著者
小川 朋子 鈴木 唯 萩原 静 五十嵐 絵美 五十嵐 槙 伊藤 直子 岩森 大 山崎 貴子 村山 篤子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.179, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】枝豆の収穫の際には規格外のはね豆が2,3割を占めている。現在、新潟県では首都圏に県産品をアピールする「にいがたフード・ブランド推進事業」が行われ、その事業の一環にはね豆の有効利用がある。本研究では、はね豆を用いて枝豆の最適な加熱条件及び保存条件を色調、官能評価、成分測定より検討した。 【方法】加熱は予備実験よりゆで加熱(100℃4分)、スチーム加熱(90℃5分)を比較した。スチーム加熱には低温スチーミング装置ATS-10A(AIHO)を用いた。保存条件は、収穫後の放置時間、ブランチングの効果について検討した。色調は色彩色差計(コニカミノルタ)を用いて行い、官能評価はゆで加熱を基準に7段階評価尺度法を用いてSD法による評価を行った。成分はHPLC法にて糖量を、ヒドラジン法にて総ビタミンC量を、ヤマサグルタミン酸キットによる比色法にてグルタミン酸量を定量した。 【結果】ゆで加熱した枝豆よりスチーム加熱した枝豆の方が糖が多くなったが、ビタミンC、グルタミン酸には差が見られなかった。色調及び官能評価においてもゆで加熱よりもスチーム加熱の方が高い評価を得た。収穫後放置すると、ビタミンCに大きな減少はなかったが、糖は時間が経つにつれ、減少した。収穫直後の生の枝豆とブランチング処理をした枝豆を-23℃で60日間保存し比較すると、ブランチング処理を行ったほうが色調、風味ともに優れていた。以上のことから、枝豆をおいしく食したい場合には収穫後1日以内でスチーム加熱をすることが望ましく、すぐに食さない場合には生で冷凍保存するよりもブランチング処理をして保存をするほうがよいことが分かった。
著者
上塚 芳郎 三浦 芳則 栗山 正子 伊藤 直人 田中 直秀 木全 心一 広沢 弘七郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.1450-1455, 1988-12-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
5

41歳の女性で,子宮筋腫からの不整性器出血のため,Hb1.4g/dlと高度の貧血を生じ,心不全,心停止をきたし,心肺蘇生術により蘇生し得た1例を経験した.本症例は,心エコーの記録から,発症急性期には拡張型心筋症のごとく,左室の心筋収縮が全体的に低下しており,また左室腔の拡大も著明であったが,3カ月後には貧血の改善とともに左室壁運動の改善が認められた.また,回復期に右室心内膜心筋生検を施行したが,心筋細胞の大きさのばらつき,配列の乱れや核の変形が認められた.これらの変化は,慢性貧血による心筋障害または心停止→蘇生の際の心筋障害による変化と考えられた.
