著者
中村 真悟
出版者
日本環境学会
雑誌
人間と環境 (ISSN:0286438X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.13-35, 2018 (Released:2019-04-24)
参考文献数
39
被引用文献数
1

日本のPETボトルリサイクルの今日的特徴として,①食品衛生などの基準をクリアーする必要のある食品容器(トレイ,飲料容器)へのリサイクル用途が拡大していること,②使用済みPETボトルの取引が他のリサイクル制度の材料と異なり,市場取引化していること,③自治体ならびにリサイクル事業者がリサイクルプロセスと費用負担を担っており,飲料・容器業界がリサイクルプロセスや費用負担の面で実質的に関与していないこと,が挙げられる(2章)。日本のPETボトルリサイクルシステムは,500 ml以下の小型容器へのPET利用の条件であるPETのリサイクルシステムの構築を目的として,飲料・容器業界主導のもと生産技術の導入,容器の規格化,また自治体・小売事業者との協力関係のもと回収実験が行われた。これらの取り組みは容器包装リサイクル法(1995年6月成立)を通じて,制度化されリサイクルシステムが成立した(3章)。成立したリサイクルシステムは,自治体がPETボトルを回収し,容器包装リサイクル協会が仲介役となってリサイクル事業者が引取,リサイクルするというもので,飲料・容器業界らが引取,リサイクルに伴う費用を委託費用として支払うというものであった。しかし,2000年頃になると,国内でのPETボトル取引が「委託」から「市場」へと変化した。その背景には,回収PETボトルの高品位化,国内リサイクル事業者の新規参入,PETくず輸出の急増,飲料・容器業界による輸出構造の実質的容認が挙げられる。PETボトル取引の「市場」化により,多くのリサイクル事業者が撤退・倒産する一方,生産技術の高度化により食品容器や PETボトル用途へのリサイクルを行うリサイクル事業者が登場した(4章)。以上の過程を経て,飲料・容器業界はリサイクル原料の取引ならびにリサイクルプロセスの牽引役から,PETボトルの設計・開発を通じてのリサイクル原料の質的規定者ならびにリサイクル材の購買者としての重要性が高まったのである。
著者
安達 靖代 岩田 徳和 足立 靖 中村 浩子 菊地 剛史 中村 正弘 見田 裕章 吉田 幸成 木下 一郎 石井 良文 遠藤 高夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.532-541, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
30

IgG4関連自己免疫性肝炎と肝炎症性偽腫瘍の合併例を経験した.症例は80歳代女性.肝障害,IgG高値を認め自己免疫性肝炎を疑い肝生検施行,IgG4関連自己免疫性肝炎と診断された.その後肝腫瘤が出現,肝炎症性偽腫瘍と考えられた.IgG4関連自己免疫性肝炎はIgG4関連疾患の肝実質病変とされ,一方,炎症性偽腫瘍の一部もIgG4関連疾患と考えられている.両疾患の合併の報告はなく,貴重な症例と考えた.
著者
中村 哲子
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.22-25, 2012 (Released:2012-03-08)
参考文献数
14

Trauma studies, as consolidated in the 1990s from a trans-disciplinary perspective, have come to attach fresh significance to narrative production by trauma sufferers. William Trevor's The Story of Lucy Gault, a novel featuring a girl injured during the Irish War of Independence, describes the difficulties trauma sufferers have to face in constructing their own narrative for recovery and apprises the reader of their long suffering from a medical point of view.
著者
中村 颯篤 真鍋 義文
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.291-292, 2020-02-20

2敗した時点で敗退となる、ダブルイリミネーショントーナメント方式が一部の競技で採用されている。ダブルイリミネーショントーナメントにおいてわざと負ける戦略の有効性について述べる。早い段階でわざと負けて敗者復活戦のトーナメントに進んだ方が優勝する可能性が高くなる場合が存在することを示す。さらに、わざと負ける戦略が有効ではない、ダブルイリミネーショントーナメントの敗者復活戦の対戦相手設定法が存在しない場合があること、およびその場合にわざと負ける戦略が有効である場合を少なくすることのできる 対戦相手設定法を示す。
著者
中村 由行
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.229-233, 2010-02-15 (Released:2017-09-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3

