著者
片岡 大輔 曽根 智史 谷畑 健生 谷口 栄作 牧野 由美子 中川 昭生
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.898-905, 2005

<b>目的</b> 「健康ますだ21」は2001年度を初年度として,2004年・2007年に中間評価,計画の見直しを行い,2010年を目標年次とする10か年計画である。「健康ますだ21推進協議会」の下部組織として,「栄養・食生活と歯科保健部会」「たばこと酒部会」「運動とストレス部会」の 3 つの部会がある。市域15地区では,3 つのうち 1 つの部会の活動テーマを 3 年ずつ重点的に展開している。本研究の目的は,中間評価の一環として,過去 3 年間の活動が益田市民の健康行動の向上に有用であったか否かを検証することである。<br/><b>方法</b> 対象は,益田市15地区から無作為に抽出された20歳以上の男女4,000人である。「栄養・食生活」,「歯の健康」,「たばこ」,「アルコール」,「身体活動・運動」,「休養・こころの健康づくり」の 6 分野,合計29の指標について,市民の健康づくりに対する意識・行動等を調査した。まず市全体の集計結果を,行動目標値と照合した。つぎに2000年に行われた健康行動調査時のベースライン値と,2004年の指標値を市全体で比較した。さらに2000年と2004年の指標値を,延べ 6 つの性・年齢階層別に比較した。最後に過去 3 年間に重点的に展開した活動テーマにより,15地区を 3 つの地区群にまとめ,地区群別に比較した。<br/><b>結果</b> 回収数は2,946件(回収率73.7%)であった。益田市の行動目標を達成した指標は,「男性の喫煙率」であった。2000年と2004年の指標値を比較したところ,市全体において11指標が有意に改善し,5 指標で悪化を認めた。5 つの性・年齢階層では,改善した指標数が悪化した指標数を上回った。各地区群の重点分野で合計 7 指標が改善し,これら 7 指標の全ては,市全体においても有意に改善を示した。各地区群の重点分野で悪化した指標はなかった。<br/><b>結論</b> 15地区が部会の活動テーマを推進することにより,各地区で弱点分野を補強しながら,市全体の健康行動の向上に寄与している可能性が高いことが示唆された。今後これらの活動がさらに多くの市民に認知され,各年齢階層および各地区で生活習慣の改善に結びつくことが期待される。
著者
砂原 正和 中川 ふみよ 﨑元 康治 市木 育敏 岩本 周士 佐々木 謙 有田 親史
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cf1506-Cf1506, 2012

