著者
伊達 学 佐藤 功 中野 秀治 中川 準平 伊達 和
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.445-452, 1995-08-20

症例は57歳男性,右胸背部痛を主訴に近医受診し,1992年8月11日当科紹介された.胸部X線にて大量の右胸水を認め胸腔ドレナージ施行.胸水中のCEA,ADA,ヒアルロン酸値は正常で,頻回に施行された細胞診も陰性であった.その後胸水の増大傾向なく経過観察していたが,右胸膜のび慢性肥厚増強を認めたためCTガイド下胸膜生検施行.免疫染色を含めた組織学的検索により低分化型腺癌疑いと診断された.また,同時期より有顎下に腫瘤を認め,細胞診にて胸膜生検と同様の細胞が採取された.以上より原発部位は不明であるが,胸膜播種および頸部リンパ節転移を伴う肺癌が疑われた.しかし,臨床的にび慢性胸膜中皮腫も否定できず,疼痛の解除および確定診断を得るために胸膜肺全摘術,顎下腫瘤摘出術を施行した.術後病理診断にて,顎下腺腺様嚢胞癌および胸膜転移と診断された.
著者
河合 克哉 山口 喜久 中川 隆志 小中 裕喜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.61, pp.1-7, 2007-06-15
被引用文献数
2

カーナビは自車の現在位置を表示し,設定された目的地へユーザを誘導する。そのためには,走行中の自車位置を正確に推定し続ける必要がある。しかしながら,既存の手法では特定の状況で推定位置の誤差が大きくなる。そこで筆者らは,カーナビに接続したカメラの画像を用いて自車位置を補正する方式を開発している。この方式は,自車が通過する交差点をカメラ画像によって認識し,その交差点の地図上での位置を特定して自車位置を補正するものである。また認識した交差点と地図上の位置を対応付ける際に,その対応付けの確度を考慮して誤対応を回避し,推定誤差の拡大を防ぐ。本稿ではこの補正方式について,全体の概要と誤対応回避の詳細を述べる。さらに,評価実験の結果を通じて,この方式の実用性を示す。Car navigation systems need accurate position estimationfunction to indicate position-dependent information and to guide user to his or her destination. We are developing a position correction method that utilizes car-mounted camera.Our method extracts an intersection from camera images to specify its position in the map. This paper describes two filters that avoid matching error taking matching probability into consideration. We simulated our method to confirm that these filters make our method practical.
著者
成尾 太希 Sertthin Chinnapat 春山 真一郎 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.131, pp.157-162, 2009-07-09
被引用文献数
1

高齢化社会に向けて,自律支援用ロボットや自動走行する屋内用小型車が発達し,その適切な行動のために屋内における位置測定システムが必要とされている.従来の屋内測位システムとして,慣性センサを用いてGPSを補完する慣性航法や,無線LAN,RFIDを利用したローカル測位等があるが,精度,応答速度,設置性等の問題がある.そこで,従来の測位システムの代替技術として可視光通信による屋内測位システムが検討されている.可視光通信を用いた測位システムは,地下街やビルの中,地下鉄のホームなどのGPSの電波が届かない場所,更には人体や精密機器に影響を及ぼす可能性があるとして無線技術の使用を禁じられている病院などの区域でも利用できる等の利点がある.よって,本論文では、可視光通信を用いて、複数のLED光源の光電力差を加速度センサ等の慣性センサを加えず,受信機単体で位置を測定するシステムとアウテージ確率を低くするUniform Resizing方式について提案し,計算機シミュレーションによりその特性評価と有効性を示す.
著者
中川 靖枝 岡松 洋 藤井 康弘
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.95-101, 1990
被引用文献数
8 17

