著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.200-200, 2009

本研究では、消費者の需要予測モデル構築のために、経営データを調査し、同時に気温などの気象データを調査した。そして、これらの関係を統計的に明らかにすることで、消費者の需要予測モデルの構築を、気象データを用いて行う。また、解析結果から得られた要因を用いて需要予測を行うファジィ推論モデルを構築している。
著者
小川 光明 岡村 真 島崎 邦彦 中田 高 千田 昇 中村 俊夫 宮武 隆 前杢 英明 堤 浩之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.75-97, 1992-12-15
被引用文献数
5

愛媛県伊予郡双海町沖において, 高分解能ソノプローブを用いた詳細な音波探査を実施し, 中央構造線活断層系の正確な分布と形態を記載した。さらに, 断層を挟んだ地点からピストンコア試料を採取し, それらを対比することにより, 断層活動の時期を解読した。この海域に分布する中央構造線は, 左雁行に配列する計4本の断層から構成されており, そのうちの1本には完新世における明瞭な右ずれ運動が認められる。また, この断層は近接する他の断層と同時に活動することにより, 細長い地溝を形成する。その活動時期は, 石灰質化石の^<14>C年代測定から, 約6200年前と約4000年前であると推定された。4000年前以降にも活動があったと思われるが, 残念ながら堆積速度の急減のため, 断層活動が保存されていなかった。本地域での活動性に, 陸上のトレンチ調査から解読された活動性を加味すると, 四国における中央構造線は, 少なくとも3つ以上の領域に分かれ, それぞれが約2000年の間隔で活動を繰り返していると考えられる。
著者
中川原 育子 谷口 陽子 佐藤 一郎 中村 俊夫 NAKAGAWARA Ikuko TANIGUCHI Yoko SATO Ichiro NAKAMURA Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.23, pp.127-137, 2012-03 (Released:2013-06-06)

The Kizil Grottoes, the largest Buddhist monastery complex in the Xinjian region of China, is decorated with wall paintings - the chronological dates of which are still under debate. This study aims to give some clarification regarding the chronological dates using AMS-14C dating of chaff tempers taken from the earthen renders of the wall paintings. l4C studies previously carried out by Chinese and German researchers had resulted in divergent dates often extending back hundreds of years earlier than hypothesized within the chronology of art history, which has created confusion. Six samples from six wall painting fragments (Caves 8 [III8425], 38 [III8700], 171 [III8793, III8891], 207[III9148b(d)], and 224[III8865(a)]) held in collections at the Museum für Asiatische Kunst in Berlin were taken and analysed with 14C-AMS at the Center of Chronological Research at Nagoya University in Japan. As reference, nine dating results analysed between 1995 and 1998 at Nagoya University were also shown in the list. Dates were obtained for only three out of the six samples: cal AD 128-216 [Cave 8], cal AD 255-306 and cal AD 312-34 [Cave 171], and 90-70 cal BC [Cave 224]; most of these extended back earlier than reference 14C data from the Chinese and German studies and far earlier than dates suggested by the timeline of art history. Even the Chinese and German reference dates derived in the past from 14C analysis often show varied dates occurring earlier than those represented in art history. This may indicate that old chaff was used in renders for the Kizil wall paintings probably as a form of re-use of old mud bricks, or that the chronology of art history must be drastically reconsidered, both of which would require further AMS-14C dating studies with careful and comprehensive sampling from well-documented contexts.
著者
山田 哲也 塚本 敏夫 中村 俊夫 小田 寛貴
出版者
(財)元興寺仏教民族資料研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

加速器質量分析(AMS)法による古代鉄製品の放射性年代測定を確立し、鉄製品に直接的な年代値を付与することを目的として、鉄試料に内在する炭素を汚染させることなく効率よく高純度に抽出し、高精度の試料調整を行った上で、名古屋大学年代測定総合研究センターのタンデトロン加速器質量分析計で微量の炭素を含有する古代鉄製品の^<14>C年代測定の有効性の検証をおこなった。鍛錬鍛冶実験を通じて、そのときに使用した木炭および鍛錬工程で得られた鉄試料のAMS法による^<14>C年代測定を行い、その年代値の検討をおこなった。その結果、鉄中の炭素履歴は、鍛錬実験に用いる前の木炭とほぼ同一の年代を示し、鉄中の炭素履歴は、鍛錬の際に用いられた木炭に置き換えられることがわかった。これまでの一連の研究成果とあわせて、鉄製品中の炭素は、各製作工程ごとに用いた木炭の炭素に影響を受けて、鉄製品中の炭素履歴が置換されるため、鉄製品に内在する炭素を抽出して^<14>C年代測定をおこなうことにより、古代の鉄製品に直接的に年代を付与することが可能であり、その鉄製品の^<14>C年代測定を行うことの有効性を確認することができた。しかし、今回測定した試料の年代値の中には、測定年代に測定誤差を越えたばらつきや、測定試料に炭素同位体分別が生じたり、鍛錬に用いられた木炭と造られた鉄の^<14>C年代値に若干の時間差がみられることがあった。これらの事象を今後、解明してゆくことが古代の鉄製品の^<14>C年代を測定して行く上での課題として残った。
著者
中村 俊定
出版者
大法輪閣
雑誌
大法輪
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.58-62, 1953-09
著者
中村 俊幸 岸本 恭 下澤 信彦 小池 祥一郎 清水 忠博 久米田 茂喜 渡辺 豊昭 中澤 功 重松 秀一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.195-198, 2000-02-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

