著者
中野 智之 上條 隆志 高山 浩司 岸本 年郎 廣田 充
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

小笠原諸島の西之島は、2013年からの噴火によりほぼ全ての陸地が溶岩に覆われ新たな島となった。西之島は最も近隣の小笠原諸島父島から約130km離れた海洋島であり、海洋島における生態系の成立過程を観察できる世界で唯一の場所である。令和元年度に環境省が実施した総合学術調査において海産無脊椎動物、陸上植物、昆虫等陸棲節足動物、土壌微生物が採集された。本研究課題では、主にDNA解析に基づき、海産無脊椎動物、植物、昆虫、土壌微生物の視点から、「なにが」、「いつ」、「どこから」、「どのように」遷移が起きたのかを人類史上初めて明らかにするものである。
著者
中野 瑞彦 Mitsuhiko Nakano
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.65-79, 2005-03-10

In the WWI era, the Japanese economy enjoyed an abnormal boom rised by the war in Europe. Japanese exports increased by enormous scale and brought huge external receipts. Discarding the gold-standard system, the Japanese economy lost the adjusting mechanism which the goldstandard system warranted. The money supply increased and thereby the inflation hit the people’s life so that there were riots for shortage of rice in the summer 1918 (Kome-Sodo). This Kome-Sodo riots fall the Terauchi Administration. And after Terauchi, Takashi Hara took office as the first party cabinet in Japan. So the cabinet was changed, but the economic policies were not changed so much. Both administrations took an expansive policies which caused severe inflation and brought an enormous bubble in 1919. The Hara Administration was under control of Hanbatsu fraction. Therefore, Hara could not and would not change the policies (for example, badget) of former administration. That caused disappointment to the party cabinet and democracy in general and paved the way to militarism. This paper dealts with the economic and political causes which lied in desicion process for economic policies in that period by reviewing the newspapers and the journals.
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

人文社会科学において,“物語”は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す“公共政策”においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
高橋 美絵 磯谷 敦子 宇都宮 仁 中野 成美 小泉 武夫 戸塚 昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.403-411, 2007-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
5 7

製麹工程における麹の香りの変化を明らかにした。1.製麹工程中の香りは, 麹らしい香りの全体的強度, キノコの香りの強度は経時的に増加する傾向を示し, 甘い香りは出麹時に最も強くなり, 栗香は出麹以降に強くなることが認められた。2.栗香については, Phenylacetaldehydeが床もみ後40時間で最大となり, 1-Octen-3-one, 1-Octen-3-olは菌体量の増加とともに44時間から49時間の出麹にかけて約2倍に増加したことから, これらの成分のバランスで栗様の香りになるものと考察した。3.製麹工程において麹中のアミノ酸は出麹に向けて経時的に増加する傾向を示したが, 香気成分の前駆物質と考えられるアミノ酸 (Val, Leu, Met及びPhe) において固有の動向は見られなかった。4.製麹工程における脂肪酸の動向を検討したところ, 脂肪酸は菌体量の増加, 菌体外タンパク質量と共に増加する傾向を示し, 脂肪酸は麹菌の増殖の指標となると考えられた。5.リノール酸を基質として麹から抽出した粗酵素液を反応させたところ, HOD及び1-Octen-3-olの生成が確認された。1-Octen-3-ol生成酵素活性は製麹後半 (リノール酸の増加開始約4時間後付近) で約10倍高くなり, 基質であるリノール酸に制御されていることが示唆された。6.1-Octen-3-olを基質として粗酵素液を反応させたところ, 1-Octen-3-oneの生成が確認された。1-Octen-3-one生成酵素活性は盛仕事以後の製麹工程中において一定であり, 香りに強弱がある麹間においても差は認められなかった。7.製麹後期の麹の香りは, リノール酸を前駆体として生産されるものであり, この香りを製麹管理及び麹の品質評価の指標として活用できることが確認された。
著者
石郷 友之 髙田 遼 近藤 蕗 伊部 裕太 中野 敬太 立石 莉穂 藤居 賢 片野 唆敏 北川 学 木明 智子 中田 浩雅 橋本 暁佳 宮本 篤
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.8, pp.1041-1049, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)
参考文献数
47
被引用文献数
3

Sedative hypnotics are among the classes of drugs reported to influence falls. However, the effects of the sedative hypnotic drugs, suvorexant and ramelteon, on falls are not well known. Therefore, we conducted this retrospective case-control study to examine the association of the use of these two sedative hypnotics with the risk of falls. Conducted at the Sapporo Medical University Hospital in Japan, our study included 360 patients with fall incidents and 819 randomly selected control patients. Patients in the fall group were significantly older with a lower body mass index, and had a history of falls, disabilities in activities of daily living, cognitive impairment, and delirium. Monovariate analysis revealed that patients in the fall group frequently used ramelteon [odds ratio (OR) 2.38, 95% confidence interval (CI): 1.49-3.81, p<0.001], but rarely used suvorexant (OR 0.66, 95% CI: 0.29-1.39, p=0.317), compared with control patients. Furthermore, multivariate analysis revealed that ramelteon use did not increase the risk of falls (adjusted OR 1.43, 95% CI: 0.82-2.48, p=0.207), whereas suvorexant use significantly decreased the risk of falls (adjusted OR 0.32, 95% CI: 0.13-0.76, p=0.009). Although ramelteon tends to be used in patients at a high risk of falls, it may not increase the risk of falls. In contrast, the use of suvorexant may reduce the risk of falls.
著者
及川 輝樹 中野 俊
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

