著者
山口 将希 井上 大輔 黒木 裕士 伊藤 明良 長井 桃子 張 項凱 飯島 弘貴 太治野 純一 青山 朋樹 秋山 治彦 広瀬 太希
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100827, 2013

【はじめに、目的】変形性関節症(OA)は、加齢や遺伝的要因、外傷、メカニカルストレスなど様々な要因によって発症する疾患であることが知られている。関節軟骨に慢性的な過荷重などの過剰なメカニカルストレスが加わることにより炎症性のサイトカインの上昇や炎症に関連するNF-κBのシグナル経路が活性化し、その下流にある分子のMMP13 やVEGF が関節軟骨の破壊を招くことが近年報告されている。寒冷刺激は炎症抑制効果のある物理刺激として、炎症性疾患やスポーツ外傷などの急性期、あるいは運動後の関節等に対して用いられている。関節軟骨に対する寒冷刺激の効果、とくに膝OA の関節軟骨に対する効果はほとんど報告されていない。これまでに損傷した神経や肺疾患において寒冷刺激をするとNF-κBを抑制する効果があることが報告されていることから、関節軟骨においても寒冷刺激によってNF-κBを抑制し、その結果、OA進行を遅らせる効果があると考えられる。そこで本研究はOAモデルラットに対して寒冷刺激を行い、その影響を組織学的に評価することを目的としている。【方法】対象は9 週齢のWistar 系雄ラット2 匹、平均体重229.5gを対象とし、両後肢に対してネンブタール腹腔内麻酔下にて前十字靭帯、内側側副靭帯、内側半月板の切離を行い、OA モデルとした。それぞれのラットに対し、術後一週後より、右後肢に対してのみ寒冷刺激を加えた。寒冷の刺激条件は0 〜1.5℃、10 分間/日、3 回/週の条件で冷水槽にて吸口麻酔下で寒冷刺激を加えた。術後3 週飼育、寒冷刺激9 回の後、ラットをネンブタール腹腔内麻酔致死量投与により安楽死させ、両側後肢膝関節を摘出し、4%パラホルムアルデヒドにて組織固定を行なった。固定後、PBSにて置換した後、EDTA 中性脱灰処理した。脱灰後、パラフィン包埋処置を行い、包埋したサンプルをミクロトームにて6㎛切片に薄切した。組織観察は薄切した切片をトルイジンブルーおよびHE 染色にて染色し、OARSI (Osteoarthritis Research Society International)のGrade、Stage およびScoreを用いて光学顕微鏡下で膝関節軟骨の組織評価を行った。正常ではOARSIのGrade、Stage、Scoreはいずれも0 となる。加えてII型コラーゲン免疫組織化学染色(col2 免疫染色)にて形態観察を行った。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は所属大学動物実験委員会の承認を得て実施した。【結果】寒冷側はGrade; 4.8 ± 0.30、Stage; 4 ± 0.0、Score; 19 ± 1.0 となり、組織画像上では大腿骨内側部に中間層にまで軟骨の欠損が見られた。非寒冷側ではGrade; 3.5 ± 1.00、Stage; 4 ± 0.0、Score; 14 ± 4.0 となり、組織画像において軟骨表面の連続性が消失した個体と中間層までの軟骨が欠損した個体が見られた。非寒冷側に比べて寒冷側ではOAの悪化が見られた。しかしcol2 免疫染色画像での形態観察では、非寒冷群に比べて寒冷群において強いcol2 染色の発現が見られた。【考察】術後1 週後という、手術侵襲による炎症症状が治まった後の寒冷刺激は、むしろ軟骨損傷の進行を招く恐れがあることが示唆された。しかし本結果は関節軟骨の主要な構成成分であるll型コラーゲンの破壊は抑制されることを示していた。つまり寒冷刺激により助長された軟骨損傷の進行は、ll型コラーゲンの破壊以外の要因によるものであると考えられる。【理学療法学研究としての意義】炎症抑制効果のある寒冷による物理刺激でも、変形性関節症の関節軟骨に対しては必ずしも良好な効果をもたらすわけではないことが示唆された。今回はOAに対する寒冷刺激単独の効果を検証したが、今後、運動刺激との併用により炎症症状が強まった状態やより急性期の関節軟骨においてはどのように影響するか調べることが必要だと考える。
著者
三浦 大助 幡谷 竜太 宮腰 勝義 井上 大榮 小俣 雅志 佐々木 俊法 川崎 泰照 佐藤 賢 宮脇 明子 田中 竹延 宮脇 理一郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.255-270, 2004 (Released:2005-01-07)
参考文献数
49
被引用文献数
3 2