【はじめに】 近年、新しいアキレス腱縫合術の報告が散見され、理学療法介入の加速化によりスポーツ復帰までの期間短縮が図られている。しかし、アキレス腱縫合術後では半永続的な筋力低下や運動能力低下が生じることは周知のとおりであり、術後のアキレス腱過伸張(以下、elongation)はこれらの機能不全と関連すると言われている。今回、早期スポーツ復帰が可能であったが、elongationを呈した症例を経験した。術後経過について考察を加えて報告する。【症例紹介】 〈症例〉20歳代、女性。〈競技スポーツ〉バレーボール。〈診断名〉左アキレス腱断裂。〈現病歴〉バレーボールの試合中、後方へ踏み込んだ後に前方移動しようとした際、膝伸展・足背屈強制され受傷。翌日、当院受診され左アキレス腱断裂と診断。受傷3日後、当院にてアキレス腱縫合術施行。〈術式〉主縫合:side locking loop法、補助縫合:cross stitch法。〈術後プロトコル〉術後翌日:自動および他動ROMex開始。足関節背屈0°以上獲得時:部分荷重開始。術後4週:全荷重開始。術後6週:両脚heel raise、下腿三頭筋ストレッチ許可。術後12週以降:徐々にスポーツ復帰。〈評価項目〉足関節背屈ROM、足関節自然下垂角度(腹臥位)、heel raiseの可否、パフォーマンステスト(片脚ジャンプ、立ち幅跳び)、MRI画像判定。【説明と同意】 対象症例に対する倫理的配慮として、発表内容および目的等について十分に説明し文書により承認を得た。【経過】 プログラム立案は介入当初からelongation予防に重きをおき、術創部周囲の皮膚やアキレス腱の滑走性を維持するためのモビライゼーション、膝屈曲位で自動運動でのROMex、歩行時にアキレス腱に伸張が加わることを抑えるために足部外転・股関節外転位接地での歩行指導などの治療介入を行った。足関節背屈ROMは、術後2週に背屈0°獲得し術後3週から片松葉杖による部分荷重を開始。術後4週にはアキレス腱部痛は消失し全荷重を開始した。術後5週で足関節背屈ROM 20°まで順調な回復を認め健患差は消失、足関節自然下垂角度 においても健側、患側ともに35°と健患差は認められなかった。しかし、術後6週以降に足関節自然下垂角度は患側25°まで減少が認められ、術後11週以降には患側足関節背屈ROM 25°と過背屈を呈した。そこで、足底からアキレス腱上を経て腓腹部までのテーピングを施行しアキレス腱の伸張負荷の軽減を図ったところ、それ以降はこれらの進行は認められなかった。筋力回復の指標となるheel raiseは、術後11週で両脚heel raiseの健患差消失し、術後14週で踵挙上距離は健側にやや劣るが、片脚heel raise 20回連続挙上が可能となり足関節底屈MMT5レベルと判定した。術後16週のMRI画像判定にてアキレス腱部の高信号はほぼ消失し、足関節底屈筋力MMT5、パフォーマンステストは各項目で健患差85%以上であったため、スポーツ復帰を許可した。【考察】 elongationは運動能力と関連があると報告されており、本症例のようにスポーツ復帰を目標とする症例にとっては見逃せない所見である。本症例は早期スポーツ復帰が可能となったが、術後経過の中でelongationを呈した。本症例のelongationが生じた時期はトレーニング強度や日常生活などの活動性が増してきている時期に一致している。テーピングによる制動を行った後にはelongationの拡大は認められなかったことから、elongationを予防するという観点からは制動的な処置も考慮する必要があると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 アキレス腱断裂縫合術後のelongation予防という観点からは制動的な処置も必要となり得ることが示唆された。今回の症例報告が治療介入の一助となることを期待している。
著者
石〓 友子 片岡 明 増山 繁 山本 和英 中川 聖一
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.119-142, 2000-10-10
被引用文献数
2

字幕生成のためのニュース文要約のような報知的要約では, 原文の情報を落とさないことが望まれる. 本論文では, このような原文の情報を極力落とさない要約手法の一っとして, 重複部削除による要約手法について議論する. テキスト内に, 同一の事象を表す部分が再度出現したならば, その部分を削除することによって冗長度を減少させ, 情報欠落を可能な限り回避した要約を行う. 事象の重複を認定するために, 係り受け関係のある2語が一つの事象を表していると仮定し, 2語の係り受け関係の重複を事象の重複と認定する. また, 2語の係り受け関係を用いて重複部を削除するだけでは, 読みやすく, かつ, 自然な要約文を生成することができない. そのために考慮すべきいくつかの情報について議論する. 以上の方法のうち, 実装可能な部分を計算機上に実装し, 評価実験を行った. 人間による削除箇所と本手法による削除箇所とを比較したところ, 再現率81.0%, 適合率85.1%の結果を得た.
著者
白沢 ナベ 中川 裕 NAKAGAWA Hiroshi
出版者
千葉大学ユーラシア言語文化論講座
雑誌
千葉大学ユーラシア言語文化論集 (ISSN:21857148)
巻号頁・発行日
no.10, pp.291-313, 2008-03

採録・訳・註 中川裕This text was recited by Nabe Shirasawa (1905・93)on Aug 29, 1988, who was born in Chitose. The Ainu heroic epics are usually known as verses sung on melodies. In Chitose (and several other areas), however, women can't sing them but must recite them in prose. Whether there are differences in stories between the epics in verse and in prose has never studied but this text would be one of the examples which suggests the existence of some differences.
著者
中川 敏子
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.81-89,110, 2004-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
21