梅毒性直腸炎は報告が少なく,非常にまれな疾患である.今回われわれは同性愛者の梅毒性直腸炎の1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.患者は40歳の男性,同性愛者で過去に肛門性交歴があった.主訴は肛門からの出血と疼痛で,内視鏡で下部直腸に潰瘍性の病変を認めた.生検で病変部のTreponema pallidumが証明され,梅毒性直腸炎と診断された.
著者
中澤 高清 中村 俊夫 吉田 尚弘 巻出 義紘 森本 真司 青木 周司
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

地球表層における温室効果気体の変動と循環の実態を明らかにするために、系統的観測や循環モデルの開発を基にした広範にわたる研究を実施した。得られた結果を要約すると以下のようになる。(1)CO_2、CH_4、N_2O,CO,HCFC,HFC、PFC,SF_6などの温室効果気体の濃度と同位体比を、日本上空、太平洋上、シベリア、南極昭和基地、北極スビッツベルゲン島などにおいて組織的に測定し、近年におけるこれらの時間的・空間的変動およびそれらの原因や支配プロセスを明らかにした。N_2Oについては同位体分子種の測定を世界に先駆けて行い、その結果を基にして発生・消滅過程の定量的解析を試みた。また、得られたCO_2濃度とδ^<13>Cの測定結果を同時解析することによって近年の人為起源CO_2の収支を推定するとともに、HCFC,HFC,SF_6の観測結果を南北2ボックスモデルで解析することによりそれらの放出量の時間変化を詳細に検討した。(2)全球三次元大気輸送モデルを開発し、濃度と同位体比を基に近年におけるCO_2およびCH_4の循環を定量化するとともに、高空間分解能の全球生態系モデルを用いて炭素循環における陸上生物圏の役割を解明した。また、全球海洋物質循環モデルを開発し、CO_2交換を基本的に支配する大気-海洋間のCO_2分圧差およびOCMIPプロトコルに基づいた海洋の吸収量を推定した。N_2Oについてはマルチボックスモデルを構築し、過去500年間の大気中濃度の再現を行った。(3)大気-岩石圏における炭素循環の理解を向上させるために、観測に基づいて化学風化に伴う炭素フラックスおよび地下深部から大気へのフラックスの評価を行うとともに、炭素循環におけるサンゴ礁の寄与を検討し、その役割がザンゴ礁によって異なることを明らかにした。
著者
中村 俊一郎 寺西 武夫 青木 美珠代
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.461-467, 1982
被引用文献数
3 8

セルリー種子の発芽促進に対するベンジルアデニン(BA), ジベレリン(GA<sub>3</sub>又はGA<sub>4</sub>)及びポリエチレングリコール(PEG)6000溶液処理の効果を調査した. またホウレンソウ種子ではPEG処理の発芽促進効果とともに, 処理後の乾燥貯蔵の可能性を調査した.<br>1. セルリー種子は20°Cを越えると発芽率が低下した. 発芽促進剤としてはBAが有効で, GA<sub>4</sub>も効果があるが, GA<sub>3</sub>は無効であった.BAとGA<sub>4</sub>とを併用すると最も有効であった.<br>2. セルリー種子はPEG処理によって発芽速度が早まり, 又25及び30°Cでの発芽率が上昇した.<br>3. 処理期間は7日間でも大きな効果が見られたが, 14日間処理すれば効果は更に増大した.<br>4. 処理温度は, 種子ロットによって, 15°Cが好適な場合と, 20°Cが好適な場合とがあった.<br>5. PEG処理中に光線を与えることによって, 処理効果が増大した.<br>6. PEG溶液中にBAを加えることによって処理効果が増大した. しかしGA<sub>4</sub>を加えても効果の増大は見られなかった.<br>7. ホウレンソウ種子もPEG処理によって発芽速度が早まり, 30°Cでは発芽率も増大した.<br>8. ホウレンソウ種子をPEG処理後, 7日ないし14日間貯蔵した時, 発芽率の低下は見られず, 発芽速度の減少も僅少にとどまった.
著者
島崎 邦彦 中田 高 中村 俊夫 岡村 眞 千田 昇 宮武 隆
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

