著者
多田 昭雄 中村 良三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.97, pp.25-32, 2001-05-21

並列タスクスケジューリングにおいて, タスク依存グラフよりタスクの実行順序を効率よく求める並列アルゴリズムを提案する. 具体的には, はじめに2つのタスク間の実行順序を示す有向辺を出節点と入節点の組で表したタスク依存グラフすなわちDAGを入出次数が高々1の節点からなる線形リストに分割する. 次に, 線形リストをリストの最終節点に至る流れの単位でグループに分割し, グループ内のリストの細を併合しながらタスクの実行順序を求め, 最後にタスク全体の実行順序を求める並列アルゴリズムである. すなわち, タスクの並列Topological Sortingを提案する.
著者
石塚 亙 木村 憲喜 中村 文子 横山 正樹
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、「実験工作キャラバン隊」の活動を通じて、児童生徒に科学に触れて科学に夢を感じる機会を提供し、体験型学習の効果を検証するとともに、大学院生・学部学生が実験工作教室の実践を通じて得る理科教育の能力の向上を評価し、実験工作教室のテーマに宇宙に関わる体験学習のコンテンツを加えてひとつの特色とし宇宙を通じて科学的な感動や夢を与えることを目標としながら、体験学習の科学的内容の高度化・教材化と科学コミュニケーション能力を持った学生の養成を行うことである。実験工作教室に参加した子どもの数は、以前からの取り組みを含めて10,000人に達し、平成25年度のアジア・太平洋物理学会議で発表した。
著者
馮 忠剛 中村 孝夫 梅津 光生 小沢田 正 北嶋 龍雄
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ES/iPS 細胞の心筋症治療の早期実現における二つの重要な課題:心筋細胞への効率的分化誘導と体外での再生組織の構築、を取り組んで、幹細胞工学、タンパク質工学及び細胞組織工学の融合により、新たな細胞分化培養基質支持層を開発し、この支持層上にマウスES 細胞の分化促進と心筋組織単層の作成を行い、多数単層の積層によって心筋再生組織を構築した。上記の実験研究により、ES 細胞の心筋細胞への分化誘導、培養基質の力学特性およびそのES 細胞の分化に及ぼす影響、並びに体外心筋再生組織構築における新知見を得、課題の更なる進展に関する重要な方法を示した。
著者
中村 陽人
出版者
福島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

マーケティングでは心理変数を扱うため、それを測定する心理尺度が多く作られている。しかし、尺度開発法(尺度の作成)や妥当性の検証方法(尺度の評価)、数値基準は研究によってまちまちである。そこで、本研究では複数の分野にまたがって、これらの方法や数値基準について比較・評価し、方法や数値基準の標準化を目指してデータベースを作成した。データベースはまだ完成していないが、最も手のかかるデータベースのフォーマットを作成でき、さらに心理学や経営学、疫学など他分野との比較によって多くの発見があった。今後はデータベースを完成させ、望ましい手法とその使用手順について具体的に示していく予定である。
著者
廣井 孝弘 小島 秀康 海田 博司 佐々木 晶 中村 智樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国立極地研究所が南極から回収してきた隕石試料片を、そのまま非破壊の状態で可視から赤外領域の反射光の分光をすることで、それらの鉱物組成を推定する試みをした。貴重な火星や月からの隕石、そして大部分が小惑星ベスタから来ていると考えられるHED隕石、そして水や有機物を含む炭素質コンドライト隕石の合計130個余りの試料について、反射スペクトルの測定を各試料片に1点以上行った。それらのスペクトルに線形外挿・修正ガウス関数分解・主成分解析などを施すことにより、各隕石の岩石種や鉱物・化学組成などを理解することができ、はやぶさ2などの探査ミッションへの応用方法も提案できた。
著者
中村 卓 鵜沢 隆
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.E13-E13, 2010

レッド・ブルーチェアは、20世紀初頭からオランダを中心に活躍したデザイナーであるG.Th.リートフェルトによる家具作品であり、現在生産されている家具のひとつとして知られている。彼は、レッド・ブルーチェアを1918年に機関誌『デ・ステイル』に発表し、それ以降1920年頃まで素材・形状・色彩等の異なる複数のタイプを制作した。研究の内容は、レッド・ブルーチェアの初期デザイン(1918年)の2つの事例について詳細な実測調査を行い、それぞれ部材形状・構成など意匠の特徴について確認するものである。意匠の特徴では、部材形状はそれぞれ若干異なるものの、座面・背板はほぼ同一の勾配でデザインされていることが確認された。一方、これら意匠の差異から、それぞれの力学的な作用について、構造的観点から考察した。ここでは、意匠的な差異がそれぞれの構造的特徴と関わっていることが確認された。以上のように、本稿は意匠と構造の関係の一端を実測調査と文献資料等に基づき分析し、論じていくものである。
著者
田中 克典 小杉 緑子 大手 信人 小橋 澄治 中村 彰宏
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.265-286, 1998-12-25
被引用文献数
6 4

