著者
遠田 晋次 宮腰 勝義 井上 大栄 楠 建一郎 鈴木 浩一
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.57-70, 1995-05-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

The Yamasaki fault system is located from the eastern Okayama to Hyogo Prefectures, southwest Japan, trending in NW-SE direction with a length of 87 kilometers. Earthquake risk evaluation of this fault system is not complete because the past seismic events have not been determined throughout the fault system. This paper reports a comprehensive survey of the Ohara fault, located at the northwestern end of the fault system. High resolution electrical exploration and five drillings at Ohara Town clearly identified the location of the fault underneath the sediment cover. Trench survey was then carried out to determine the past seismic events along the Ohara fault. The following conclusions were derived from these studies. (1) The Ohara fault shows up as a sharp resistivity contrast in the high resolution electrical exploration, reflecting mainly the difference in resistivity between acid tuff and black slate that constitute the northern and southern sides of the fault, respectively. (2) The trench observation in the log and radiocarbon dating of sediments revealed that the latest fault movement along the Ohara fault occurred between 150 and 1200 years B. P. The Harima Earthquake of 868 years AD is most likely to correspond to this fault movement. The timing of the event roughly coincides with the latest event of the Yasutomi fault (Okada et al., 1987) comprising the central part of the Yamasaki fault system. This strongly suggests that the Ohara and Yasutomi faults ruptured simultaneously or as a sequence of events during the Harima Earthquake. (3) The penultimate movement of the Ohara fault was estimated between 1500 and 3000 years B. P. If the latest event corresponds to the Harima Earthquake, then the interval between the last two events is estimated to be 400 to 1900 years. (4) The present trench survey revealed possibly four events along the Ohara fault during the Holocene. Thus the recurrence interval may be about 2500 years. Comparing this result with the interval between the last two events, movement of this fault system is likely to be aperiodic.
著者
作花 健也 中山 浩太郎 木村 仁星 井上 大輝 山口 亮平 河添 悦昌 大江 和彦 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

医療画像は診断や治療に幅広く利用されているが,読影には高い専門性が必要である.胸部X線写真は患者の状況や重要な情報を把握するための方法として最も普及している方法の一つであり,緊急医療や健康診断など様々な場面で日々大量の撮影が行われている.この結果,専門家へ大きな負担が発生しており,その解決が求められていた.そのため近年,医療画像から自動で所見を生成する研究が行われている.しかしながら,所見には表記方法の揺らぎがあるためクラス分類問題として解くことが困難である. 本稿では,胸部X線写真から表記方法の揺らぎにも対応可能な文字単位での所見生成の手法を提案した.加えて,アテンション機構を用いることで結果の解釈性を高めた.結果として,位置情報を反映した所見生成ができていることを確認し,文字単位での所見生成の有用性を示した.
著者
伊沢 亮一 班 涛 井上 大介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.315, pp.19-24, 2012-11-15

パッカ特定にはPEiDと呼ばれるシグネチャベースのツールが利用されることが多い.対象のファイルにシグネチャが含まれるかを完全一致で検査するため,シグネチャに1バイトでも誤りがあるとパッカを特定することができない.これに起因して,誤りが含まれないようにするために長いシグネチャを作成することが難しく,偽陽性率(False Positive率)が高いことが問題となっている.本稿では,PEiDの課題を改善するという立場で,String-Kernel-Based SVMを用いたパッカ特定手法を提案する.学習データにはPEiDのシグネチャと同様にパックされたファイルのバイト列を用いるが,SVMには完全一致のような制約がないため,より長いバイト列をパッカの特定に利用できる.評価実験では,5クラス問題においてAccuracyが99.84%でパッカの特定が可能であることを示す.提案手法はマルウェアに施されているパッカの特定に利用し,マルウェアの解析に役立てることを目的としている.
著者
津田 侑 遠峰 隆史 井上 大介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.77-82, 2014-03-20

個人情報やプライバシーに係る情報がユーザ自身により書き込まれるSNSでは,攻撃者にそれらの情報を窃取される恐れがある.実際に,情報窃取用の不正なアカウントを作成しユーザと友達関係を構築することで,公開されたプロフィール情報以外に友達のみに限定公開されたものまでも窃取する方法が存在する.本研究ではSNSの特性を活かし, SNS上のユーザらが協力して不正アカウントを報告し合うシステムを提案する.本システムでは,友達申請を受けた時点でそのアカウントが不正なものかどうかの判定基準をユーザに示し,不正アカウントの報告を促す.報告された不正アカウントは他のユーザにも共有され,ユーザ同士で注意喚起することを可能とする.本研究の最後では,実際に7人のFacebookユーザが本システムを用いて収集した不正アカウントを分析し,それらのプロフィール情報の特徴やそれらが行う友達申請行為に着目した考察を述べる.
著者
中里 純二 班 涛 島村 隼平 衛藤 将史 井上 大介 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.101-106, 2014-03-20

