著者
中村 覚 高嶋 朋子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.56-60, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
11

日本社会においても、文化的資産としてのデジタルコンテンツを整備し共有することの意義が着実に認知されつつあるなかで、デジタルな研究資源を生かしたデータベース等の継続が立ち行かなくなるケースが散見される。そこで本研究では、デジタルアーカイブをいかに存続させるかという課題に対して、持続性と更には利活用性までを考慮したデジタルアーカイブ構築について、技術面に特化した手法を提案する。また実際にデジタルアーカイブを構築および活用を行うことで、提案手法の有用性を検証する。
著者
伊藤 惇貴 加納 政芳 中村 剛士 小松 孝徳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.364-371, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

Onomatopoeias refer to words that represent the sound, appearance, or voice of things, which makes it possible to create expressions that bring a scene to life in a subtle fashion. Using onomatopoeias therefore makes process of robot motion generation more easily and intuitively. In previous research, objective quantified values of onomatopoeias have been used as indices of robot motion. In Japanese language, however, onomatopoeias also include mimetic and emotive words. Impression of these words arises from the experience of each people, therefore, its impression might differ among people. In this paper, we propose a method for adjusting the objective quantified values (sound symbolism attributes) of onomatopoeias. Using our method, users of robots are able to create its motions representing the user's image better.
著者
佐藤 祐磨 中村 嘉隆 高橋 修
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2016-CSEC-72, no.25, pp.1-6, 2016-02-25

近年,Drive-by Download 攻撃の被害が増えている.Drive-by Download 攻撃は特定のサイトに訪れたユーザにマルウェアをダウンロード,実行させる攻撃である.Drive-by Download 攻撃においてエクスプロイトキットが利用される攻撃が見られる.そこで URL のパス・クエリ部のパターンや特徴を基に,エクスプロイトキットで利用される悪性 URL の検出手法を提案する.
著者
中村 尚史 Nakamura Takashi
雑誌
川崎医学会誌 = Kawasaki medical journal (ISSN:03865924)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-11, 2014

思春期,青年期の適応障害患者において広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders,PDD)を基盤にもつ患者の割合を検討し,その場合,どのような臨床的特徴があるかを調査し,PDDの有無に関連する要因について検討した.DSM-IV-TR(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fourth Edition,Text Revision)によって適応障害と診断された12歳以上30歳以下の患者58名を対象とし,以下の自記式質問紙を用いて臨床的特徴を評価した.精神症状の評価は,日本語版パラノイアチェックリスト(JPC:Japanese version of Paranoia Checklist),思春期の精神病様体験(PLEs:Psychotic Like Experiences),精神症状評価尺度(SCL-90-R:Symptom Checklist-90-Revised)を用いた.PDDの評価については,詳細な養育歴の聴取と,患者に対して自閉症スペクトラム指数日本版(AQ-J:Autism Spectrum Quotient-Japanese Version)を用いて,養育者に対しては,自閉症スクリーニング質問紙(ASQ:AutismScreening Questionnaire)を用いて総合的に判断し評価した.その結果,1)58名のうち,PDDと診断されたのは,32名(55.1%)であった.2)AQ-Jについては,PDDの有無に関してコミュニケーションが有意な関連性を示した.3)JPCについては,PDD群が,非PDD群と比較して総得点,確信度において有意に高い結果となった.PDDの有無に関して,確信度が有意に関連していた.4)SCL-90-RについてはPDD群では,恐怖症性不安,妄想,精神病症状,強迫症状,対人過敏,抑うつ,不安,その他の8項目において非PDD群に比較して有意に高かった.PDDの有無に関して強迫症状が有意に関連していた.5)各質問紙の総得点とPDDとの関連を見ると,JPCの総得点のみがPDDと有意な関連性を示した.思春期,青年期の適応障害患者では,PDDを基盤にもつと,被害妄想や,強迫症状など様々な精神症状を自覚する可能性があり,JPCなど質問紙も併用して,PDDの存在を念頭において診療を行う必要があることが示唆された.
著者
菅波 盛雄 斉藤 仁 廣瀬 伸良 中村 充 林 弘典 増地 克之
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-12, 2005