糸—静線活断層系南部の白州断層の活動履歴を再検討した. 白州断層南部には, 北西—南東方向に連続する2列の断層崖 (東・西断層崖) が分布し, 西側の断層上のトレンチ調査結果から2回の古地震イベントが明らかとなった. これらは1695~2720 cal y BPおよび7325~8360 cal y BPの間と考えられ, 後者は東側の断層上の最新地震イベント発生時期と近い. トレンチ調査による西側断層の活動間隔は約5000年, 鉛直の平均変位速度は0.4-0.6(-0.7) mm/yrである. 白州断層全体の鉛直の平均変位速度はイベント間で0.4-0.8 mm/yr, 周辺の変形を含めると1.0-1.8 mm/yrとなり, 少なくとも1.0 mm/yrのネットスリップ速度を持つ可能性が高い. トレンチの断層産状は横ずれ成分を含む斜めすべりを示すフラワー状構造であり, 従来の見解である西傾斜の衝上断層と区別できる.
著者
大坪 公士郎 毛利 久継 山下 要 牧野 勇 田島 秀浩 太田 哲生 井上 大 蒲田 敏文 池田 博子 全 陽 渡邊 弘之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.4, pp.700-709, 2017-04-05 (Released:2017-04-05)
参考文献数
30

症例は67歳,男性.心窩部痛,背部痛の精査目的に施行したEUSにて体部主膵管狭窄と尾側膵管拡張,MRCPにて尾部主膵管拡張を認めたが,CT,MRI,EUSでは腫瘤は認めなかった.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ下の連続膵液細胞診にて腺癌細胞が検出され,膵体尾部切除術を施行したところ,膵体尾部の主膵管を中心に上皮内癌がみられた.分枝膵管には膵上皮内腫瘍性病変が散見され,微小浸潤癌の合併も認めた.
著者
加藤 研一 宮腰 勝義 武村 雅之 井上 大榮 上田 圭一 壇 一男
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR EARTHQUAKE ENGINEERING
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.46-86, 2004 (Released:2010-08-12)
参考文献数
125
被引用文献数
3 8

内陸地殻内で発生する地震を対象として、既存の活断層図等の文献による調査、空中写真判読によるリニアメント調査、現地における地表踏査等の詳細な地質学的調査によっても、震源位置と地震規模を前もって特定できない地震を「震源を事前に特定できない地震」と定義し、その地震動レベルを震源近傍の硬質地盤上の強震記録を用いて設定した。検討対象は、日本およびカリフォルニアで発生した計41 の内陸地殻内地震である。地質学的調査による地震の分類を行い、9 地震12 地点の計15 記録 (30 水平成分) の強震記録を、震源を事前に特定できない地震の上限レベルの検討に用いた。Vs=700m/s 相当の岩盤上における水平方向の地震動の上限レベルとして、最大加速度値450 cm/s/s、加速度応答値1200cm/s/s、速度応答値100 cm/s が得られた。
著者
寺川 裕史 牧野 勇 正司 政寿 中沼 伸一 酒井 清祥 林 泰寛 中川原 寿俊 宮下 知治 田島 秀浩 高村 博之 二宮 致 北川 裕久 伏田 幸夫 藤村 隆 尾山 武 井上 大 小坂 一斗 蒲田 敏文 太田 哲生
出版者
医学図書出版
雑誌
胆と膵 = The Biliary tract & pancreas (ISSN:03889408)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.481-485, 2014-05-01

