著者
高田 智史 伊藤 大雄 中村 義作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.638, pp.13-18, 2006-02-28

組み合わせゲームの1つに、Poset(半順序付き集合)Gameと呼ばれるものがある。Poset Gameは有名なNimから未解決のChompまで多様なゲームを含み、この研究から様々な面白い結果が得られている。Poset Gameは単一の祖先(毒節点)を持つdagで表現できる。これの拡張として、毒節点が複数あり、しかも毒に重みを持たせ、与えられた体力を越えて毒を取った競技者が負けるというゲームが考えられる。我々はこのゲームの多項式時間で必勝手順を得る方法について考察する。
著者
重近 範行 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1234-1242, 2002-08-01
被引用文献数
2

本論文では,規模や時間的制約,双方向コミュニケーションを考慮した,インターネットを用いたイベントにおける新しいコミュニケーションモデルを提案する.イベントにおけるコミュニケーションでは,会場における場の共有がイベントの成功に特に大きな影響を与える,しかし,テレビ放送や既存のインターネット中継では,場の共有という重要な要素が考慮されていない.本モデルに従って規模や時間的制約に対応でき,場所に依存しない双方向コミュニケーション支援システムGayaを設計・実装した.また,Gayaシステムを用いて,慶應義塾大学環境情報学部の授業・渋谷駅前などで実証実験を行い,本システムの有用性を明らかにした.
著者
金野 尚武 木村 茉穂 奥澤 里奈 中村 泰隆 池 正和 林 徳子 小原 あゆみ 坂本 裕一 羽生 直人
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-164, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

木材腐朽性食用きのこ類の菌床栽培において,大量の廃菌床が発生している。廃菌床には腐朽木材が含まれているが現在のところ有効な活用方法がない。成分分析の結果,シイタケ栽培後の廃菌床には25.4%のセルロースが主要成分として含まれていた。そこで本研究では,シイタケ廃菌床にTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化を適用することで,セルロースナノファイバーを調製した。廃菌床(1g)を,3つの次亜塩素酸ナトリウム添加量条件下(20,40,80mmol)において,触媒量のTEMPO と臭化ナトリウムと共に酸化処理した。TEMPO 触媒酸化反応後,水不溶性画分を水中で懸濁させ,超音波処理によりセルロースナノファイバーを個々に分散させた。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ,これらセルロースナノファイバーは幅2~3nm,長さ数μmであった。得られたセルロースナノファイバー分散液をキャストすることで透明なフィルムを作製した。セルロースナノファイバーフィルムの収率は次亜塩素酸ナトリウム添加量80mmol 条件下において最も高く,廃菌床1gに対して0.18gであった。また,廃菌床中に含まれるセルロースに対しての収率を算出したところ,71%であった。
著者
戸本 裕太郎 中村 剛士 加納 政芳 小松 孝徳
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.545-552, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

Onomatopoeia refers to words that represent the sound, appearance, or voice of things, which makes it possible to create expressions that bring a scene to life in a subtle fashion. In this paper, we propose an onomatopoeia thesaurus map to enable the construction of a map that visually confirms “similarity relationships between a number of onomatopoetic words” and “similarity relationships between unknown onomatopoetic words and existing onomatopoetic words,” which are difficult to grasp from a conventional thesaurus. It is also possible to label objects with onomatopoetic words and visualize the similarity relationships between the objects on a map. In this paper, we introduce an example of labeling onomatopoetic words relating to the textures of sweets (desserts).
著者
中村 尚 万田 敦昌 川瀬 宏明 飯塚 聡 茂木 耕作
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

