著者
中村 隆
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究 (ISSN:18835074)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.33-44, 2014

新興国市場において、モジュール化が進展すると、日本企業の開発した製品は競争力を失う傾向がある。このような新興国市場における日本企業のジレンマを克服するためには、摺り合せの利点を活かしたプラットフォームを用いて品質と低コストを総合的に備えた製品を開発することが求められる。その具体例として、本稿は本田技研工業株式会社(以下「ホンダ」と略称)が開発したスーパーカブ(現地モデル)のタイ、ベトナム市場での事例を取り上げる。スーパーカブは、二輪車の中ではコモディティに近い製品ながら、新興国市場等で高い競争力を保持している。その背景には、摺り合わせ型のプラットフォームの完成度の高さに依拠する製品の品質の秀逸さと、サプライヤーとの組織間関係の革新による低コスト化の両立を図ったことがある。本稿の目的は、摺り合せ型プラットフォームにより品質等と組織間関係の革新による低コスト化を両立できれば、新興国市場でも競争力を保持できることを示すことにある。
著者
中村 隆
出版者
アジア経営学会
雑誌
アジア経営研究 (ISSN:13412205)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.137-150, 2015

One of the most important requirements, on a maker's side, for maintaining and strengthening the competitiveness of their product in emerging markets is that the maker should be able to make a wide range of satisfactory responses to their users' diversifying needs. For finely satisfying their users' diversifying needs, the customizability of their product is really important. Such customizability of a product complements its own ability to meet the users' needs. On the other hand, in good response to users' needs for being able to use a durable consumer product in a long term, after-sales service (such as repairs) by a maker and/or its affiliate as well as the quality and durability of their product itself are also essential requirements. Such customization and after-sales repairing are supposedly performed by product makers, but many cases of them in emerging markets are uniquely performed by other enterprises than such makers. This system is defined as After-Market. Its role is thought to help a product remain competitive and become more competitive in emerging markets. This paper examines an actual case of the abovementioned requirements. The author made researches on, for analytical purpose, country-tailored models of Honda's Super Cub sold and used in Vietnam and Cambodia, both of which are emerging economies. As a result, it has been found out that Super Cub is well-designed and structured for easy customization and repairs. Also it has been found that the existence of After Market associated with such customization and repairs of Super Cub models is one of the essential factors contributing to the strong competitiveness of Super Cub in such emerging countries.
著者
中村 好成 原 道也 張 敬範 花田 弘文 江本 玄 金宮 毅 内藤 正俊
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.758-761, 2000-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

We evaluated the use of manipulation under anesthesia in 5 knees as part of a retrospective study on 72 total knee arthroplasty cases (TKA) with osteoarthritis between September 1995 and May 1999. Manipulation was considered when intensive physiotherapy failed to increase flexion to more than 90° of ter 3 weekspostoperatiuly.The mean active flexion before manipulation was 67°. The mean final flexion achieved 104°. The mean gain was 37°.Between the manipulated patients and pativents requiring no manipwlatiow, the following parameters were assessed and compared; age, flexion, JOA, FTA, lateral release, and polyethylene?The manipulated patients in showed significant changes in FTA and used thick polyethylene.None of the patients showed supracondylar fracture, avulsion of the patellar tendon, myositis ossificans, and wound breakdown.

2 0 0 0 IR 癌と人.別冊

著者
中村 仁信
出版者
大阪癌研究会
雑誌
癌と人.別冊
巻号頁・発行日
no.38, 2011-06

放射線と発がん : 福島原発放射能漏れを考える
著者
渡辺智美 中村亮太 上林憲行
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.695-696, 2013-03-06