スパムメール本文を用いた特徴分析では,スパムメールの目的や攻撃活動(キャンペーン)の違いにより特徴が変化する.そこで,キャンペーンなどに影響を受けない新たな分析手法として,メールヘッダ内に記載されている転送経路に着目したスパムメール分析を行う.複数のスパムメールの転送経路情報を利用する事で,確度の高い分析を行う事が可能となる.本論文では,スパムメール関連ホストの状態をNICTERで収集しているスパムメールと大規模ダークネット観測を用いた分析を行う.複数のスパムメールから抽出した転送経路とダークネットトラフィックを突合する事で,ボットなどによるスパム送信ホストやリレーサーバの存在を明らかにする.
著者
岩本 一樹 神薗 雅紀 津田 侑 遠峰 隆史 井上 大介 中尾 康二
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2014-CSEC-65, no.13, pp.1-6, 2014-05-15

アプリケーションの脆弱性を攻撃する電子文書型マルウェアを動的に解析するためには,該当する脆弱性をもつアプリケーションを準備する必要がある.しかし脆弱性の種類を特定することは困難な場合があり,またアプリケーションが入手できない可能性もある.一方,脆弱性を攻撃した後に動作する不正なプログラム (シェルコード) は脆弱性やアプリケーションに関係なく独立して動作することが多い.そこで本研究では脆弱性の種類を特定することなく,またアプリケーションが無くても電子文書型マルウェアの動的解析が行えるようにするために,電子文書型マルウェアに含まれるシェルコードを特定して実行する方法を提案する.
著者
井上 大樹 安心院 朗子 谷口 隆憲
出版者
一般社団法人 日本予防理学療法学会
雑誌
日本予防理学療法学会雑誌 (ISSN:24369950)
巻号頁・発行日
pp.JPTP-D-23-00009, (Released:2023-08-04)
参考文献数
27

【目的】靴の種類や特徴を統一したサイズが異なる靴を用いて,高齢者における靴のサイズ適合性が歩行安定性に影響を及ぼすかを検討した。【方法】介護予防教室体験会に参加した高齢者27 名を対象とした。歩行能力の評価には,3 軸加速度センサにて歩行速度,歩幅,歩行周期のばらつき,歩行の動揺性の指標となるRMS を算出した。靴のサイズ測定は,Brannock device にておこない「適合」,「不適合」の2 条件に合致する靴を準備した。対象者ごとに無作為に割り付けた順に靴を着用し,歩行能力の測定をおこなった。 統計解析は,靴のサイズ適合性における歩行関連指標の比較に対応のあるt 検定をおこなった。【結果】適合と不適合を比較して,不適合の靴を着用した場合,前後のRMS のみ有意に低値を示した。【考察】歩行時の推進力に影響を及ぼした可能性が考えられるが,さらなる検討が必要である。
著者
井上 大介 INOUE Daisuke
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1-2, pp.35-56, 2023-03-20

本稿ではインターネットをはじめとする電子メディアを媒介としたコミュニケーション、相互行為が社会をどのように変容させつつあるのかという点について、宗教文化に限定して考察したものである。日本におけるデジタル・メディアと宗教に関する研究では、宗教教団がどのようにインターネットを活用しており、組織の形態や運営がどのように変化しつつあるのか、といった事例研究が中心となってきた。他方、欧米における研究動向では、Digital Religion という領域において様々な研究が、 990 年代以降蓄積されてきた。本論の前半では、同研究領域の概要を先行研究に沿って紹介し、特にそこでの理論的枠組みが宗教観、儀礼、帰属意識、共同体、権威、身体化という6つの領域である点を整理した。後半では、その中の権威について注目しつつ、キューバにおけるヨルバ系宗教であるレグラ・デ・オチャ=イファ信仰を題材に、そこにおける伝統的指導者と現代的指導者の相違点、およびそこでの師弟関係の変容および孤独化の現状に注目しつつ論を展開した。
著者
岡田 健次 井上 大志 山中 勝弘 江本 拓央 山下 智也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