別府湾中央断層および北西部の三名沖断層、沖の瀬沖断層において音波探査およびピストンコアリングによる堆積物採取を行った。別府湾中央断層では過去6300年間に最大20mの上下食い違い量が見いだされている。この最も活動度の高い部分でコアリングを行い、断層の南北両地点で海底下16mを超える深度までの連続不撹乱試料を得ることができた。断層を挟む堆積物の対比結果により、海底面から海底下約2.5mまでは大きな上下食い違いを生じていないことが明かになった。年代測定の結果を考慮すると、過去1000年間この断層からは大きな地震が発生していないと結論される。しかし、断層の北側海底下2.5mから5mまでの間に、断層の南北で約7mの上下食い違いを生じている。この約7mの上下食い違いは年代測定の結果によると、2000年前から1000年前までの間に生じたと推定される。対比面の数が少ないため決定的な議論はできないが、約2000年前に7mの上下食い違いを生ずる大地震が発生した可能性がある。(他の可能性は、2000年前から1000年前までの間に複数回地震が発生した。)過去6300年間に約20mの上下食い違いを生じているので、一回の地震で7m食い違いを生ずるとすれば、過去6300年間に3回地震を発生したはずである。平均繰り返し間隔は約2000年となる。これは、昨年度の研究によって明かとなった中央構造線活断層系西部の松山沖の部分の繰り返し間隔とほぼ等しい。この両者はほぼ同じ時代に地震を発生している可能性があり、80km近く離れているが、力学的になんらかの連動性を持っているのかも知れない。中央構造線活断層系の四国中央部、および四国東部の部分も同様な繰り返し発生間隔であるとの推定があるが、最新の地震活動は、いずれも2000年前より新しい。このため現在の地震発生ポテンシャルは、西部の松山沖が最も高いと考えられる。同様に、別府湾中央断層も地震発生ポテンシャルが相対的に高いと結論される。
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-84, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall
著者
中村 俊之 植田 邦彦
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.125-137, 1991-12
被引用文献数
3

カンサイガタコモウセンゴケDorosera spathulata ssp, tokaiensisの分類学的再検討を行った結果,コモウセンゴケD. spathulataとモウセンゴケD. rotundifoliaの雑種起源の分類群であり,独立種として認識されるべきものであるとの結論に達した。従って,学名をDrossera tokaiensis (Komiya & C. Shibata) T. Nakamura & Uedaとし,通称名であったカンサイガタ(関西型)コモウセンゴケを改め,標準和名としてトウカイコモウセンゴケを提唱する。トウカイコモウセンゴケは種子の形態,大きさ,腺毛の発達する部分の葉長に対する比,托葉の形態,裂片数においてコモウセンゴケとモウセンゴケの中間型を示す。また核型は,トウカイコモウセンゴケが2n=60=20L+40Sであり,モウセンゴケの2n=20=20Lとコモウセンゴケの2n=40=40Sの双方のゲノムを有している。なお,これまで葉形についてコモウセンゴケはヘラ型,トウカイコモウセンゴケはスプーン型とされてきた。東海地方では通常確かにそうであるが,近畿地方の集団に顕著にみられるように後者にもヘラ型的な個体が多く,両者の識別点にはならない。形態上の識別点として有効なのは托葉の形態である(Fig. 10)。さらに,トウカイコモウセンゴケは核型と托葉の形態を除けば,東海地方と近畿地方の集団では形態上かなりの点で異なっていることが判明した。この差異がトウカイコモウセンゴケが分類群として成立してからの分化なのか,異なった起源によるのかは今後の課題である。トウカイコモウセンゴケがコモウセンゴケの関西型として認識されだしたのは1950年代後半ごろからのようであり,新分類群として記載されたのは1978年である。しかし,東海,近畿地方の植物誌などでは本種には言及されず,どちらもコモウセンゴケとして扱われてきた。現在の分布状況から判断すると,そのほとんどはトウカイコモウセンゴケであると思われるが,判断は不可能である。湿地が急速に失われていく現状では標本が保管されていない産地にどちらの種が生育していたのか調べようがなく,不明のままであることが多い。改めて,公的機関での永続性のある標本の蓄積の重要性を認識した次第である。
著者
南 雅代 Minami Masayo 中村 俊夫 Nakamura Toshio 平田 和明 Hirata Kazuaki 長岡 朋人 Nagaoka Tomohito 鵜澤 和宏 Hoshino Keigo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.18, pp.134-143, 2007-03 (Released:2010-06-10)

