著者
中村 洋介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震はMw9.0と有史以来に我が国で発生した最大規模の地震である。同地震と同じくマグニチュード9クラスの地震であるスマトラ沖地震は、2004年12月26日に発生した本震(Mw9.1)以降、10年弱の間にマグニチュード7~8クラスの余震が10回以上発生している。&nbsp;2011年東北地方太平洋沖地震と2004年スマトラ沖地震は、プレート境界で発生した低角逆断層型の地震でメカニズムが非常によく似ている。実際に、東北地方太平洋沖地震においても2011年3月11日の本震発生以降余震ならびに誘発地震が頻発し、現在もなお地震活動が活発である。気象庁によると、東北地方太平洋沖地震が発生した2011年3月から2013年3月までの2年間の間に、同地震の余震・誘発地震とみられる地震はM4以上が5794回、うちM5以上は753回である。現在のところ、最大余震は本震から30分後に茨城県沖で発生したM7.7であるが、本震から約1ヶ月後の2011年4月7日には宮城沖でM7.2の地震(スラブ内地震)が、本震から約1年9か月後の2012年12月7日には同じく宮城沖でM7.3の地震(アウターライズ地震とみられる)が発生している。&nbsp;また、誘発地震も数多く発生しており、本震の翌日の2011年3月12日には長野県北部を震源とするM6.7の地震ならびに秋田沖を震源とするM6.4の地震が発生している。本震から3日後の2011年3月14日には富士宮付近を震源とするM6.4の地震が、同3ヶ月後の2011年6月30日には松本市付近を震源とするM5.4の地震が、同1年11ヵ月後の2013年2月25日には栃木県北部を震源とするM6.2の地震がそれぞれ発生した。これらの地域は東北地方太平洋沖地震発生以後に地震活動が活発になった地域が多く、現在もなお地震活動が活発である。以上を考慮すると、東北地方太平洋沖地震もスマトラ沖地震と同様に、今後長期間に渡って余震・誘発地震が発生すると考えられる。<br>
著者
五十嵐 靖博 平尾 元尚 中村 延江
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.71-77, 2001-02-25
被引用文献数
3

本研究では化粧品使用量の操作が,被験者(女性33名,男性27名)によるモデルの化粧品使用度や魅力度の認知にどのような影響を与えるかを検討した。女性群,男性群ともに化粧品使用度の認知に関する評定は,化粧品使用量の操作に対応して変化しており,化粧品非使用条件では評定値が低く,多くの化粧品を用いた条件では評定値が高かった。ファンデーションや口紅,アイブローペンシル,アイシャドウを用いた化粧が女性群,男性群ともに魅力度が高かった。一方,化粧品使用量をさらに増し,頬紅やマスカラ,アイライナーを加えた条件の化粧品使用度の評定値が最も高く,魅力度の評定値はもっとも低かった。また化粧品非使用条件に対する魅力度の評定値も低かった。
著者
中村 節子 橋本 淳 川面 なほ 山下 満智子 東 あかね
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.171, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】京都府立宇治支援学校の学校給食は年間テーマを設定し、それに基づく給食の提供と掲示等による食教育を実施してきた。平成27年度のテーマは、和食への関心を高めるために「お精進」とし、動物性食品を使用しない給食を導入することを目的とした。【方法】平成27年4月から1年間、毎月19日(「食育の日」)と1月~2月の給食月間に4回、計15回を「お精進の日」とし、動物性食品を使わない精進献立を、1回につき基本食約420食、嚥下困難等への対応のための工夫食19食を提供した。但し、出汁に鰹節は使用し、飲用牛乳は提供した。基本食と工夫食の食材は一部を除き共通とした。児童生徒、保護者、教職員への啓発のために、食育の日には玄関に献立に関する情報を、給食室前には料理や使用食材の説明等を掲示し、食品・栄養学的、文化的背景を学ぶことができるよう工夫した。また「お精進の日」の献立15食の栄養学的評価を行った。高等部においては、生徒が生活単元学習で精進料理の調理実習をし、会食した。【結果】動物性食品を使わず、野菜、豆、イモ、海藻類等の植物性食品のみによる学校給食献立を15種類作成し、提供することができた。児童・生徒、教職員の喫食状況は一般食と変わりなかった。また15食の献立の栄養価計算を行い、平均値を学校給食実施基準と比較した結果、精進料理給食(学校給食実施基準)はマグネシウム107(80)mg、カルシウム392(350)mg、食物繊維5.8(5.0)gと学校給食実施基準を上回った。一方、食塩2.7(2.5)gが多く、ビタミンB1 0.29(0.4)mgが少なかったことは今後の課題である。本研究は京都府立大学地域貢献型特別研究の一環として実施。

