著者
佐々木 弥生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.135-139, 2014 (Released:2016-04-05)

私が当財団とかかわることとなったのは,1998年に厚生省医政局研究開発振興課に在籍し,当財団の所管課の担当者の1人であったこと,1999年度補正予算において創薬知的基盤施設・設備整備事業(現在は医薬基盤研究所(以下,基盤研)難病・疾患資源研究部泉南資源研究施設)を当財団の事業として実施することとなったことに始まる.その後,公益法人制度の見直し,厚生労働省の事業仕分けなど目まぐるしい環境の変化があったが,本稿では当財団が創立時から継続してきた厚生労働省関係の国立研究機関との官民共同研究事業,創薬にかかわる調査事業,技術移転事業,動物実験実施施設認証事業を中心に紹介する.
著者
佐々木 俊則 大島 有美子 三島 江津子 伴 晶子 桂川 健司 永松 秀紹 吉岡 祐貴 築山 郁人 久田 達也 板倉 由縁 水谷 三浩
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.7, pp.1023-1029, 2016 (Released:2016-07-01)
参考文献数
15

It is often necessary to modify the dose or schedule of eribulin mesilate (Eri) because of adverse events. Therefore, we retrospectively investigated the optimal approach for Eri dose adjustment and/or dosage interval adjustment. Patients who received Eri at the institutions affiliated with the Division of Oncology of the Aichi Prefectural Society of Hospital Pharmacists between July 2011 and November 2013 were enrolled in this study. We compared the group that underwent dose reduction without changes to their dosage interval (dose reduction group) with the group that had a change in their dosage interval (dose-interval prolongation group). The primary end-point was time to treatment failure (TTF), and the secondary end-points were overall survival (OS), overall response rate (ORR), clinical benefit rate (CBR), and adverse events. The TTF and OS of the dose reduction group were approximately two times longer than those of the dose-interval prolongation group. In addition, the dose reduction group had significantly improved ORR and CBR, which together indicate an antitumor effect (p=0.013 and 0.002, respectively). Although peripheral neuropathy occurred significantly more frequently in the patients in the dose reduction group (p=0.026), it was grade 1 and controllable in most of the cases. There were no differences in the occurrence of other adverse effects between the two groups. Therefore, we suggest that dose reduction with maintenance of the dosage interval is the preferred treatment approach in cases where Eri dose or schedule modification is necessary.
著者
大林 功実 朝香 卓也 高橋 達郎 佐々木 純 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.720-733, 2007-08-01
被引用文献数
9

ファイル共有などで主に利用されているUnstructured型P2Pネットワークでは,べき乗別に従うトポロジーが形成される傾向がある.またコンテンツの人気度の分布にも同様の性質が見られる.そのため隣接ピア数の多いピアにかかる負荷が著しく大きくなり,更に稀少コンテンツを発見できないことによるネットワーク全体のヒット率が不十分であるという問題がある.そこで本論文ではこれら二つの問題を同時に解決する各ピアによる自律分散的なキャッシュ置換え方式を提案する.本論文で提案する方式は各ピアの隣接ピア数に応じたキャッシュ置換えを行うことで,隣接ピア数の多いピアへの過負荷を低減し,同時にネットワーク全体のヒット率を向上させる.またシミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
大村 明雄 伊勢 明広 佐々木 圭一 新坂 孝志 長谷部 由美子
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.195-207, 1995-08-31
被引用文献数
5 6

最近のウランおよびトリウム同位体分析への質量分析計技術の導入は,<sup>230</sup>Th/<sup>234</sup>U年代測定法の精密化とともに,必要試料の大幅減量や適用範囲の<sup>14</sup>C法による測定年代域への拡張も可能にした.一方,従来のαスペクトル法でも,測定機器類の計数効率や安定性の向上と,試料の放射化学的処理法の改良によって,測定誤差がTIMS法の4~5倍にまで改善された.今では,最終間氷期最盛期相当の測定値(約125ka)の誤差が,95.5%の確率を意味する2σの統計誤差で表示しても,TIMS<sup>230</sup>Th/<sup>234</sup>U法では約1ka(1%),αスペクトル法でもおおよそ5ka(4%)と,以前に比べ格段に小さくなった.しかし,そのような年代値を,みかけ上誤差が小さいからというだけで,そのまま信用することはできない.本論では,真に信頼できる年代値を得るには,最良の試料を用いることが不可欠であるという立場から,試料が<sup>230</sup>Th/<sup>234</sup>U法固有の前提条件と必要条件を満たすことを検証するための方法を提示し,さらに<sup>230</sup>Th/<sup>234</sup>U法の信頼性を高めるための方策を論じた.
著者
久保 智英 佐々木 司 松元 俊
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-54, 2010 (Released:2010-04-27)
参考文献数
17

本研究では,長時間過密労働をシミュレートした環境下での,1)情動的負担の変容過程,2)情動的負担と行動的疲労の関係を明らかにするために事例的検討を行った.その際,情動的負担が顕著だった事例と,同じ状況にあっても情動的負担が抑制されていた事例に着目した.結果より,「怒り-敵意」因子に属する訴えは,行動的疲労が亢進する上での重要なサインであること,情動的負担と行動的疲労との関係は情動的負担が高い時に行動的疲労が軽・中程度で,情動的負担が低くなると行動的疲労は高くなる関係にあることが示唆された.

