著者
堀田 龍也 中川 一史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.325-335, 2003-03-20
被引用文献数
10

情報通信ネットワークを利用した交流学習を継続させている教師が意図している点の特徴を知るために,テレビ会議交流学習プロジェクト参加校の教師14名と,電子掲示板交流学習プロジェクト参加校の教師13名に対してアンケート調査を行った.それぞれの参加校を交流学習継続群と非継続群に分割し,アンケート調査の結果を比較した.その結果,交流学習を継続させている教師が意図した点の特徴として,次の2点が明らかになった.1)交流学習に取り組む教師は,その利用する情報手段や継続の程度にかかわらず,学校間の交流担当者との密なやりとりを行い,他の交流方法との併用をしていた.2)交流手段として中心に据えている情報手段の違いによらず継続群の教師にのみ見られる特徴的な点として,交流にかかわる活動時間の保障,内省をうながすための授業場面の設定や掲示物の作成があげられた.
著者
中川 優里 泉井 透 伊勢川 暁 荒井 健太郎 其田 雅徳 成田 雅彦 小木 哲朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.825-833, 2012-04-01

高度情報通信社会の進展に伴い,購買情報や行動履歴などの個人に関わる情報は,日々膨大に生み出され,社会の様々な場所に分散して記録されている.これらの情報は,マーケティング等に用いられるなど,企業にとって大きな興味の対象となる一方で,情報を生み出している個人がこれらの情報を把握し,一元的に管理することは困難であり,また,企業に対して自分の思いどおりに自分の情報を利用させて対価を得るといった運用手段もない.本論文では,これらの課題を解決するために,より重要性を増してきた個人に関わる情報を日々生成する個人が,自身の情報を自分自身で利用し,そして,その情報を利用したい第三者に適切な対価と引き換えに利用させることを実現するためのフレームワークを提案する.そして,個人に関わる情報の中でも,運用になじみやすい購買情報に着目し,これらの課題に対する解決案を提示し,その実現性を検証する.
著者
吉倉 智子 村田 浩一 三宅 隆 石原 誠 中川 雄三 上條 隆志
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.225-235, 2009-12-30

ニホンウサギコウモリ(<i>Plecotus auritus sacrimontis</i>)の出産保育コロニーの構造を明らかにすることを目的とし,本州中部の4ヶ所のコロニーで最長5年間の標識再捕獲調査を行った.出産保育コロニーの構造として,齢構成,コロニーサイズとその年次変化,性比および出生コロニーへの帰還率について解析した.また,初産年齢および齢別繁殖率についても解析した.本調査地におけるニホンウサギコウモリの出産保育コロニーは,母獣と幼獣(当歳獣)による7~33個体で構成されていた.また,各コロニー間でコロニーサイズやその年次変化に違いがみられた.幼獣の性比(オス比)は,4ヶ所のコロニー全体で54.2%であり,雌雄の偏りはみられなかったが,満1歳以上の未成獣個体を含む成獣の性比は1.0%とメスに強い偏りがみられた.オスの出生コロニーへの帰還率は,全コロニーでわずか3.6%(2/56)であった.一方,メスの翌年の帰還率は,4ヶ所のコロニーでそれぞれ高い順に78.9%,63.6%,16.7%,0%であった.初産年齢は満1歳または満2歳で,すべてのコロニーを合算した帰還個体の齢別繁殖率は,満1歳で50%(12/24),満2歳で100%(13/13)であった.また,満2歳以上のメスは全て母獣であり,出産年齢に達した後は毎年出産し続けていることが確認された.<br>
著者
齊藤 美奈子 加賀谷 煕彦 森井 秀樹 中川 喜直 木村 直人 吉田 博幸 広田 公一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.31-40, 1991-02-01
被引用文献数
1

rights: 日本体力医学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110001929615/The purpose of this study was to clarify some of the characteristics of race-walking, especially the relationship between walking speed and oxygen requirement, and stride in race-walking and normal walking, and to examine whether rase-walking is effective for the maintenance and promotion of health. The subjects were five male race-walkers (race-walker group) and five male college students (control group). The results obtained were as follows : 1.Under race-walk conditions,the highest speeds attained in the race-walker and control groups were 200〜220 m/min and 160m/rnin, respectively. Under normal walking conditions, however, the values were 140 m/nlin in both groups. 2.A lower oxygen requirement was observed at slower speed during normal walking and at a higher speed(over 130 m/min) during race-walking. 3.Oxygen requirement(ml/kg/100 m) in the race-walker group was minimal at 60〜80 m/min during race-walking and at 60 m/min during normal walking.Values in the control group were minimal at 60 m/min under both walking conditions. 4.The oxygen requirement in the race-walker group was less than that of the control group under both walking conditions. 5.Under normal walking conditions,as the speed increased,both step-length and step frequency gradually increased,until step-length reached a limit of 80 cm. Thereafter, walking was maintained only by an increase in step frequency.However,in the race-walkes group,the subjects were capable of increasing their step-length further,and maintaining a higher speed(up to 220m/min). 6.It was suggested that race-walking is one of the most efficient exercises for maintaining and improving health.
著者
橋本 和幸 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1762-1772, 2011-11-01
被引用文献数
1