症例は56歳, 男性. 検診にて膵頭部腫瘍を指摘され, 当科紹介となった. 腹部USでは膵頭部に多房性嚢胞性病変を認め, 内部は多彩なエコー輝度が混在するモザイク状であった. CTでは膵外に突出する境界明瞭な多房性嚢胞性病変として描出され, 嚢胞壁および隔壁に造影効果を認めた. MRIにおいては自由水の信号と比較してT1強調像ではより高い信号, T2強調像ではより低い信号, 拡散強調像ではより高い信号を呈しており, 粘調度や蛋白成分の高い内容物の存在が示唆された. 年齢, 性別, 画像所見およびCA19-9高値などを総合的に評価し, lymphoepithelial cyst (LEC)を第一に疑った. 他の膵嚢胞性疾患が否定できないため切除生検としての腫瘍核出術を施行し, 病理学的にLECと診断した. 詳細な画像検査に加え, 性別やCA19-9値などを総合的に評価することにより, 膵LECを疑うことが可能であると考えられた.
著者
井上 大輝 木村 仁星 中山 浩太郎 作花 健也 Rahman Abdul 中島 愛 Patrick Radkohl 岩井 聡 河添 悦昌 大江 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

深層学習を活用した胸部 X 線写真の自動診断は現在盛んに研究されている.診断精度を改善するためには,異常と疑われる局所画像を抽出し,深層学習ネットワークの入力とするかが重要である.そこで本研究では,「診断時に医師が凝視している領域を異常と疑われる局所画像として抽出できるのではないか」 という仮説を立てた上で,視線データを基に抽出された局所画像を入力とする深層学習モデルを構築した.その結果,視線データを使用しない場合,または医師訓練を受けていない被験者の視線データを使用した場合に比べて,医師の視線データを使用した場合により高い精度が認められ,視線データの有用性を示した.
著者
田之口 真理子 加島 竜彦 雑賀 英之 井上 大志 有本 正生 山口 秀夫
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.68-72, 1989-01-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
31
被引用文献数
11 16

Two new lignans, hernolactone (1) and fernandin (2), isolated from the seeds of Hernandia ovigera L. were synthesized in recemic forms. Firstly, (±)-1 was obtained by utilizing the conjugate addition reaction of 4 with butenolide followed by alkylation with trimethoxybenzyl bromide and subsequent removal of the protecting groups. Synthesis of 2 was pursued using the corresponding 4-phenyl-1, 2-dihydronaphthalene lactone(18). The cleavage of the lactone moiety of 18 afforded an unsaturated hydroxy acid (22). Subsequent hydrogenation of 22 followed by acidification with concetrated hydrochloric acid gave isopicrobernanadin (21), leaving the 2, 3-trans, 3, 4-cis hydroxy acid (23), which was lactonized by means of N, N-dicyclohexylcarbodiimide to afford (±)-2.
著者
井上 大介 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2489-2501, 2002-08-15

ステガノグラフィは真に伝えたい情報を見せかけの媒体の中に埋込み伝送すると いう方法で,通信行為の存在を秘匿することを目指す研究分野であり,画像,音声,テキストなど様々な媒体を用いたステガノグラフィ方式が研究され てきている.本論文では,楽曲の演奏データとして広く利用されているスタンダードMIDIファ イル(SMF)を媒体とするステガノグラフィ方式 ---SMFステガノグラフィ--- を提案し,それが媒体の演奏音をまったく変化させるこ となく,ファイルサイズに対して平均約1[%]の情報を埋込むことができる能力 を持つことを実験的に実証する.また,クォンタイズと呼ばれる音の時間情報 の操作を適用することで,SMFに埋込むことのできる情報量が向上することを実 証する.さらに,SMFステガノグラフィの安全性についての議論を行う.
著者
井上 大介 吉永 隼人 BIKASH MALLA RAJANI GHAJU SHRESTHA SARMILA TANDUKAR DINESH BHANDARI 田中 靖浩 JEEVAN B. SHERCHAND 原本 英司 清 和成
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-72, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
20

