著者
椋本 ひかり 南 雅代 中村 俊夫 Mukumoto Hikari Minami Masayo Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.26, pp.96-101, 2015-03

Bone collagen, the organic fraction of the bone, is commonly used on 14C dating of bone, while it can not be used for cremated bone because of no remain of collagen. Meanwhile, recent studies have presented that carbonate hydroxyapatite (CHa), the inorganic fraction of the bone, can be used for 14C dating of cremated bone, though the CHa is easily contaminated by exogenous carbon and should be purified by chemical treatment. The purpose of this study is to test the reliability of 14C dating of CHa by using a cremated bone of known-age in Japan. The samples used were the cremated bone, which is considered to be remains of Jokei, a Buddhist monk (AD 1155-1213). We examined whether chemical treatment of the cremated bone with 0.1 M acetic acid for a short time of 1 hour is adequate for removal of secondary carbonate to obtain innate CHa for accurate 14C dating. The CHa in six fragments of the cremated bone showed 14C dates between 1155-1280 cal AD, which are similar with the supposed age. The result indicates the effectiveness of acetic acid treatment and the possibility of accurate 14C dating of CHa by the appropriate chemical treatment. 骨の14C年代測定には、有機成分であるコラーゲンを利用するのが一般的である。しかし、コラーゲンが損失しているため、14C年代測定が困難な骨試料も少なくない。そのような骨試料、特に火葬骨に対して、近年、無機成分の炭酸ヒドロキシアパタイト(CHa)を用いた14C年代測定が試みられている。そこで、本研究では、年代既知の火葬骨に対して、実際に、CHaを用いて信頼性のある14C年代測定が可能かどうかの検証を行った。また、二次的な炭酸塩による汚染を除去するための低濃度短時間の酢酸処理の有効性についても評価を行った。用いた火葬骨試料は、奈良県三郷町の持聖院に所蔵されていた蔵骨器内の骨片である。この人骨は、平安時代末から鎌倉時代にかけて活躍した僧・貞慶(AD1155-1213)の遺骨であるとされている。年代測定の結果、本研究で使用した火葬骨6点から得られた14C年代は1155-1280cal ADという、貞慶の没年と2σの誤差範囲で一致する結果となった。一方、酢酸処理により発生したC02は現代に近い年代を示したことから、本研究で使用した火葬骨は、2次的な炭酸塩等の外来炭素の汚染があったものの、酢酸処理によって効果的に除去された結果、CHaの信頼性のある14C年代測定が可能であったことがわかった。また、真空下における、0.1Mの酢酸による1時間程度の酸処理の有効性も明らかになった。今後、より年代の古い試料や保存状態の異なる試料についても検討を行っていく予定である。名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
椋本 ひかり 南 雅代 若木 重行 中村 俊夫 Mukumoto Hikari Minami Masayo Wakaki Shigeyuki Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究部
雑誌
名古屋大学年代測定研究
巻号頁・発行日
no.1, pp.102-107, 2017-03-31

Bones exposed to temperatures of more than 600℃ become to possess the high crystallinity of apatite, which protects them against easy contamination. This property now makes it possible to use the carbonate hydroxyapatite (CHa), an inorganic component of bone, for the 14C dating of cremated bones. Other chemical characteristics, such as Sr/Ca and δ88Sr, indicators of trophic levels and/or dietary preferences, are also expected to be preserved in cremated bones. This study was conducted to examine whether the CHa in cremated bones can provide accurate 14C dates and reliable information on diet. Cremated bone fragments from an urn at the Jisho-in Temple in Nara Prefecture, Japan were used as the sample. These bones are thought to be the remains of Jokei, a Buddhist monk (AD 1155–1213). The CHa in two fragments, which have high crystallinity, was determined to have a 14C date of 1040–1220 cal AD (±2σ), a date similar with the presumed age. The log(Sr/Ca) and δ88Sr values obtained from the bone CHa were –2.79 and from –0.140 to –0.125, respectively, values similar to those of herbivores (log(Sr/Ca)= –3.0~–2.5; Balter et al., 2002, δ88Sr =–0.30±0.17‰; Tütken et al., 2015). This finding is consistent with Jokei's dietary custom of not eating meat. The results of this study demonstrate the effectiveness of using CHa in cremated bones for the 14C dating of bones and dietary analysis.最近の研究により、火葬されて有機成分が残存していない骨に対し、骨の無機成分である炭酸ヒドロキシアパタイト(Carbonate Hydroxyapatite: CHa)を用いた14C年代測定の有効性が実証された(Lanting et al., 2001; Zazzo et al., 2011)。CHaは、高温(>600℃)で加熱されると結晶化が進み埋没後に続成作用の影響を受けにくくなることがその理由として挙げられる。そのため、結晶性の高いCHaを含む火葬骨は、生体由来の化学成分を保持でき、栄養段階の指標であるSr/Ca値やδ88Sr値などを分析することにより、14C年代だけでなく食性に関する情報も復元できることが期待できる。そこで、本研究では、仏教徒「貞慶」(AD1155-1213)の遺骨とされる火葬骨のSr/Ca値及びδ88Sr値の分析を行い、貞慶が菜食であったことを実証できるかどうかを検討した。結晶性の高い火葬骨のCHaから得られた14C年代値は貞慶の没年(1213年)と矛盾しない結果であった。さらに、log(Sr/Ca)値は-2.79、δ88Sr値は-0.14~-0.13であり、いずれも草食動物の値(log(Sr/Ca)=-3.0~-2.5; Balter et al., 2002、δ88Sr値=-0.47~-0.13; Tütken et al., 2015))の範囲であった。この結果は、貞慶が菜食主義であったことを示すものであり、考古学的な見解と一致している。これらの結果から、高温で加熱され、結晶性が高い火葬骨CHaは、生体由来のSr/Ca値及びδ88Sr値を保持しており、年代に関する情報だけでなく生前の食習慣を探るのにも有効であることが明らかになった。本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金挑戦的萌芽研究[骨の炭酸ヒドロキシアパタイトを用いた炭素14年代測定の試み」(代表者:南雅代、課題番号26560144)の助成を受けて行なわれました。
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.p145-182, 1988-11
被引用文献数
4