IJFは2001年までは「判定方式」,2002年からは「ゴールデンスコア方式」を採用している。本研究は,2000年から2003年までの4年間に国際柔道連盟が主催した4大会を対象として,試合終了時に両試合者のスコアが同一であった試合の分析を試みた。<br>2000年世界Jrナブール大会と2001年世界選手権ミュンヘン大会,全1,356試合の中で「判定」によって勝敗が決したのは73試合(5,4%)であった。2001年世界Jr済州島大会と2003年世界選手権大阪大会,全1,285試合の中で「GS」によって勝敗が決したのは42試合(3.3%)であり減少がみられた。<br>「判定」によって勝敗が決した73試合を施技ランクB,Cおよび組み手主導権の3項目で比較した結果,審判員の判定が3対0の時にプラスポイントが確認された選手が勝ちとなったのは73,8%であった。一方,2対1の時はプラスポイントでの勝ちが41.9%と減少がみられたことから,全員一致の判定の困難さが窺える。<br>同様の手法で「GS」に入る前の試合分析から,「GS」への移行が妥当と判断されたのは11試合(26.2%)であり,残りの31試合(73.8%)は項目比較によって優劣に差がみられた。「GS」導入によって試合時間は「判定方式」に比べて長くなるが,「判定」に対する「GS」の試合時間比は4分の試合で1.43倍増に対して,5分では1.28倍と減少が認められた。<br>「GS方式」の導入によって,試合終了時に同一スコアとなる試合が激減した。また,実質上の試合時間を抑制する傾向が窺え,延長時間の問題も許容範囲であると言える。「GS」による試合は,罰則よりもポイント取得によって勝敗が決する方向にあり,勝負判定の客観化を推進するためには有効な改正であった。
著者
中村 豪志 棚田 大輔 岡村 佐紀 乾 貴絵 土井 陽子 宮脇 弘樹 廣瀬 宗孝 木村 健 清水 忠 田中 明人 馬渕 美雪
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.231-239, 2021 (Released:2021-07-15)
参考文献数
28

メサドンは血中濃度の定常状態に日数を要し7日間増量できず,血中濃度や薬効の個人差も大きく早期効果判定が難しい.日本人がん患者の血中濃度等に関する報告はほとんどないため,血中濃度と疼痛スコア(NRS)の変動,血中濃度の変動因子等を検討した.血中濃度と相関があったのは体重換算投与量のみであった.有効例ではNRSは投与開始後7日目まで経時的に低下し,1日目から有意差が認められたが,無効例では3日目まで低下傾向にあったがそれ以降変化がなかった.血中濃度は有効例では7日目に110 ng/mlまで上昇し,無効例ではすでに3日目にその濃度に達し,血中濃度と薬効に相関はなかった.各個人の血中濃度は3日目以降緩やかな上昇あるいは低下傾向にあったが,1例のみ上昇し続けた.以上より,早期に効果判定できる可能性が示されたが,血中濃度が7日目まで上昇し続けた例もあったことから,早期の増量は慎重に行うべきと考えられた.
著者
中村 公枝
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.254-262, 2007-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
18
被引用文献数
7 3

乳幼児期の聴覚活用と言語習得について以下の観点から考察を加えた. (1) 聴覚・コミュニケーション・言語習得, (2) 聴覚活用と言語習得の関係, (3) 聴覚障害乳幼児の音声言語習得上の課題と対応.聴覚障害児の聴覚活用とは, コミュニケーション場面での意味ある聴覚的経験を通して「能動的な聴くシステム」を形成することである.そのための必要事項として, (1) 前言語的コミュニケーション, (2) 語彙習得, (3) 文法習得, (4) リテラシーと談話理解の4つを取り上げ, そこでの課題と対応を明らかにした.なかでも音声言語習得に必要な情報処理として統語構造処理の重要性について述べた.また最大限の聴覚活用をするために視覚を活用することの意義と重要性についても言及した.
著者
神崎 雄一郎 門田 暁人 中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.755-767, 2004-06-01
被引用文献数
9

本論文では,プログラムに含まれる多数の命令をカムフラージュ(偽装)することにより,悪意をもったユーザ(攻撃者)によるプログラムの解析を困難にする方法を提案する.提案方法では,プログラム中の任意の命令(ターゲット)を異なる命令で偽装し,プログラムの自己書換え機構を用いて,実行時のある期間においてのみ元来の命令に復元する.攻撃者がカムフラージュされた命令を含む範囲の解析を試みたとしても,ターゲットの書換えを行うルーチン(書換えルーチン)の存在に気づかない限り,プログラムの元来の動作を正しく理解することは不可能である.解析を成功させるためには,書換えルーチンを含む範囲についても解析する必要があり,結果として,攻撃者はより広範囲にわたるプログラムの解析を強いられることとなる.提案方法は自動化が容易であり,要求される保護の強さ,及び,許容される実行効率の低下の度合に応じて,ターゲットの個数を任意に決定できる.
著者
中村 善行 増田 亮一 藏之内 利和 片山 健二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.433-438, 2016-10-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