ネパール・カトマンズ盆地では、水源の微生物汚染が深刻な問題となっている。本研究では、カトマンズ盆地において飲用水や生活用水として主に利用されている市販の飲用ボトル水(10試料)、浅井戸地下水(10試料)、深井戸地下水(3試料)、公共水場水(1試料)、湧水(2試料)と、河川水(2試料)の計28試料を採取し、病原性細菌の存在を網羅的に調査した。ヒト、動物、植物、及び魚介類に感染する941種/グループの病原性細菌(バイオセーフティレベル(BSL)2、3の全属及び日和見感染菌)の16S rRNA遺伝子を標的とするDNAマイクロアレイを用いた病原性細菌の網羅的検出の結果、Acinetobacter属、Arthrobacter属、Brevibacterium属、Pseudomonas属、及びLegionella属が大部分の試料で検出され、一部の試料ではBSL3の病原性細菌も検出された。Legionella属及びBSL3に属するBrucella属を対象として属特異的PCRによる定量検出を試みた結果、一部の試料においてDNAマイクロアレイ解析を支持する結果が得られた。また、DNAマイクロアレイ解析において6試料以上で検出された病原性細菌を対象として、糞便汚染指標(大腸菌群、大腸菌)との関連性について検討を行った結果、そのほとんどが糞便汚染指標とは相関を示さないことが明らかとなった。本研究の成果は、カトマンズ盆地における病原性細菌汚染の解明や、詳細な調査を要する病原性細菌種の特定の一助となり得るものと考えられる。
著者
津田 侑 遠峰 隆史 井上 大介
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-6, 2014-03-20

個人情報やプライバシーに係る情報がユーザ自身により書き込まれる SNS では,攻撃者にそれらの情報を窃取される恐れがある.実際に,情報窃取用の不正なアカウントを作成しユーザと友達関係を構築することで,公開されたプロフィール情報以外に友達のみに限定公開されたものまでも窃取する方法が存在する.本研究では SNS の特性を活かし,SNS 上のユーザらが協力して不正アカウントを報告し合うシステムを提案する.本システムでは,友達申請を受けた時点でそのアカウントが不正なものかどうかの判定基準をユーザに示し,不正アカウントの報告を促す.報告された不正アカウントは他のユーザにも共有され,ユーザ同士で注意喚起することを可能とする.本研究の最後では,実際に 7 人の Facebook ユーザが本システムを用いて収集した不正アカウントを分析し,それらのプロフィール情報の特徴やそれらが行う友達申請行為に着目した考察を述べる.On online social networks (OSNs) which store huge personal data and privacy information by OSNs users, those information can be stolen by attackers. Actually, attackers create their accounts called "fake profiles" for collecting information. Then, the accounts connect to targeted users on OSNs in order that they aim at limited-access information only for targeted users' friends. In this paper, we propose a system for sharing and alerting to fake profiles among OSNs users, in which users can collaborate with their friends. This system shows a sence of fake profiles to users and encourages users to report the profiles to their friends as attackers. In addition, 7 existing Facebook users collect fake profiles using this system. The authors analyze these fake profiles. At last, we discuss features of their profile information and their friend-request actions.
著者
福田 将義 大坪 倫代 徳山 理恵 山田 透子 村野 竜朗 加藤 知爾 井上 大 清水 寛路 小田柿 智之 岡宮 聡 村田 直樹 小倉 祐紀 竹縄 寛 芝 祐信
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.44-47, 2009-12-10 (Released:2013-07-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

内視鏡的大腸ポリープ切除術について,後出血の危険因子および後出血予防処置としてのクリッピングの有効性について検討を行った。2004年から2007年の4年間に,当院にて施行した1049病変について解析を行った。出血例は26病変に認められ,出血率は2.5%であった。病変部位,病変の大きさ,病変形態,切除方法,組織型,クリップ施行の有無について検討を行った。後出血の要因として,病変部位としては左側結腸,大きさは15mm以上,病変形態は広基性または10mm以上の有茎性,切除方法は分割切除,組織型は腺癌であった。クリッピングの有効性については,施行例・非施行例での背景が異なっており,有効性を示すためには施行規準を設けた前向き研究が必要と考えられた。
著者
横山 博 井上 大輔 熊丸 敦郎 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.211-217, 1997-12-15
被引用文献数
2 13