これまでの日本におけるスポーツとジェンダーに関する研究の多くは、ステレオタイプに基づいた女性選手像とそれを報道するマスメディア批判に終始している。女性たちは、歴史的にスポーツの発展に貢献していることが明らかにもかかわらず、表象においては、保守的な男女の性役割に基づいた言説におしとどめられてきた。フィギュアスケートは、かつて男性のスポーツとされていたが、女子選手が進出し、今日では女性のためのスポーツとさえ言われている。こうしたなかで、女子選手がどのように表象されてきたのかを分析することは重要と思われる。本論文では、1920年代から1930年代に活躍し「銀盤の女王」と呼ばれたソニヤ・ヘニーを取り上げる。彼女の氷上での功績および映画での役柄、実人生を見ながら、女子フィギュアスケーターがどのように表象され、どのように位置づけられてきたのかを歴史的コンテクストに着目して考察する。まず、1900年以降においては、フィギュアスケートの発展に貢献した4人の女性たちに着目し、彼女たちの功績があってヘニーの活躍が可能になったことに言及する。つぎに、1930年代にヘニーが出演した映画作品6本からヒロインの表象のされ方を明らかにする。それによって、「銀盤の女王」のステレオタイプがどのように形成されたのかを分析する。そして、どのように新しい理想の女性像が出現し、その一つであったはずの「銀盤の女王」が保守的で伝統的な男性中心の思想により歪曲されてしまったのかを論じる。
著者
吉野 茂 中川 宏 島津 哲治 竹下 真大 迎 和男 大川 裕行
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0405-G0405, 2004

【はじめに】我々理学療法士(以下PT)は、患者を治療し診療報酬を得ている。しかし、PTの診療報酬、あるいは収益についてコストを考慮して言及した報告は少ない。そこで今回、PTに関わるコストを概算し、当院PTの現状と課題について検討したので以下に報告する。<BR>【コスト発生要因】患者を治療するに当たり発生するコストは固定費と変動費に分けられる。まず、固定費として、運動療法室、スタッフルームなど建物自体の減価償却費、その中にある備品の減価償却費がある。これらは、投資額を耐用年数で割れば概算は可能である。次に、変動費として、光熱費、人件費などが上げられる。以下に詳細を記載する。<BR>【変動費の詳細】当院入院患者を治療する際の流れに沿って考えると、まず医者が処方箋を記載する。それを看護師(以下Ns)または診療助手がリハビリテーション科(以下リハ科)まで持参する。リハ科受付が受理し、時間などを病棟に連絡しリハ開始となる。リハ開始となると、Nsや診療助手により患者が搬送され理学療法を施行する。理学療法終了後、リハ科受付が病棟に連絡し、Nsまたは診療助手が病棟へと搬送する。理学療法の内容により点数を決め、リハ科受付がパソコンに入力する。月末に医事課で取りまとめ請求業務を行う。ここまで、医者、Ns、診療助手、事務職員の人件費が掛かっている。更には光熱費、カルテ管理に関するコストも掛かっている。これらを概算すると170万円/月となる。<BR>【収益】PT5名、施設基準 IIの当院理学療法部門では概ね240万円/月のコストが発生している。このコストには、PTの人件費、学会出張費、会議費、研究費などは勘案されていない。当院の現在の収益は約350万円/月である。ここからコストを差し引くとPT一人あたりの純益は22万円であり、すべてを人件費と考えても、我々の給与は22万円が限度となる。平成14年の診療報酬改定前は総収入が550万円/月でありPT一人あたりの純益は62万円であった。現行の診療報酬体系に変わり、我々は自分の人件費も得られないような状況となっている。もちろん、収益を第一に患者を選択的に治療すれば、増収は可能であろうが、リハを必要とする多くの患者を見放すことはできない。このままでは理学療法部門は赤字部門となり、整理統合する病院が出てくることが予測される。我々PTは最低限コスト意識を持ち収益向上に努めることはもちろんであるが、患者に必要な理学療法を提供できない現状を早期に調べ、現状の体系見直しを訴えていくことが必要である。<BR>【まとめ】理学療法に関わるコストを明らかにすることで次のような結論を得た。(1)我々が治療する際にはコストが掛かる。(2)理学療法士はコスト意識をもつ必要がある。(3)現状の診療報酬ではPTの人件費を得ることさえ難しい。(4)収益向上を追及すれば、患者に必要なリハを提供できなくなる。
著者
大河内 裕之 中川 雅弘
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.8-14, 2012 (Released:2012-03-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1