近年,政策やサービスなどの評判を調査するためにアンケート形式による調査が増加しているが,回収率が低落傾向にあることや,人的コストが増加するなどの問題が生じている.一方,Web上にはユーザの意見を含む評価情報が多数存在している.そこで本研究では,評判傾向予測システムの構築を目的として評判傾向の時間的変化とその原因をマイクロブログから抽出する評判傾向抽出エージェントの実現を目指す.特に本論文では,評判傾向の抽出と評判傾向が変化した原因の抽出に注力する.評価情報の感情を抽出するセンチメント分析に着目し,回帰式から評判傾向の変化点を抽出した後に,変化点におけるトピックをチャンキングにより抽出する手法を提案する.本手法は,従来の評価判定法であるp/n判定にセンチメント分析を組み合わせることで,p/n判定単体よりも人手による調査と相関の高い時系列変化を抽出できる点が特徴であり,政治及びテレビドラマに関するコンテンツを対象に実際の支持率,視聴率に対する評価実験を実施した結果,政治(自由度調整済決定係数R'^2(p/n判定単体:0.22,提案手法:0.60)),テレビドラマ(自由度調整済決定係数R'^2(p/n判定単体:0.26,提案手法:0.56))ともに相関の高い時系列変化を抽出できることが確認できた.
著者
中川 雅仁
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.141-144, 2007
被引用文献数
1

単極モーターの動作原理について,理論的な考察及び計算を行った。特に,単極モーターの反作用は磁石に働くという誤解を解き,その上に立った解釈を与えた。すなわち,磁石(と流れる電流)の磁場により単極モーターの金属板部分に回転軸まわりの力のモーメントが働き,それによって回転するが,磁石には,金属板や導線に流れる電流からの力のモーメントは働かない。導線部分には金属板部分に働く回転軸まわりの力のモーメントと,大きさは同じで向きが反対の回転軸まわりの力のモーメントが働く。
著者
中川 美帆
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.504, pp.6-19, 2010-09-24

■名称=新東京タワー建設工事 ■施工場所=東京都墨田区押上 ■発注者=東武鉄道、東武タワースカイツリー ■設計・監理者=日建設計 ■施工者=大林組 ■主な専門工事会社=巴コーポレーション、駒井鉄工、川田工業(以上、鉄骨工事) ■工期=2008年7月〜11年12月 ■工費=非公表 ■総事業費=約650億円 ■入札方式=一般競争入札8月15日の東京スカイツリー。民家…
著者
中川 美帆
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.489, pp.6-13, 2010-02-12

東京スカイツリーの本体鉄骨塔の工事が本格化している。超高層で、地震や強風に耐えて見た目も美しい構造を実現するために、溶接による接合や高強度鋼材を採用。自立した電波塔では世界一の高さとなる634mに挑んでいる。(中川 美帆=フリーライター)コンクリート製の心柱で地震と風に耐える 東京スカイツリーの高さは634m。
著者
長瀬 文昭 田中 靖郎 堂谷 忠靖 石田 学 紀伊 恒男 伊藤 真之 松岡 勝 柴崎 徳明 大橋 隆哉 国枝 秀世 田原 譲 北本 俊二 三原 建弘 田中 靖郎 CANIZARES C. RICKER G. 鶴 剛 粟木 久光 河合 誠之 吉田 篤正 SERLEMITSOS アール 林田 清 BREON S. 海老沢 研 VOLZ S.V. KELLEY R. HELFAND D. MCCAMMON D. 常深 博 牧島 一夫 満田 和久 村上 敏明 小山 勝二 山下 広順 小川原 嘉明 宮本 重徳 MUSHOTZKY R. 槇野 文命 HOLT S. 井上 一 SERLEMITSOS R. 川口 淳一郎 中川 道夫 藤本 光昭 長瀬 文昭 松尾 弘毅 上杉 邦憲 WANG B. FEIGELSON E. GRAFFAGNINO V. REYNOLDS C. 羽部 朝男 GEHRELS N. FABBIANO G. SERLEMITSOS RICKER G 山内 茂雄 池辺 靖
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