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.
著者
中村 俊定 雲英 末雄
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
no.35, pp.105-131, 1967-03
著者
佐野 貴司 Sano Takashi 和田 秀樹 Wada Hideki 海野 進 Unimo Susumu 中村 俊夫 Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.3, pp.67-75, 1992-03

We obtained radiocarbon datings of 29,209±554 yrBP. for shell sample from Pukaki and 30,230±413 yrBP. for that from Motukorea in the Auckland Volcanoes, New Zealand. When we supply the ages of indivisual volcanoes and compositional change with time, it can be possible to elucidate the magma system of the Auckland Volcanic Field.
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.409-423, 2008-12-01 (Released:2012-03-26)
参考文献数
48

石川県御経塚遺跡から出土した縄文時代後・晩期の土器付着物と漆の14C年代,炭素・窒素安定同位体比,C/N比の測定を行い,土器で煮炊きされた内容物と各土器型式の年代学的位置づけについて検討した.その結果,後期の内面付着炭化物は,動物資源を煮炊きしたものが炭化して残ったものと考えられ,このうちのいくつかは海洋リザーバー効果の影響を受けている可能性を指摘した.晩期の土器付着物の14C年代は,周辺地域の研究成果と対比しても整合的であった.そこで,晩期の土器付着物の14C年代をIntCal04で較正し,晩期中葉の中屋式,晩期後葉の下野式および長竹式の較正年代を提示した.晩期最終末の長竹式の年代は,北陸地域における環状木柱列の形成時期とも関係することが明らかとなり,これは縄文時代から弥生時代への移行期の問題を検討する上で,きわめて重要な成果である.
著者
多田 充徳 中村 俊康
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-17, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
23

手指の関節運動は複雑な筋腱ネットワークの相互作用から生み出されている.今までの解剖学的な研究により,それぞれの筋腱が個別に関与する関節運動については明らかになっている.しかし,複数の筋腱を同時に駆動した際に発生する相互作用と,それが関節運動に与える影響については未だに明らかにされていない.これを解明するには屍体標本と計測制御技術を併用した実験が有効である.本稿では,屍体標本を対象にセンサやアクチュエータを用いて手指の運動機能(モーメントアーム長,指先発揮力,そして関節運動のように手指の運動に関わる機能)を計測,モデル化した研究を概観する.また,筆者らが開発した筋腱駆動装置の構成,この装置とモーションキャプチャ装置を用いて屍体標本の示指関節運動を計測した結果,そして深指屈筋による関節運動に虫様筋の活動が与える影響を計測した結果を紹介する.
著者
中村 俊夫 宇田津 徹朗 田崎 博之 外山 秀一 杉山 真二 松田 隆二 Nakamura Toshio Udatsu Tetsuro Tazaki Hiroyuki Toyama Shuichi Sugiyama Shinji Matsuda Ryuji
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.24, pp.123-132, 2013-03

