著者
酒井 周 高橋 徹 中村 友紀子
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1_134-1_149, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
13

梁間方向が9mであるのに対し,桁行方向が最大で84mと非常に大きい辺長比を持つ建物を対象として,強震時及び常時微動の振動観測が長期間にわたって行われた.得られた記録に対して並進振動及び捩れ振動の成分に注目してフーリエ変換を用いた解析を行い,推定される卓越振動数が季節によって変動していることを確認した.さらに,コヒーレンスが低下する現象についても検討を行い,振動性状の詳細について考察を行った.また,比較的短時間の気温変化であっても卓越振動数が変化する例が見られた.
著者
鴨下 隆志 広瀬 武範 中村 哲夫 矢野 宏
出版者
一般社団法人 品質工学会
雑誌
品質工学 (ISSN:2189633X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.49-57, 1996-04-01 (Released:2016-03-24)
参考文献数
7
被引用文献数
2

In order to study the calibrating method and the error after calibration for a measuring system, the method to determine the dimensional measuring error of a component part through experimentation was discussed. The procedures of this method followed the guidelines described in JIS Z9090, measurement-General rules for calibration system, a standard established based on the concepts of quality engineering. The calibration was conducted by such new concepts. Up to present, the determination of measurement error has been ambiguous. But from this study, it was concluded that error can be rationally determined by one of the three practical cases of picking up the sources of error. lt is also stated in this paper that quality engineering approaches can be applied to determine the expanded uncertainty which is included in ISO Guide of the Expression of Uncertainty in Measurement.
著者
中村 伊知郎
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-68, 2020 (Released:2020-12-10)

近年、観光地のキャパシティを超えて外国人観光客が訪れるオーバーツーリズム(Over-tourism)または「観光公害」が深刻になっている。これに関する研究の多くは、自然観光資源での環境への過負荷やアーバンツーリズムでのインフラへの負担にのみ重点を置いている。しかし、現在の日本でのオーバーツーリズムは、日本の在留資格制度などの外国人政策の不十分さなどから、将来の低所得外国人の流入と定住、それによる社会負担の増大と福祉水準の低下、文化摩擦と治安の悪化という危機を招来しうる。 本稿では、観光をサービス貿易の形態から捉え、サービスを提供する外国人の流入と定住がどのように起こり、それが今後どのような問題をもたらすのかを考察し、その対策としての政策を提示した。
著者
佐々木 宏 中村 亨
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本計画は、「10Hzから10kHzまでの帯域で高感度を持つ電極タイプの深海底用電波アンテナシステムの開発と深海底のELF帯電波環境の情報を得ること。」を研究目的として平成10年度より3年計画で実施した。今回開発した電極タイプのアンテナは、その帯域を10Hz以上10kHz(ELF帯)までに置き、DC帯域では問題となった海水と極板との化学反応によるドリフト(最小でも3μV/day)を回避するシステムを考案し、実用化し、最小検出感度0.1μV/mを達成した。研究期間内での観測において、「1000m級の海底でのCOSEISMICな電磁信号の検出を目指す」としたが、浮上装置の電池の液漏れに起因する超音波送受信回路の故障により、50m水深(ロープによる海底装置の引き上げ限界)までのデータ取得とその解析になってしまった。しかし、沿岸部から約6kmでの測定から、千m以深での測定の可能性について推定できる結果を得た。以下に、得られた結果をまとめる。1.ステンレス板を用いた深海底用極板アンテナの開発に成功した。(極板と海底ケーブルとの繋ぎ、利得10万倍増幅器系(帯域10〜10kHz))。しかし、長期間観測用の記録系の開発は予算の関係もあり今回は見送った。2.海洋科学技術センター委託研究(研究課題「室戸沖南海トラフ域における海底変動と生物物質循環システムに関する基礎調査」)の観測航海にあわせてより深海での予備観測を実施した。900m水深で開発した電極アンテナシステムが故障なく稼動する事を確かめた。3.20m水深での結果から、海水を含まない岩石層内部で、対象とする信号の振幅が100mV以上であれば、今回開発したシステムで観測が可能な事を示した。50m水深のデータからは、大気中の信号振幅が1V以上なかったので、同様の可能性を示せなかった。しかし、FWT法による信号処理の見通しを付ける事が出来た。
著者
大西 みさ 足立 はるゑ 中村 小百合
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_83-1_89, 2004-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
50

