は現場にいることで学べた、PTとしてのアイデンティティを出すことが今後重要であるという意見があった.<BR>【考察】埼玉県士会の多大なバックアップのもと、県士会員の声から県士会という団体での初CS活動が実現した.今回のCS活動は技能のスキルアップへの意識付けや鍛錬の場にできたと考える.また、殆どのPTが短時間内での傷害把握を可能とし、スポーツ現場の要求に対応可能だった.<BR> 確かな技能により1例の悪化例もなく、選手への適切な傷害説明・施術ができた.このPTのアイデンティティを発揮できる公益活動は、今後の職域拡大や技能向上にも必要と考える.<BR> 今後の活動について約9割以上のPTがCSを希望し、現場での活動に意義があると考えていることから、現在の高校野球や他競技でのCSや技能向上の研修会が必要と示唆された.