「あすか」(Astro-D)は、1993年2月に打ち上げれられ、わが国4番目のX線天文衛星となった。この衛星は0.5-10keVの広いエネルギー帯をカバーし、史上最高の感度でX線天体の撮影を行うと共に、世界で初めてX線CCDによる精密X線分光を行う高性能X線天文台である。「あすか」の性能はX線天文学を飛躍的に進めるものと国際的に注目されている、X線天体は極めて多岐に亘り、殆どあらゆる種類の天体がX線天文学の対象となっている。特に銀河系では中性子星やブラックホールのX線連星、超新星残骸等、銀河外では、銀河団、クェーサー等の活動銀河中心核、更に遠方からのX線背景放射が重要課題である。この衛星に搭載されている観測装置は日米共同で製作された。打ち上げ前には、装置の設計・製作・試験・較正・調整を、打ち上げ直後には装置の較正・調整を共同で行ってきた。さらに、定常観測に入ってからは、装置の性能の正確な把握や正しいデータ解析のツールの提供等でも共同で作業を行うとともに、その成果を最大限に挙げるために、観測計画の打ち合わせ、ソフトウエア開発、観測結果の処理、解析等の各過程で両国の研究者が協力して作業を行ってきた。これらの作業のための日米研究者の移動は、主に、本科学研究費によって行われた。これら日米協力に基づく「あすか」がもたらしたいくつかの成果を以下にまとめる。・「あすか」が打ち上がって40日もたたないうちに近傍銀河M81に発生したSN1993Jからは、ドイツのX線天文衛星ROSATとほぼ同時にX線を検出した。発生して1週間ほどの超新星からX線を検出したのは今回がはじめてである。・超新星の爆発で飛び散った物質が星間物質と衝突して光っている超新星残骸について、「あすか」のすぐれた分光特性による新しい学問的展開がひらかれている。・ガンマ線バーストと呼ばれる特異な現象の発生源をはじめて既知の天体との同定に成功し、この現象の原因の解明に大きな貢献をした。・われわれの銀河系の中心部や円盤部を満たす高温ガスからのX線の分光的研究が進み、従来の予想では理解し難い事実があきらかになりつつある。・楕円銀河、銀河群、銀河団といった宇宙の大きな構造物をとりまく高温ガスの分光学的研究が進み、これらのガス中の重元素量が一貫して少ないという、新しい考え方の導入を迫る事実があきらかになってきた。また、これらの構造物を構成する暗黒物質の分布や量についても新しい知見が得られつつある。・遠方の銀河団をつかった宇宙の大きさを決める研究も、「あすか」の広い波長範囲の分光を行える能力をつかって、着々と成果をあげつつある。・活動銀河の中心にある大質量ブラックホールのごく近傍からのものとおもわれる鉄の輝線構造をはじめて発見し、ブラックホール近傍での物質流につき貴重な情報をもたらしている。この中心核を取り巻く比較的遠方の物質や分布の物理状態についても「あすか」のすぐれた分光性能により新しい事実が次々と明らかになってきている。・宇宙X線背景放射の研究も、「あすか」の波長範囲の広さを利用して、宇宙のはて近い遠方の宇宙初期の原始天体を探る研究がはじまりつつある。以上のように、本科学研究費補助金の援助のもと、「あすか」を用いた日米の研究者による共同研究は大きな成果をあげている。
著者
柳沢 文孝 中川 望 安部 博之 矢野 勝俊
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.393-403, 1996-09-05
被引用文献数
12 1

山形県の蔵王には着氷と積雪が繰り返し集積することによって生じた樹氷が存在している.着氷はシベリアからの北西の季節風によって生成するものであり,降雪は高さ数千メートルに達する雪雲によりもたらされたものである.蔵王周辺地域の大気の化学的環境を明らかにするため,蔵王山頂付近(標高1680 m)で積雪と着氷を採取して溶存成分の分析を行った.積雪の溶存成分濃度は北西季節風が強まるにつれて増大するが,着氷の濃度より低い値である.また,着氷と電気伝導度が15 μS/cmを越える積雪試料から黒色の油脂成分が観察された.積雪の塩化物イオン濃縮係数は1.3であるのに対して着氷は0.7であった.これは,着氷の起源となる過冷却水滴が朝日連峰を越峰する際にクローリンロスを起こし,この際に飛散した塩化水素ガスが降雪の起源となる氷晶核に取り込まれたためと考えられる.積雪と着氷のnss-SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>/NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>比は等しかった.このことは,両イオンの起源が冬期を通じて同じであり,大陸の大気汚染物質起源であることを示すものである.アンモニウムイオンも大陸からもたらされていると推定される.一方,カルシウムイオンも北西の季節風に乗って飛来していると考えられるが,着氷と積雪では起源が異なると推定される.