To measure 14C age directly on plant opal itself with accelerator mass spectrometry (AMS), we have extracted carbon contained in plant-opal samples separated from modern lining plants as well as ancient soil deposits at archeological sites, in particular, rice field remains. Carbon dioxide was separated and collected from plant-opal samples by using a radio-frequency furnace (HF-1O, Leco Corporation) which is used successfully to extract carbon in the metal iron. Carbon content of plant opal is not clearly known, and yields of CO2 from p1ant-opal samples were very low (<0.1%) in our experiment Nagoya University AMS 14C dating laboratory. We have conducted CO2 extraction for 15 samples, and we can get enough CO2 from only three samples to perform 14C dating even with AMS. The obtained 14C ages were a few thousand years older than expectations on the basis of archeological aspects. Even more, plant-opal samples extracted from modern living plants showed 14C ages as old as 3-6 ka BP. This implies that carbon in plant opal is not derived from carbon incorporated into the plants by photosynthesis. More studies are required to apply routinely 14C dating of plant-opal material.
著者
山内 和也 山藤 正敏 吉田 豊 城倉 正祥 櫛原 功一 久米 正吾 中村 俊夫 増渕 麻里耶
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、シルクロードの交易拠点都市の成立と展開の実態を明らかにすることである。そのために、中央アジアのキルギス共和国北部に位置するアク・ベシム(スイヤブ)遺跡において発掘調査を実施し、考古学的な研究を行った。発掘調査によって都市のプランや構造を明らかにするとともに、周辺地域の調査によって、都市の成立と繁栄に不可欠な水利システムの存在を解明することができた。こうした成果によって、シルクロード沿いの拠点となる交易都市の成立と展開、そして同都市が位置する地域の発展過程について考察することができた。
著者
西山 宗六 中村 俊郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

基礎疾患を有さない貧血女性37名(年齢22.3±4.3歳)を対象に種々の貧血マーカーと亜鉛動態との関連を検討した結果、女性の亜鉛欠乏性貧血の診断基準は、(1)ヘモグロビン12.0g/dl以下、赤血球数380×10^4/mm^3以下、総鉄結合能(TIBC)380μg/dl未満の正球性正色素性貧血、(2)血清亜鉛の低下は必ずしも認めない、(3)正球性正色素性貧血を呈する他の疾患を除外する、(4)亜鉛欠乏と同時に鉄欠乏を伴うことが多い、とすることが妥当であると考えられた。つぎに上記診断基準を満たす中年女性の貧血患者への亜鉛投与による結果から、亜鉛欠乏性貧血の頻度と治療法を検討した。農村地区住民15,459名(男性7487名、女性7972名)に貧血検査を行ったところ、男性でヘモグロビン13g/dl以下、女性でヘモグロビン12g/dl以下の貧血患者は男性の7.0%、女性の14.1%であった。上記診断基準を満たす亜鉛欠乏性貧血が疑われる患者は貧血者男性の54.2%(全体の3.8%)、女性の41.1%(全体の5.8%)であった。これらの貧血患者を鉄投与群(n=15)、亜鉛投与群(n=21)、鉄と亜鉛投与群(n=16)に分けて8週間治療したところ、鉄と亜鉛投与群のみ有意の貧血の改善を認めた。亜鉛投与群では血清鉄100μg/dl以上、フェリチン40ng/dl以上を有したものは亜鉛単独での貧血の改善が見られた。したがって亜鉛欠乏性貧血の治療は(1)フェリチン40ng/dl以上の患者では亜鉛製剤34mg/日、(2)フェリチン40ng/dl未満では亜鉛製剤34mg/日、鉄製剤100mg/日の投与が妥当であると考えられた。
著者
南 雅代 Minami Masayo 中村 俊夫 Nakamura Toshio 平田 和明 Hirata Kazuaki 長岡 朋人 Nagaoka Tomohito 鵜澤 和宏 Hoshino Keigo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.18, pp.134-143, 2007-03