本研究の目的は,糖尿病患者の指尖のSMBG穿刺痛を軽減する為に考案した氷冷法について,血糖自己測定法(SMBG)としての有効性と妥当性を検討することである。氷冷法とは,冷蔵庫で保管した2℃氷水に指を15又は20秒間浸して穿刺する指尖採血法である。対象は,A病院の糖尿病患者50名と健常人(医療スタッフ)20名であり,従来法と氷冷法を比較し,以下の結果を得た。1)氷冷法は冷却作用から痛覚が消失し従来法よりも糖尿病患者(p<0.01),健常人(p<0.001)共に痛み閾値が上昇した。2)氷冷法は一定の血液量が確保でき,従来法と同様に血糖値の誤差がほとんどなく,SMBGの妥当性に問題はなかった。このことから,氷冷法は指尖の穿刺痛が軽減できる新しいSMBG方法であり,穿刺痛による負担を軽減できることから糖尿病患者のQOL向上に貢献できる可能性が示唆された。
著者
大場 堂信 赤沢 佳代子 二宮 洋介 桐野 晃教 明丸 倫子 石本 智子 戸野 早由利 中村 輝夫 片岡 正俊 篠原 啓之 木戸 淳一 永田 俊彦
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.307-313, 2000-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

わが国で腎不全により人工透析を受けている患者は現在約18万人いると言われている。透析処置では腎臓のすべての機能を補うことはできず, 例えばエリスロポエチンの産生やビタミンD3の活性化といった生体にとって重要な反応が行われなくなる。これらの腎機能障害に由来した骨病変は透析患者にみられる主要な副作用の一つである。著者らは人工透析処置を受けている慢性腎不全患者は歯周病に対する感受性の高い集団ではないかと考え, その関連を追求するために透析患者38名の歯周組織診査を行った。対照群として同年代の健常者42名を選び, 同様の歯周組織診査を行った。CPITN (歯周治療必要度指数) を調べた結果, 透析患者群は対照群より高い値を示した (2.4±0.1 vs. 1.9±0.1; p<0.05)。CI-S (簡略化歯石指数) では, 2群間に有意差は認められなかった。欠損歯数では, 透析群の方が2.2倍多かった (6.1±1.3 vs. 2.8±0.8; p<0.05)。次に, 透析期間の違いによって患者を4グループに分けて分析したところ, 指標値に差は認められなかった。また, 透析患者の血中PTH (副甲状腺ホルモン) 濃度と歯槽骨レベルならびにCPITNとの相関を調べたが, 有意な相関は見い出せなかった。一方, 透析患者38名のうち7名が糖尿病由来で人工透析に至った患者 (糖尿病性腎症) であり, これらの患者のほとんどに重度の歯周炎が認められ, 残り31名の透析患者と比較すると, 欠損歯数の増加 (15.9±3.6 vs. 3.9±1.1; p<0.05) および歯槽骨レベル (%) の低下 (58±60 vs. 79±1; p<0.05) が認められた。さらに, 糖尿病性腎症以外の透析患者31名と対照群とを比較した場合, CPITNにおいて有意差が認められ (2.3±0.1 vs. 1.9±0.1; p<0.05), 糖尿病性腎症を除いた透析患者においても健常者より歯周病罹患度が高いことが示された。以上の結果から, 人工透析処置を受けている慢性腎不全患者の歯周病罹患度は健常人より高く, 慢性腎不全が歯周病のリスクファクターになりうる可能性が示唆されるとともに, 人工透析処置を受けている糖尿病性腎症患者はそれ以外の疾患由来の患者よりも重度の歯周病を有する傾向が強いことが示された。
著者
村上 俊之 中村 亮 郁 方銘 大西 公平
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.765-768, 1993-07-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
21 68

The paper describes a force sensorless control in multi-degrees-of-fredom robot. In the active com-pliant control, force sensor is attached to the robot to detect the reaction force. However it makes a structure of the robot system complicated. To improve this problem, we propose the force sensorless control strategy based on disturbance observer.First, a basic structure of the dusturbance observer is shown. Then the calculation process of the reaction force is also introduced. Second, the force sensorless compliant controller is constructed. The experimental results are also shown to confirm the validity of the proposed method.
著者
川崎 敏生 早瀬 睦 宮腰 明典 多喜 純也 中村 威彦 波多野 武人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.cr.2015-0002, (Released:2015-04-27)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

【目的】未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後に造影剤脳症と考えられる2 症例を経験したので報告する.【症例】症例1 は75 歳男性.右前大脳動脈に未破裂動脈瘤を認め,コイル塞栓術を施行直後から左上下肢不全麻痺を認めた.症例2は65 歳女性.未破裂左内頚動脈後交通動脈に対するコイル塞栓術直後から右上下肢不全麻痺と失語を認めた.2 症例共にCT にて患側大脳半球に高吸収域を認めたが,速やかに消失した.MRI では症状を呈するような虚血性病変は認められなかった.全身性痙攣も併発したが,完全に症状は消失し退院となった.【結論】造影剤脳症による合併症は稀ではあるが,血管内治療後の神経症状の原因として注意すべき病態である.
著者
中村 雅一 千原 典夫 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.277, 2014 (Released:2014-10-07)