面接対策のための書籍はあるが, 面接者に良印象を与える話速の具体的数値や, 悪印象を与えてしまう音声フィラーの頻出等, 言語情報以外のコミュニケーション法に関する記載は少ない. 本研究では面接者が重視する受験者の話し方を構成する要素を明らかにするために, 本学で開講された模擬面接官養成講座の受講生を面接者とした模擬面接を実施した. その中で面接者による声の大きさ・話速・音声フィラー・繰り返し・沈黙の項目に対する4段階主観評価, 音声フィラー・繰り返し・沈黙の頻出数, 内容も含む面接印象評価の取得と, 逐語記録実施による話速分析を行った. その結果, 話速と声の大きさが面接者の印象評価に影響を与えていることが示唆された.
著者
吉岡 佑二 南角 学 伊藤 太祐 中村 孝志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A4P2081, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】股関節外転筋群は骨盤の安定性に関して重要な役割を果たし、歩行能力を左右する。股関節外転筋力が低下する代表疾患として変形性股関節症が挙げられるが、臨床現場においてはこういった股関節疾患の患者に対して背臥位での股関節外転運動により筋力トレーニングを行うことがある。同時に変形性股関節症患者で骨盤アライメント異常を呈している場合では、背臥位での股関節外転運動をスムーズに行えない症例を経験する。しかし股関節外転運動についての過去の研究では、股関節外転角度や屈曲角度の違いが股関節周囲筋の筋活動に及ぼす影響を検討したものが中心であり、骨盤肢位が股関節周囲筋の筋活動にどのような影響を及ぼすかは不明な点が多い。本研究の目的は、背臥位での骨盤肢位の違いが、股関節外転運動における発揮筋力および下肢と体幹の筋活動に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象は健常成人男性14名(平均年齢24.0±2.8歳)とした。測定肢位は安静背臥位を骨盤中間位とし、その肢位からの骨盤最大前傾位、最大後傾位の3条件とした。骨盤前傾には硬性スポンジを腰仙椎部に、後傾には仙尾椎部に挿入することで傾斜角度を調節した。それぞれの骨盤肢位において、一側下肢を股関節0度外転位から股関節外転の最大等尺性収縮を5秒間行わせ、そのときの発揮筋力および下肢と体幹筋の筋活動を測定した。股関節外転の最大等尺性収縮時の発揮筋力は、徒手筋力計(日本メディックス社製)を用いて測定し、抵抗位置は足関節の外果とした。大転子から外果までの距離を測定し、筋力値はトルク体重比(Nm/kg)にて算出した。筋電図の測定に関しては、測定筋を大腿直筋(RF)、大腿筋膜張筋(TFL)、中殿筋(Gm)の中部線維、腰部脊柱起立筋(LES)とし、表面筋電図計Data LINK(Biometric社製)を使用した。筋電図の波形処理は、測定した生波形から安定した3秒間を二乗平均平方根により平滑化し、各筋の最大等尺性収縮(MVC)時の筋活動を100%として各測定値を正規化し、%MVCを算出した。統計学的分析には反復測定一元配置分散分析と多重比較法を用い、有意水準は5%未満とした。【説明と同意】各対象者には、本研究の趣旨ならびに目的を詳細に説明し、参加の同意を得た。【結果】股関節外転運動時の筋力値は骨盤中間位で2.42±0.33Nm/kg、前傾位で2.13±0.27Nm/kg、後傾位で2.02±0.20Nm/kgであり、多重比較の結果、骨盤前傾位、後傾位のいずれも中間位に比べ有意に小さい値を示した。各筋の筋活動については、RFの%MVCは骨盤中間位で76.4±42.1%、前傾位で54.7±29.4%、後傾位で70.0±37.5%であり、骨盤前傾位では他の2条件に比べ有意に小さい値を示した。TFLの%MVCは骨盤中間位で99.2±36.8%、前傾位で84.6±36.0%、後傾位で96.7±44.2%であり、骨盤前傾位では中間位に比べ小さい傾向を示した(p=0.08)。Gmの%MVCは骨盤中間位で64.2±15.8%、前傾位で66.7±15.2%、後傾位で53.9±19.4%であり、骨盤後傾位では他の2条件に比べ有意に小さい値を示した。LESの%MVCは骨盤中間位で34.3±18.0%、前傾位で37.8±23.9%、後傾位で24.1±16.6%であり、骨盤後傾位では他の2条件に比べ有意に小さい値を示した。【考察】骨盤前傾位ではTFLが短縮位となることで股関節外転運動時のTFLによる筋出力が低下し、骨盤後傾位ではGmの中部線維が短縮位となることで股関節外転運動時のGmによる筋出力が低下すると考えられる。これらのことが要因となり、骨盤前傾、後傾位での股関節外転運動における発揮筋力は、骨盤中間位と比較して有意に低い値を示したと考えられた。以上から、背臥位での骨盤肢位により股関節外転に作用する筋群の走行が変化し、これが股関節外転筋の筋活動に影響を及ぼすことで発揮できる筋力にも関与することが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から、骨盤のアライメント異常がある股関節疾患患者に対してより効率的な股関節外転筋の筋力トレーニングを行うには、骨盤肢位を考慮することが重要であることが示唆され、本研究は理学療法学研究として意義のあるものと考えられた。
著者
大里 俊明 渡部 寿一 進藤 孝一郎 大熊 理弘 本庄 華織 杉尾 啓徳 麓 健太朗 上山 憲司 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.820-826, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
27