著者
松原 永吏子 山崎 孝 伊藤 直之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0110, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】肩関節疾患における理学療法において結帯動作の改善に難渋することは多い.一般的に結帯動作は肩甲上腕関節での伸展-水平伸展-内旋の複合運動とされているが,結帯動作の獲得には肩甲上腕関節の可動域だけではなく肩甲胸郭関節の運動が不可欠である.そこで肩甲胸郭関節に着目し,結帯動作に必要な運動について検討した.【方法】肩関節に異常のない健常成人40名,利き肩40肩を対象とした(男性20名,女性20名,平均年齢24.4歳).端坐位での安静時・L5レベル・Th7レベルでの結帯動作における脊柱と肩甲骨棘三角間距離(以下,棘三角距離),脊柱と肩甲骨下角間距離(以下,下角距離),spino-trunk angle(以下,S-T角),肩甲骨下角の挙上距離(以下,下角挙上)を体表より測定した.検討項目は,安静時からL5と安静時からTh7での肩甲骨の移動距離を男女別と男女間で比較検討した.統計処理は対応のないt検定を用い危険率5%で検定した.【結果】1.男性の肩甲骨の位置安静時・L5・Th7のそれぞれの肩甲骨の位置は,棘三角距離8.6±1.0 → 8.9±1.0 → 8.9±1.0 cm,下角距離10.2±1.1 → 9.6±1.5 → 9.5±1.4 cm,S-T角97.7±4.2 → 93.7±3.3 → 90.7±2.4°であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は2.5±1.1 → 3.8±1.5 cmであった.L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意なS-T角の減少(p=0.005)と下角挙上(p=0.002)が認められた.2.女性の肩甲骨の位置肩甲骨の位置は,棘三角距離7.9±0.9 → 7.9±0.9 → 7.8±0.8 cm,下角距離9.2±1.2 → 8.6±1.2 → 8.4±1.2 cm,S-T角94.3±2.9 → 93.7±3.3 → 92.4±3.5 °であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は1.4±1.0 → 2.4±1.3 cmであった. L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意な下角挙上が認められた(p=0.007).3.男女間によるL5とTh7間の移動距離の比較移動距離の比較では男性にS-T角の有意な減少が認められた(p = 0.004).【考察】結帯動作は通常L5レベルとされるが,女性の更衣動作等においてはTh7レベルで行われることもあり様々な高さでの動きが日常生活に必要である.肩甲胸郭関節の運動を男女別に検討したところ,結帯動作における肩甲骨の運動は男女で異なっていた.男性においては肩甲骨の下方回旋と挙上が,女性は挙上が特に重要と考えられた.より高位への動作を行うためには,肩甲胸郭関節の大きな運動が必要であることが示唆されたことから,肩関節疾患における結帯動作の改善のためには,肩甲胸郭関節の可動性も含めた治療が必要と考える.
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也 伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 堀田 康雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.174, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 生体活動により、生物内に強い酸化作用を有する過酸化物(ラジカル)が発生する。野菜は、この過酸化物を打ち消すために、体内で還元力の強いビタミンCを生成する。一方、野菜を厳しい環境ストレス化におくことで、それに対抗するために、酵素の働きを活性化させて、抗酸化物質「ビタミンC」をより多く生成して体を守ろうとする。今回、これらのメカニズムを応用した低温スチーム調理方法を考案した。<BR> <B>【方法】</B><BR> ビタミンCを有する野菜として、春菊およびほうれん草を用いた。これらの野菜を、スチーム機能を有する家庭用オーブンレンジを用いて、庫内温度を40℃程度にコントロールし、低温スチーム調理にて加熱をおこない、ビタミンC含有量の差を測定した。<BR> <B>【結果】</B><BR> その結果、春菊では低温スチーム調理温度が約37℃~47℃で10分、ほうれん草では約38℃~48℃で27分の加熱で、野菜内のビタミンC含有量が増加する結果を得た。これは、この温度帯において、野菜が環境ストレスを受け、それに対抗してビタミンC生成酵素の働きが活性化されたためであり、37、38℃未満では十分な環境ストレスを与えられず、また47、48℃より高温になると生体活動が抑制されてしまうためであると考える。また、これらの野菜を電子レンジ加熱調理すると、生の状態から電子レンジ加熱した場合に比べて、低温スチーミングによって一旦ビタミンC含有量を増加させた後に電子レンジ加熱をした場合の方が、調理後のビタミンC残存量が多かった。<BR> このことより、40℃程度で短時間の低温スチーム調理を施すことで、春菊やほうれん草のビタミンCを増加させることができ、より多くのビタミンCを摂取することができる。