大動脈解離の発生機序は未解明であり、治療法も発症後早期の緊急手術が選択され、新規の予防法および進展抑制法の開発が急務である。本研究の目的は、ヒト大動脈解離手術サンプルの単一細胞遺伝子発現解析を行い、病変部の炎症細胞と血管細胞の単一細胞ごとの遺伝子発現を調査することで、大動脈解離発生メカニズムの一端を解明することである。解離病変に特異的な遺伝子発現から関連分子を特定し、蛋白レベルでの解析も加えて病態との関係を検証する。新規治療標的の可能性のある炎症細胞とその関連分子に対して動物モデルによる介入実験を行い検証する。
著者
森 聡 永易 利夫 甲田 広明 井上 大樹
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1043, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】長期間持続する慢性疼痛の形成と進展には様々なストレス要因が関連すると考えられている。近年,慢性疼痛において,痛みの経験をネガティブに捉える傾向を評価する破局的思考の重要性が提唱されている。心理社会的ストレスが強い場合,不安,抑うつ,怒り,焦燥などの精神症状が現れ,物事をネガティブに捉えやすい状態に陥ると考えられる。本研究では,痛みを伴う患者の社会的,心理的,環境的なストレス因子に目を向ける必要性を明らかにするため,痛みに対する破局的思考と心理社会的ストレスの関連を調査した。【方法】調査期間は,平成26年4月1日から同年10月31日とした。対象は,整形外科疾患を有する者51名(男性:11名,女性:40名,平均年齢62.4±13.7歳)とした。疾患部位の内訳は上肢疾患33名,下肢疾患16名,体幹疾患2名であった。中枢性疾患及び明らかな認知症を有する者は除外した。調査は,アンケートを用い,自己記入質問紙法にて行った。調査内容は,Pain Catastrophizing Scale(以下,PCS:13項目),Stress Check List for Self(以下,SCL-S:30項目),安静時および運動時のNumeric Rating Scale(以下,NRS)の4項目とした。PCSは,痛みに対する破局的思考を測る尺度であり,13項目から更に,反芻,無力感,拡大視の3つの下位尺度に分類される。PCSは,Sullivanらによって作成された原版を,松岡らが日本語版に翻訳したものを使用した。PCSは合計点と反芻,無力感,拡大視それぞれの点数を算出した。SCL-Sは,30項目からその時点で本人が感じているものを選び,その得点でストレスの度合いを判定するものであり,値が大きい程,心理社会的ストレスを感じていることを示す。運動時NRSは日常生活上の特に痛みの出る動作の痛みとした。統計処理には,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した。PCSとSCL-S,安静時及び運動時NRSの相関関係とSCL-SとPCS,反芻,無力感,拡大視,安静時及び運動時NRSの相関関係を分析した。全ての統計学的検定は両側検定とし,有意水準は5%未満とした。【結果】PCSと安静時NRSに正の相関関係が認められた(rs=0.287,p<0.05)。PCSと運動時NRSに正の相関関係が認められた(rs=0.352,p<0.05)。PCSとSCL-Sに有意な相関関係は認められなかった(rs=0.178,p=0.212)。SCL-Sと拡大視に正の相関関係が認められた(rs=0.443,p<0.01)。SCL-Sと安静時NRSに有意な相関関係は認められなかった(rs=0.271,p=0.055)。SCL-Sと運動時NRSと有意な相関関係は認められなかった(rs=0.115,p=0.420)。【考察】本研究結果から,安静時及び運動時の主観的な痛みが強い程,痛みに対する破局的思考が強くなる傾向が示唆された。PCSとSCL-Sの間に相関関係は認められなかったことより,心理社会的ストレスの程度は,痛みに対する破局的思考に影響しないことが分かった。しかし,PCSを下位尺度で分類した際,SCL-Sと拡大視に正の相関関係が認められたことから,心理社会的ストレスの程度によって,痛みの強さやそれによって将来起こりうる障害を合理的に予想されるよりも大きなものとして見積もる傾向があると考えられた。SCL-Sと主観的な痛みの程度に相関関係が認められなかったことから,痛み自体は心理社会的ストレスになっていないことが考えられた。本研究は,各因子の関係性が示唆されたのみであり,破局的思考が痛みを強めるのか,痛みが破局的思考を強めるのかは明確ではない。また,心理社会的ストレスが痛みに対する拡大視を強めるのか,痛みに対する拡大視が心理社会的ストレスを強めるのかも定かではない。しかし,心理社会的ストレスが痛みの難治化を引き起こす一因子として考慮しなければならない可能性を示唆するものとなった。【理学療法学研究としての意義】痛みを有する者に対して,痛みに関連した機能障害,心理的因子の評価を行うだけでなく,社会的背景を含んだ,心理社会的ストレスの評価を行うことで,痛みに対して現実よりも大きく見積もる心理状態に陥りやすいことが分かった。痛みに対する拡大視の強い者の背景に付随する社会的,心理的,環境的なストレス因子に目を向けていく必要性を示すことができた。
著者
牧野 俊一 後藤 秀章 岡部 貴美子 井上 大成 大河内 勇
出版者
Forestry and Forest Products Research Institute
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.121-128, 2021 (Released:2021-11-09)
参考文献数
17