噴火湾周辺では,1988~2004 年に本州沿岸で標識放流されたニシンが春季~秋季に再捕された。この海域で漁獲されたニシンは,1991 年以前には春季~秋季の索餌群が中心であったが,1999 年以降には主体が冬季の産卵群に変化し,主漁場も湾口部周辺から苫小牧以東へ移った。1991 年以前に漁獲された索餌群は,その漁期と漁場が標識魚の再捕結果と一致することから本州系群が主体と考えられた。1992 年以降は本州系群が減少し,1999 年以降は噴火湾周辺海域に固有の地域系群が主に苫小牧以東で増加したと考えられた。
著者
日野 浩平 宇津呂 武仁 中川 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.73, pp.57-63, 2004-07-15
被引用文献数
1

近年,ウェブ上の日本国内の新聞社などのサイトにおいては,日本語だけでなく英語で書かれた報道記事も掲載しており,これらの英語記事においては,同一時期の日本語記事とほぼ同じ内容の報道が含まれている.本研究では,これらの報道記事のページから,日本語で書かれた文書および英語で書かれた文書を収集し,多種多様な分野について,分野固有の固有名詞(固有表現)や事象・言い回しなどの翻訳知識を自動または半自動で獲得するというアプローチをとる.翻訳知識獲得においては,まず,報道内容がほぼ同一もしくは密接に関連した日本語記事および英語記事を検索する.そして,関連記事組における訳語候補の共起に基づく相関尺度を用いて,二言語間の訳語対応を推定する.本稿では,この尺度を用い,英語タームの出現頻度の分布に応じて,訳語対応推定性能が変化するかどうかを調査し,その相関を評価する.そして,英語タームの頻度が大きいほど,高い訳語対応推定性能が達成できることを示す.This paper focuses on bilingual news articles on WWW news sites as a source for translation knowledge acquisition. We take an approach of acquiring translation knowledge of domain specific named entities, event expressions, and collocational expressions from the collection of bilingual news articles on WWW news sites. In this framework, pairs of Japanese and English news articles which report identical contents or at least closely related contents are retrieved. Then, a statistical measure is employed for the task of estimating bilingual term correspondences based on co-occurrence of Japanese and English terms across relevant Japanese and English news articles. This paper then examines the correlation of term frequencies and correctness of term correspondences estimation. We experimentally show that the more frequent the target English terms be, the more reliably bilingual term correspondences can be estimated.
著者
来代 誠仁 齋藤 恵 蜂谷 大翼 中川 正樹 馬場 基 渡邊 晃宏
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.215-220, 2004-12-09

本論文では,手書き文字認識技術,及び画像処理技術を用いて,平城京跡から出土する木簡の解読を支援するシステムの基本設計と試作について述べる.木簡に記された文字を解読するためには,木簡の汚れ,破損,経年変化などを考慮しながら,文字を表す墨の部分を抽出し,記された文字を推定する必要がある.我々は,判別分析法を応用して,木目を含む背景から墨の部分だけを分離,抽出するための手法を実現した.また,墨の部分が欠損している場合に,ユーザが簡単な操作で情報を補足できる文字認識の手法を開発した.さらに,これらの機能をユーザと対話的に結び付けることで,木簡の解読を支援するユーザインタフェースを作成した.これらに加えて,本論文ではネットワークを用いたシステムの拡張について述べる.
著者
波床 正敏 中川 大
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-82, 2007

