著者
桝本 潤 堀 雅敏 佐藤 嘉伸 村上 卓道 上甲 剛 中村 仁信 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.2150-2161, 2001-09-01
参考文献数
13
被引用文献数
28

マルチスライスCTの実用化に伴い, 従来より格段に高速な撮影が可能になり, 造影剤を用いた肝臓CT撮影においては, 1回の呼吸停止間で臓器全体を2回撮影することが可能になった.これにより, 造影剤の循環状態が異なる二つの時相の3次元画像を, 位置ずれなく獲得できるようになった.我々は, 肝臓形状抽出を目的とし, これら2時相の造影3次元CT画像を用いた肝臓領域自動抽出法を提案する.まず造影剤注入直後とその十数秒後に撮影された2時相分の3次元画像から, 各軸にそれぞれの時相のCT値をとる2次元特徴空間を構成する.この空間において, 肝臓に対応する造影変化を示す領域を抽出し, これを用いて肝臓領域が強調された画像を生成する.次に生成した肝臓強調画像に対してオープニング, クロージング処理を行い, 肝臓実質領域を決定する.最後に血管・腫瘤などの幾何学的形状特徴を用いた3次元連結成分処理により, 最終的な肝臓領域を決定する.9症例に対して本手法を適用し, 二つの時相の画像を同時に用いることの有効性を確認した.
著者
中村 航洋 川畑 秀明
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2014 (Released:2014-10-05)

近年の神経美学的研究は,絵画の美的印象評価には眼窩前頭皮質内側部の脳機能が密接に関連していること明らかにしてきた。本研究では,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いて,眼窩前頭皮質の神経活動を一時的に変容させることによって,抽象絵画の美的印象評価における脳の因果的役割について検討した。眼窩前頭皮質に陰極刺激を行い,一時的に脳神経活動を抑制すると(陰極刺激群),絵画に対する美しさの印象は低減する一方で,絵画の醜さの印象は変化しないことが明らかになった。さらに,電気刺激を行わない統制群においては,絵画の美しさは醜さよりも早く判定されるという美的判断の優位性が認められたが,陰極刺激群においては,脳電気刺激後にこの優位性が認められなくなった。本研究の結果から,眼窩前頭皮質の脳神経活動が美的印象評価の神経生理学的基盤であり,自動的な美の認識を可能にしていることが示唆される。

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著者
中村古峡 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1913
著者
村上 圭一 中村 文子 後藤 逸男
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.453-457, 2004-08-05
被引用文献数
10

全国の根こぶ病発生地域では土壌中の可給態リン酸の過剰が進んでいたことから,土壌中のリン酸と根こぶ病発生との因果関係について検討した.根こぶ病の発病抑止土壌である黒ボク下層土に0〜50g kg^<-1>のリン酸を添加して,可給態リン酸が0.01〜3.57g kg^<-1>に及ぶ5段階のリン酸添加土壌を調整した.これらの土壌に0〜10^7 g^<-1>(8段階)の休眠胞子を加えた人工汚染土壌を作り,リン酸の増加に伴う土壌への休眠胞子吸着率,ハクサイの根毛感染率,ポット栽培によるチンゲンサイ根こぶ病の発病を調査した.その結果,土壌リン酸の増加に伴い,土壌への休眠胞子吸着率が低下するとともに,根毛感染率が上昇し,根こぶ病の発病度が高まった.以上の結果より,大量の陽電荷を有ずる黒ボク下層土は陰電荷を有する休眠胞子を吸着してその動きを抑制するため根こぶ病の発病を抑止する.しかし,その土壌にリン酸を施用すると,土壌コロイドの陽電荷が減少して休眠胞子の吸着率が低下するため休眠胞子が遊離し,アブラナ科野菜の根毛への感染確率が高まり根こぶ病の発病を助長する.すなわち,土壌へのリン酸過剰施用が根こぶ病の発病を助長することが明らかになった.
著者
南 雅代 Minami Masayo 中村 俊夫 Nakamura Toshio 平田 和明 Hirata Kazuaki 長岡 朋人 Nagaoka Tomohito 鵜澤 和宏 Hoshino Keigo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.18, pp.134-143, 2007-03 (Released:2010-06-10)