我が国の豪雨の発生や季節性に周辺海域の海面水温分布が重要な影響を与えることが研究代表者らの最近の研究から示されている。そこで、精緻化の進む領域大気モデルによる地域的な豪雨・豪雪事例の予報精度に対し、大気モデルの下方境界条件として与える日本周辺海域の海面水温データの時空間分解能が及ぼす影響を、近年の多くの顕著な豪雨・豪雪事例に対する予報再現実験から定量的・包括的に評価することを本研究課題は目指している。平成29年7月九州北部豪雨事例において、6月下旬の梅雨前線帯の北上に伴う東シナ海の水温の急激な上昇が重要であることを示す実験結果を得た。梅雨前線の北上が日射の強化を伴い、水温が上昇し、海面からの蒸発が強化して、九州に流入する対流圏下層の気塊が多湿に維持され、対流不安定性を強化していた。梅雨末期の集中豪雨は梅雨前線帯の南側で発生することが多く、梅雨前線帯の北上に伴う東シナ海上の日射の強化がその一因であるとの示唆が得られた。なお、東シナ海の海面水温の季節進行と表層塩分成層の変動との関連に着目して、海洋客観解析データに基づく解析にも着手した。一方、平成25年8月の秋田・岩手豪雨事例においては、領域大気モデルの水平解像度を1kmに向上させるとレーダー雨量と同程度の雨量強度が再現されるようになることが確認できた。また、初期値や領域の設定にも強い感度が見られたが、海面水温に対する感度は水平解像度3kmの実験と定性的には同じで、領域大気モデルの実験設定も依然として重要であることが分かった。さらに、領域大気モデル実験に与える高解像度の海面水温データに対する時間及び空間平滑化が夏季降水量に及ぼす影響を調査した。積算降水は空間平滑化のみに影響されるのに対し、豪雨事例に対しては時間・空間どちらの平滑化にも影響が見られ、夏季豪雨の予測に対して時間・空間両方の高解像度化が重要であることが見出された。
著者
村岸 純 西山 昭仁 矢田 俊文 榎原 雅治 石辺 岳男 中村 亮一 佐竹 健治
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクトの一環として,本研究では17世紀以降に関東地方に被害を及ぼした地震を対象とし,既刊地震史料集に所収されている史料に基づいて地震史料データベースを構築している.近代的な機器観測による記録がない歴史時代の被害地震について,被害分布や地震像などを検討するためには,史料の収集とその記述内容の分析が必要である.地震史料の調査・収集は20世紀初頭から開始されており,これまでに刊行された地震史料集は全35冊(約28,000頁)に及ぶ.しかしながら,これらの既刊地震史料集には,「史料」以外にも様々な種類の「資料」が収められており,自治体史や報告書の叙述からの抜粋記述なども含まれ,玉石混淆の状態にある.そのため,データベース化に際しては歴史学的に信頼性の高い史料のみを選択し,原典に遡って修正や省略部分の補足を行う校訂作業を実施している.なお,本研究で構築しているデータベースは,既存の「古代・中世地震・噴火史料データベース」や「ひずみ集中帯プロジェクト古地震・津波等の史資料データベース」と同様に,史料本文のテキストにはXML言語を使用している.また本研究では,安政二年十月二日(1855年11月11日)の夜に発生して,江戸市中や南関東一円に甚大な被害を与えた安政江戸地震について,新史料の調査・収集や既存の史料に関する分析を実施した.千葉県域では新たな史料を収集し(村岸・佐竹,2015,災害・復興と資料,6号),茨城・神奈川県域では収集した史料の再検討を行った(村岸ほか,2016,災害・復興と資料,8号,印刷中).さらに,被災地である関東地方からより離れた遠地で記された有感記録についても既刊地震史料集に所収されている史料を用いて検討した.地震発生当日の十月二日夜に遠地で記録された史料を選び出し,その中から「夜四ツ時」や「亥刻」と記されている信頼性の高い日記史料のみを選定した.このようにして厳選された史料にある遠地での有感記事に基づいて,震度を推定した.また,有感記事が記された当時の場所について,他の史料や当時の絵図,日本史における研究成果などに基づいて現在の地名を調査・検討し,その緯度・経度を導き出して遠地での有感記録の分布図を作成した.付記)本研究は文部科学省受託研究「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の一環として実施された.
著者
松田 繁樹 林 輝昭 葦苅 豊 志賀 芳則 柏岡 秀紀 安田 圭志 大熊 英男 内山 将夫 隅田 英一郎 河井 恒 中村 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2549-2561, 2013-10-01

本論文では,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が開発した世界初のスマートフォン用多言語音声翻訳アプリケーション"VoiceTra"を用いた大規模実証実験に関して,VoiceTraシステムの概要,クライアントサーバ間の通信プロトコル,本システムで用いられた多言語音声認識,多言語翻訳,多言語音声合成の詳細を述べる.また,本実証実験中に収集された約1000万の実利用音声データの一部について,聴取による利用形態の分析,更に,実験期間中に行った音声認識用音響モデル,言語モデルの教師無し適応,言語翻訳用辞書の追加に対する音声認識,音声翻訳性能の改善について述べる.
著者
白鳥 義彦 岡山 茂 大前 敦巳 中村 征樹 藤本 一勇 隠岐 さや香 上垣 豊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題として設定した、①「大衆化」と「卓越化」との二律背反の相克、②高等教育の「自由化」政策の影響、③リベラル・アーツと教養教育、という3つのテーマを軸に日仏両国の比較研究を進めた。日本およびフランスのいずれの国においても、さまざまな「改革」の動きの一方で、ともすれば見過ごされているようにも見受けられるのは、「改革」を通じてどのような高等教育を目指すのか、あるいはまた、その新たな高等教育を通じてどのような社会を目指すのか、といった本質的、理念的な問いである。研究代表者および研究分担者は、こうした根本的な問いを共有しながら、それぞれの具体的な研究テーマに取り組んで研究を進めた。
著者
中村 唯史
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.10_72-10_75, 2015-10-01 (Released:2016-02-05)
参考文献数
4
著者
中村 みゆき 上甲 実 塚本 修 金森 恒雄 東 克彦 川田 一昭 木邨 弘 亀井 紀男 鎌田 忠彦 筆保 弘徳
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.129-139, 2002-02-28
参考文献数
12
被引用文献数
4

岡山県勝田郡奈義町には標高1240mの那岐山が聳え,台風などが那岐山よりも南側を通過する際に,那岐山の南麓に強い北寄りのおろし風が吹くことがある.「岡山県における局地風研究グループ」は,1999年9月より那岐山山頂での観測を開始し,今日までに「那岐山からのおろし風」を2事例観測した.この2事例と台風が瀬戸内海付近を通過したにもかかわらずおろし風が吹かなかった1事例を比較して,気象条件を詳しく調査した更に,過去において山頂での観測を行っていなかった期間に那岐山よりも南側を通過した台風など,36事例についても調査し,「那岐山からのおろし風」の発生条件をまとめた.その結果,本研究では新たに,那岐山の麓におろし風が吹くためには山頂を越えるある程度の空気の量と上層の安定層の強度にある臨界値が必要だということと,おろし風発生時には風下側山麓の奈義で局所的に気圧が低下することがわかった.