自己免疫疾患におけるプラズマブラスト(PB)は自己抗体,あるいはサイトカイン産生により病態形成に寄与すると考えられる.実際に,全身性エリテマトーデスなどいくつかの自己免疫疾患では,末梢血PBの増減と病勢との関連が報告されている.また,PBはCD20の発現を欠くためRituximabの標的外であり,関節リウマチや特発性血栓性紫斑病などにおける同薬抵抗性例の存在は,自己免疫疾患におけるB細胞除去治療の標的としてのPBの重要性を示唆する.  私達は,中枢神経系の自己免疫疾患である視神経脊髄炎(NMO),及び多発性硬化症(MS)の臨床検体を用いてPBと病態との関連を検討してきた.NMOでは,CD138+ PBがCXCR3介在性に中枢神経系に浸潤し,IL-6依存性の生存,及び自己抗体産生により病態形成に寄与することを明らかにするとともに,Tocilizumab治療の有効性を確認した.また,古くから自己抗体介在性亜群の存在が指摘されるMSにおいても,一部の患者で末梢血IL-6依存性PBの増加を認め,これらの患者は既存治療抵抗性であることを見出した.従って,MSにおいてもPBは有力な治療標的になる可能性があり,MSにおけるPB研究は,これまでのランダム化比較試験結果に基づく画一的な治療薬選択から病態に応じたテーラーメイド治療への発展の契機となることが期待される.
著者
伊藤 雄太 隈 研吾 中村 航
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.716, pp.2365-2373, 2015 (Released:2015-11-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

There are many kinds of style in Japanese tea house, “Soan” / “Shoin”, “Rikyu” / “Samurai” / “Noble” and tea masters' preferences. The purpose of this research is to discuss the criteria of classification of tea house's style by studying the typological structure of the morphological composition of tea house derived from the multivariate analyses of qualitative data: presence or absence about 40 elements of 63 examples of tea house in 16-20th century. The result supports some of knowledge of historical knowledge and discusses new different tendencies of the morphological composition between the styles.
著者
作井 誠太 中村 正久 布村 成具 藤原 達雄
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.672-679, 1963-04-01 (Released:2010-10-12)
参考文献数
7
被引用文献数
3

The effect of the specimen width on the Charpy test was studied with specimens of hotrolled mild steel and quenched-and-tempered medium carbon steel, by recording the load-time relations under impact bending. Results obtained were summarized as follows:(1) The energy absorption in the ductile range was influenced by the specimen-width smaller than 4mm-the smaller the width, the lower the energy absorption per unit sectional area and it was found that the law of similarity was not satisfied in this case. On the contrary the maximum fiber fracture strength was almost constant for all the specimens, showing the applicability of the law of similarity.(2) Maximum fiber bending stress in fracture was the largest in the temperature range where the absorption energy was decreased almost to minimum value and the load-time curve of type I designated by the authors in the previous papers was obtained. (Tetsu-to-Haganeé 46 (1960) p. 141, 1538; Tetsu-to-Haganeé Overseas, 1 (1961) p. 38).(3) The brittle specimens tempered at a rather lower temperature after quenching, showed the type I or 11 load-time curves over all the testing temperature, and thus fractured thoroughly with only a crack, once started. It was found that in these tests the fracture strength scattered considerably.(4) The notch shape had an influence on the absorption energy for ductile fracture of the less ductile specimens with tempered martensite. It was concluded that the above effect was mainly due to the difference of the amount of deformation produced until the crack formation.(5) The transition temperature showed the same tendency to the changes of specimenwidth under any definition, rising as the width increased. However, the change of the transition temperature for the specimen-witdh larger than 6mm showed the considerablly different tendency from that of the specimen smaller than 4mm. Therefore, in the application of subsize specimen, it is desirable to use the specimen-width larger than 6mm. The effect of specimen-width on transition temperature was affected markedly by the types of the steels and their microstructures.
著者
民上 真也 柴田 みち 梅澤 早織 久恒 靖人 鈴木 規雄 中村 祐太 伊藤 彩香 水谷 翔 大貫 理沙 穐山 雅代 栃本 しのぶ
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-15, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
8

新型コロナウイルス (COVID‐19) の世界的な蔓延に伴い, 人々は感染予防対策として新しい生活様式を強いられている. 医療の現場においては, 院内感染対策の徹底, 一般診療とCOVID‐19診療の両立など, 新たな医療体制の構築が求められるようになった. 聖マリアンナ医科大学病院では, 本邦での感染者の発生当初より「神奈川モデル」の高度医療機関および重点医療機関協力病院として多くのCOVID‐19症例を積極的に受け入れて治療を行っている. 院内においては, 救命病棟の改装, コロナ専用病棟への改築, 発熱外来の設置など, COVID‐19診療支援体制の構築に努めてきた. 院内での感染対策としては, 手指消毒, マスク着用, ソーシャル・ディスタンス確保, 黙食など遵守事項の徹底が求められた.NST活動は, 感染予防のため医療者間の接触を最小限にしたチームの再編成が求められ, カンファレンスや回診などの活動も制限された. 他の多くの施設においても, 特に第1波の時期においてはカンファレンスや回診などのNST活動は制限され, また, 院内勉強会や院外での講演会も中止を余儀なくされたため, 従来の形で栄養を学ぶ機会が失われた.