ポリデキストロースR (PD) は人の消化酵素により加水分解を受けることの少ない水溶性多糖の一種である。PDの生理作用を調べる目的で青年期女性ボランティア22名にPDを5~10g摂取させ, 排便回数ならびに便通感に及ぼす影響を検討した。試験はラテン方格による交差試験法に準じて実施した。被験者のPD摂取を容易にするためPDは飲料の形態とし, PDをそれぞれ0, 5, 7, 10g/100ml含む飲料を調製した。被験者は同一種類の飲料を毎日1本ずつ5日間連続摂取し, それを4種類の飲料について繰返し行った。試験期間を通し, PD摂取量を除く食物繊維摂取量は8.0gから8.8gまでの値であり, 各試験期間の摂取量に差は認められなかった。PD摂取量の増加に伴い便が柔らかくなり, PD 7gあるいは10g摂取期間時の便の硬度はPD無摂取時に比べ危険率5%で有意に高値を示した。便の硬度はPD摂取量と有意に負の相関 (r=-0.387) を示した。しかし, 便の硬度以外の便通感と排便回数には影響を与えなかった。以上の結果ならびに考察はPDが排便に対する食物繊維様の作用を有していることを示唆した。
著者
長野 翔一 高橋 寛幸 中川 哲也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.90, pp.65-70, 2008-09-17
被引用文献数
6

情報爆発時代において,情報の個人化を実現するプロファイル技術が注目されている.しかし,現在のプロファイル技術は獲得した閲覧履歴全体からユーザの全閲覧行動における要求の傾向を推測するため,要求の変化を検出するのは困難である.本稿が扱う 「要求」 とは行動への動機の事を指し,10 分程度で変化する性質を持つ.ユーザは要求に基づいてウェブページの閲覧を行う.我々は,ユーザの要求変化は各閲覧履歴の意味的類似度を利用することで検出可能であると考え,閲覧履歴の分類方式を提案する.既存の分類方式では,同じ要求内でも時系列に従い少しずつカテゴリが変化する,複数の異なる要求が並存する,といった閲覧行動の性質のため精度を下げることとなる.そこで,提案方式はこれらの性質を考慮し,クラスタ重心付近に十分な閲覧履歴数が確保できないことを前提とした,局所解重視の分類方式の構築に取り組む.また,既存の分類方式と比較実験を行い,提案方式が既存方式に比べ有効であることを確認した.We propose a clustering method for detecting the change of intention from user's browsing behavior. It is necessary to treat the user's intention accurately in information explosion age. However, treating dynamic intention is difficult for a conventional method, as behavior targeting model. Because the category change little by little in the same intention, and any other intentions exist at same time. For detecting user's intention change in browsing-behavior, we analyze each of browsing-history based on the similarities, and clustering based on local part similarities, in case web history have not a normal distribution. In addition, we evalute on result of an experiment to effectiveness for conventional clustering method.
著者
東中川 亮 川端 豪
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.124, pp.1-6, 2009-07-06

本報告では確率的ライフゲームについて述べる.Conwayの決定論的ライフゲームは,初期様相依存性が著しく,安定状態における生存密度の制御が難しい.そこでセル・オートマトンの複雑な挙動を緩和するために生存規則に確率を導入することを試みた.ゆらぎを与えるために決定論的な生存規則を確率的に緩和するパラメータとして緩和値αを導入した.この緩和の効果によって,初期様相のバリエーションに由来する最終生存密度のばらつき(標準偏差)を抑えることができた.このαの値は確率的ライフゲームの安定状態における生存密度の制御のために有用である.
著者
茂木 巌 中川 康昭
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, 1990-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小沼 元輝 朱碧 蘭 山田 奨治 柴山 守 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.606, pp.91-96, 2007-03-09
被引用文献数
2

本稿では,電子くずし字辞典に用いるロバストな文字認識の開発について述べる.古文書の翻刻作業を特定の専門家以外でも可能にし,その効率を高めるために,古文書で標準的に用いられるくずし字の辞典を電子化し,翻刻の利便性を向上させることが有効である.我々は,67,739種のくずし字に対する認識システムを開発した.くずし字までいかない通常の字体に対しても現有の認識システムを利用できるようにした.採用手法は,現在の文字パターンに対して一定の認識率を保証しているので,実用に耐えることを期待しているが,現実課題のサンプルパターンが少ないために,定量的な評価は今後の課題とする.
著者
今田 治宏 江口 千奈美 中川 武 後藤 春彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.602, pp.97-103, 2006
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