Aiming to clarify the mechanism and prediction of CO_2 exchange between a plant community and the atmosphere, a multilayer model of CO_2 exchange having a feedback function is proposed. This model can calculate not only the profile of CO_2 flux within and above a canopy, but also the profile of meteorological elements such as solar radiation, long-wave radiation, air temperature, specific humidity, wind velocity and CO_2 concentration. The profiles are calculated using information on the canopy structure, leaf characteristics, and meteorological elements observed over the plant community. In order to validate the reproducibility of CO_2 flux over the plant community by this model, we observed CO_2, latent heat and sensible heat flux over aplanted forest, albedo and the profile of relative wind velocity, downward diffuse solar radiation and CO_2 concentration within the canopy. By applying this model, we found that it could successfully reproduce not only CO_2 flux, but also latent heat and sensible heat flux, over the canopy and reproduce the profile of these meteorological elements. Moreover, numerical experiments on CO_2 flux were carried out using this model to investigate the influence of the characteristics of canopy structure on SO_2 flux. As a result, we found the followings: (1) When the values of LAI arc 6 and 8, the fluctuations of CO_2 fluxes over a canopy are more sensitive to the meteorological elements over the canopy than when the values are 1 and 3. (2) CO_2 absorption by a community is not always greater during high solar elevation, as the average value of leaf inclination is greater. (3) Among the three canopies studied in the numerical experiments, one whose distribution of leaf area density is almost even absorbs CO_2 gas the most.
著者
中村 彰宏 小杉 緑子 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.507-518, 2002-02-28
被引用文献数
2 2 2

関西旅客ターミナルビルのアトリウム空間を対象に,アトリウムの構造,トップライトの透過特性,太陽位置,屋外の光量子量の推定値を用いて,快晴日の透過光量子量を算出するモデルを作成した。算出値は,アトリウム内で得られた実測値の日および季節変化を良好に再現した。アトリウム植栽樹木,屋外の植栽樹木,室内に生育する観葉植物の光合成,呼吸速度の実測値と,このモデルによる透過光量子量から,アトリウムへ導入した植物の生育特性評価を行うために,成長量の指標となるCO_2収支を個葉レベルで算出した。またアトリウムの天井高,植栽場所を変化させた場合の透過光量子量およびCO_2収支も算出した。観葉植物のCO_2収支は,植栽場所やアトリウムの構造から受ける影響が少なく,低光量条件下での植栽利用が容易と考えられた。いっぽう,低光量条件下で順化したモッコク,カラタネオガタマでは,CO_2収支の変化が大きいため,アトリウム構造や植栽場所を十分検討してから,緑化に用いる必要があると考えられた。
著者
菊川 匡 阿部 善也 中村 彩奈 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.31-40, 2014-01-05 (Released:2014-01-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

古代銅赤ガラスには,他の色の古代ガラスには見られない不明な点が多く残されている.本研究では蛍光X線分析(XRF)による化学組成の特性化と,X線吸収端近傍構造(XANES)解析によるCuの化学状態分析により,古代エジプトの銅赤ガラスに関する考古化学的研究を行った.銅赤ガラス生産の最初期であるエジプト新王国時代の銅赤ガラスでは,金属CuコロイドではなくCu2O微結晶による銅赤着色が行われていた.一方,エジプトにおいて銅赤ガラス生産が一般化したプトレマイオス朝~ローマ期においては,発色要因として金属CuコロイドとCu2O微結晶の2種類が同定された.2種類の発色要因の違いは,着色剤であるCuの添加量や使用された融剤の種類とも対応していた.またいずれの銅赤ガラスにおいても,含まれるCuの大部分は発色に関係しないCu+イオンとして存在していた.さらに本研究により,銅赤ガラスの製法に関する興味深い知見が得られた.
著者
長田 年弘 木村 浩 篠塚 千恵子 田中 咲子 水田 徹 金子 亨 櫻井 万里子 中村 るい 布施 英利 師尾 晶子 渡辺 千香子 大原 央聡 中村 義孝 仏山 輝美 加藤 公太 加藤 佑一 河瀬 侑 木本 諒 小石 絵美 坂田 道生 下野 雅史 高橋 翔 塚本 理恵子 佐藤 みちる 中村 友代 福本 薫 森園 敦 山本 悠貴
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題は、研究代表による平成19-21年度基盤研究(A)「パルテノン神殿の造営目的に関する美術史的研究―アジアの視座から見たギリシア美術」の目的を継承しつつ再構築し、東方美術がパルテノン彫刻に与えた影響について再検証した。古代東方とギリシアの、民族戦争に関する美術について合同のセミナーを英国において開催し、パルテノン彫刻をめぐる閉塞的な研究状況に対して、新しい問題提起を行った。平成21年開館の、新アクロポリス美術館の彫刻群を重点的な対象とし撮影と調査を行ったほか、イランおよびフランス、ギリシャにおいて調査を実施した。研究成果を、ロンドンの大英博物館等、国内外において陳列発表した。
著者
谷口 進一 青木 克比古 中 勉 高 香滋 石井 晃 大林 博一 大林 博一 中村 晃 中江 友久
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