著者
早瀬 彩乃 木村 祐哉 伊藤 直之
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-52, 2019-07-20 (Released:2020-01-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

獣医療従事者や獣医学生は過度なストレス状態におかれることが多く,メンタルヘルスの懸念が大きいと言われている。本調査は全国の獣医学生を対象としてウェブを介して行い,国際的なスクリーニングツールであるK6により,対象となった348名中89名(25.6%)が不安・気分障害と判定された。また,在学中の精神科受診歴,依存症,自殺念慮,自殺未遂はそれぞれ26名(7.5%),33名(9.5%),168名(48.3%),19名(5.5%)にみられていた。各要因ごとに不安・気分障害に関係するオッズ比をベイズ統計により推定したところ,事後期待値[95%確信区間]が高かったのは,精神疾患について誰にも相談できない場合2.40[1.15, 54.77],鳥取県中部地震で被災していた場合12.05[1.15, 54.77],精神科受診歴3.50[1.46, 7.13],自殺念慮17.62[8.30, 35.22],自殺未遂13.86[4.29, 37.04]であった。さらに所属大学および学年を変量効果として投入し,階層2項ロジットモデルで推定したところ,調整オッズ比が高かった要因は,精神疾患について誰にも相談できない場合2.75(1.32)[1.62, 4.73],鳥取県中部地震の被災経験22.67(4.57)[1.67, 669.78]であった。本調査により,日本の獣医学生においてもメンタルヘルスの問題が実在することが明らかとなったが,頻度やオッズ比には選択バイアスの影響が想定される。今後は正確な実態把握を行い,対策を検討することが必要であろう。
著者
伊藤 直之
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.49-55, 1996-04-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
24

猫に対するメデトミジン80μg/kgまたはキシラジン2mg/kg筋肉内投与後の嘔吐発生状況について比較検討した。嘔吐発生率はメデトミジン群では20.0%であり, キシラジン群は70.0%であった。嘔吐回数は両群とも1回のみの嘔吐発生例が最も多く, また, 平均嘔吐回数はメデトミジン群で2.1±1.7回 (平均±S.D.) , キシラジン群で2.0±1.4回であり大きな差はなかった。嘔吐発生時間帯は両群ともに2分台から3分台に集中していた。平均伏臥発現時間はメデトミジン群では3.2分±1.6分, キシラジン群では6.8分±5.8分であり, メデトミジン群に比較して遅延していた。以上の成績から今回の投与量においては, 鎮静期の事故発生や飼い主の不安感を軽減する目的のためには, 嘔吐発生率が低いメデトミジンの方が有効である可能性が示唆された。
著者
清村 紀子 鹿嶋 聡子 時吉 佐和子 寺師 榮 有田 孝 伊藤 直子 工藤 二郎
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.632-642, 2013-10-31 (Released:2013-11-25)
参考文献数
14

本研究は,中学生へのCPR教育の意味を質的に明らかにし,Kolb経験学習理論を基盤に考察することを目的とする。A地域の中学生53人に対し,簡易型キットを用いたCPR教育実施後に「いのちについて考える」をテーマに記載を求めた作文から,意味ある内容を文章単位で抽出し内容分析した。18部の作文から抽出した193のテクストデータから,【いのちと人とのつながり】,【救急医療に対する認識の高まり】,【思春期における成長】,【バイスタンダーCPRを拡大する上での課題】,【中学生のCPRに関する認識と認知度の実態】の5カテゴリを抽出した。中学生はCPR教育をきっかけとし,知識・技術の習得のみならず,救急医療の現状の課題への理解やバイスタンダーとなることを現実的に実感することに加え,いのちや人とのつながりについて深慮しており,中学生へのCPR教育がいのちの教育や成長発達に意義あることが示唆された。
著者
木村 祐哉 真田 菜生 今井 泉 小沼 守 宮下 ひろこ 矢野 淳 伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.349-355, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
16

一次診療4施設を受診した飼い主104名に対し質問紙法で解釈モデルを訊ね,言語データを対象とした質的手法であるSCATで理論抽出を試みた.飼い主の記述した解釈モデルは病因,病態と経過,治療方針の3カテゴリーに大別された.そのうち病因に対する認識は生物因子と状況因子に分けて考えられ,病態と経過に対する認識には受診理由,命あるいは生活の質(QOL)に関わる不安,病識と受容の様子が含まれた.治療方針に対する認識としては,決定の主体が誰か,動物及び飼い主にかかる負担がどの程度であるかが考慮されていた.各カテゴリーのこうした認識は,いずれもコンプライアンスや治療成績に影響を及ぼしうると考えられる.したがって,飼い主の解釈モデルを把握する際には,病因,病態と経過,治療方針のそれぞれについて確認する必要があることが示唆された.
