著者
新山 大樹 太田 千香子 小泉 篤 桑野 真由美 中川 太
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.57-68, 2014 (Released:2014-01-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

PETとMRI双方を利用した複合的な画像診断は,PETによる機能画像及びMRIによる形態画像それぞれ単独の評価に比べて,統合的な情報により正確で迅速な疾患の検出やステージング評価,治療モニタリング及び経過観察の向上という利点が考えられる。PETとMRIはどちらも臨床的な手段としてすでに確立されており互いに相補的な情報を提供するものであるが,さらにそれぞれの装置を統合化させたPET/MRI装置ではそれ以上の広範囲な臨床応用が期待される。特に統合型PET/MRI装置のメリットとして,一回の検査で両方の撮影を行うことにより,高精度の位置情報を持つ画像が得られるだけでなく従来撮影された単独のPET検査とMRI検査をソフトウェア上で重ね合わせた画像では実現できなかった情報を得られる可能性がある。本稿ではこれらの期待を実現可能にするべく発表された臨床用PET/MRI装置の総論として主な特長及び課題を報告する。
著者
神原 浩平 光山 和彦 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.188, pp.157-162, 2008-08-20
被引用文献数
8

800MHz帯FPU (Field Pick-up Unit)システムは,マラソン中継などの移動映像伝送に用いられている.現在,筆者らはより高画質で途切れにくい次世代システムを目指してMIMO伝送技術および誤り訂正技術の研究を行っている.LDPC符号はその高い誤り訂正能力から近年注目されており,中でもLDGM構造のLDPC符号を連接した直列連接LDGM (SCLDGM:Serially-Concatenated Low-Density Generator Manix)符号は,LDPC符号の短所である符号化演算量およびエラーフロアの両方を低減可能なため,大容量伝送で非常に低いビット誤り率が要求される次世代FPUシステムに適用可能である.本稿では,LDGM符号のLDGM部の列重み1の比率を可変する新しいLDGM構造を提案し,このLDGM構造を用いてSCLDGMに適した符号設計を行うことにより,既存のLDGM構造を用いたSCLDGMよりも優れた特性が得られることを示す.
著者
中川 和明
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:乙2247号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2010/1/20 ; 早大学位記番号:新5204
著者
塩谷 圭吾 中川 貴雄 小谷 隆行
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本応募研究の目的は、系外惑星の直接観測による大気分光という重要課題にのぞむため、赤外線宇宙望遠鏡に搭載する極低温デフォーマブルミラーを開発実証することである。デフォーマブルミラーの駆動方式には、Micro-Electronic Mechanics System (MEMS)方式を採用した。そして冷却時の最大の問題である熱応力を考慮した設計を行い、極低温(5K)で動作する多素子(1000素子)のDMを制作、試験することができた。
著者
新井 嘉章 福原 知宏 増田 英孝 中川 裕志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.227, 2008 (Released:2009-07-31)

Wikipediaは現在253言語で展開されている巨大なユーザー参加型の百科事典である。本研究では,Wikipediaから抽出した言語間リンクをいくつかの接続パタンに分けて分析している。本論文では,各接続パタンの紹介と,日中韓英4言語を対象とした各接続パタンの割合を示す。また,言語間リンクによるキーワード対訳に関する調査結果を示し,言語間リンクの対訳システムへの有効性を検証する。本論文では,我々が試作した言語間リンクに基づくキーワード対訳システムについても紹介する。
著者
中川 すがね
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では近世瀬戸内の諸湊を本拠地として瀬戸内および九州・山陰において活躍した小型の貨客船「渡海船」に関し、諸地誌の記事や岡山大学附属図書館池田家文庫の船手の海運関係史料、寛文7年(1667)の海辺巡見使関連の「西国海辺巡見記」などの史料を収集し、瀬戸内の千をこえる浦と渡海船の状況についてデータベースを作成した。データベースは本研究の報告書として発行した『近世の瀬戸内の湊と渡海船』(2015年4月)に収録した。渡海船の本拠地の多くが片浜・川湊で干潟化したことから、渡海船は200石以下で数十石の小船も多いが、江戸後期に増加し貨客船として瀬戸内の商品流通や旅行の隆盛を支えたことを解明した。
著者
近藤 健 徳永 義昌 齊藤 正男 中川 達雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.729-733, 2012-11-15 (Released:2012-12-13)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