During the past several decades, many medieval skeletons were excavated from archaeological sites in the Yuigahama area, Kamakura, Japan. The excavations yielded more than 5,000 individuals in varying states of preservation from the Zaimokuza, Seiyokan, Yuigahama-minami and Chusei Shudan Bochi sites. Medieval Kamakura was an ancient capital of the Kamakura Shogunate, and a lot of people lived in Kamakura with high population density. The human skeletons excavated from the Zaimokuza site are reported to be humans dead by competition at the end of the Kamakura Shogunate, but a detailed study on dating of the human skeletons has not made yet. In this study, we measured ^<14>C ages, together with carbon and nitrogen isotope ratios, of human skeletal remains excavated from the Yuigahama-minami site and Chusei Shudan Bochi site. The δ^<13>C and δ^<15>N were not different between human skeletal samples of both sites, while the ^<14>C ages were different between them: The human bones of the Yuigahama-minami site are 100 year younger than those of the medieval collective-cemetery site. All of ages of human skeletons from both of the sites are older than the latest Kamakura period. The δ^<13>C and δ^<15>N values of the medieval Kamakura people are higher than those of terrestrial mammals, indicating that they exploited some amount of marine fish and/or mammals with higher δ^<13>C and δ^<15>N as protein sources. Therefore, the ^<14>C ages obtained for human skeletons could be order than the true ages. ^<87>Sr/^<86>Sr isotopic ratios of human skeletons of the Yuigahama-minami site tend to be higher than those of the Chusei Shudan Bochi site. Soils, plants and animals feeding on them in a given locality have ^<87>Sr/^<86>Sr values that generally mirror underlying bedrock composition, and thus ^<87>Sr/^<86>Sr ratios of human skeletons are useful tools for assessing migration in prehistory. The result obtained in this study suggests that Yuigahama-minami humans and Chusei Shudan Bochi humas lived in different areas. More skeleton samples should be analyzed for determining detailed ^<14>C ages of humans excavated from the Yuigahama sites, and for estimating migration of prehistory of the medieval Kamakura humans.
著者
三好 隆行 石原 克之 中村 和哉 古賀 秀徳
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.277-282, 2006-10-20
被引用文献数
3

フライ調理によるポテトチップス中の抗酸化成分およびその含有率の変化について検討した。1.ジャガイモをフライ調理してポテトチップスにするこ[table]とでL-アスコルビン酸,クロロゲン酸等の抗酸化化合物は乾燥重量当たりの含有量では減少し,調理による損失が確認されたが,湿重量当たりの含有量では水分が減少することによる濃縮効果により生イモ時の約2倍に高められた。2.ポテトチップスの水溶性画分を限外ろ過し,各画分のDPPHラジカル消去活性を比較したところ,分子量3,000〜20,000の中分子画分において収量は少ないが非常に高い抗酸化活性があることが確認された。褐変度が高く,メラノイジンによるものであると考えられる。3.また分子量3,000未満の低分子画分はもっとも収量が多く,総抗酸化活性の91%が認められた。分子量3,000未満の低分子画分の抗酸化活性はメラノイジンとクロロゲン酸によるものと確認された。4.市販されているジャガイモフライ製品19品種のDPPHラジカル消去活性を調査したところ,生芋タイプのポテトチップスにおいて高い活性が認められ,加工度の高い成型タイプでは低めの傾向であった。
著者
小幡 哲史 中村 敏枝 河瀬 諭 片平 建史 安田 晶子 谷口 智子 正田 悠
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.27, 2007 (Released:2007-10-01)

演奏者は複数人で演奏を行う際,演奏音やそれ以外の感性情報を用いて,演奏を合わせていると考えられる。本研究では特に演奏者が使用する呼吸情報に注目した。演奏者はお互いのタイミングを合わせることや,楽曲の構造上,演奏者が息継ぎをするためなどに,呼吸情報を使用していると考えられるが,このような点について定量的に分析した研究例は数少ない。そこで本研究では2人のバイオリン奏者による演奏実験を,対面条件と非対面条件で実施し,演奏音と演奏者の呼吸情報の使用について定量的に分析した。その結果,対面条件においてのみ2人の演奏者が呼吸情報を使用する箇所や,対面,非対面に関わらず2人の演奏者が呼吸情報を使用する箇所が見られた。このことから,演奏者は演奏を行う際に呼吸情報を使用してお互いのタイミングを合わせていることや,楽曲の構造上,演奏者自身のために呼吸情報を使用していることが示唆された。
著者
中村 満紀男
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49-65, 2001-03

障害者の教育と生活は、諸科学の知見により規定される側面がある。歴史上、諸科学によりその生活と教育が最も翻弄されたのは精神薄弱の範疇に位置づけられた人々であった。本研究では、1910年代のアメリカ合衆国における優生学運動を発展させた諸科学のうち、自然科学的知見に依拠した新興諸科学であり、精神薄弱者の生活の在り方に関係した領域である社会学・社会事業、心理学、精神医学が提起した社会的不適論およびその典型としての精神薄弱の範疇化と優生学との関係について、その理由と動機、精神薄弱と対極にあった理想的人間像、社会的認識を中心に検討した。1910年代のアメリカの精神薄弱学説は基本的には家系説と社会的脅威論から構成されたが、生活実態としてはそれに反する事実が明示され始める時期であった。新興諸科学は、20世紀初頭には精神薄弱問題の社会的重要性を高めることに貢献したが、同時に、相互には共存・拮抗関係をもちつつ、科学としての自律性の確立と社会的認知を緊要な課題としてもいた。それゆえ、新しい技術を開発し、それを実地化して、各領域の社会的存在意義をアピールした。また、諸科学は、アメリカの国家としての国際的競争という社会的現実を意識して、それに勝利するためのアメリカ民主制社会の理想的市民像とそれを阻害する対極として精神薄弱を設定したのである。かくして精神薄弱は発生を防止されるべき存在となった。この時期に展開しはじめた新しい人間観や専門技術は普遍化されず、社会的効用の違いによって二元的に利用され、精神薄弱はその適用から除外されることになった。
著者
中村 睦美
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.245, 2012 (Released:2012-11-07)