本研究では、スイスRail2000 政策のような駅間所要時間や発車時刻を調整することで利便性を向上させる方針の場合、費用制約下でどの路線をどれだけ改良すれば、全体の利便性を効率よく改善できるかを具体的に計算するシステムを開発した。このシステムはナップサック問題を取り扱うのでGAを用いたが、乗継ぎの良否という局所解の多い問題を扱いながら、期待所要時間という計算量の多い指標を高速演算するために各種の工夫をした。例として分析した九州の鉄道網では、比較的小規模な投資で乗継ぎを含めた総合的な利便性に関して比較的大きな効果を引き出せる可能性があり、今後の幹線鉄道整備の基本策になりうることががわかった。
著者
中川 裕太 河野 恭之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.113, no.51, pp.39-44, 2013-05-10

通常の自撮り写真ではカメラのレンズと撮影者自身との距離が最長でも腕の長さに制限されるため背景を広く写しこむことが難しい.自撮り写真の背景を広く映し込むことは写真の情報量を多くするだけではなく,1枚の写真で撮影者自身の様子と周囲の状況を見栄え良く伝えられるため,SNSへの投稿など体験の記録や共有に効果的である.本研究では自撮り動画像から人物領域を抽出し,背景のみを繋ぎ合わせた背景パノラマ画像と人物のみの画像を生成して重ね合わせることで従来では撮影しづらかった背景が広く写った自撮り写真を生成する手法を提案する.自撮り動画像はカメラを持った腕を前方に伸ばして撮影者が写り込むようにし,カメラは撮影者自身に向けたまま身体が中心軸になるように腰を回転させて撮影するものとする.この撮影方法で得られた動画像中の背景領域は横軸方向へ変動するのに対し人物領域はほぼ変動しない.この変動の差異を動画像中の特徴点移動量と分割ブロックごとの輝度の時間軸変動から検出して人物領域を推定し,残りの背景領域を背景の移動量に合わせて重ね合わせた背景パノラマ画像に貼り合わせることで自撮りパノラマ写真を生成する.
著者
中川 致之 田村 真八郎 石間 紀男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.475-480, 1972
被引用文献数
2

味の異なる20種の緑茶の浸出液について,苦味,渋味,うま味,甘味など味要素別の強さと総合的な味の強さを官能検査により測定し,構成味要素の強度のパターン(呈味構造)とし好度との関係を究明した。<BR>(1) 苦味,渋味,総合的な味の強さが強過ぎても弱過ぎてもし好度が低下し,中程度の近辺でし好度の高いものが多かった。<BR>(2) うま味,甘味は緑茶としてのイメージが損なわれない範囲内では強いほどし好度が高かった。しかし,味要素としてのうま味がある程度以上になると異質感が生じ,その増加に伴ってし好度が低下した。<BR>(3) 苦味,渋味が強くなるとうま味,甘味が弱く感じられること,また,うま味,甘味が強くなると苦味,渋味が弱く感じられることが認められた。
著者
中川 岳 川田 裕貴 追川 修一
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-136, no.15, pp.1-6, 2016-02-22