During the past several decades, many medieval skeletons were excavated from archaeological sites in the Yuigahama area, Kamakura, Japan. The excavations yielded more than 5,000 individuals in varying states of preservation from the Zaimokuza, Seiyokan, Yuigahama-minami and Chusei Shudan Bochi sites. Medieval Kamakura was an ancient capital of the Kamakura Shogunate, and a lot of people lived in Kamakura with high population density. The human skeletons excavated from the Zaimokuza site are reported to be humans dead by competition at the end of the Kamakura Shogunate, but a detailed study on dating of the human skeletons has not made yet. In this study, we measured ^<14>C ages, together with carbon and nitrogen isotope ratios, of human skeletal remains excavated from the Yuigahama-minami site and Chusei Shudan Bochi site. The δ^<13>C and δ^<15>N were not different between human skeletal samples of both sites, while the ^<14>C ages were different between them: The human bones of the Yuigahama-minami site are 100 year younger than those of the medieval collective-cemetery site. All of ages of human skeletons from both of the sites are older than the latest Kamakura period. The δ^<13>C and δ^<15>N values of the medieval Kamakura people are higher than those of terrestrial mammals, indicating that they exploited some amount of marine fish and/or mammals with higher δ^<13>C and δ^<15>N as protein sources. Therefore, the ^<14>C ages obtained for human skeletons could be order than the true ages. ^<87>Sr/^<86>Sr isotopic ratios of human skeletons of the Yuigahama-minami site tend to be higher than those of the Chusei Shudan Bochi site. Soils, plants and animals feeding on them in a given locality have ^<87>Sr/^<86>Sr values that generally mirror underlying bedrock composition, and thus ^<87>Sr/^<86>Sr ratios of human skeletons are useful tools for assessing migration in prehistory. The result obtained in this study suggests that Yuigahama-minami humans and Chusei Shudan Bochi humas lived in different areas. More skeleton samples should be analyzed for determining detailed ^<14>C ages of humans excavated from the Yuigahama sites, and for estimating migration of prehistory of the medieval Kamakura humans.
著者
根立 研介 中村 俊春 平川 佳世 武笠 朗 深谷 訓子 皿井 舞 武笠 朗 田島 達也 深谷 訓子 劔持 あずさ 皿井 舞 宮崎 もも 中尾 優衣
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

平成22年度は、研究代表者の根立は、8月下旬から9月初旬にロンドン・大英博物館、ウィーン・応用美術館、ケルン・東洋美術館を、また12月下旬中国・寧波・寧波市博物館及び蘇州・蘇州市博物館等を訪れ、日本の鎌倉・江戸時代の彫刻及び日本の古代・中世彫刻の規範である中国の南北朝・唐・宋彫刻の調査を実施し、資料収集を行った。また、国内では、霊験仏として名高く、模刻も盛んに行われた奈良・長谷寺十一面観音像の室町時代の模刻像の調査(於鳥取県倉吉市・長谷寺)等を実施した。分担者の中村は、昨年度に引き続き、西洋バロック美術の模倣と創造の問題に関して資料収集を行った。また、21年度から分担者となった平川は、9月にルーブル美術館(パリ)、サバウラ美術館(トリノ)、ドーリア・アンフィーリ美術館(ローマ)を訪れ、ルネサンス以降イタリアの宮殿装飾として定着した古代ローマの表象において北方ヨーロッパにおける伝播を確認する調査を実施した。連携研究者は、個々人のテーマを進展させたが、特に武笠朗は昨年度に引き続き、善光寺式三尊像の模刻を巡る研究を進展させた。なお、研究代表者根立は、本研究のテーマとも密接に関わる霊験仏の問題を『美術フォーラム21』22号(2010年11月発行)で特集として編集するとともに、根立、武笠が論考を発表した。なお、最終年度に入った本研究の成果を検討する研究会を、10月3日に実施し(第二回目は、東日本大震災の影響もあり中止となった)、活発な意見交換を行った。また、3月下旬には、研究代表者・同分担者・連携研究者8人の研究成果の論文を掲載し、この科研を総括する報告書を刊行した。