組織的教育力の効果を数理の基礎学力・ジェネリックスキルの観点から、入学から卒業までのスパンで定量的・質的に検証を行った。学力に関しては、同一の学力診断において、入学時に比べ1年後学期では成績が向上し授業効果が確認された。しかし、4年次では専門教育に力点が移り、授業効果は低下した。ジェネリックスキル自己評価では2年次で一旦多くの評価項目の自己評価が低下するが4年次では回復しほとんどの項目で最高点となることが確認された。
著者
原田 貴史 中村 明美 友竹 正人 大森 哲郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.33-40, 2007-01-01
被引用文献数
1

看護職は高い専門性や自律性を求められると同時に,確認や清潔などの徹底も要求される.職場適応障害や燃え尽き症候群など心身医学的治療を要する症状を訴える者も多い.女性看護職に対する質問紙調査では強迫傾向が指摘される.われわれは,心身医学的見地より女性看護職の強迫傾向を検討し,強迫傾向と抑うつ度がQuality of Life (QOL)に与える影響の違いを比較した.自己記入式質問紙MOCI邦訳版(Maudsley Obsessional Compulsive Inventory)による強迫傾向群は16.3%と多かった.心身症患者の心理的特徴とされるアレキシサイミア(失感情症:alexithiymia)傾向は,強迫傾向に有意な相関を示した.アレキシサイミアの中でも「感情の同定困難因子」が,強迫傾向の「確認」「優柔不断」「疑惑」の高さと関係していた.抑うつ度は年齢層やQOL構成項目に限定されず,主観的QOLの低さと相関した.しかし強迫傾向は,若年女性看護職では「身体的領域」「心理的領域」の主観的QOLの低さと相関し,熟年看護職においては「社会的関係」の主観的QOLの高さと相関し,年齢や主観的QOLの領域により異なる影響をもたらす可能性が示唆された.若年看護職は強迫傾向と同時にアレキシサイミア傾向も高く,アレキシサイミアの中でも感情の同定困難と主観的QOLの低さとが関係していた.今後,このような若年看護職に対する心理的サポートをどのようなかたちで,どのような方法で行っていくのかが問われ,心身医学的検討が待たれるところである.
著者
中村 多見
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.1, pp.129-137, 2002-03-28

本研究の目的は,子どもの不安傾向について発達的に検討することであった.小学4年生から中学3年生1176名(男605名,女子571名)を対象に,田研式不安傾向診断検査を用いて調査を行った.その結果,学年間の比較では,全体的な傾向として,小4から小6にかけて低下し,中1と中2で上昇し,中3にかけて再び低下した.男女間の比較では,学習不安傾向,対人不安傾向,過敏傾向,身体的徴候,恐怖傾向,衝動傾向において女子が男子よりも有意に高く,特に恐怖傾向では顕著な性差が見られた.不安反応(過敏傾向,身体的徴候,恐怖傾向,衝動傾向)に対する不安対象(学習不安傾向,対人不安傾向,孤独傾向,自罰傾向)の影響について検討したところ,対人不安傾向と孤独傾向は4つの不安反応に対して大きく影響し,その影響の仕方には学年と性別による違いが見られた.
著者
興梠 征典 掛田 伸吾 中村 純 森谷 淳二 香月 あすか 吉村 玲児 小笠原 篤 村上 優 宮田 真里 阿部 修 渡邉 啓太 上田 一生 井形 亮平 杉本 康一郎
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病患者と健常者におけるCOMT遺伝子多型とNET遺伝子多型が、脳微細構造に及ぼす影響を、MR統計画像解析を用いて検討した。3次元高分解能MR画像による脳容積解析では、COMT遺伝子多型のMet carrier群において、健常群に比し患者群では尾状核の体積が有意に小さかった。Valine/ Valine型においては差がなかった。NETではG1287A多型において有意な関連が見られ、G/A型やA/A型に比べG/G型では左前頭前皮質の容積減少の程度が、健常群よりも患者群において有意に大きかった。これらの所見が、MDD患者の症状に関連している可能性が示唆された。