【目的】小学校におけるキャリア教育は,初等教育から高等教育に至る系統的・組織的なキャリア教育の基盤として極めて重要な意味を持つ。平成22年度と平成23年度の2回,このキャリア教育の一環として小学6年生を対象とした職業体験学習に理学療法士として参加したので報告する。【方法】キャリア教育の一環として,職業体験学習の講師募集要項が小学校全学年児童を通して保護者に配布され,児童の保護者や地域住人を中心に医師,大学教員,理学療法士,新聞記者,カラーコーディネーター,編集者,絵本作家,フードコーディネーター,獣医,植木職人,映画監督,消防士の12職種13人が講師として集められた。聴講者は小学6年生で,自分が話を聞いてみたい職業を3職種選び聴講することができる。1つの職種につき講義時間は約30分であり,講義の後仕事体験を行った。理学療法士の仕事体験には,車いす駆動,下肢装具装着歩行,松葉杖歩行を行った。なお,今回の発表に際しては当小学校から承認を得ている。【結果】興味をもって自ら「理学療法士」の聴講を希望した児童数は,22年度は77名中19名,23年度は86名中6名で他の職種に比べて少ない印象であった。後日,実際に感想文として提出されたものの中には「話を聞くまでは何をする人か分からなかった。」「車いすや松葉杖体験が楽しかった。」「話を聞いて理学療法士に興味をもち,将来なりたいなと思いました。」と記載されていた。【考察】今回,小学6年生を対象としたキャリア教育に参加して「理学療法士」の認知度の低さを感じた。「理学療法士」という職種を知らない児童が多く,今回はじめて認識したという児童が多い印象であった。2009年に行われた全国の小学生~高校生を対象とした将来なりたい職業の調査では,「理学療法士・臨床検査技師・歯科衛生士」は高校生では男子で9位,女子で5位であったが小中学生では圏外であった。2010年度の理学療法週間事業での取り組み報告によると「理学療法士」の認知度は3割と低いが,低年齢になるほど低くなるとの報告もある。低年齢時から理学療法士への理解を深めることで,理学療法士としての適性を備えた人材の育成や理学療法士の質の向上につながると考えられる。今回このような経験を得て,小学生を対象としたキャリア教育への理学療法士の参加は児童の勤労観・職業観の育成を促すとともに,理学療法士の社会的認識の向上に非常に有用な場になり得ることを実感した。【まとめ】理学療法士の小学校キャリア教育への参加は,児童の理学療法士への理解を深めるとともに職業選択範囲の拡大をもたらすと考えられる。
著者
八津川 洋一 飯田 華子 永田 和子 宮本 雅史 松田 高博 伊藤 裕信 中村 宗知 藤田 和弘
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.287-293, 2011
被引用文献数
2

セレウス菌嘔吐毒であるセレウリドのLC-MS/MSによる分析法を開発した.試料にはチャーハン,焼きそば,小豆あんおよび乳児用粉ミルクを用い,メタノールで抽出後,Oasis HLBカートリッジにより精製し,試験溶液とした.LC-MS/MSの移動相にはギ酸アンモニウム含有のギ酸溶液およびメタノールの混液を採用し,ESI(+)で測定した.開発した分析法の性能評価を実施したところ,すべての試料において真度70%以上,併行・室内精度10%以下の結果が得られた.なお,定量限界は1 μg/kg以下と見積もられた.
著者
森近 佑次 中村 納
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.185-188, 2006-10-30

This paper presents an automatic gender discrimination system, which can be applied to the marketing research. In general, the difference of appearance between man and woman can be used to distinct their sex. Before investigating the difference of the appearance, the persons's area must be isolated from the background. A fast extraction algorithm of the person's area is described in this paper.
著者
中村 哲之
出版者
The Japanese Psychonomic Society
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.96-101, 2014

Visual illusions in animals are important to study because they magnify how the perceptual system in each animal works. This paper reviews comparative studies on visual illusions in birds (pigeons and bantam chickens) and humans. Not only similarities but also dissimilarities in the perception of illusory figures between these animals have been shown, suggesting that the same physical environments may induce different visual worlds among the species.