著者
加藤 チイ 吉田 侑加 佐藤 幸子 奈良 一寛
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:24336645)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-7, 2020-03-09

実習で提供した食事の栄養評価を行った。2 種類の献立の栄養量(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物)について化学分析値、近赤外分光法測定値、食品成分表計算値の3 つを評価した。化学分析値に対する近赤外分光法測定値の割合(%)、化学分析値に対する食品成分表計算値の割合(%)は、両者ともに80 ~ 120%の範囲内の傾向にあった。汁物、黒色の食品を含む「ひじきご飯献立」では炭水化物を過大評価していた。次に、26 種類の料理の栄養量について、近赤外分光法測定値、食品成分表計算値の2 つについて、回帰直線を評価した結果、エネルギーはR2 = 0.955 と高い相関性を示し、たんぱく質、脂質、炭水化物についても同様の傾向であった。近赤外分光法について献立の料理を混和した場合と料理別に測定し合計した場合の2 つの方法を比較した結果では、「鮭の味噌バター焼き献立」、「アジフライ献立」、「おから入りハンバーグ献立」は近似であったが、「大豆ご飯、豚肉と大根の煮物献立」は混和食のエネルギーを過大に評価していた。近赤外分光法測定は化学分析、食品成分表計算の結果と関連し、給食の栄養量評価に有用である。近赤外分光法で誤差が大きかったものには、海藻など黒色の材料を含む料理、スープ・味噌汁など水分の多い料理があった。
著者
藤田 愛 山口 咲奈枝 宇野 日菜子 佐藤 志保 佐藤 幸子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1_135-1_140, 2013-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

【目的】妊娠期の体重増加量別により,栄養所要量や栄養バランスの実態を調査する。【方法】褥婦111名に対し,『141項目半定量食物摂取頻度調査』を用いて妊娠期の栄養所要量ならびにPFCバランスを調査し,妊娠期の体重増加量別を三分位した群について,ANOVA分析を行った。【結果】体重増加量は「8.5㎏未満群」「8.5㎏以上11.0kg未満群」「11.0kg以上群」の3群に分類した。栄養摂取所要量は3群すべて推奨量を満たしておらず,葉酸や鉄は推奨量の半分で,低栄養状態であった。PFCバランスは「8.5㎏以上11.0kg未満群」が理想の栄養バランスをとっており,「8.5kg未満群」と「11.0kg以上群」は脂肪割合が高い欧米型の栄養バランスであった。【結論】現在,妊娠期の体重増加量の指導は,非妊時BMIを基準とした至適体重増加チャートを使用している。本研究より,妊婦の低栄養や欧米型の栄養バランスが示されたことから,体重増加だけでなくバランスのとれた食事の栄養指導が望まれる。
著者
佐藤 幸治
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.58-70, 1989 (Released:2018-03-19)

In dieser Aufsatz handelt es sich um die Erhellung dessen, welche Position in der Religionsphilosophie Kierkegaards das Ethische einnimmt. Auf dem Wege dazu setzen wir uns mit der Kantischen Ansicht über die Moralität auseinander, und lassen so deren eigentümliche Rolle bei Kierkegaard hervortreten. Um das Ethische in drei Existenzsphären in Kierkegaard’schen Religionsphilosophie richtig zu begreifen, sollten wir unsere Aufmerksamkeit lenken auf die folgenden drei Punkte: 1. Das ethische Stadium ist bloß Durchgangssphäre. 2. Das Ethische schließt in sich eine Bedeutung der “teleologischen Suspension”. 3. Kierkegaard selbst legt großes Gewicht auf den Ausdruck “das Ethisch- Religiöse”. Daraus folgt, daß das Ethische bei Kierkegaard “das von dem Religiösen Zurückgekommene” heißt. Dagegen hält Kant die Religion als das, was am Ende des Weitergehens von der Sittlichkeit erreicht werden kann. Daher muß das Religiöse bei Kant von dem immanenten moralischen Bewußtsein postuliert werden. Diese Ansicht steht der Kierkegaard’schen entgegengesetzt. Wenn Kant auch das Problem vom “Radikalbösen” in seinem Religionsbuch thematisch behandelt, muß er den wesentlichen Charakter des Bösen übersehen. Gewiß schätzt Kierkegaard Kant höher als Hegel, aber er übt Kritik doch am Kantischen Verstehen vom Verhältnis zwischen der Sittlichkeit und der Religion. Kant bleibt, Kierkegaards Meinung nach, immer noch in der Stufe der “Religiosität A”,Kierkegaard selbst aber steht auf dem Standpunkt der “Religiosität B”. Von dort her betont er also das Paradox im Christentum. Bei Kierkegaard also ist das Ethische identisch mit der Religion, und er zieht von diesem Gesichtspunkt her die Bedeutung des “Anderen” in Betracht. Daher ist es nicht richtig, wenn man seine Besinnung auf “den Einzelnen” für individualistisch hält. Er sucht immer von Grund aus nach dem echten Ethischen als der Liebe unter “den Einzelnen”.
著者
小嶋 知幸 佐藤 幸子 加藤 正弘
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.141-147, 2002-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
7