2 0 0 0 悪性黒色腫

著者
栗原 浩幸 金井 忠男 金井 慎一郎 金井 亮太 赤瀬 崇嘉 中村 圭介 高林 一浩 神藤 英二 上野 秀樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.996-998, 2018-06-25

疾患の概念 悪性黒色腫(malignant melanoma)は,神経堤起源細胞でメラニン産生細胞であるメラノサイトに由来する悪性腫瘍であり,本邦における悪性黒色腫の罹病率は1.12人/10万人とされている1).消化管の悪性黒色腫は非常にまれであり,大部分は皮膚を原発としたものの転移である.消化管原発の悪性黒色腫の主な部位は,食道と直腸肛門部であり2),肛門部の悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の0.2%,直腸肛門部の悪性腫瘍の0.5%と極めて少ない3).好発年齢は50〜70歳代で,女性に約2倍多いとされる4). 症状は肛門出血が最も多く,肛門部腫瘤,肛門痛,便通異常などを訴える5).悪性度が極めて高く,早期からリンパ行性はもとより血行性に肺・脳・骨・肝などに転移を来す.
著者
蔵原 晃一 松本 主之 飯田 三雄 中村 昌太郎 松本 洋二 八尾 隆史 藤島 正敏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1287-1292, 1999-09-25

要旨 初回診断から10年以上にわたって,緩解を維持しているCrohn病の2例を呈示した.初回診断時,〔症例1〕は縦走潰瘍と狭窄を認める小腸大腸型,〔症例2〕は敷石像を主体とする小腸型Crohn病で,ともに中心静脈栄養で緩解導入後,半消化態栄養剤による栄養療法を経て11年および10年間無治療のまま緩解を維持している.呈示症例をさかのぼ及的に検討すると,初回診断時のX線所見のみから長期予後を予測することが必ずしも容易でないことが示唆された.
著者
三輪 美樹 中村 克樹
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.65, 2017

<p>南米原産のコモンマーモセット<i>Callithrix jacchus</i>は小型の新世界サルで,白い耳毛や長い尾を特徴とする。その尾の長さは体長と同等かあるいはそれより長いのが本来の姿であるが,飼育下においては部分的ないし全体的に欠損している個体が散見される。新生仔期に同居家族によって捕食されることが原因で,「尾食い」として知られている。我々はこれまでの研究で異味異臭の創傷治療薬ブルンス液塗布によって尾食い行為の継続を防止出来る可能性を見いだし,前々回の本大会で発表した。今回我々は,尾食い発現の発端は新生児の尾の形状にあり,その行為継続には味覚・嗅覚的嗜好が関与しているとの仮定のもと,Tail model testによる新生仔尾に類似した形状物に対する嗜好性検討および尾ぐい発現後のブルンス液塗布効果についての更なる検討を実施した。Tail model testで綿紐を用いて呈示形状の違いよる嗜好性の差を調べたところ,新生仔尾に類似した切り離し形状に対する嗜好性が最も高かった。新生仔の尾の形状がコモンマーモセットにとって齧り易いものである可能性が示唆された。また,ブルンス液塗布の効果を4家族の新生仔で確認したところ,尾食い発現当日から1日1回少量を尾先の患部に塗布することによっていずれの家族においても生後数日までには尾食い行為が終息し,新生仔の尾の欠損を軽微な状態で食い止めることが出来た。行為終息の要因には,味覚・嗅覚的嫌悪条件付けが功を奏した可能性に加えて,創傷治癒が促進されたことも関与するものと推察される。</p>
著者
中村 美智子 冨永 敦子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.45-52, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

学生チューターを活用した学習支援センターが日本の大学に定着している.しかし,チューターに求められる「学習支援力」とは何か,それを育成するチューター研修とはどのようなものかに関する知見は少ない.本稿では,この問題への探索的な試みとして,チューターによるスキャフォルディング・ストラテジーの分析を行った.分類されたモデル例をもとにストラテジーの習得を促すチューター研修について考察する.
著者
内村 真之 Faye Etienne Jean 嶌田 智 小倉 剛 井上 徹教 中村 由行
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series B, Botany (ISSN:03852431)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.129-150, 2006-09
被引用文献数
1