This study shows the life style and the spatial usage in the rural villages at the Angkor area from a field survey. It aims to present the vision for the village's future, by considering the influence that occurs to the villagers from tourism and the labors such as the conservation projects at the Angkor monumental area as a basis. Angkor Krau village, which is nearby the Angkor monuments has been chosen as a case study district. As a result, the following matters were clarified. Firstly, the actual life style and the economic condition. Secondly, the housing styles and its characteristics. Thirdly, the actual usage of the space in and around the housings. From this study, it can be said that, it is important to maintain the traditional usage method of the housings by creating an annex as an example, and the community development should be considered by viewing on the relationship among the Angkor monuments.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
林 康啓 今井 淳次郎 吉塚 守 鈴木 雅行 重田 佳幸 中川 浩二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.756, pp.61-74, 2004-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

火山噴火による地殻変動や地震などの自然災害が原因でトンネルに変状が発生する場合がある. このような変状が発生した場合には, 既往の基準を参考として各々のトンネルにおいて対応されてきており, 復旧対策工選定のための判断基準の整理が望まれている. 本研究では, 自然災害における復旧対策工選定基準の策定に寄与することを目的として, 有珠山噴火により被害を受けた洞爺トンネルの変状事例を整理・分析した. また, 既往の基準と洞爺トンネルにおける復旧対策工選定基準を比較することで自然災害における復旧対策工選定基準の特徴を整理した.
著者
中川 紗智
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.26, 2022 (Released:2022-10-05)

Ⅰ.研究の背景と目的 地理学において動物と人の関係を考える研究の蓄積が見られる.しかしながら多くの場合,対象とされる動物は野生動物であり,最終的な目標とみなされるのは,共生あるいは動物の数の増加である.これに対して保護犬・保護猫活動は半野生化した動物を捕獲し,ペットとして新たな飼い主の元へ譲渡することが目標となる点で,他の動物保護とは大きく異なる. 現在我が国では多くの人々が家庭で犬や猫などの動物を飼育しており,こうした動物は我々の社会に深い関わりを持つようになっている.一方で,飼育放棄や殺処分の問題などが継続的な課題として議論されている.これらのことから,保護犬・保護猫に注目した,動物と人の関係性についての新たな研究の枠組みの構築が急がれる.特に猫については,野良猫が多く繁殖しており,それによって地域でトラブルが起きたりと,多くの課題が山積している. そこで本研究では,近年増加している譲渡型猫カフェが保護猫活動に果たす役割について,地域との関わりを軸に検討する.対象地域として,特に譲渡型猫カフェの集積が見られる神奈川県横浜市をとりあげる.研究の手法としては,横浜市の譲渡型猫カフェ及び実際に猫の譲渡を受けた里親への聞き取り調査をおこなった.Ⅱ.分析の結果1)横浜市の譲渡型猫カフェの特徴 横浜市に譲渡型猫カフェは11軒あり,経営者1名従業員なしの個人事業主から系列店を持つ株式会社まで幅広い形態がみられた.保護と譲渡の空間的範囲について分析すると,横浜市内での保護が多い店舗と,全国からの保護が多い店舗に分かれることがわかった.譲渡先はいずれも横浜市内が多かった.また開業以来の譲渡数は店舗ごとに大きく異なっていた.本研究では地域との関わりを考察するため,横浜市内での保護の割合が高い2店舗を詳細に検討し,特に譲渡数が多い店舗Aと少ない店舗Bを比較した.2)譲渡型猫カフェの果たす役割 主体間関係を検討すると,事例店舗Aでは横浜市内在住の不特定多数の個人からの保護依頼に応じて野良猫の保護をし,避妊去勢手術を含む医療を施しつつ,猫の展示を行っていた.猫の習性に合わせた行動展示が行われ,それを見たり触れ合ったりした客の中から里親希望者が現れ,マッチングがなされる.人馴れは譲渡後に徐々に進んでいくことが多い. 事例店舗Bでは,横浜市内在住の個人保護活動家1名及び動物病院との連携により保護が行われている.個人保護活動家はT N R活動もしているため,店舗Bに来る猫はすでに避妊去勢手術が完了し,地域で餌やりなどがなされている猫が多くなっている.特に人馴れしていない猫を選んで受け入れており,店舗では日々,人馴れトレーニングがなされている.人馴れがほぼ完了した猫から譲渡されていく. 「人馴れ」は動物と人の関係性を考える上で重要である.半野生動物である野良猫が人馴れを経てペットになっていくと考えられるためである.両店舗の大きな相違点として,人馴れを里親に委ねるのか店舗で完了するのかという点が挙げられる.また両店舗に共通するのは,避妊去勢手術の実施や譲渡後の完全室内飼育の誓約により,譲渡した猫がペットから再び半野生化することを防いでいる点である.これにより地域の野良猫の減少が目指される.Ⅲ.考察 保護猫の譲渡を受けた里親のなかには,当初は保護猫への関心がほとんどなく譲渡も考えずに来店していた者も少なくない.譲渡型猫カフェは,同じ横浜市内という地域に存在しながらお互い認知することのなかった野良猫と人が出会い,触れ合うことで結びついていく空間であることが指摘できる.
著者
大垣 亮 金 賢宰 小倉 彩音 中川 雄太 嶋崎 達也 竹村 雅裕
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2303, (Released:2023-09-30)