Huge subaqueous borrow pits are widely distributed in coast of Japan as a result of dredging action for sandmining or other purposes. In this study, we first review the present status of the borrow pits in whole of Japan. The borrow pits can be classified into two categories: one is the flatten-out type that is typical in Seto Inland Sea, and the other is the depression type that are widely distributed in whole country. The latter type are often steep sided and much deeper than the surroundings. Water circulation inside of the pits is strongly inhibited and organic materials are easily accumulated in the bottom of the pits and therefore, water quality deterioration such as development of severe oxygen depletion is often observed. Therefore, some remediation actions are urgent task to restore damaged ecosystems. Recontouring, which is one of the promising methods to restore the damaged ecosystems, has been conducted in the borrow pits in Mikawa Bay by using maintenance dredging sediments. In the latter half of this paper, we report the outline of the restoration action and main results of a research project which aims to develop evaluation methods to estimate beneficial effects of the recontouring on the coastal environment. In the research project, we successfully developed a comprehensive procedure to predict the response of benthic community structure and their purification function after restoration actions conducted in the Mikawa bay.
著者
中村 衛 松本 剛 古川 雅英 古本 宗充 田所 敬一 田所 敬一 安藤 雅孝 古川 雅英 松本 剛 古本 宗充
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

琉球海溝に固着域が存在するか否かを明らかにするため、中部琉球海溝で海底地殻変動観測を開始し、琉球海溝付近前孤側でのプレート間カップリングを検出する試みをおこなった。2年間の観測から、海底局群が沖縄本島に対して北西方向に7cm/yrで移動したことが明らかになった。予想される固着域の幅は約30-50kmである。このように琉球海溝の海溝軸付近には固着域が存在しプレート間カップリング領域が形成されていることが明らかになった。
著者
名波 和幸 木村 眞実 中村 槙之介
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.163, 2020 (Released:2020-11-30)

当社は、使用済み自動車のガラスの再資源化について取組を実施しており、使用済み自動車のサイドガラスの回収装置を開発した。本稿では、回収したガラスを活用した製品の開発と調査について報告を行う。調査では、サイドガラスを原料とした沖縄赤瓦や琉球ガラスへの活用について研究した。調査の結果、原料代替としての可能性の他、付加価値商品としての可能性について明らかにした。
著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 康子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.505-512, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
11

目的:静脈路確保成否因子に沿った講習会の教育効果を明らかにすること。方法:BANDOメディカルコントロール協議会において,2018年8月1日〜2019年10月31日までの15カ月間のうち静脈路確保が実施された688症例を本研究の対象とした。講習会では,成否因子に基づき血管透過モデルを自作し,静脈の走行をイメージさせる教育を行った。その後,講習会前後に分類し静脈路確保成功率と所要時間を比較検討した。結果:講習会後,静脈路確保の成功率は53.8%(205/381)から62.9%(193/307)に有意に上昇した(p<0.01)。そのなかでもショック症例は51.0%(53/104)から75.6%(68/90)に有意に向上した(p<0.01)。講習会後のPIVC 所要時間は,2分58秒から2分22秒に有意に短縮し(p<0.05),低血糖症例の所要時間は3分から2分24秒に有意に短くなった(p<0.05)。結語:成否因子に沿った静脈路確保講習会は成功率と所要時間を改善する。
著者
中村 健蔵
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.214-217, 2016-04-05 (Released:2016-06-03)
参考文献数
3
被引用文献数
1

ニュートリノ振動の物理を簡単に解説した後,カミオカンデとスーパーカミオカンデの建設のいきさつと研究の歴史など,および主な研究成果の概要を紹介する.
著者
村田 浩一 佐藤 雪太 中村 雅彦 浅川 満彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

日本アルプスの頚城山脈、飛騨山脈および赤石山脈において、環境省および文化庁の許可を得てニホンライチョウから血液を採取した。栄養状態や羽毛状態に著変は認められず、すべて健常個体であると診断された。血液塗抹染色標本を光学顕微鏡下で観察したところ、78.1%(57/73個体)にLeucocytozoon sp.の感染を認めたが、他の血液原虫感染は認めなかった。検出された原虫の形態および計測値から、大陸産のライチョウに確認されているL.lovatiと同種であると判定した。感染率に性差は認めなかった。本血液原虫の血中出現率は、春から夏にかけて上昇し、夏から秋にかけて低下する傾向が観察された。ほとんどの地域個体群にロイコチトゾーン感染が確認されたが、常念岳および前常念岳の個体群には感染を認めなかった。L.lovatiのmtDNA cytb領域を解析し、各地域個体群間および他の鳥種間で塩基配列の相同性を比較検討した。南北アルプスのライチョウ間では差が認められなかったが、他の野鳥寄生のLeucocytozoon spp.との間では差が認められた。L.lovatiを媒介していると考えられる吸血昆虫を調査した。調査山域でアシマダラブユおよびウチダツノマユブユ等の生息を確認した。PCR法によりブユ体内からL.lovatiと100%相同の遺伝子断片が増幅された。このことから、L.lovatiの媒介昆虫はブユであることが強く示唆された。本研究で得られた数々の知見は、ニホンライチョウを保全する上で有用であると考える
著者
中村 和夫 Kazuo Nakamura
出版者
東京水産大学
雑誌
東京水産大学論集 (ISSN:05638372)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.131-140, 2000-03-30

東京水産大学共通講座