Halophila japonica sp. nov. is described from Japan. Although this entity has long been referred to as H. ovalis, data obtained from detailed morphological examination of field collections and herbarium specimens, geographical distribution records and ITS sequence analyses demonstrate that it is distinguishable from all other members of this genus and can be recognized as a new species. H. japonica is presently reported to occur from Ibusuki (Kagoshima Prefecture, Kyushu region, Japan) in the south, to Mutsu Bay (Aomori Prefecture, Honshu region, Japan) in the north. In order to better characterize H. ovalis materials from Japan, some observations on this species were also provided. As an outcome of this study, there are now four species of Halophila known from Japan: H. ovalis, H. euphlebia, H. decipiens and H. japonica.
著者
福田 敦子 花岡 澄代 喜多 淳子 津田 紀子 村田 惠子 矢田 眞美子 中村 美優 鶴田 早苗 松浦 正子 伊藤 佳代子 古城門 靖子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-45, 2004
被引用文献数
1

本研究の目的は、リアリティショックの潜在構造を明らかにして新卒看護職者の傾向を示し、今後の看護教育への示唆を得ることである。方法は、病院に就職した新卒看護職者275名を対象に、独自に作成した質問用紙を用いた調査を行い、因子分析により潜在構造を求めた。質問紙において用いたリアリティショック23項目に対する因子分析より、6因子『患者・家族との複雑な関係・対応』『職場における協働の仕方とシステム』『未経験の機器やケア』『ナースコールや電話への対応』『生命監視装置等のある環境』『患者の死亡や急変』が抽出され(α係数0.898)、『未経験の機器やケア』『ナースコールや電話への対応』『職場における協働の仕方とシステム』で各因子における平均得点が高かった。今回、各因子における平均得点が高かったのは看護実習においても経験することが難しい因子であった。今後は在学中の看護基礎教育および継続教育を含めて、臨床的なリアリティ認知を高める取り組みの必要性が示唆された。
著者
尾原 伸作 内本 和晃 小山 文一 中川 正 中村 信治 植田 剛 錦織 直人 藤井 久男 堤 雅弘 中島 祥介
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.156-162, 2014-02-01 (Released:2014-02-11)
参考文献数
20

非神経線維腫症I型の患者において,骨盤神経叢由来と考えられた悪性末梢神経鞘腫(malignant peripheral nerve sheath tumor;以下,MPNSTと略記)の1例を経験したので報告する.MPNSTの好発部位は四肢近位部,体幹,頸部とされている.また,MPNSTの約半数は神経線維腫症I型に合併するといわれる.症例は58歳の女性で,当院初診5か月前より肛門痛,左下肢の疼痛が出現した.各種画像検査の結果,骨盤内の直腸左壁に約10 cm大の腫瘍を認めた.骨盤内原発の神経原性腫瘍を疑い,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は骨盤底の後腹膜腔で直腸左側にあり,左骨盤神経叢と固着していた.病理組織学的検査所見では,紡錐形の腫瘍細胞の束状増殖があり,多核な腫瘍細胞もみられた.各種免疫組織染色検査でneurofilamentのみ陽性であった.核分裂像が400倍で1視野当たり7 cells認められ,左骨盤神経叢由来のMPNSTと診断した.術後約6年3か月経過した現在も無再発生存中である.
著者
中村 唯史
出版者
山形大学人文学部
雑誌
山形大学人文学部研究年報 = Faculty of Literature & Social Sciences, Yamagata University annual research report
巻号頁・発行日
vol.3, pp.29-44, 2006-02-20

日本のある種のマンガ(いわゆる「少女マンガ」)には,一時期,他の芸術にはない独自の言語位相が認められた。図1における中央部白ヌキの言葉は,その一例である。1981年にこのページに驚いた私は,その後少女マンガをよく読むようになったが,それは主としてこの位相に引かれたためであった。これはマンガを描く能力を持たない私のような者には,なかなか実現できない位相である。このような言葉は,他の芸術ジャンルでは,たとえマンガの隣接領域である文学やアニメにおいてさえ,作り出すことが容易ではない。白ヌキの言葉(「ハンプティ/ダンプティ/死んでしまった/白ねずみ, くだけた/ガラス/食べちゃった/お菓子,すべて/もとには/もどらない」) それ自体はいうまでもなく『マザーグース』の歌詞であり,文学の領域においてすでに実現されているものだ。したがってこの言葉が少女マンガ独自の位相を帯びているというのは,言葉それ自体によるのではない。この言葉と作中人物たちとの関係や,この言葉が作品世界で果たしている役割が,他の芸術ジャンルにはあまり見られないようなものなのである。この位相を持つ言葉は,形態面についていえば,吹きだしや枠で囲まれることなく,いわばむき出しで画面上に配置されている場合が多い。本稿はこの少女マンガ独自の言語位相の考察を目的とする。ただしここで対象とする言葉の位相は,1970年代から80年代にかけて発達し,一部の少年マンガや劇画にまで影響を及ぼしたものの,1990年前後を境に急速に衰退して,現在ではすでに少女マンガにおいてさえアクチュアルな位相とは見なされていない。1990年代以降に登場した描き手たちの多くは,この言語位相の使用を好まない。
著者
山田 徹志 宮田 真宏 中村 友昭 前野 隆司 大森 隆司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44010, (Released:2020-11-27)
参考文献数
25