糊化開始温度の異なるデンプンを含むサツマイモ3品種(「ベニアズマ」,「ほしキラリ」,「クイックスイート」)の塊根を蒸した後に残存する総アスコルビン酸の含量をデンプン糊化度およびマルトース含有率と併せて測定した.糊化開始温度が約75℃の「ベニアズマ」,約65℃の「ほしキラリ」,約55℃の「クイックスイート」の総アスコルビン酸残存率はそれぞれ約57%,約71%,約80%で,糊化開始温度の低い品種ほど残存率が高かった.一方,細胞内デンプンの糊化およびマルトース生成が認められる塊根加熱温度は糊化開始温度が低い品種ほど低く,マルトース含有率が高いほどアスコルビン酸残存率が高くなった.これは加熱塊根におけるマルトースの存在がアスコルビン酸の分解抑制に関与することを示していると考えられた.さらに,加熱してもマルトースが生成しないサツマイモ「オキコガネ」やジャガイモの総アスコルビン酸残存率は約50%と上記3品種より低かった.以上の結果から,蒸したサツマイモではマルトース生成が総アスコルビン酸の含量低下を抑制すること,およびデンプン糊化温度の低いサツマイモ品種はアスコルビン酸含量の維持に有効であることが示唆された.
著者
松井 太衛 中村 優太
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.32, no.189, pp.J127-J131, 2020-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
51

ABO血液型は赤血球をはじめ上皮細胞表面や分泌体液中に広く存在するが、その生理的な機能は明らかではない。出血時に血小板を傷口につなぎ止め、血栓形成を担うフォンウィルブランド因子(VWF)は、血液型糖鎖の機能解明に1つの鍵を与えている。VWFは血液型を持つ少数の血漿タンパク質の1つである。血液型はVWFの血中濃度に影響を及ぼし、O型では非O型に比べて25%ほど低い。また、O型は非O型に比べて虚血性心疾患や血栓性疾患になるリスクが低いが、その反面、救急搬送された患者では、O型で出血死のリスクが高いことが明らかになり、これらにVWFが関わる可能性が示唆されている。O型患者のVWFは生理的な切断酵素であるADAMTS13への感受性が高いことから、A型およびB型糖鎖がVWFを切断酵素から防御している可能性が考えられる。血漿タンパク質における糖鎖の役割としては、シアル酸残基がプロテアーゼなどの種々の加水分解酵素に対する保護作用を持つことや、続いて露出するガラクトース残基がアシアロ糖タンパク質受容体によるクリアランスマーカーとしての役割が考えられてきたが、血液型糖鎖が中性の保護基として機能する可能性が示され、VWFを通して血液型糖鎖の新たな役割の解明が期待される。
著者
佐川 穣 中村 栄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.310-316, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

コロナ,第4次産業革命・DX,気候変動やグローバルサプライチェーンの寸断等の影響により,「不確実性」が高まる環境下,企業は,競争力を高めるDXと同時に,持続可能性が求められている。当社では,「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値の向上」との好循環を目指すという考え方の下,「事業高度化」のためのデジタルトランスフォーメーション推進の1つの柱としてIPランドスケープ(IPL)を導入し,その活動を推進している。本稿では,サステナビリティ時代のIPLの貢献として,短期,中期,長期の3段階でのアプローチを紹介する。
著者
石田 和子 石田 順子 中村 真美 伊藤 民代 小野関 仁子 前田 三枝子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.53-61, 2005-03

外来で化学療法を受けている乳がん再発患者の日常生活上の気がかりと治療継続要因を探求することを目的に質的研究を行った。外来で化学療法を受けている乳がん再発患者を対象で本研究参加への同意が得られた10名であった。半構成的な面接によりデータを収集した。面接内容を逐語録に起こし,質的帰納的方法を参考に,患者の言動から日常生活上の気がかりと治療継続要因に関する言動をコード化し類似性に従いサブカテゴリー,カテゴリーと抽象化を行った。その結果は以下のようにまとめられる。1.外来で化学療法を受ける患者の日常生活上の気がかりは【抗がん剤を続けることの気かかり】【再発・転移が気がかり】【嘔気・嘔吐による体力の消耗】【倦怠感により動きたくとも動けない現実】【脱毛による活動範囲の縮小】のカテゴリーが抽出された。2.治療継続要因としては《抗がん剤治療へ託す生への希望》《変化した生活を補う人》《療養生活での癒し体験》のカテゴリーが抽出された。3.抗がん剤の副作用である嘔気・嘔吐・倦怠感は行動範囲の縮小が見られることから,症状マネジメントの方法や気分転換活動,患者教育を行う必要がある。4.抗がん剤の副作用である脱毛はボディイメージの変容により耐え難い苦痛であるため,脱毛の時期,受容の状況や考えを聞き必要に応じて指導や情報提供を行う必要がある。5.治療生活を支える要因とは,患者の長い治療生活を支えていくことであり,心理,社会的なサポートが重要な役割を果たすことが明らかになった。以上のことより,患者の外来治療時間を利用して看護師は,患者が治療を継続していく上での悩みや思いを自由に語れる場を提供する必要があることが示唆された。