CTの進歩により小さな肺結節が多数発見されるようになった.それらの病変を術中に同定することは困難な場合があり,しばしばニードルマーカーが使用される.しかし,この手技に伴う空気塞栓の合併が稀に報告されている.当院ではこれまで139例のCTガイド下針マーキングを施行し,2例の空気塞栓を経験したので,考察を加えて報告する.1例目は71歳女性,網状影に加えて両肺多発粒状影を指摘された.結節の一つに対してマーキングを施行したところ,直後に意識消失を来たした.CTにて脳空気塞栓症と診断した.2例目は72歳男性,右下葉肺腫瘤と,右中葉に小結節を指摘された.この小結節にマーキングを施行したところ,直後に胸痛が出現した.CTにて冠動脈空気塞栓症と診断した.2例とも安静等により空気栓が減少し,症状も改善した.空気塞栓症は重篤な経過をたどる可能性もあり,マーキングの適応については熟慮を要する.
著者
中川 実 坂本 千穂子 藤原 賢次郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.39-46, 2012-01-25 (Released:2012-01-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

近年,肺腫瘍の術前CTガイド下マーキングを行う機会が増加している.今回,我々はCTガイド下マーキング終了直後に脳空気塞栓症を来した1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性で,右下葉S8の腫瘤に対してビデオ補助胸腔鏡手術直前にCTガイド下マーキングを施行した.マーキング終了直後,突然意識障害,けいれん,左片麻痺を発症し,直後の頭部CTにて主に右大脳の脳溝に沿って空気像を認め,脳空気塞栓症と診断した.直ちに高圧酸素療法を施行し,治療直後の頭部CTではごく一部空気像を認めるのみとなった.その後意識も清明となり,運動麻痺も改善し,歩行可能となった.近年,肺腫瘍の術前CTガイド下マーキングを行う機会が増加しているが,それによる合併症としての空気塞栓症に関しても2001年以降報告が散見されており,穿刺針が極めて細いとはいえ,起こりうる合併症であり,文献的考察を加え,自験例を報告する.
著者
中川 岳 追川 修一
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.13-13, 2014-12-05

次世代の不揮発性メモリはバイトアクセス可能であり,計算機の主記憶として 利用可能である.主記憶が不揮発になることで,主記憶と2次記憶を融合することが可能になる.これにより,CPUから永続的なデータに直接アクセスが可能になり,I/Oのオーバヘッドを削減することができる.しかしながら,現時点では単体で主記憶を構成可能なNVMは登場していない.そのため,これまで,少量のDRAMと相変化メモリ(PCM)を組み合わせて主記憶を構成する方法が検討されてきた.PCMは 書き込みに短所のある不揮発性メモリ素子である.DRAMと組み合わせ,書き込みアクセスの多いデータをDRAMに配置することで,PCMの短所を隠蔽して主記憶を構成することができる.このようなハイブリッド構成では,データに対 する書き込みの傾向に基づいて,データ配置を決定する必要がある.この方法として著者らはデータの持つセマンティクスを利用して,プログラミング言語処理系のレベルでデータ配置の決定を行う方法の提案と実装を行った.実験の結果,提案手法はハイブリッド構成の主記憶における効率的なデータ配置に効果があることが分かった.しかしながらその一方で,提案手法には配置の効率面での問題がある.本発表では,その解決のための修正と効果の検証結果について説明する.
著者
中川 敦子
出版者
金沢医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