本論文では,保育分野(就学前教育・養育)において「子どもの育ち」を解釈する為の新たな方策として,子どもの位置・向き情報から関心を推定する分析手法の開発について報告する.我々はこれまでの研究から保育者が経験的に子どもの関心を読み取る際,子どもの位置・向きという行動特徴量を参照することを示した.同時に,人による関心状態の評価に対してベイズ推定を用いることで定量化できることが示唆された.これらをうけ本研究では,記録した保育活動場面の映像データ中の子どもの位置・向き情報と関心の対象について保育者によるアノテーションを実施した.その後,人手による関心記述の行動尤度と機械学習(HMM法,LDA法)による行動尤度を比較分析した.結果,取得した保育活動場面における幼児18名の関心の傾向は位置・向き情報から推定可能であることが示された.
著者
中村,健之介
出版者
日本ロシヤ文学会
雑誌
ロシヤ語ロシヤ文学研究
巻号頁・発行日
no.11, 1979-10-10

Czeslaw Milosz's essay "Dostoevsky and Swedenborg" in his book "Emperor of the Earth" (Univ. of California P. 1977) interests us in the following two points: 1) the essay has made it sufficiently clear that Dostoevsky as a religious thinker had "the so-called scientific Weltanschaung". This fact helps us to understand without embarrassment Dostoevsky's materialistic reasoning as to the theological problems such as "Resurrection" or "the Other World". 2) C. Milosz finds Gnostic way of thinking in Dostoevsky's Christology, which can be tracted back through Saint-Simon and Fourier to Swedenborg. Here also, we feel, Milosz has shown a keen historical insight into the somewhat heretical Christology of Dostoevsky.
著者
中村 綱雄
出版者
拓殖大学
雑誌
経営経理研究 (ISSN:02878836)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.121-154, 2000-03-30

日本に開国を要求したのが旧世界の外交に批判的であった米国であったということも幸いし, 日本は幕末から明治にかけての内政改革を成功させることができた。日米両国はやがて通商面で深い関係を築く。条約改正交渉も米国は他国に比べ好意的であった。日清戦争後, 政治面では両国間には若干の波風が立つが, 第一次大戦後はワシントン体制の協調的関係に戻る。この間, 経済面では両国は通商・資本関係において緊密度を深める。満州事変以後は米国の対日貿易政策は厳しいものとなるが, 経済制裁に踏み切るのは1940年以後となる。そして日本は戦後再び米国による「開国」要求を受けることになる。
著者
宮本 仁美 中村 雅道 成田 修 横田 歩 森永 裕幸
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.477-533, 1999-11

この報告は, 第37次南極地域観測隊気象部門が, 1996年2月1日から1997年1月31日まで昭和基地において, 1996年1月23日から1997年1月24日までドームふじ観測拠点において行った気象観測の結果をまとめたものである。観測方法, 測器, 統計等は第36次観測隊とほぼ同様である。越冬期間中に特記される気象現象としては, 次のものがあげられる。1) 昭和基地においては7月から10月にかけて気温が平年より高めに経過し, 特に9月は月平均気温が平年値に比べ6.1℃も高かった。月平均気温は9月と10月に歴代1位の高温を記録した。2) 5月26日から28日にかけて発達した低気圧(ブリザード)に昭和基地が襲われ, 27日には最大風速44.3m/s(歴代3位), 最大瞬間風速61.2m/s(歴代1位)の強風を記録した。3) 昭和基地において, 8年連続で大規模なオゾンホールを観測し, オゾンホールが顕著だった10月, 11月のオゾン全量の月平均値は過去最低を記録した。特に10月の156m atm-cmは, これまで観測された月平均値の中で最小であった。4) 37次では36次に引き続きドームふじ観測拠点において越冬観測を行った。ドームふじ観測拠点における1996年の年平均気温は-54.4℃, 最低気温は5月14日に観測した-79.7℃であった。