茨城県北部の、林齢が異なる天然広葉樹二次林10か所(林齢1~178年)と、スギ人工林8か所(3~76年)においてマレーズトラップを用いた有剣ハチ類の採集を4~11月に行った。広葉樹二次林系列では1年間で合計12科167種3605個体、スギ林系列では11科136種2645個体が得られた。種数が最も多かったのはギングチバチ科で、クモバチ科がそれに次いだが、個体数ではクモバチ科がどの林分でも最も多かった。有剣ハチ類全体の種数と個体数は、広葉樹二次林系列、スギ人工林系列ともに林齢3~4年の林分で最多で、いずれにおいても林齢とともに減少した。有剣ハチ類の多くは若齢林分を好んで出現したが、より林齢の高い林分に偏って出現する種も見られた。
著者
古林 呂之 井上 大輔 田中 晶子 坂根 稔康
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】点鼻液剤の製造では、有効成分の溶解性を確保するために薬物の解離定数を考慮した液性に調整されるケースがあり、そのpH範囲は約3.5~8付近と幅広い。一方、鼻粘膜表面の粘液pHは5.5~6.5に維持されており、特にこの範囲を外れたpHに調整した点鼻液では、鼻腔内投与後の薬物の解離状態が変化し、鼻粘膜透過性に影響を生じると考えられる。本研究では、モデル薬物の鼻粘膜透過性に及ぼす投与液のpHの影響について、Calu-3細胞層を用いたin vitro透過実験による検討を行った。【方法】粘液pHの経時変化:気液界面培養法により培養したCalu-3細胞層(6-well)の表面に、pHを3.8、5.5及び7.8に調整した薬液を20 µLを滴下した後の粘液pHの経時変化を半導体 pH 電極(HORIBA)により測定した。透過実験:細胞間隙及び経細胞経路の透過マーカーとしてFD-4及び非解離性のantipyrineを用いて、薬液pHによる細胞層への影響を、粘膜側液量を1.5 mLとする定法の透過実験により評価した。モデルとしてacyclovir(ACV)及びlevofloxacin(LFX)をHBSS に溶解し、pH3.8、5.5及び7.8に調整した薬液を用いて、定法及び粘膜側に20 µL滴下する少量滴下法により透過実験を行った。【結果・考察】各pHの薬液を滴下した直後から粘液のpHは変化し、滴下後30分にはいずれの条件においてもpHは約6.4となった。また、各pH条件において透過マーカーの透過パターンに変化は観察されず、細胞層への影響はみられなかった。LFXの透過性は少量滴下法、定法共に、pHの影響は観察されず、ACVでは、定法においてpH3.8及び5.5で60分後の透過量が約4倍高くなったが、少量滴下法では透過にpHの影響はほとんど認められなかった。少量滴下法では、粘膜表面のpHが6.4付近に急速に戻されるため、ACVの透過性にほとんど影響しなかったと考えられる。現在、他のモデル薬物についても検討を進めており、発表に加える予定である。
著者
井上 大成
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.238-246, 2003-12

茨城県北茨城市の小川学術参考林とその周辺地域(小川地域)で、1996年~2002年までチョウ類相を調査した。成虫の主要飛翔時期に233日(約1135時間)の野外調査を行った結果、97種が記録された。科別の内訳は、セセリチョウ科16種、アゲハチョウ科8種、シロチョウ科7種、シジミチョウ科30種、タテハチョウ科23種、テングチョウ科1種、マダラチョウ科1種、ジャノメチョウ科11種だった。これらのうち、17種(森林性13種、草原性4種)は茨城県の、7種(森林性2種、草原性5種)は環境省のレッドデータリスト掲載種だった。また、生息場所として原生林を好むと考えられる種が6種、自然草原を好むと考えられる種が4種記録された。文献調査の結果とあわせて、この地域には現在約100種のチョウが生息していると推定されたが、これは実質的に茨城県でみられるチョウ全種の約94%にあたる。この地域がこのような豊富なチョウ類相をもつ背景とチョウ類の保護について議論した。
著者
林 典子 井上 大成
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.173-182, 2014 (Released:2015-03-30)