プログラムの実行単位であるプロセスは,CPU 時間,メインメモリといった種々のリソースを消費する.その中でも,利用可能なメインメモリ量はシステムの安定性に与える影響が大きい.そのため,ユーザは大量にメインメモリを使用するプロセスを把握し,必要に応じてリソース制限を行うなどして,利用可能なメインメモリを一定以上に保つことが望ましい.しかしながら,プロセスはときにユーザの意図しない,大量かつ急速なメモリ消費を行う.既存のオペレーティングシステム (OS) のリソース管理機構では,このような大量のメモリ消費によるシステムの不安定化を未然に防ぐことは難しい.システムでメモリリソースの枯渇が起こった場合に,動作中のプロセスを停止することによって,利用可能なメモリ量を確保するメモリ管理戦略も存在する.しかしながら,この戦略には,不安定化の原因ではないプロセスを誤って停止する問題もある.そこで本発表では,プロセスのメモリ消費のふるまいに基づいた,プロセスのリソース管理を提案する.この提案手法では,プロセスのメインメモリ消費の速度に着目し,問題のあるメモリ消費の予兆を検出する.問題のあるメモリ利用を行ったプロセスについては,スケジューリングから一時除外し,それ以上のシステムの不安定化を防止する.この手法を用いれば,これまで対処が難しかった,ユーザが意図しない,大量かつ急速なメモリ消費を検出することができる.また,その問題のあるメモリ消費に伴うシステムの不安定化を未然に防止することができる.本発表では,その提案手法の設計について議論する.
著者
中川 恵正
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.38-47, 1980-03-30

本研究は3コの実験からなっている。実験Iでは,併行弁別訓練事態において過剰訓練によって手掛り結合が形成されるか否かが,実験IIでは,手掛り結合に基づいて2コの弁別課題遂行間に相互作用が生じるか否かが,実験IIIでは,3コの弁別課題が併行して訓練される事態においても過剰訓練によって手掛り結合が形成され,そして相互作用が生起するか否かが検討された。 実験Iでは,32名の幼児は2コの弁別課題を用いた併行弁別訓練を受け,そして過剰訓練(24試行または0試行)を受けた後,テストを受けた。テスト条件: 群Iは2コの弁別刺激対の負刺激が互に入れ替る条件であり,群IIIは2コの弁別刺激対とともに原学習時の正刺激が残存し,負刺激がともに新しい刺激に替る条件であり,群IVは2コの弁別刺激対ともに原学習時の負刺激が残存し,正刺激がともに新しい刺激に替る条件であり,群IIは群Iと同じ条件だが,過剰訓練を受けない条件である。主要な結果は次の通りである。1,群I,IIIおよびIVの弁別遂行間に差がみられなかった。しかもこれら3群のテストでの弁別遂行は過剰訓練期間中の弁別遂行に比べてそこなうことがなかった。 2,群IIは他の3群に比べて弁別遂行が劣っていた。 実験IIでは,64名の幼児は2コの弁別課題を用いた併行弁別訓練を受け,過剰訓練(20試行または10試行と0試行)を受けた後,逆転学習の訓練を受けた。逆転学習条件: 全体逆転群は2コの弁別課題ともに同時に逆転された。部分逆転群は1コの弁別課題のみが逆転され,もう1コの弁別課題は逆転されなかった。分離逆転群は1コの弁別課題のみが逆転され,もう1コの弁別課題は除去された。統制群は原学習,逆転学習ともに1コの弁別課題の訓練を受けた。主要な結果は次の通りである。1,過剰訓練を受けたとき,全体逆転群は他の3群より早く,また分離逆転群と統制群は部分逆転群に比べて早く逆転学習を完成した。2,全体逆転群の逆転学習は過剰訓練によって促進され,分離逆転群および統制群の逆転学習も促進される傾向がみられたが,部分逆転群の逆転学習は遅延された。 実験IIIでは,60名の幼児は3コの弁別課題を用いて併行訓練を受け,過剰訓練(30試行と0試行)を受けた後,逆転学習の訓練を受けた。逆転学習条件:全体逆転群は3コの弁別課題ともに逆転された。部分逆転-I群は1コの弁別課題のみ逆転され,残りの2コの弁別課題は逆転されなかった。部分逆転-II群は2コの弁別課題がともに逆転され,もう1コの弁別課題は逆転されなかった。主要な結果は次の通りである。1,標準訓練条件下と過剰訓練条件下とにおいて,全体逆転群の学習の速度と部分逆転群(IおよびII群ともに)のそれとが逆関係になった。2,部分逆転群(IおよびII群ともに)の逆転されない弁別課題における誤反応は過剰訓練によって増大した。