著者
伊藤 直之 村岡 登
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-25, 2002-01-20
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

一般家庭で飼育されている犬1, 542頭 (1カ月齢~17歳; 雄709頭, 雌833頭; 38品種) を対象に, <I>Isospom</I>のオーシスト検出状況を年齢, 飼育環境, 由来, 性別, 品種および糞便の性状とともに調査した. その結果, 1, 542頭中96頭 (6.2%) で<I>Isospom</I>オーシストが検出された. <I>Isospora</I> オーシスト検出率は, 1~6カ月齢群, 室内飼育群およびペットショップ・ブリーダー由来の犬で高かった. 性別による検出率の違いは認められなかった.品種では雑種において検出率が低く, チワワおよびパピヨンで高かった. 糞便の性状に関しては軟便ないしは下痢便の犬で検出率が高かった. さらに, 粘液や血液が混入した糞便を排泄している犬でも高い検出率が得られた.検出されたオーシストはその大きさから, <I>I. canis</I>および<I>I. ohioensis</I>であると考えられた.-
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.研究の目的<br><br>シビックプライド(Civic Pride)とは,市民が都市や地域に対して持つ自負と愛着である。筆者らは,平成26年度より,科研費基盤研究(C)一般「異学問・学校・地域との協働によるシビックプライドを育む小学校社会科地域学習の開発」にもとづき,子どもから大人までが,市民として自らの故郷にプライドが持てるような教育を考えるプロジェクトを発足した。<br><br> 本研究では,教科教育学研究者(伊藤直之)と工学(田中尚人・熊本大)・経済学(戸田順一郎・佐賀大)の各研究者が連携し,子どもたちや地域住民との協働を通して,地域社会をよりよい場所にするために関わろうとするシビックプライドの涵養という観点から,とくに小学校社会科を例にして,新しいあり方について検討してきた。<br><br> <br><br>2.シビックプライド教育のあり方<br><br>このプロジェクトでは,各自の所属や問題関心によって意見が少し食い違うことがあるものの,次の①~③についてはおよそ共通理解が得られている。それは,①より良いまちづくりの仕方やあり方については参会者が自ら「考えてみる」ことに意義があるのであり,企画側(教える側)があらかじめ望ましい答えを用意すべきではないこと,②自分たちがより良いまちづくりに関与しているという「当事者意識」をくすぐること,③一人で考えることも大事だが,さまざまな人々との交流を「きっかけ」にすることがさらに大事であること,などである。<br><br>そして,従来の社会科教育や地理歴史教育における性急な態度形成に対する批判に学べば,愛着や愛情の育成は,急いではならないし,目に見えるような成果を期待してはならないということかもしれない。だからこそ,筆者らはシビックプライドを「育成」ではなく「醸成」すると表現するのである。<br><br> そして,そもそもシビックプライドは,一つの教科に過ぎない社会科だけで担い得る教育目標だろうか。その答えは,当然,否である。社会科に限らず,教科の教育だけで育まれるものでもない。学校教育だけで完結するものでもない。ここに,実社会との連携であったり,教育関係者に限らず,さまざまな分野の人々と協働する可能性が生まれてくる。<br><br> 筆者らは,教育目標としてのシビックプライドを,「市民が地域社会や環境に対して持つ自負や愛着,そして,それらをより良くする能動的な参加の精神」と定め,それを先述のような押しつけや誘導に陥ることなく,開かれた形で学んでいくスタイルの教育を「シビックプライド教育」と定義し,その起点を小学校に設定し,徳島県や熊本県,佐賀県において,さまざまな地域学習の構想と実践を試みている。<br><br> <br><br>3.シビックプライドを醸成する学習<br><br> 筆者らがこれまでに取り組んできたシビックプライドを醸成する学習は,おおむね次のように整理することができる。①フットパスコースの提案,②未来予想マップづくり,③地域の諸課題についての価値判断の3つである。<br> 本発表(ポスター)では,上述の学習について,具体的な様子を示しながら,その成果と課題について考察することにしたい。