長野・新潟県境に位置する白馬大池火山は、約80万年前に活動を開始した火山であるが、完新世には噴火活動を行っておらず、現在は活動を停止している火山であると考えられてきた。今回、白馬大池火山を構成する風吹大池火山にて、完新世である最近1万年間に噴火した証拠が発見され、活火山の条件を満たすことが判明した。 風吹火山は、白馬大池火山の北東部に位置する火山である。白馬大池火山は、白馬大池を含む南側を中心として約80~17万年前に活動を行ったが、約7万年前以降は北東部の風吹岳および風吹大池周辺地域が火山活動の中心となった(及川ほか,2001;中野ほか,2002)。そのため、白馬大池火山を細分して、7万年前以降に活動した北東部の火山については、風吹火山とよぶ。 風吹大池周辺には、いくつかの浸食をあまり受けていない、新鮮な地形をなす火口が複数あるため、比較的最近も噴火活動があった可能性が指摘されてきたが、火口の形成年代などは不明であった。これら火口のうち、風吹大池の北東側に隣接した、風吹岳と備前倉山の間には、西端を小敷池とした東西に長く伸びた火口列がある。その火口列の周辺の表層土層中に、火山岩塊からラピリが混じる、粘土質テフラ層を発見した。このテフラ層は、火口列に近づくと粗く厚くなり、離れると薄くなるような分布を示すため、その火口列から放出されたものと推定される。また、明らかに本質物と考えられる粒子が含まれないことから、本テフラ層をもたらした噴火は水蒸気噴火であったと判断した。本テフラ層の直下の土壌のヒューミンに対して14C年代測定を行ったところ、約4000年前(yr BP)の値が得られた。また、本テフラの下位に位置する風吹大池火山最後のマグマ噴火の噴出物である風吹岳火砕流堆積物(柵山,1980;中野ほか,2002)中には、噴火休止期を示す土層が挟まれる。その土層中の炭質物から約8800年前(yr BP)の年代を得た。これらの結果から、風吹火山は、完新世にマグマ噴火および水蒸気噴火を行ったことが明確となった。なお、風吹大池の周辺には、いくつかの湿原が広がるが、それら湿原の形成は、本テフラ層より後に形成されたことが、層位並びに14C年代測定から判明した。それらの湿原の堆積物中にも水蒸気噴火テフラの疑いのある、白色粘土層が数枚挟まれることから、風吹火山は約4000年前以降も複数回の噴火活動を行った可能性がある。文献:及川ほか(2001)火山,46,21-25. 柵山(1980)地質学雑誌,86,265-274. 中野ほか(2002)5万分の1地質図「白馬岳」地質調査総合センター.
著者
中野 邦彦
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.35-42, 2014-10-26 (Released:2020-10-07)
参考文献数
17

This paper aims to investigate the reasons leading to the abolishment of local SNSs. In 2010, there were about 500 local SNSs in Japan, but as of 2014, there are only about 260 SNSs. Furthermore, ac- cording to GLOCOM data for 2014, only about 170 of these are actually utilized. In addition to analyzing this decline, this research is intended to clarify the process which led to the abolition local SNS services. Although there are many existing studies which surveyed only a few areas regarded as successful examples, there is no research done on examples of failed SNSs. The author carried out a survey of local government staff about the local SNSs abolition process. The author categorizes the cause of the failures based on this survey. Reasons analyzed include budget screening, the time limit of business stipulated, and competition with existing ICT tools.
著者
中野区立中央図書館
出版者
中野区
巻号頁・発行日
2019-03-30
著者
中野 正大
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.40, pp.81-104, 2012-03

本稿は1920~30年代にかけてシカゴ大学出版会から次々と出版されたいわゆるシカゴ・モノグラフに翔太ンをあてて、そこで駆使された調査法、多角的調和法についてこうさつする。そこではまずシカゴ・モノグラフの代名詞ともなっているエスの具ラフィーの代表例としてゾーボー『ゴールド・コーストとスライム』を取り上げて実際にどのような調査法が用いられているかをみる。また参与観察を用いた代表的モノグラフといされるクレッシー『タクシー・ダンスホール』をみることによって、そこでのちょうさほうとしての参与観察の占める位置を考察する。ついでフィールドワークを伴わないモノグラフとしてマウラー『家族解体』の場合を考察する。最後にこうしたシカゴ・モノグラフで用いられた調査法の問題点を検討する。
著者
中野 俊雄
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.494-504, 2008-08-25 (Released:2015-01-13)
参考文献数
47
著者
田村 純 俵原 敬 諏訪 賢一郎 野中 大史 尾関 真理子 浮海 洋史 中野 秀樹 井手 協太郎 阿部 克己 高橋 元一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1972-1974, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
3

肺動静脈瘻は先天性の中胚葉性血管形成不全を原因とする疾患である.症例は26歳,男性.Hugh-Jones II度の労作時呼吸困難あり,健康診断にて胸部X線上結節状陰影を指摘され当院紹介受診.3次元CT等で右上下肺,左下肺に肺動静脈瘻を認め,肺血流シンチグラムではシャント率16.5%であった.経カテーテルコイル塞栓術を施行し,術後血液ガス所見および臨床症状の著明な改善を認めた.