重度発語失行例における軟口蓋破裂音/k/の構音訓練として, 構音点に対して冷却刺激を加える方法を試みた.症例は発症時53歳の男性.平成11年4月に発症した左中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を機に, 重度の発語失行を中核症状とする混合型失語を呈した.構音訓練開始から6ヵ月経過しても改善のみられなかった軟口蓋破裂音/k/の構音の改善を目的として, 構音点である奥舌と軟口蓋に対して冷却刺激を加える方法を考案し, 刺激前後での構音の成功率を比較した.その結果, 冷却刺激後に/k/の構音成績に有意な改善がみられた.これは, 構音点に対する末梢からの感覚刺激が正しい構音点を形成するための運動を促通した結果と考えられた.本方法は, 正しい構音動作を視覚的に呈示することが困難な音や, ダイナミックパラトグラフィの利用が困難な音の構音訓練法として簡便な方法であり, 臨床的に有効な手法であると考えられた.
著者
新井 由季 玉田 喜一 佐藤 幸浩 和田 伸一 田野 茂夫 花塚 和伸 大橋 明 菅野 健太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.1412-1416, 2005 (Released:2005-11-04)
参考文献数
17

胆嚢収縮能超音波検査において一般に用いられている卵黄に代わりカロリーメイト缶®を用い,その有用性について検討した.健常人ボランテイア27名を対象とし,腹部超音波検査にて空腹時胆嚢容積をellipsoid法にて求めた.カロリーメイト缶®飲用後,30分後と60分後に胆嚢容積を測定し,胆嚢収縮率(EF)を求めた.空腹時胆嚢容積は平均13.5 ml, EFは平均で30分後53%,60分後62%と充分な胆嚢収縮が見られ,カロリーメイト缶®は胆嚢収縮剤として有用と考えられた.また,空腹時胆嚢容積が4 mlに満たない例では前日の脂肪食の影響を除くために,禁食を厳重にして再検する必要があると考えられた.
著者
肱岡 範 佐藤 幸浩 岩下 裕一 犬童 裕成
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.723-728, 2005 (Released:2005-06-14)
参考文献数
35
被引用文献数
1

症例は熊本県在住の59歳男性.35年前から狩猟期に熊本県内の野生のシカ・イノシシを捕獲し,肉や内臓を生食している.口渇,筋肉痛を主訴に近医受診し黄疸および肝機能障害を指摘され紹介入院.IgMクラスのE型肝炎ウイルス抗体およびHEV-RNA陽性であり,E型急性肝炎と診断した.本症は海外渡航歴がなく特異な食習慣を有することから,zoonotic food-borne transmissionが疑われる1例として報告する.
著者
佐藤 努 佐藤 絢 紺野 聖 木幡 修 江井 邦夫 佐藤 幸一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100342, 2013