1 0 0 0 OA 橋本脳症の1例

著者
太田 敬之 山岡 博之 古川 安志 下村 裕子 中野 好夫 若崎 久夫 古田 浩人 西 理宏 佐々木 秀行 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.1375-1377, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9

症例は68歳,女性.画像診断で異常を指摘できない意識障害を認めた.橋本病の存在から橋本脳症を疑い,血清抗N末端α-enolase抗体陽性であった.橋本脳症は抗甲状腺抗体に関連した自己免疫性の脳症と考えられており,多彩な神経症状を呈する.原因不明の脳症を診た場合は,本症を考慮することが重要である.比較的まれな疾患である橋本脳症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
著者
パテル オズマン・ヴァリ 平子 誠 高橋 透 佐々木 伸雄 百目鬼 郁男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.659-663, 1995
被引用文献数
11

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P<SUB>4</SUB>), エストロン(E<SUB>1</SUB>)およびエストラジオール(E<SUB>2</SUB>)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E<SUB>2</SUB>濃度は, 三者ともにE<SUB>1</SUB>より低く, かつE<SUB>1</SUB>濃度に平行して推移した. 血中E<SUB>1</SUB>, E<SUB>2</SUB>濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE<SUB>1</SUB>が150kg/ml以上, E<SUB>2</SUB>が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P<SUB>4</SUB>よりE<SUB>1</SUB>やE<SUB>2</SUB>の方が優れた指標となることを示唆している.
著者
佐々木 潤
出版者
日本ウィルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.67-74, 2007-06-22
著者
佐々木 中
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.77-91, 2002-03-31

Cet article vise à mettre en relief le point crucial de la théorie de Pirre Legendre, l'anthropologie dogmatique, dans son rapport à la théorie de la psychanalyse, surtout celle du "stade du miroir" de Jaques Lacan. La question du miroir ne se réduit pas à l'instance imaginaire, si nous l'abordons en tenant compt de la function identificatoire. Qu'on se regarder dans le miroir, cela suppose qu'il y ait un écart entre celui qui regarde et le miroir. Et cela suppose déjà l'instauration de l'instance symbolique. Il s'agit là de l'articulation entre l'imaginaire et le symbolique. Un espace-temps où les deux instances se dédoublent, et d'où provient la distinction entre les deux, Legendre l'appele "dogme". Le dogme, à la fois imaginaire et symbolique, implique non seulement le champs individuel et esthétique, mais aussi ceux de social, de genealogique, de rituel, et de "eligieux".
著者
佐々木 直人
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

制御性T細胞(Treg)は、病的な免疫応答を抑制することにより、動脈硬化性疾患において抑制的に働くことが示された。また、マウスにおいて、全身でTregの数を増やしたりその抑制能を増強させることにより、動脈硬化の進行は抑制され、一旦形成された動脈硬化病変は退縮し、大動脈瘤形成は抑制されることが明らかになった。
著者
佐々木 琢磨 米田 文郎 宮本 謙一 前田 満和 川添 豊 兼松 顕
出版者
金沢大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1990

前年度に引続き2'ーdeoxycytidineの2'ーarabino位への置換基の導入を検討し、2'ーazido体(Cytarazid)の簡便、大量合成法を確立すると共に2'ーシアノ体(CNDAC)をラジカル反応を用いて新たに合成した。種々のヒト固型腫瘍由来細胞に対しCytarazid及びCNDACはともに強い増殖抑制効果を示した。また、podophyllotoxin型リグナン類の合成をDielsーAlder反応を用いて合成し、強い抗腫瘍活性を有する化合物を得ることができた。ブレオマイシンの細胞毒性は、ポリアクリル酸と撹拌すると増大するが、この時の細胞死は未知の致死機構によるものと考えられ、休止期細胞や耐性細胞にも同等に作用することを見出した。白金錯体を酸性多糖に結合させた高分子マトリックス型錯体を合成し、それらがB16ーF10メラノ-マの肺転移を抑制することを見出した。酸化還元代謝調節能を有するフラビンや5ーデアザフラビンの誘導体を合成した。これらの中でもNO_2基やCOOC_2H_5基を有するものが強い抗癌活性を示した。次に生元素の一つであるセレンを骨格内に導入した5ーデアザー10ーセレナフラビンを合成し、この化合物もかなり強い抗癌活性を有することを見出した。一方、ヒト腫瘍に対する簡便で能率の良い転移治療モデルとして、鶏卵胎児の転移多発臓器のおけるヒト腫瘍の微小転移巣に含まれるヒト腫瘍細胞の特定遺伝子をPolymerase Chain Reaction法により定量的に検出する我々独自の方法を用いて、転移抑制及び治療に有効な物質をスクリ-ニングした。その結果、本研究班で合成したDMDC(2'ーdeoxyー2'ーmethylidenecytidine)とCNDACがヒト線維肉腫HT1080の肝・肺の転移巣を顕著に抑制することがわかった。選択性の高いプロテインキナ-ゼ作用薬を得るために新しくデザインされたイソキノリン誘導体の細胞周期及び制癌剤多剤耐性に及ぼす影響を検討した結果、in vitroではあるが、P388/ADRの耐性解除作用の強い物質を見出した。