コイ稚魚の鰓ミクソボルス症において宿主に対する害作用が異なる大小2型シストの発生状況, 組織観察, 胞子の形態学的, 血清学的比較を行った。大シストの発生率は7月が最高で約25%であったのに対し, 小シストは8月がピークでほぼ100%に達した。両者は魚への侵入時期や鰓での発育部位において顕著な差異がみられたものの, 胞子の形態学的, 計測学的比較, および間接蛍光抗体法を用いた血清学的比較により, Myxobolus koi Kudo, 1920と同一種であることが示された。
著者
三浦 大助 幡谷 竜太 阿部 信太郎 宮腰 勝義 井上 大榮 二階堂 学 橘 徹 高瀬 信一
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.33-45, 2002-07-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
26
被引用文献数
3

Co-seismic faulting activity during the last three hundred thousands years of the Ichinose fault group, in the southern part of the 150km long Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line active fault system, central Japan, was appraised. The Ichinose fault group consists of the mainly two distinct arcuate reverse fault traces bulged toward the east (frontal) and west (behind) directions. We conducted a trench excavation at the Nakano site across the behind fault, where the detailed geological and chronological information for the last ten thousands years was absent. The excavation resulted in evidences for the latest, at least two surface-rupturing events. The events were present sometimes between 665 and 1275 cal.y.B.P. and between 3355 and 4810 cal.y.B.P. The timing of the penultimate event is coincident with the previously estimated latest event on the frontal fault (3, 990-6, 270 cal.y.B.P.). The recurrence time and slip rate between these two events is approximately estimated as 3, 200 years and 0.9-1.8mm/yr in dip-slip, respectively. In comparison with a slip rate estimated from the geomorphological characteristics, the dip-slip rate from our excavation result is coincident well.A reappraisal of geomorphological reference deposits and a result of the seismic investigation study suggest that the total deformation rate of the Ichinose fault group is 3.5-3.7mm/yr (possibly up to 5.0mm/yr) and it becomes to increase in recent several ten thousands years. While the deformation rate suggests that the co-seismic faulting activity at the Ichinose fault group as a whole is ranked as the one of most active faults in Japan, however, it is smaller than that of 6.3-8.3mm/yr estimated previously from the gravimetric and numerical analyses.
著者
遠田 晋次 三浦 大助 宮腰 勝義 井上 大栄
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.445-468, 2000-03-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

The Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line (ISTL) in central Japan is a complex 150km-long fault system consisting of north-trending east-dipping reverse, northwest-trending left-lateral strike-slip, and north-trending west-dipping reverse faults. To help to resolve segmentation and to estimate the magnitude of future shocks on the ISTL, we conducted four trench excavations across the Hakushu fault, the Shimotsuburai fault, and the Ichinose fault group in the southern part of the ISTL, where no paleoseismological data for the surface faulting had been available. On the trench walls at the Hakushu fault, we found the evidence for the most recent surface-rupturing event occurring sometime between 6, 650 and 7, 000cal. y. B. P. (BC 4700-BC 5050) with approximately one meter of coseismic slip. On the Shimotsuburai fault, we exposed evidence for three events at two trench sites. The low-angle thrust faults and associated sediments record the most recent and the penultimate events occurring between 1, 370 and 2, 500cal. y. B. P. (AD 580-BC 550), and between 7, 940 and 8, 430cal. y. B. P. (BC 5990-BC 6480), respectively. Vertically offset terrace gravels indicate the dip-slip rate of the Shimotsuburai fault to be about 0.5mm/yr during the past 22, 000 years. We also found evidence for the most recent two surface-faulting events on the scarp of the frontal fault of the Ichinose fault group. The most recent event, which accompanied a coseismic slip of 1.8-2.2m, is inferred to have occurred sometime between 3, 990 and 6, 270cal. y. B. P. (BC 2040-BC 4320). The penultimate event, which appears to have a coseismic slip of 2.1-3.0m, is constrained to have occurred between 9, 520cal. y. B. P. (BC 7570) and 10, 930y. B. P. The recurrence time and slip rate are roughly estimated as 5, 000 years and 0.5mm/yr, respectively. Regarding the long elapsed time since the most recent events, the Hakushu fault and the Ichinose fault group have accumulated enough strain to produce surface-rupturing earthquakes today. Based on such long recurrence times and lower slip rates on the southern ISTL relative to the central ISTL, we suggest that multiple segment ruptures of the central and southern ISTL are unlikely to have occurred during the past 10, 000years. However, partial synchronization of rupture timings for the central and southern ISTL might have occurred around 7, 000y. B. P. though. To evaluate the fault activity in the southern ISTL more precisely and to consider fault interaction with central ISTL, we still need to investigate other fault strands of the southern ISTL, and to gather more paleoseismic evidence.
著者
井上 大介 中尾 康二
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.237-243, 2010-03-15
著者
西田 雅太 星澤 裕二 笠間 貴弘 衛藤 将史 井上 大介 中尾 康二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.21, pp.1-7, 2014-02-27