著者
山崎 貴子 伊藤 直子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.105, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 硬さのために食用としての利用度が低い牛肉の部位について低温スチーミング調理により軟らかく食べやすくなることを報告した。一方、食肉の軟化としてキウイ、パパイヤやショウガなどのプロテアーゼの利用による報告もある。低温スチーミング調理は任意の温度管理が容易のため、種々の内在性および外から添加した酵素を最大限利用することができることが特徴である。そこで、低温スチーミング調理とキノコのプロテアーゼを併用した食肉軟化について検討した。 【方法】 キノコにはカゼイン分解活性の高かったマイタケを用いた。マイタケに2倍量の水を加えてろ過したものを抽出液として牛肉とともに加熱した。比較として、マイタケ抽出液のかわりに水、ショウガ抽出液を用いたものについても同様に行い、加熱後溶出したペプチド・アミノ酸量、遊離グルタミン酸量、肉の物性測定および官能検査により評価した。さらに低温スチーミング調理による効果をみるため、70℃2hスチーミングしたものと茹で10分加熱したものを比較した。 【結果】 肉をマイタケ抽出液とともに加熱すると、水やショウガ抽出液とともに加熱した場合より、溶出したペプチド・アミノ酸量、グルタミン酸量が多かった。また物性測定、官能評価の結果でも肉が軟らかくなっていた。スチーミングしたものと茹でたものではスチーミングしたものの方が全体的に評価が高く、特にマイタケ抽出液とともに低温スチーミングをした肉について高い評価が得られた。
著者
伊藤 直樹 西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.53-58, 2008-12-12
参考文献数
12

ギターの MIDI フレーズ作成を行う際に発音タイミングやベロシティなどのばらつきを意識してエディットするのは手間がかかる.MIDI ギターシステムが市販されているが,ギターをある程度弾けたり,弦を押さえられる必要がある.また楽譜情報がないフレーズの場合,音高が分からず押さえるポジションの特定が難しいこともある.そこで我々は,鼻歌入力機能と市販のギター型電子楽器インタフェイスを組み合わせ,歌唱から音高を,弾弦からタイミングやベロシティを取得して,パワーコードによるギターフレーズや単音フレーズの入力(および演奏)が可能なシステム 「吟たぁ」 を開発した.ギター上級者 1名にシステムの試用を依頼し,評価を行った.VOUITAR is a Voice-to-MIDI system that employs a guitar like user interface. VOUITAR merges two kinds of input; singing voice for obtaining pitch data and picking/cutting strings for obtaining rhythm data. VOUITAR can input not only monophonic melody data but also chord backing accompaniment data: it provides a function to add the 5th note to the input note to make it a power-chord by natural string cutting performances. Using VOUITAR, the user can input his/her cool phrases as well as backings by the hot guitar-like performances only if he can sing the phrases, even if he/she does not know fret positions of the guitar. We evaluate VOUITAR with a guitarist.
