著者
前田 芳信 栄村 勲 中村 公一 西田 圭 野首 孝祠
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.900-905, 1995-10-01
被引用文献数
14 2 2

近年,咬合と全身の運動機能との関連が注目されてきている.そこで本研究では,高齢者における咬合支持が全身の運動機能の制御,特に平衡調節機能に果たす役割について検討した.特に,従来まで行われてきた静的条件下での平衡度の測定に加え,動的刺激を与えた条件下での応答時間ならびに対称性の計測を行った.その結果,高齢者における咬合支持の有無は,全身の平衡調節機能のなかで,主として静的条件下での平衡調節に関与している可能性が示唆された.
著者
黒川 信重 中村 博昭 斎藤 毅 大島 利雄 砂田 利一
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ゼータ関数の研究を数論的側面と幾何学的側面から行った。数論的側面では,ゼータ関数や三角関数を拡張した多重ゼータ関数や多重三角関数を構成し,ゼータ関数やエル関数の特殊値の表示を得,セルバーグ・ゼータ関数のガンマ因子を決定した。さらに代数多様体のゼータ関数の関数等式を明確にするために,代数多様体のエル進コホモロジーの研究を行った。とくに行列式表現を研究し,定数係数の場合には,それがド・ラム・コホモロジーの判別式で表せることがわかった。また,層係数の場合には相対標準類とヤコビ和の定める代数的ヘッケ指標を使って表す公式を得た。類似の問題として局所体上の代数多様体のコホモロジーのイプシロン因子について研究し,ド・ラム・コホモロジーの判別式で表せることを示した。これらにより,代数多様体のゼータ関数の関数等式の構造が明確になった。また,関連する研究として,代数的基本群に関して幅有限群としての研究を行った。一方,幾何学的側面からは非コンパクトなリーマン多様体のゼータ関数の零点および極の研究を行った。これはスペクトルの問題に言いかえられる。今までに知られていたことはほとんどがコンパクトなリーマン多様体に帰着されることであったが本研究においては,非コンパクトなリーマン多様体の場合に古典的な周期的シュレジンガー作用素をモデルとして無限次元ユニタリ表現の構造と磁場から定まる群環の構造との関連を明らかにし,スペクトルの幾何学的構造への反映の仕組みを明確にした。このようにして,ゼータ関数の数論的側面および幾何学的側面からの相補的成果を得た。
著者
中村 晋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.361-364,414-41, 1971
被引用文献数
1

Pancreatin は散剤として, また合剤として錠剤中にも含まれ, 広く調剤に使用されるごくありふれた消化剤であるが, 著者は最近これによって惹起されたと考えられる職業性アレルギー症に1例を経験し, アレルギー学的検索を試みたのでその成績を報告した.症例は46才の男子, 某病院の薬局長, 1949年以来薬剤師として勤務しているが, 1955年より薬局調剤室で Pancreatin の調剤をすると鼻汁, くしゃみ, 呼吸困錠をきたし, 過去3回喘息発作をみたと訴えて最近われわれのAllergy Centreを訪れた.患者は休暇や出張で仕事から離れると調子が良いといい, 1960年 Festal 難を内服した時に著明な腹痛("腹が煮え返るような")をきたしたという.著明な末梢血好酸球増加はみられなかったが鼻汁中好酸球増加を認めた.Routine に行なう吸入性抗原液による皮内反応はすべて陰性であった.そこで無菌化した Pancreatin 溶液による scratch-patch test, 点鼻試験, 吸入誘発試験, PK反応を試みたところ陽性を呈した.そして pancreatin 液による皮内反応では著明な陽性反応があらわれ, 喘息発作, 結膜充血および蕁麻疹の如き全身症状を続発した.以上の病歴ならびにアレルギー学的検索成績から本症例は pancreatin により惹起された職業性アレルギー症と考えられた.著者は薬剤師や製薬会社の社員の間にも種々の職業性アレルギーが存在する可能性を指摘し, この問題を検討する必要性を強調した.
著者
中村 美保 兼松 百合子 小川 京子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-52, 1993-03
被引用文献数
5 3

本研究は,外来受診時に採血をうける3歳から7歳の小児を対象に,採血によって小児が感じる痛みの程度と行動に表れる反応について,発達段階や気質などによる特徴を明らかにすることを目的とした。本研究で見出された結果を以下に示す。1.小児によるFace Pain Scaleの評価と観察された行動スケールの総点とは高い相関が認められた。2.処置中に泣いていた小児は泣かなかった小児より年齢が低く,Face Pain Scaleの評価が高かった。3.年齢が高いほど行動スケールの総点が低かったが,Face Pain Scaleの評価は必ずしも低くなかった。4.行動スケールの総点は気質のカテゴリーである機嫌の点数と関連性があった。
著者
松本 健一 中村 匡秀 水野 修 森崎 修司 大平 雅雄 門田 暁人
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,高い専門性を要するソフトウェア開発作業を,不特定多数の個人にインターネット技術を使って外注する「クラウドソーシング」と,それら個人間での「群集知形成」を支援する超分散開発基盤技術を開発した.具体的には,「多言語対応コミュニケーション・知識形成基盤」と「Lightweight & Massive PDCAサイクル基盤」の2つを開発し,実証実験によってその妥当性,有用性を評価した.個人を単位とした新たな超分散開発形態は,ソフトウェア開発における多重請負構造を解消し,開発リスク低減とソフトウェア品質向上をもたらす.
著者
中村 昌彦 梶原 宏之 稲田 勝 原 正一 星野 邦弘 黒田 貴子
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-105, 2006 (Released:2007-04-06)
参考文献数
6
被引用文献数
2