【はじめに、目的】障害者の自動車運転は,生活関連動作や職業関連動作として位置づけらており,多様化するニーズに即した社会参加を念頭とした支援を進めていく必要がある.障害者の自動車運転再開には,自動車への乗降動作や運転操作などの基本的動作に加えて,事故回避能力や状況判断能力の観点から理学療法士の役割は重要である.しかし,機器操作などの運転技術における専門的な実車検査等を医療サイドのみで実施することは不可能に近く,他職種が関与することが重要であり自動車学校との連携は必須となる.今回,スムーズな運転再開へ向けたシステムの構築および支援体制の確立の一環として福島県内の自動車教習所における障害者の受け入れ状況やその対応等をアンケートにて調査した.【方法】福島県内の指定自動車学校41箇所に対し,アンケート調査を実施した.アンケートは障害者の受け入れの状況および障害者用車両の有無,運転補助装置の詳細など26項目について質問を実施した.回収期間は,平成22年10月から11月末までの2ヶ月間で回収した.【倫理的配慮、説明と同意】自動車学校側に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした.【結果】回答数は全41箇所中21箇所で,回答率51.21%であった.障害者の受け入れが可能は9箇所であり,条件付きであれば可能が12箇所であった.可能な障害分類においては右上肢障害,左上肢障害が12箇所,両上肢はわずか3箇所であった.また,右下肢障害は7箇所,左下肢障害11箇所,両下肢障害6箇所であった.障害者用車両の保有は4箇所であり,手動運転補助装置は6箇所であった.手動運転補助装置の具体的詳細に関しては,ハンドル回旋装置6箇所,パワステ付きハンドル5箇所,手動アクセル,ブレーキ4箇所,左ウィンカー4箇所であった.足動運転補助装置は4箇所であった.足動運転補助装置の具体的詳細に関しては,足踏みウィンカー1箇所,シフトチェンジ1箇所,サイドブレーキ2箇所,ホーン,ライトスイッチ1箇所,左足用アクセルペダル4箇所,ドアの開閉装置0箇所,パワステ3箇所であった.障害者に対する対応においては,施設内の段差等のバリアの解消されている教習所は5箇所,車椅子対応のトイレ設置は2箇所,トイレ介助が可能である自動車学校は5箇所であった.通常型送迎車における送迎が可能である自動車学校は11箇所,車椅子対応型送迎車は0箇所であった.また,施設内の移動介助が可能である教習所は7箇所,階段昇降介助が可能である自動車学校は6箇所という回答であった.【考察】障害者の運転再開では,道路交通法において身体的特性や障害の程度により安全に自動車運転が行える範囲での運転免許種別(臨時適性検査)が整備されている.また,管轄の警察署における適性検査も実施される.これらは,運転再開における設定条件の変更が主な目的となっている.運転技術の習得は,実車講習による運転操作判断能力などの運転適正を,より身近な環境で,より多くの障害者が習得できるシステムの構築が必要となる.そのため,各地域における自動車学校の協力が不可欠であり,協力体制を把握することが必要である.今回の結果より,福島県内自動車学校の多くは,条件付きであれば障害者への教習が可能であり,福島県各地域(県北地域,県中地域,県南地域,会津地域,いわき地域,相双地域)に存在していることが分かった.しかし,障害者への移動介助支援や車椅子対応のトイレの設置,段差のバリア解消など障害者への対応が未整備の自動車学校が多いことや障害者用車両,運転補助装置(手動運転補助装置,足動運転補助装置)を保有している自動車学校が少ないことから,個々の障害やニーズに即した自動車教習が困難な状況であると思われる.今後は,各医療機関に対し現段階における情報開示を進めていくことにより,スムーズな運転再開を図ることができると思われる.また、その地域に沿った整備や情報交換の方法などを含め地域支援体制(ネットワークづくり)を確立していく必要性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】障害者の積極的な社会参加(自動車運転など)を念頭とした支援を進めていくにあたり,他職種(自動車学校など)が関与することが重要であり,各地域における状況把握が求められる.今回の自動車学校側へのアンケート調査は,その一端を担っていると言える.
著者
佐藤 幸子 織田 佐知子 新藤 一男 本西 晃 花里 匡史 数野 千恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.38, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】川魚として代表的なアユ(鮎)は、生育環境により香りが異なるため、味覚にも影響を与える。そこで、環境によるアユの不快臭を軽減する目的で、多摩川中流の河川水で飼育したアユとその河川水に炭(多摩産杉間伐材)を使用したろ過水で飼育したアユの香気成分を比較検討し比較を行なった。またそれらの官能評価を行い炭の効果を検証した。【方法】飼育アユ:約15gの養殖アユを多摩川中流の水および炭でろ過した水のそれぞれの水槽で約2週間飼育し約25gのものを使用した。餌:多摩川中流の水および炭でろ過した水に石を投入し藻を付着させたものを適宜アユの飼育槽に投入した。試料の調製:試料は1尾を細切後、10gをバイヤル瓶(20mL容)に密閉し、SPME法で香気成分を捕集しGC-MSおよびGC-O分析を行った。さらに、アユはオーブンで焼いた後、匂いの強さと味について官能評価を実施した。【結果】多摩川中流水で飼育したアユの香気成分から2,6-Nonadienal(キュウリ様の臭い)やPentadecene(メロン様の臭い)等のアユ固有の匂いに関与する物質やMethyl vinyl keton(カビ臭)等の不快臭に関与する物質が検出された。ろ過水で飼育したアユでは原水で飼育したアユに比較してMethyl vinyl ketonが少なくなった。官能評価では、加熱調理後の匂いは、原水で飼育したアユに比較してろ過水で飼育したアユの香りを弱く感じた人が多かった。しかし味のよさやアユの匂いは個人的な食経験により良否が左右された。なお、本研究は東京都産業労働局農林水産部島しょ農林水産総合センターの委託事業によるものである。
著者
佐藤 幸子 渡邉 菜月 浜守 杏奈 松岡 康浩
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:24336645)
巻号頁・発行日
no.56, pp.9-22, 2019-03-09