都市近郊において、造林地の管理状態によって、哺乳類の活動にどのような変化がみられるのかを明らかにするために、下層密度が異なる造林地および人工的にギャップを作成した地点に自動撮影カメラを設置し、けもの道として利用する哺乳類相の違いを定量評価した。下層密度が高い林分の方が、低い林分よりもけもの道として利用する在来哺乳類種の多様度は高かった。しかし、ハクビシン、アライグマ、イエネコなど外来生物においても、下層植生密度が高い地点を多く利用する傾向が見られた。また、人工ギャップを形成した時、下層が繁茂している林分では、ギャップを作成することによって、哺乳類の利用総数は周辺に比べて減少する傾向がみられたが、多様度はギャップの方が高い傾向が見られた。また、タヌキ、アナグマ、ハクビシンはギャップを通過する頻度がコントロールに比べて有意に低かったが、イノシシ、アカネズミでは有意な傾向は認められず、ノウサギではギャップの利用頻度がやや高かった。都市近郊造林地の下層植生を管理したり、小規模な人工ギャップを作成することによって、哺乳類の種ごとの行動に異なる影響が及ぶことが明らかになった。
著者
城寳 佳也 井上 大樹 大藏 倫博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.363-371, 2021-05-15 (Released:2021-06-03)
参考文献数
24

目的 より多くの高齢者の運動実践を促すため,身体状況や体力レベルが大きく異なる高齢者に対応した運動プログラムを普及させる取り組みとして低強度運動であるストレッチングを指導できる高齢運動ボランティアを養成することとした。本稿では,茨城県つくばみらい市でおこなった「シニアストレッチリーダー(以下,SSL)養成講座」について,講座内容の紹介と受講による高齢者の身体機能,ストレッチング実践頻度への効果および講座終了後の活動について報告することとした。方法 参加者は市の広報および回覧で募集した。養成講座は8週間,1回120分,全8回で構成した。講座では「SSL養成テキスト」を使用し,ストレッチング理論や高齢者への運動指導法を中心に講義をおこなった。実技はストレッチングフォームの確認やサークル指導のロールプレイングを中心におこなった。またグループディスカッションでは柔軟性が低下する要因や自宅でのストレッチング実践状況について5人1グループで話し合った。 受講前後の身体機能の変化を評価するために,関節可動域(柔軟性),5回椅子立ち上がり時間(下肢筋力),開眼片脚立ち時間(静的バランス能力),10 m通常・最大歩行時間(歩行能力)の測定をおこなった。また,ストレッチング実践頻度の変化については,自記式アンケートと日誌を用いて評価をおこなった。その他,受講後に講座に関する評価をおこなった。活動内容 第1回SSL養成講座には29人(男性15人,女性14人,平均年齢69.7±3.8歳)が参加し,全員がSSLとして認定された。受講後,柔軟性および歩行能力が向上し(P<0.05),ストレッチング実践頻度は有意に増加した(P<0.001)。講座に関する評価は,参加者全員が「有意義だった」と回答した。また,96.6%が「今後,サークル指導に携わりたい」と希望したことから,講座終了後,2つのサークルを設立し活動を始めている。結論 講座の受講により柔軟性および歩行能力が向上し,ストレッチング実践頻度が増加したこと,またサークル指導に携わりたいと希望する者が多かったことはSSL養成講座の受講が高齢者の健康維持・増進に寄与する可能性がある。特別な道具を使用せず実施可能な低強度運動であるストレッチングを普及させるSSLの養成と活動を支援する取り組みは,他地域においても展開が可能であると考える。
著者
有賀 祥隆 浅井 和春 山本 勉 武笠 朗 長岡 龍作 津田 徹英 泉 武夫 瀬谷 貴之 井上 大樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

三か年の期間中に、東北(岩手・宮城)、関東・甲信越(群馬・千葉・東京・神奈川・山梨)に加え、範囲を関西(京都・奈良)と中国地方(広島)にも一部広げ、都合、寺院・神社24ヶ所、34件46躯1箇1片、公共機関6ヶ所、8件20躯1双1柄、個人1ヶ所、1件1躯の物件を調査し、詳細な写真と基礎データを収集した。この成果は刊行準備中である。