Recently, in domestic shipping, a shortage of crew members resulting from the severe labor environment and the aging of members are serious problems, and there is concern about stable transportation becoming difficult because of this. The hiring of younger crew members by improving the labor environment and reducing the labor load is therefore an important target. The automatic mooring is one means of mitigating the labor load of standby operations. If the shift of the mooring tension induced by tide level change and the draft change while loading can be prevented, and moreover, if the hull position can be kept automatic within the allowable limit, the labor load can be reduced. In this research, a simulator which calculates mooring tensions and ship motions was built first, and calculation accuracy was checked by model experiments. The controller was then designed using the simulator and the performance was verified by tank tests. Successful results are shown.
著者
中村金水 著
出版者
中央出版社
巻号頁・発行日
1924
著者
中村 繁貴 高谷 哲 前田 良文 山本 貴士 宮川 豊章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.450-461, 2013 (Released:2013-12-20)
被引用文献数
4

近年,多くの構造物が老朽化している中で,効率的な維持管理を実現する手段の一つとして,赤外線サーモグラフィが注目されるようになってきている.土木構造物への適用事例は増加しており,環境要因が測定結果に与える影響に関する研究も多く報告されている.しかし,構造物の維持管理における調査診断でははく離部を検知するだけでなく,はく落の危険性を評価することが,補修工法の選定などのためには重要である.本研究ははく落の危険性を定量評価することを目標とし,鉄筋腐食膨張圧模擬実験による各損傷段階の供試体に対して赤外線サーモグラフィ測定を行った.その結果,かぶりや破壊形態を考慮せずに劣化の程度を評価できる指標としてはく落危険度を提案し,測定温度環境を考慮したはく落予測を行うことが可能であることを明らかにした.
著者
中村 卓
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、「おいしい」食感の感性表現を客観的な機器を用いた食品構造の破壊過程の解析から食品属性に翻訳するシステムの開発を目的とした。タピオカ澱粉ゲルを用いて「もちもち」食感表現を構造と物性に翻訳し、タピオカ澱粉の伸展性が寄与することを明らかにした。パスタの「モッチリ/プリッ」、うどんの「つるつる」、プリンの「とろ~り」のおいしい食感表現を構造と物性に翻訳した。以上の様に、咀嚼破壊の過程を (イ)知覚の意識化(官能評価)、(ロ)機器破壊による単純モデル化することで、硬・柔のレベルではない「おいしい」食感の感性表現を、知覚に対応した食品属性の変化に翻訳するシステムを確立することが出来た。
著者
中村 則弘 陳 捷 首藤 明和 石井 健一 南 誠 池本 淳一 中村 圭 穐山 新
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代における「中国的なるもの」がいかに構成され、その特性はいかなるものかを明らかにした。中国の少数民族、中国企業、中国武術団体、中国残留孤児、台湾・中国・日本の交流関係担当者への聞き取り調査、および中国国内でのアンケート調査から、両義性と流動性、曖昧さがチャイニーズネスの構成を考える上で重要な意味をもつことが解明された。またそれは、領域とネットワークの振幅というべき動態メカニズムに結びついていることが指摘された。
著者
中村 幸紀 野口 裕喜 涌井 伸二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.134, no.9, pp.1182-1190, 2014 (Released:2014-09-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

This paper considers the compensation of flow disturbance, which is the variation of air pressure supplied by the air compressor of pneumatic active anti-vibration apparatuses (AVAs). Since the air pressure varies periodically, repetitive control is utilized for the suppression of the vibration induced by the flow disturbance. As the constant gain of the repetitive controller increases, disturbance compensation is improved further. On the other hand, when the gain becomes large, transmissibility increases in the frequency region including the mechanical resonance of AVAs. It leads to the performance degradation of the vibration isolation. In order to overcome the trade-off between the disturbance compensation and the transmissibility, a notch filter is employed instead of the constant gain in the repetitive controller. The center frequency of the filter is set to the frequency region including the mechanical resonance of AVAs so as to avoid the increase of the transmissibility. By using the proposed method, the performance of disturbance compensation can be improved without increasing the transmissibility. Furthermore, effects of parameters for the notch filter are investigated. Experimental and simulation results show that the performance of flow disturbance suppression and the transmissibility of the AVA are almost same regardless of parameters in the notch filter.
著者
三井 利仁 田島 文博 中村 健 伊藤 倫之 馬渕 博行
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

頸髄障害者(CSCI)は副腎髄質への交感神経支配が障害されているために運動時アドレナリン分泌が胸腰髄損傷者(LSCI)より抑制されている。今回の研究で、当初運動による上昇を予想していた酸化LDLがLSCIに比べCSCIで抑制されていた理由として、このアドレナリン分泌の低下が一因であると推察される。下部胸髄節交感神経障害があるLSCIには末梢性交感神経障害が存在すると考えられる。結果よりoxLDLがLSCIよりCSCIの方が抑制されていた理由は、このアドレナリン分泌の低下が原因であると推察する。酸化LDLの有意な増加がないことからは、この運動はたとえCSCIにおいても安全であることが示唆された。