被験者は外来通院の分裂病患者10名。各患者の症状評価は精神科医2名によって行われた。課題は、プライム、ターゲットともに視野中央に提示する語彙判断であった。実験計画;プライム条件(反対、遠隔連想、無関連、中立)×SOA(67msec,750msec)の被験者内2要因実験。反対、遠隔連想という意味関係は、意味ネットワーク上のターゲットとの意味距離がより近い、より遠いことをそれぞれ示した。刺激:各試行はプライムとターゲットの平仮名表記の文字列ペアより成った。1つの刺激リストは,YES反応用の4つの異なった意味的関係を含む24ペア、およびNO反応用の非単語(単語の1文字を入れ替えて作られた)を含む24ペアによって構成された。4つの刺激リストを設け,1つの刺激リスト内で同じターゲットが繰りかえされることはなかった。例えば,リスト1で反対語条件(さむい-あつい)のターゲットは,リスト2では遠隔連想条件(あせ-あつい),リスト3では無関係条件(ゆずる-あつい),リスト4では中立条件(くうはく-あつい)であった。手続き;各被験者に、練習の後,4ブロックをとおして4つの刺激リストが与えられた。各試行では、視野中央に注視点そしてプライム60msecの提示後、ISI(SOA条件によって7msecまたは690msec)の後、ターゲットが示された。被験者は、実験中は視野スクリーンの中心を凝視し、ターゲットが有意味な文字列(単語)であるか否か(非単語)の判断をボタン押しによってできるだけ早くかつ正確に行なうよう求められた。結果;分析は単語に対する正反対時間およびエラー率について行ない、反応の促進および抑制効果は,各プライム条件での反応時間が中立条件(くうはく)での反応時間よりも早いか遅いかによって決定された。外来通院の予後良好な分裂病患者の意味プライミングパタンは、コントロール群のパタンと同様であった。各症状と意味プライミングパタンの関係について検討したが、明らかな結果は得られなかった。
著者
大岩 秀和 松島 慎 中川 裕志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

大規模データから省メモリかつ高速に学習を行う手法として,L1正則化付きオンライン学習アルゴリズムが複数提案されている.しかし,これらの既存手法は予測に有用であっても出現頻度の低い特徴をモデルから排除してしまう性質があった. 本研究では,低頻度かつ予測に有用な特徴を予測モデルに動的に組み込める新たな正則化手法を提案する.さらに,本手法の理論解析と実験による評価を行い,本正則化手法の有用性を示す.
著者
寺岡 隆 真弓 麻実子 中川 正宣 瀧川 哲夫
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

実験ゲーム研究における「因人のジレンマ」とよばれている心理学的事態は、いわゆる個人合理性と集団合理性に関する社会動機間の葛藤を示す典型的事態である。こ事態が何回も繰り返される場面では、この事態に参加するふたりのプレイヤーの選択は、しばしば最適解でない共貧状態に陥ってしまうことが多いが、この状態から共栄状態へ脱出するにはどうしたらよいかという問題がこの領域におけるひとつの主題になっている。本研究は、この主題を統制者が選択する反応系列によって相手側に協力反応を選択せざるを得ないようにする方略に関する視点と相手側に事態を規定している利得構造をいかに把握させるかという事態認知と情報統制とに関する視点に焦点をあてたものである。前者は「TITーFORーTAT」とよばれる方略,後者は申請者によって提起された「合成的分解型ゲーム」というパラダイムを基盤とする。本研究の目的は、これらのパラダイムが共栄状熊の実現に有効になり得るかということを実験的に検討することにある。本報告書は2部から成り、第1部はTIT-FOR-TAT方略に関する3系列の実験的研究,第2部は合成的分解型ゲームに関する2系列の実験的研究の成果を述べたものである。第1部における実験研究では、1)TIT-FOR-TAT方略には種々の型があり目的によって最適方略が異なること、2)利得和最大化のためには、可能ならば同時TIT-FOR-TAT方略が最適であること、3)利得差最大化にためには、当実験条件下では倍返しTIT-FOR-TATが最適であったこと、4)報復の遅延は効果を減ずること、などの結果が得られた。第2部における実験研究では、1)合成的分解型ゲームは理論的に標準的分解ゲームより効果があるにしても、そのままでは大きな効果を示さなかったこと、2)情報の統制効果は大で、相手に統制者の利得条件を示さない場合や相互の利得を示さない場合はとくに顕著であることなどの結果を得た。
著者
中川 知香 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.5, pp.93-100, 2006-01-20