STA-MCA bypass術は主幹動脈閉塞性脳血管障害の再発予防を目的として現在広く行われている. しかし歴史的にbypass術に対する否定的な研究が発表された経緯があり, 同手術の有効性を証明すべく本邦で行われたJapanese EC-IC bypass Trial (JET study) によりその優位性が証明されるに至った. その後再びbypass術が否定されたCarotid Occlusion Surgery Study (COSS) が発表され, 現在もその検証が進んでいる. 今後JETとCOSSの結果の乖離を解明すべく周術期合併症を含めた本邦でのreal world resultsを発表していくことが必要と思われる. さらに急性期bypass術, 再生医療との協力などSTA-MCA bypass術の将来の可能性も期待される.
著者
萩野 浩一 小林 良彦 豊田 直樹 中村 哲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.655-658, 2019-09-05 (Released:2020-03-10)
参考文献数
23

歴史の小径ラザフォードの指導を受けた日本人若手研究者――S. Obaとは誰か
著者
森田 明雄 小西 茂毅 中村 順行 清水 絹恵 横田 博実
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-9, 2004 (Released:2004-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

日本で育成された緑茶用品種の中から29品種を選び,それぞれ一番茶生育期前(3月1日)の成葉と摘採適期の一番茶新芽を採取し,全窒素,全遊離アミノ酸,テアニン,タンニン,カフェイン,ビタミンC含量を近赤外分光法により測定した.その結果,一番茶では,育成年と茶の滋味に関係する全窒素,遊離アミノ酸並びにテアニン含量との間に正の相関が認められた.つまり,育成年が新しい品種ほどそれらの窒素成分含量が高かった.しかし,同じ窒素化合物でも,苦味成分であるカフェイン含量には育成年の新旧に応じた差はなく,また渋味成分であるタンニン含量は反対に育成年との間に負の相関が認められた.一方,一番茶生育期前に採取した成葉でも,一番茶と同様に育成年と全窒素,遊離アミノ酸,テアニン含量との間に正の相関が認められ,育成年の新しい品種ほどこれらの窒素成分含量が高かった.しかし,成葉においては,育成年とタンニン含量との間に有意な相関はみられなかった.また,一番茶と一番茶生育前の成葉の全遊離アミノ酸含量同士の間に正の相関が示された. 次に,上述の煎茶用品種の中から1960年以降に育成された10品種を選び,一番茶摘採前期,後期,終期に相当する5月4日,14日,17日の3回,一心五葉芽の一心三葉部分のみを採取し,全窒素含量と可溶性窒素(全遊離アミノ酸に相当)含量を分析した.その結果,いずれの収穫日においても,摘採適期に収穫した場合と同様に,育成年と全窒素並びに可溶性窒素含量との間に高い正の相関を示した. これらの結果から,チャの育種では,近年の栽培等の技術の進展を背景に,滋味成分である窒素成分含量が高く,渋味成分であるタンニン含量の少ない茶葉をもつ個体が選抜されたことが示された.また,摘採適期に収穫した一番茶以外でも,一番茶生育期前の成葉または摘採期前期から終期までの新芽の一心三葉部分のみを試料に用いた成分分析値も,チャの成分育種の効率化に有効な資料として活用できることが示された.
著者
一宮 昌司 中村 育雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.78, no.788, pp.794-810, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
62
被引用文献数
4 4

Investigations on the definition and randomness of turbulence was reviewed at first. Then, the Kolmogorov complexity which measures the randomness were introduced. Numerical and graphic data in the mixing layer which was formed downstream of two-dimensional nozzle exit were compressed with the aid of a compression program. Approximated Kolmogorov complexity, AK, and normalized compression distance, NCD, were obtained. The AK indicated the regularity of the laminar flow and the randomness of the turbulent flow quantitatively. The NCD of the numerical value varied with data length. Between the same data, it approached zero, yet, on the other hand, between different data, it approached unity as the data length increased. The NCD of the numerical value in the natural transition process in the mixing layer increased monotonically downstream. Thus the NCD appears to be the measure of the transition process. In the natural transition process in the mixing layer, the AK of the numerical value and the NCD of the graphic data did not change monotonously in the downstream direction. Thus they contain some uncertainty for the measure of the transition process.
著者
細川 徹 佐直 信彦 中村 隆一 砂子田 篤
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.475-482, 1994-07-18
被引用文献数
18

入院リハビリテーション後の在宅脳卒中患者217名を対象に,バーセル・インデックスと老研式活動能力指標を実施し,これから12項目版拡大ADL尺度を2次的に構成した.この尺度は1次元の階層性尺度であり,Guttmanの再現性係数は0.93,Menzelの尺度化係数はO.75,Mokkenの尺度化係数は0.83,またKR-20 信頼性係数はO.91であった,その得点に性差はなく,加齢に伴って有意に減少し,退院時の体幹・下肢運動年齢,上肢機能検査およびミニメンタノレステートと有意な正の相関があった.また,デイサービスやショートステイ,ホームヘルパー派遣などの利用者は未利用者に比べて有意に得点が低く,拡大ADL尺度は在宅脳卒中患者の機能的状態を敏感に反映していた.
著者
荒木 一視 岩間 信之 楮原 京子 田中 耕市 中村 努 松多 信尚
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100001, 2015 (Released:2015-10-05)