The principle of cosmic dualism (yin and yang) and the Five Elements (Wu-Xing), based on the philosophy of "food as medicine," serve as the basis of Korean food culture. Korean cuisine features rice, soup, and kimchi along with various side dishes. As soup is treated as one of its main dishes, Korean daily meals generally contain more water than Japanese cuisine. Earlier, traditional tea culture in Korea was enjoyed only by people of specific privileged classes, and consequently, the tea-drinking custom faded during the Joseon dynasty. Currently, "traditional tea, " made from ingredients including wild herbs, fruits, and grains used in Chinese medicine , is widely accepted in the everyday lives of Korean people. This traditional tea is made by blending and brewing ingredients such as fruits, flowers, grains, and leaves used in traditional medicine, and is based on the philosophy of "food as medicine." It is then mixed with, for example, honey to make it drinkable. Thus, many varieties of traditional tea are available. The results of a survey revealed that the reasons for drinking traditional tea vary from those related to health, such as cold prevention, fever suppression, and recovery from fatigue, to taking "coffee breaks." From this, it was inferred that traditional tea in Korea is used in everyday lives by people with hopes to advance their health based on the claimed functions of its ingredients.
著者
佐藤 努 中島 望 長橋 厚 江井 邦夫 佐藤 幸一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P1200, 2010