目的:本邦のラグビー競技では2022年8月に脳振盪後の段階的競技復帰(Graduated Return to Play,以下GRTP)プロトコルが改訂された。本研究は男子大学生ラグビー選手を対象に外傷・障害の発生状況を調査し,脳振盪受傷後のGRTPプロトコル改訂前後での脳振盪を含む外傷・障害の発生状況を比較することを目的とした。 方法:1チームに所属する男性の大学生ラグビー選手101名を対象に,GRTPプロトコル改訂前(2021年9月から12月)とGRTPプロトコル改訂後(2022年9月から12月)を調査期間として,脳振盪を含む全ての外傷・障害の発生件数,脳振盪受傷後から競技復帰に要した日数,脳振盪の再発件数を記録した。ラグビーの試合および練習での曝露時間を計算し,1000時間当たりの発生率(件/1000 player-hours: 以下,件/1000 h),95%信頼区間(95% CI: confidence interval),Rate Ratioを計算した。 結果:調査期間において146件の外傷・障害が発生した。全外傷・障害の発生率はGRTP改訂前(8.9件/1000 h; 95% CI, 6.9 – 10.9)と比べて,GRTP改訂後(6.2件/1000 h; 95% CI, 4.7 – 7.6)で有意に低かった(Rate Ratio = 0.67; 95% CI, 0.48 – 0.92)。脳振盪の発生率はGRTP改訂前(1.7件/1000 h; 95% CI, 0.8 – 2.6) と比べて,GRTP改訂後(0.7件/1000 h; 95% CI, 0.2 – 1.2)で有意に低かった(Rate Ratio = 0.41; 95% CI, 0.18 – 0.92)。脳振盪の再発の割合はGRTPプロトコル改訂前が18.7%であったのに対し,改訂後は0%であった。 結論:男子大学生ラグビー選手において脳振盪後の段階的競技復帰プロトコル改訂前後での外傷・障害の発生状況を調査した結果,脳振盪および外傷・障害の発生率の低下が観察された。
著者
安田 喜徳 中川 毅 高橋 学 佐藤 洋一郎 北川 浩之 福澤 仁之 外山 秀一 徐 朝龍
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