災害に対する地理学からの貢献は少なくない。災害発生のメカニズムの解明や被災後の復旧・復興支援にも多くの地理学者が関わっている。そうした中で報告者らが着目したのは被災後の救援物資の輸送に関わる地理学的な貢献の可能性である。 救援物資の迅速かつ効果的な輸送は被害の拡大を食い止めるとともに,速やかな復旧・復興の上でも重要な意味を持っている。逆に物資の遅滞は被害の拡大を招く。たとえば,食料や医薬品の不足は被災者の抵抗力をそぎ,冬期の被災地の燃料や毛布の欠乏は深刻な打撃となる。また,夏期には食料の腐敗が早いなど,様々な問題が想定される。 ただし,被災地が局地的なスケールにとどまる場合には大きな問題として取り上げられることはなかった。物資は常に潤沢に提供され,逆に被災地の迷惑になるほどの救援物資の集中が,「第2の災害」と呼ばれることさえある。しかしながら,今般の東日本大震災は広域災害と救援物資輸送に関わる大きな問題点をさらすことになった。各地で寸断された輸送網は広域流通に依存する現代社会の弱点を露わにしたといってもよい。被災地で物資の受け取りに並ぶ被災者の長い列は記憶に新しいし,被災地でなくともサプライチェーンが断たれることによって長期間に渡って減産を余儀なくされた企業も少なくない。先の震災時に整然と列に並ぶ被災者を称えることよりも,その列をいかに短くするのかという取り組みが重要ではないか。広域災害時における被災地への救援物資輸送は,現代社会の抱える課題である。それは同時に今日ほど物資が広域に流通する中で初めて経験する大規模災害でもある。    遠からぬ将来に予想される南海トラフ地震もまた広い範囲に被害をもたらす広域災害となることが懸念される。東海から紀伊半島,四国南部から九州東部に甚大な被害が想定されているが,これら地域への救援物資の輸送に関わっては東日本大震災以上の困難が存在している。第1には交通網であり,第2には高齢化である。 交通網に関してであるが,東北地方の主要幹線(東北自動車道や東北本線)は内陸部を通っており,太平洋岸を襲った津波被害をおおむね回避しえた。この輸送ルート,あるいは日本海側からの迂回路が物資輸送上で大きな役割を果たしたといえる。しかしながら,南海トラフ地震の被災想定地域では,高速道路や鉄道の整備は東北地方に比べて貧弱である。また,現下の主要国道や鉄道もほとんどが海岸沿いのルートをとっている。昭和南海地震でも紀勢本線が寸断されたように,これらのルートが大きな被害を受ける可能性がある。また,瀬戸内海で山陽の幹線と切り離され,西南日本外帯の険しい山々をぬうルートも土砂災害などに対して脆弱である。こうした中で紀伊半島や四国南部への救援物資輸送は問題が無いといえるだろうか。 同時に西日本の高齢化は東日本・東北のそれよりも高い水準にある。それは被災者の災害に対する抵抗力の問題だけでなく,救援物資輸送にも少なからぬ影響を与える。過去の災害史をひもとくと,救援物資輸送で肩力輸送が大きな役割を果たしたことが読み取れる。こうした物資輸送に携われる労働力の供給においてもこれらの地域は脆弱性を有している。     以上のような状況を想定した時,南海トラフ地震をはじめ将来発生が予想される広域災害に対して,準備しなければならない対応策はまだまだ多いと考える。耐震工事や防波堤,避難路などの災害そのものに対する対策だけではなく,被災直後から始まる救援活動をいかに迅速かつ効率よく実施できるかということについてである。その際,被災地における必要な救援物資の種類と量を想定すること,救援物資輸送ルートの災害に対する脆弱性を評価し,適切な迂回路を設定すること,それに応じて集積した物資を被災地へ送付する前線拠点や後方支援拠点を適切な場所に設置すること等々,自然地理学,人文地理学の枠組みを超えて,地理学がこれまでの成果を踏まえた貢献ができる余地は大きいのではないか。議論を喚起したい。
著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.1202020056, (Released:2012-02-16)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
竹内 孝 中村 和之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.75-84, 2018 (Released:2018-01-31)
参考文献数
4

The potteries were produced in various sites of southern Sakhalin region and the northern and eastern Hokkaido. These sites belonged to the Jomon culture, the Epi-jomon culture and the Susuya period of Okhotsk colture. The potteries were made by mixing sands in clay and the chemical composition of mixed sands contain geological information of the region where potteries were made. The chemical analysis of soil of potteries can estimate the product sites location. This technique can help clarify the product sites of each potteries and the route of delivery of the potteries.