【目的】<BR>近年,障害者の社会参加や生活の質の向上に向けた取り組みや促進が求められる中,職場復帰や積極的な地域参加などを念頭においた理学療法を展開していくことが必要である.その中で,障害者の自動車運転へ向けた取組みも十分に考えられる.当地域における,近隣への移動手段として自動車が一般的である.そこで今回,障害者の自動車運転再開へ向けた取組みおよびシステムの構築を目的とし,自動車教習所の協力の下,障害者を対象とし自動車運転体験を実施した.<BR>【方法】<BR>自動車運転免許を取得されており,且つ管轄の警察署にて適性検査を受講され,重篤な高次脳機能障害を呈さない脳卒中片麻痺患者3名を対象とした.対象者ごとに,運動能力(麻痺の程度,歩行状態等)や知能能力(高次脳機能,認知機能等)の情報を作成し,自動車教習所側に個別情報提供表として事前に提示した.自動車教習所では,基本走行や応用走行などの運転技術のレベルアップを目的として実施されている「安全運転講習」を個々の運転技術に沿って実施した.<BR>【説明と同意】<BR>今回の体験を行うにあたり,本研究に関しての趣旨を十分に説明し,被験者および自動車教習所側に同意を得た.<BR>【結果】<BR>症例1,67歳,女性,要介護2.平成14年に脳内出血による左片麻痺を呈する.以後,自動車運転は未実施.麻痺側上肢機能に関しては,Brunnstrom―Stage(以下Br―S略)3.今回の自動車体験においては,基本走行のみ実施.自動車への乗車時において座席への着座に不安定を認めた.座席調節の際は,非麻痺側上肢にて調節レバー,シートベルトやハンドブレーキ,オートマティックトランスミッションの切り替え等の操作が困難であり,介助を要した.走行検査においては,走行速度が平均約5km/h程度と低速走行であった.非麻痺側上肢によりハンドル操作を行なうも,直線走行時には中央線へのふらつきを認めた.また,カーブ走行時には急なハンドル操作や細かな修正困難が認められた.症例2,61歳,男性,要支援2.平成19年に脳内出血による左片麻痺を呈する.半年前に数回の運転経験あり.麻痺側上肢機能に関しては,Br―S5.今回の自動車体験においては,基本走行及び応用走行を実施.自動車への乗車動作や座席調節には特に問題なく,両上肢にて行なっていた.自動車走行に関しては,一時停止標識やカーブ走行時におけるブレーキの減速不十分を指摘されたが,口頭指示後に修正可能であった.また,ハンドル操作やトランスミッションの切り替え等も両上肢を使用し安定し可能であった.走行速度の変化におけるハンドル操作のタイミング等には問題なく,今回の運転技術において十分に路上での自動車運転再開が可能であると判断を受けた.症例3,48歳,男性,要介護3.平成16年に脳内出血による左片麻痺を呈する.数年前までは,障害者用自動車による運転経験を有するが,現在はセニアカーにて移動.麻痺側上肢機能に関しては,Br―S2.乗降動作において短下肢装具装着のためハンドル・座席間のクリアランスの問題にて介助を要した.今回の自動車体験においては,基本走行及び応用走行(坂道,S字,クランク等)をノブ付き自動車(片手ハンドル操作)にて実施した.方向転換やカーブの際における,方向指示器の操作時にハンドルのブレを認め指摘されるが,それ以外のアクセル調節,車両間隔,速度変化におけるハンドル操作等の運転技術等には問題なく,路上運転が十分に可能であるとの判断であった.<BR>【考察】<BR>今回の結果より,当地域における障害者の自動車運転再開において,各機関がそれぞれの役割を担う必要があると感じた.理学療法士としては,歩行能力や高次脳機能障害の状態,自動車教習所側が実車講習を行うため必要となる留意事項(乗降動作,シート上での動作状況,シートベルトの着脱などの細かな機器の操作など)の運転評価表の作成・指導,またその情報の共有が必要であると感じた.基本的動作や状況判断能力(反応の速さ,注意力の左右差)などの観点から理学療法士としての関わりの重要性が示唆された.このように,身体状況や運転技能に合わせた実車講習を通し,より安全な運転再開にむけた評価機関が必要であると思われた.さらに,制度上の相談,情報提供などの窓口の設置が必要であると感じた.今回の試みを通し,各機関における連携や地域の環境作りの重要性が示唆された.自動車運転は,便利な反面,リスクと社会的責任をともない安全運転技術の修得および家族を含めた検討については,今後の課題のひとつである.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>理学療法士の職域は広がりをみせており,身体機能面や日常生活動作面などへの理学療法に限定されず,それぞれの地域性に応じたアプローチが求められており,今回の試みもそのひとつと言える.
著者
井上 雅之 中井 英人 永谷 元基 清島 大資 佐藤 幸治 林 満彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.632, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】下肢骨折や骨関節疾患などの術後患者に対する理学療法において,段階的な歩行獲得を図るために部分荷重訓練が必要であり,多くの施設で施行されている.しかし訓練後の不適切な荷重は,治癒過程の阻害や再骨折などを引き起こす恐れがあり,治療スケジュールの遅延につながる為,効果的な荷重コントロールが行われなければならない.そこで今回,下肢部分荷重訓練装置を使用して動力学的な部分荷重訓練を実施した後,床反力計を用いて時間の経過に伴う荷重量の変化を測定し,短時間における学習効果や訓練の有効性について検討したので報告する.【対象】下肢に障害の既往のない健常成人20名(男性12名,女性8名),平均年齢25.6±4.1歳,平均身長169.8±9.0cm,平均体重65.5±17.1kgであった.【方法】歩行形態は片松葉杖,2/3部分荷重による2動作歩行とし,測定前に部分荷重訓練装置(アニマ社製MP-100)を用い,20分の部分荷重訓練を実施した.装置の目標値を体重の2/3に設定し,目標値を超えた場合には警告音で知らせ,聴覚からのフィードバックを与えた.また、全ての被験者が時間内に2/3部分荷重を獲得したことを確認後,測定を開始した.被験者は左右独立式床反力計(アニマ社製MG-1120)上を初回,15分後,30分後,45分後,60分後の計5回歩行し,各測定間の休憩は15分間の椅子坐位とした.各回の踵接地期(以下HC),立脚中期(以下MSt),つま先離地期(以下TO),各回における最大の荷重量(以下最大値)の4項目の荷重量を測定し,目標値に対する荷重量の割合の平均値を算出した.なお,統計学的処理は反復測定分散分析を行った後,FisherのPLSDを用い,有意水準は5%未満とした.【結果】初回と60分後の比較では,HC,MSt,TO,最大値のいずれも荷重量が減少していたが,HC,最大値においては有意差はみられなかった(p>0.05).また初回のHC,最大値を除く全ての回において,荷重量は目標値を下回っていた.HC,MSt,TOの荷重量は,初回から60分後までのいずれにおいてもHCが最も大きく,次いでTO,MStの順であった。【考察】今回の測定結果から,訓練後1時間以内では荷重量は目標値を大きくは超えないことが明らかとなり,部分荷重訓練の短時間における学習効果が認められたが,これには部分荷重訓練装置の聴覚へのフィードバック効果の影響があったのではないかと考えられる.また,清島らによると,理学療法士の最も多くが部分荷重の許容できる誤差範囲を±10%以内と考えている,と報告しており,今回の結果は1時間以内における荷重量と目標値との誤差が,実際にこの範囲内であることも示した.しかしHC,最大値では一度荷重量が減少し,60分後に再び増加する傾向がみられたことから,数時間後あるいは数日後といった長時間における学習効果についての検討の必要性が示唆された.
著者
豊田 新 高原 周一 宮川 和也 守田 益宗 青木 一勝 佐藤 幸子 坂根 弦太 青木 宏之 蜂谷 和明 矢城 陽一朗 重松 利信 那須 浩郎 篠原 隆 宮宅 康郎 渡邉 誠 今井 剛樹 今山 武志 兵藤 博信 片山 敏和 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構理科教育センター 岡山理科大学教育支援機構学習支援センター 岡山理科大学教育支援機構学習支援センター 岡山理科大学理学部応用物理学科 岡山理科大学理学部応用物理学科 岡山理科大学自然科学研究所 岡山理科大学自然科学研究所 岡山理科大学非常勤講師
雑誌
岡山理科大学教育実践研究 = Okayama University of Science Educational Practice Research (ISSN:24339946)
巻号頁・発行日
no.1, 2017
著者
佐藤 幸人
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 = Quarterly journal of Institute of Developing Economies Japan External Trade Organization (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.2-29, 2017-12