近年増加しているドライブバイダウンロード攻撃では,JavaScript を介して攻撃を行うものがあり,悪意のある JavaScript を検出する手法が希求されている.本稿では,難読化が施された JavaScript の文字出現頻度が一般の JavaScript とは異なる傾向があることに着目し,スクリプトの文字出現頻度を機械学習のパラメータとすることで,悪意のある難読化スクリプトを検出する手法を提案する.また提案手法の検証として,一般サイトの JavaScript と MWS データセット内の D3M 攻撃通信データの JavaScript を入力として学習した結果を示す.Today the number of Drive-by-Download attacks using JavaScript has increased. Therefore we need an efficient method to detect malicious JavaScript. In this paper, we focus our attention on a bias of character frequency of obfuscated malicious JavaScript. We will propose the use of machine learning with character frequency to detect obfuscated malicious JavaScript. This paper will also evaluate the proposed method by using various JavaScript in benign web sites and D3M pcap of MWS dataset.
著者
井上 大平 INOUE Taihei
出版者
法政大学
雑誌
法政大学大学院紀要 デザイン工学研究科編 (ISSN:21867240)
巻号頁・発行日
vol.2, 2013-03-31

The lighting used as an instrument that supports people's life as a light source and directs space is continuing changing the form by the new light source produced with the time. As new technology, LED is going to change our life now. The miniaturization of the light source progressed by LED and modeling which was not able to be realized in the conventional light source was attained. This research aims design and work of the ceiling light that incorporated the interaction and modeling by characteristic of a new light source called LED. Keywords: Design, LED, Ceiling light
著者
小山 達雄 井上 大成
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.143-153, 2004-12-25
参考文献数
30
被引用文献数
6

従来,近畿地方以西に分布していたムラサキツバメは,近年,関東地方のほぼ全域で発生している.現段階での本種の定着北限に近いと考えられる関東地方北部において,2002〜2003年に野外における発生経過と幼生期の捕食寄生者および随伴するアリ類について調査した.1.野外における成虫・卵・幼虫の個体数調査の結果から,茨城県つくば市では,本種は部分4化であることが示唆された.第二〜第四世代の卵数のピークは,それぞれ6月下旬〜7月上旬,8月下旬,9月中旬であった.また第一世代に相当すると思われる卵が4月上旬に発見された.2.これまで,本種は4齢幼虫が終齢であるとされていたが,飼育観察と野外で採集された幼虫の頭幅の測定結果から,蛹化するまでに5齢を経過することが明らかとなった.3.幼虫あるいは蛹化後の蛹には,7種のアリ類が随伴していた.4,本種の卵期における捕食寄生者はこれまでに報告されていなかったが,本研究によって少ないながら卵が寄生されていることが明らかになった.また,幼虫期の寄生は確認できず,蛹期の寄生も数例のみに限られた.