During the past several decades, many medieval skeletons were excavated from archaeological sites in the Yuigahama area, Kamakura, Japan. The excavations yielded more than 5,000 individuals in varying states of preservation from the Zaimokuza, Seiyokan, Yuigahama-minami and Chusei Shudan Bochi sites. Medieval Kamakura was an ancient capital of the Kamakura Shogunate, and a lot of people lived in Kamakura with high population density. The human skeletons excavated from the Zaimokuza site are reported to be humans dead by competition at the end of the Kamakura Shogunate, but a detailed study on dating of the human skeletons has not made yet. In this study, we measured ^<14>C ages, together with carbon and nitrogen isotope ratios, of human skeletal remains excavated from the Yuigahama-minami site and Chusei Shudan Bochi site. The δ^<13>C and δ^<15>N were not different between human skeletal samples of both sites, while the ^<14>C ages were different between them: The human bones of the Yuigahama-minami site are 100 year younger than those of the medieval collective-cemetery site. All of ages of human skeletons from both of the sites are older than the latest Kamakura period. The δ^<13>C and δ^<15>N values of the medieval Kamakura people are higher than those of terrestrial mammals, indicating that they exploited some amount of marine fish and/or mammals with higher δ^<13>C and δ^<15>N as protein sources. Therefore, the ^<14>C ages obtained for human skeletons could be order than the true ages. ^<87>Sr/^<86>Sr isotopic ratios of human skeletons of the Yuigahama-minami site tend to be higher than those of the Chusei Shudan Bochi site. Soils, plants and animals feeding on them in a given locality have ^<87>Sr/^<86>Sr values that generally mirror underlying bedrock composition, and thus ^<87>Sr/^<86>Sr ratios of human skeletons are useful tools for assessing migration in prehistory. The result obtained in this study suggests that Yuigahama-minami humans and Chusei Shudan Bochi humas lived in different areas. More skeleton samples should be analyzed for determining detailed ^<14>C ages of humans excavated from the Yuigahama sites, and for estimating migration of prehistory of the medieval Kamakura humans.
著者
守屋 以智雄 奥野 充 中村 俊夫
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.6, pp.82-91, 1995-03

名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(1994年度)報告 [タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定の利用による火山噴火史研究の新展開] Proceedings of Symposium on Tandetron Accelerator Mass Spectrometer, Nagoya University "New Developments in Studies on the History of Volcanic Eruptions by Using 14C dates Measured with the Tandetron Accelerator Mass Spectrometer"
著者
中村 俊 小柴 満美子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.39-43, 2011 (Released:2017-02-16)
参考文献数
19

社会性行動は個体間の感覚運動的相互作用によって発達する。我々は社会的きずなの形成を神経行動学的に解析し,その分子的基盤を解明することを目指して動物モデル(家禽ヒヨコおよびマーモセット)を開発した。まず社会性行動を統合的・定量的に解析するための行動テスト法を確立し,テスト中の身体動画像から得られたパラメータの多変量解析により行動の質を評価する方法を開発した。ついで,社会的きずなの形成には,社会的相互作用が特に有効な時期(臨界期,高感受性期)が存在することを明らかにした。この時期に相互作用を体験しない個体におけるセロトニン,ノルアドレナリン作動性神経系の賦活効果を検討したところ,SSRI/SNRI が有効であったが,同時に臨界期後の社会性行動の“トレーニング”が必須であった。この結果は,本モデルが発達障害や他の精神疾患における社会性行動障害の病態モデルとして有効であることを示唆している。
著者
中村 俊定 雲英 末雄
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.105-131, 1967-03-01
著者
中山 達貴 中村 俊之 宇野 伸宏 Schmöcker Jan-Dirk
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_1093-I_1104, 2017

本研究では,速度超過による交通事故発生が多い名阪国道を対象にプローブデータを用いた潜在的な事故危険性の把握手法を構築するものである.本研究では特に商用車の走行軌跡データから速度推移に基づき,潜在的な事故危険性を伴う走行をクラスター分析により分類し,潜在的事故危険性を誘発している区間の抽出に二項ロジスティック回帰分析を適用した.分析の結果,当該路線における潜在的事故危険性の高い走行は安全な走行と比較して,速度推移に差異が生じる地点が実際の事故多発区間よりも上流側に存在してことが明らかになった.本研究で得られた知見を踏まえ,今後の交通安全対策の実施が期待される.
著者
鈴木 悟史 中村 俊之 吉井 正広 中島 正勝 中西 洋喜 本田 瑛彦 小田 光茂
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4233-4248, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Generally, many space satellites have large solar array panels for power generation and large antennas for observation and communication. The panels and antennas must be lightweight because of the payload weight limit of the launch vehicle. So, they are very flexible, with little damping ability. This results in vibrations cause serious problems. When the thermal environment around a flexible structure on orbit such as a solar array panel changes to cold or hot, the flexible structure produces its own deformation or vibration. These occur most often during rapid temperature changes called thermal snap or thermally-induced vibration, which has been known to cause attitude disturbance in Low Earth Orbit (LEO) satellites. Thermal snap vibration occurring on a flexible solar array panel is very slow. It is very difficult to measure thermal snap motion by sensors such as accelerometer. The behavior of a space structure affected by thermal snap has never been observed directly in space so far. This report presents the measurement results of “IBUKI” solar array panel's behavior using monitor camera.