1990 年代以降,台湾の電子部品部門の成長は著しく,台湾電子産業において4 分の3 を占めるに至っている。このような電子産業の電子部品部門への傾斜という構造変化をもたらした要因には,電子製品部門の中国等へのシフトと,半導体のファウンドリ部門のような一部の電子部品のグローバルな発展という2 つのダイナミズムがあることが,先行研究によって明らかになっている。本稿ではレンズ・メーカーの大立光電と,液晶パネル駆動IC を開発する半導体ファブレスの聯詠科技のケーススタディをおこない,後者のダイナミズム,すなわち電子部品のグローバルな発展がどのような企業活動から生み出されたのかについて,より深く検討を加えた。その結果として,両社はともに内外の市場に早い段階からアプローチしていること,台湾企業とのリンケージへの依存からグローバルな発展への移行がみられること,移行は自主的な技術の形成に支えられていたことを示した。
著者
佐藤 幸雄 熊代 克巳
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.p61-69, 1985-12

セイヨウナシの葉やけ発生要因と考えられる気孔運動機能の鈍化が,他の果樹にも認められるかどうかを知るため,ナシ,リンゴ,モモ及びブドウを用いて,葉の比較蒸散量及び蒸散抵抗を調べた。得られた結果の概要は次のとおりである。1.葉齢の進行にともなう気孔運動能の鈍化は,葉やけの発生しやすいナシ「バートレット」が最も著しく,6月下旬にすでにその微候が認められ,7月中旬から急速に進行した。しかし葉やけの発生が認められないモモ「缶桃5号」は,8月下旬においてもなお気孔の運動機能が鋭敏であった。ブドウ「コンコード」は,8月上旬以降に機能鈍化が認められたが,「バートレット」ほど顕著ではなかった。またリンゴ「ふじ」も8月上旬以降に機能鈍化の微候を示したが,その程度は比較的軽かった。2.ナシの品種別比較では,「バートレット」の機能鈍化が最も著しかった。「新水」は7月中旬に「バートレット」と同程度の機能鈍化を示したが,それ以降はさほど進行しなかった。また「幸水」は,8月中旬以降に急速に機能鈍化が進行し,9月上旬には「新水」とほぼ同程度となった。3.夏季の高温乾燥条件下における着生葉の蒸散抵抗は,「缶桃5号」が最も高く,次いで「ふじ」,「コンコード」,「幸水」,「新水」,「バートレット」の順に低下し,「バートレット」が最低であった。またいずれの果樹も新梢の基部葉は先端部葉に比べて低かった。4.葉やけ発生率と気孔の運動機能との関係をセイヨウナシについて調べた結果,発生率の高い品種ほど機能鈍化が著しい傾向がみられた。しかし「プレコース」のみは機能鈍化が著しかったが,葉やけ発生率は低かった。