平成13年度はプロジェクトの最終年度にあたり、主として研究成果のとりまとめと、補足調査ならびに研究成果の発表を実施した。平成13年度「長江文明の探求」の成果として特筆すべきことがらは、1)世界最古の焼成レンガの発見、2)中国最古の祭政殿の発見、3)中国最古の王宮の発見、4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見、5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、6)城頭山遺跡の住人が苗族であった可能性が高いこと、7)長江文明と日本文明の関係の解明、8)国際シンポジウムの実施し、9)研究成果報告書の刊行、10)記者発表による研究成果の公開などである。1)世界最古の焼成レンガの発見湖南省城頭山遺跡から出土した紅焼土とこれまでよばれてきたものの焼成過程を詳細に分析した結果、それが火事などで偶然できたものではなく、焼成レンガであることが判明した。焼成温度は摂氏600度以上の高温で、均質に焼かれており、かつそれらを大量に生産するシステムが存在したことが判明した。14C年代測定の結果その焼成レンガはすでに6400年前に作られていたことがあきらかとなり、世界最古の焼成レンガであることが判明した。2)中国最古の祭政殿の発見大渓文化の土廣墓の上にこの焼成レンガを敷き詰め、その上に屈家嶺文化早期の正殿・前殿・脇殿の構造をもった建築物が発見された。これは中国最古の祭政殿とみなされる。3)中国最古の王宮の発見祭政殿の西側に焼成レンガの上にさらに40cmほど版築をした上に、列柱回廊を持つ大型の建物が発見されんた。内部には御簾を支えたとみなされる列柱も発見され、これが王宮であった可能性がきわめて高いことが判明した。4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見東門の背後から直径1m以上の木柱をもつ大型の建物跡が発見され、その周辺から大量のイネの籾殻のプラントオパールが集中して発見された。このことから、この大型の木造家屋はイネ籾の貯蔵庫であった可能性が指摘できる。5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、城頭山遺跡の修景保存のための発掘調査の結果、城頭山遺跡の城壁は3回にわたって築造が内側から外側へと城壁が拡大築造されていることが判明した。6)城頭山遺跡の住人が苗族であった城頭山遺跡から出土した木材片の分析の結果、大半がフウの木であることが判明し、城頭山遺跡の住人はフウの木を愛用し崇拝していた可能性が高いことが判明した。現在フウの木を崇拝し愛用しているのは少数民族の苗族であり、城頭山遺跡の住人が苗族である可能性が高いことが指摘された。7)長江文明と日本文明の関係の解明城頭山遺跡周辺では水陸未分化の稲が栽培され、畑作雑穀も栽培されていた城頭山遺跡から出土した大型種子の分析の結果、水田雑草の種子とともに大量の畑作雑草の種子が検出され、遺跡周辺での稲作は水陸未分化の稲であったことが指摘できる。これは縄文時代晩期の唐津市菜畑遺跡の分析結果とよく似ており、稲作の日本への伝播経路が長江下流域から直接東シナ海を渡って日本に伝播した可能性が高いことが明らかとなった。8)国際シンポジウムの開催平成13年11月に長江文明の興亡と環境変動についてて世界の古代文明の研究者を招聘して、国際シンポジウムを実施した。その結果4200年前の気候悪化が長江文明の崩壊に決定的な意味を持ったことが明らかとなった。9)研究成果の報告書の刊行英文1冊、中文2冊の研究成果の報告書を刊行した。英文の報告書は「Origins of Pottery and Agriculture」(Lusre Press Roli Book)384pp.中文の報告書は「神話・祭祀和長江文明」文物出版社200頁と「長江流域乃青銅器」科学出版社200頁である。さらに現在中文の報告書「城頭山遺跡」を編集中であり、平成14年12月までには刊行できる見通しである、予定頁数は1000頁を越える膨大な報告書が出る予定である。10)記者発表平成13年11月2日に記者発表を行い、研究成果の公開を行った。
著者
坂本 昭彦 金子 智之 金谷 淳志 木村 将貴 高橋 さゆり 山田 幸央 三宅 康史 坂本 哲也 中川 徹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.65-69, 2021-04-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること. (対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した. (結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた. (結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.
著者
前田 綾 宮脇 正一 大賀 泰彦 中川 祥子 古川 みなみ 上村 修司 井戸 章雄 日野 沙耶佳
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、胸焼けなどの不快感と求心性の内臓知覚とストレス物質の動態に着目し、食道内酸刺激で産生されるメディエーターおよびストレス物質の動態などの神経免疫学的観点からブラキシズムの発症メカニズムを解明することである。また、求心性知覚神経を介した胸焼け等の不快感を自覚させる食道知覚とストレス物質の動態が咬筋活動を増加させることに着目し、ブラキシズムの発症のメカニズムを解明する。これらが明らかとなれば、上部消化器疾患と精神疾患およびブラキシズムに関する難治性の病因について新たな知見を提供して新規治療方法の開発に繋がる可能性があり、患者のQOL向上ひいては健康寿命の延伸に繋がると考える。