著者
金山 麻美 高橋 さとみ 宮島 央奈 岩森 大 伊藤 直子 山崎 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.105, 2011

【目的】食事は健康維持に重要な役割を持つが、加齢に伴い咀嚼機能が低下し、高齢者では摂取する食品が制限される。そのため、施設や病院などでは咀嚼・嚥下困難者に対して、個々の状態に応じた食事を提供する必要がある。本研究では、高齢者の食事の実態を知るため、施設高齢者の料理の嗜好と咀嚼力、食事のテクスチャーとの関連について調べた。<BR>【方法】平成22年5~7月に新潟県内の高齢者施設(ケアハウス)2施設に入居しており、身体的に自立している高齢者を対象とした。事前に研究目的・内容を説明し、同意が得られた41名(K施設23名、N施設18名)に対し、一般的な料理および施設で提供されている料理の嗜好度、食べられない食事とその理由、歯の残存数について聞き取り調査をした。また、施設で提供している食事のテクスチャーおよび残食の有無について調査した。<BR>【結果】普段食べている食事について、普通に食べられると答えた者(普通群)は30名、軟らかくしてあれば食べられると答えた者(低咀嚼群)は11名であった。平均残存歯数は、普通群12.7本、低咀嚼群3.0本であった。一般的な料理では、タコの刺身やステーキなどが硬いという理由から全体的に嗜好度が低く、低咀嚼群は普通群に比べ、肉料理の嗜好度が低かった。一方、施設で提供している料理では、比較的硬いものでも嗜好度が高い料理があり、硬さと嗜好度や残食率との間に関連は見られなかった。この理由として、今回調査した施設で提供している料理の硬さはほとんどユニバーサルデザインフードの区分1(5×10<SUP>5</SUP> N/m<SUP>2</SUP>)以下であり、一般的な料理よりも軟らかく調理してあったことに加え、対象者が比較的咀嚼能力が高かったことが考えられる。
著者
畠中 坦 天野 数義 鎌野 秀嗣 花村 哲 伊藤 直貴 佐野 圭司
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.114-129, 1981

1980年までの実質14年間に著者の一人(H. H.)が責任治療を行った脳腫瘍308例のうち,放射線治療を行ったのは212例であり,そのうち特に神経膠腫(グリオーマ),髄膜腫,肉腫,計146例について,光子(photon,コバルト60またはリニヤック)による治療と,低速中性子(原子炉による硼素中性子捕捉療法)とを比較した.前者は102例,後者は44例に行われたが,後者のうち12例は光子治療が無効であったためさらに中性子捕捉療法を行ったものである.病理組織診断は成績判定に重要なので,客観的立場にある欧州人神経病理学者に再判定を依頼した. (1) WHO分類によるIII~IV度膠腫(ほぼ, Kernohan分類のIII~IV度に近く,いわゆるGlioblastoma)では,光子治療(その大部分の症例は化学療法,免疫療法を併用している)による平均生存は12.9カ月で,全41例が最高3.9年までに死亡したが,低速中性子捕捉では18例中5例が生存しており,平均は17.8プラス月を越えた.これは,近年の主要な報告(Gillingham 13.8カ月, Walker 8.4カ月, Jellinger 13.3カ月)に比べても上廻っており,これまでの最高生存は8年6カ月を越えている.(ことに初回切除術をH.H.が自ら行いすみやかに中性子捕捉療法を行った10例では,初回手術の平均2週間以内に中性子捕捉療法が行われており,平均生存は24.4カ月を越え10例中4例が生存している.) (2) 天幕上II度の膠腫では,光子群37カ月中性子捕捉群36カ月以上と差はないが,前者の80%はすでに死亡し,後者は80%が生存している. (3) 橋・延髄の膠腫では光子群16例が全例死亡し,平均は8カ月であるのに対し,中性子捕捉治療では18カ月を越え,最長生存は,当初4,200ラッド照射後再発し昏睡にまでいたりその後中性子捕捉療法を行った当時3歳の小児で,現在まで4年半生存,小学校に進学している.<br> 深部治療に好適な熱外中性子の得られる原子炉がないことと,早期治療の原則が行われていないため,まだこの療法の真価は発揮できてはいないが,これ迄の限られた経験からみて今後一層の進歩・普及が期待される.また他種癌の治療への適用が検討されている.