カメラ付き携帯機器におけるユビキタスARの実現には,カメラの位置・姿勢情報の取得が必要である.また計算コストなどの点から入力データとして静止画像を用いることが望ましい.本稿では,特徴点追跡に基づく三次元復元によって得られる広域環境の自然特徴点ランドマークデータベースを用いることで,1枚の静止画像からカメラの位置・姿勢を推定する手法を提案する.提案手法では,まず入力画像内の特徴点と類似度が高いランドマークを1対多で対応付け,各ランドマークと同じ見え方で撮影できる領域に投票することにより入力画像が撮影された可能性が高いカメラ位置候補を特定し,誤対応を排除する.次に,カメラ位置候補に投票したランドマークと入力画像の特徴点の組を複数用いて,カメラの位置・姿勢を推定する.実験では,屋外環境のランドマークデータベースを構築し,データベースの撮影経路付近で撮影した画像を用いて提案手法の推定精度を評価した.Position and posture estimation for a camera embedded in a mobile device is very important for ralizing ubiquitous augmented reality. In this report, we propose a novel method for estimating camera position and posture from a still image based on feature landmark database. In the proposed method, firstly, candidates of corresponding points of feature landmarks are searched in an input image. Secondly, camera position from which candidate points are visible is roughly computed by a voting approach. Finally, camera position and posture is determined by using pairs of landmark and feature point voted for the roughly computed camera position. The validity of the proposed method has been shown through experiments for an outdoor environment.
著者
本間 香貴 中川 博視 堀江 武 大西 宏明 金 漢龍 大西 政夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.137-145, 1999-03-05
参考文献数
27
被引用文献数
4

地球環境変化に対する作物応答を明らかにするために, 高温・高CO_2濃度環境がイネ群落の蒸散とガス拡散抵抗に与える影響を調査した. CO_2濃度をそれぞれ365と700μL L^<-1>に設定した2棟の温度傾斜型CO_2濃度制御チャンバー(TGC)の各々に3温度区(実験期間内平均気温29.8, 30.4, 32.5℃)を設け, 水稲品種アキヒカリとIR36を栽培し, 実験に供試した. 各温度・CO_2濃度処理区で8月2日(幼穂形成期)から8月22日(出穂期)まで, 乾湿球温度, 群落表面温度(T_c)と純放射量を測定し, また, ミクロライシメータ法を利用して蒸発散量(E)も測定した. Eの測定値と微気象データをもとに得られた水蒸気と熱輸送に対する空気力学的拡散抵抗(r_a)は, 全処理区, 全計測期間を通じてほぼ一定値の11.7sm^<-1>で推移した. このr_a値とT_cおよび微気象データを熱収支式に代入し, Eおよび群落拡散抵抗(r_c)を求めたところ, Eの推定値とライシメータ法による実測値は, 両品種とも非常によく一致した. 両品種のr_cは全ての温度・CO_2濃度処理区において, 全天日射量が500W m^<-2>以上で最小値(r_<c,min>)に達した. 最も低い温度区では, 高CO_2濃度によって, 自然CO_2濃度環境下よりもr_<c,min>が40〜49%, T_cが1.4〜1.6℃増加し, Eが14〜16%減少した. しかし, この高CO_2濃度の影響は生育温度の上昇につれて減少した. このようなr_<c,min>の温度とCO_2濃度に対する反応は, イネのこれらの環境に対する長期の適応現象によるものと思われた。以上より, 地球の温暖化は, CO_2濃度の上昇によるイネの水利用効率の向上効果を減少させることが示唆された.
著者
中川 登美雄 杉本 裕美
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.295-304, 2004-09-25

石川県加賀市の大聖寺層から産出したEchinarachnius microthyroidesに見られる捕食痕について研究した.捕食痕は産出した241個体中120個体から見つかった.捕食痕率はカシパンウニの大きさにより大きく異なり,長さ28mm以下の個体では22.0%であるのに対して長さ28mm以上の個体では69.5%であった.円筒型で2〜3mmの修繕跡のない小さな径を持ち,酸によるエッチングが見られ,複数の穴が開けられている個体は6.7%とまれであることからLiracassis japonicaのように殻高数cmのトウカムリ科巻貝による捕食痕と考えられる.ほとんどの捕食痕は完全で,反口側に開けられていることから,捕食者はカシパンウニの上部(反口側)から襲いかかったものと推定される.Echinarachnius microthyroidesはトウカムリ科巻貝により捕食され,波の影響により浅い海に集積したと考えられる.