著者
巻 直樹 髙橋 大知 仲田 敏明 長谷川 大吾 若山 修一 坂本 晴美 藤田 好彦 高田 祐 佐藤 幸夫 柳 久子
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.138-144, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
42
被引用文献数
3

【目的】嚥下機能低下を呈した要介護認定高齢者を対象として,呼吸トレーニングにおける短期および長期的な効果を検証する。【方法】通所リハビリテーションを利用している65 歳以上の要介護認定高齢者を対象とした。同意が得られた31 名に呼吸トレーニングを2 ヵ月(8 週)行い,理学療法前後,follow-up 1 ヵ月後,6 ヵ月後に測定を行った。【結果】理学療法前と理学療法1ヵ月(4 週)評価との間では,呼吸機能,嚥下機能,QOL は有意に改善を示した。理学療法2 ヵ月(終了時)とfollow-up 6 ヵ月後との間で呼吸機能,QOL は有意に減少を示していた。【考察】要介護認定高齢者に対し,呼吸トレーニングを導入することにより,呼吸機能や嚥下障害,QOL を改善することが可能であった。
著者
森田 尚樹 佐藤 幸男 櫻井 裕之 横堀 將司 石川 秀樹 梶原 一 海田 賢彦 松村 一 福田 令雄 濱邉 祐一 磯野 伸雄 田上 俊輔 藤原 修 副島 一孝 新井 悟 佐々木 淳一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.76-89, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
17

東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した.  総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった. 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった.  年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
著者
髙橋 育子 佐藤 幸子 今田 志保 本間 恵美
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 = Bulletin of the Yamagata University. Medical science : Yamagata medical journal (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.43-50, 2020-02-15

【背景】母親の育児不安の一因として乳児の皮膚トラブルがあげられている。乳児のスキンケアついて整理し、乳児のスキンケアに関わる現状を明確にすることを目的とし文献検討を行った。【方法】「医学中央雑誌」Web版を用い、2018年6月現在、「スキンケア」「沐浴」「皮膚トラブル」「乳児」「子供」「乳児湿疹」をキーワードに組み合わせて検索した。原著論文21件を対象に、研究内容を類似性に基づき分析・分類し、乳児のスキンケアの現状と分娩取扱医療機関におけるスキンケアの指導内容について整理した。【結果】対象となった文献の内容は、「乳児の皮膚トラブルの実態」「乳児の皮膚やスキンケアに対する母親の認識の実態」「スキンケアの効果」「母親が行う乳児へのスキンケアの実態」「分娩取扱医療機関における新生児のスキンケア方法」「分娩取扱医療機関におけるスキンケア指導の実態」の6つのカテゴリーに分類された。その内容として、乳児の皮膚トラブルの実態は、季節に関係なく新生児の約7割、乳幼児の約9割程度に皮膚トラブルがあり、多くの母親の困りごとになっていたこと、分娩取扱医療機関におけるスキンケアの指導は充分行われていなかったこと、母親はスキンケア手技に自信がなく、看護職からのスキンケア指導を求めていることが明らかになった。【結論】乳児の皮膚トラブルは多いが、スキンケア指導が充分に行われていない。母親へのスキンケア指導を推進する必要がある。
著者
成田 亮子 白尾 美佳 赤石 記子 伊藤 美穂 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和35〜45年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施し、次世代に伝え継ぐ家庭料理における行事食の特徴を検討した。</p><p>【方法】東京都23区(台東区・世田谷区・中野区・杉並区・品川区・板橋区・練馬区)、都下(日野市・奥多摩町)、島しょ(新島・式根島)の3地域に分け、70歳以上の都民を対象に、家庭料理を聞き書き調査した。その結果より正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、お盆、土用、お彼岸、月見、七五三、大晦日などの行事食について抜出した。</p><p>【結果・考察】正月は雑煮が食べられていたが、23区と都下でも地域によって食材が異なり特徴がみられた。お節料理では、黒豆、紅白なます、昆布巻き、数の子、きんとん、田作りなどが重詰めにされて食べられていた。節分では23区でイワシの焼き魚、煎り豆、都下で福茶が飲まれていた。桃の節句では蛤の潮汁、ひなあられ、端午の節句では島しょでしょうぶ、いももち、お彼岸ではぼたもちの他に、都下で海苔巻きずし、いなりずしが食べられていた。お月見では月見団子の他に島しょであおやぎ、七五三では都下で、とりの子餅、大晦日では23区で年越しそば、すき焼きなども食べられていた。不祝儀や仏事では23区で白和え、島しょでひら、忌明けだんごが食べられていた。ひらは祝儀と不祝儀で盛り付け方を区別して用いていた。東京23区、都下では行事食で食べられているものは現在と変わらないものが多かった。島しょでは特徴があるものがみられた。聞き書き調査を行い、昭和35年ごろから現在まで行事食は変わらず受け継がれていることが分かった。</p>
著者
中村 京一 田中 美千裕 高橋 幸雄 佐藤 幸子 照屋 愛 乙咩 公通
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.402-407, 2014 (Released:2014-06-17)
参考文献数
4

頚動脈ステント留置術carotid artery stentingでは,percutaneous transluminal angioplasty(PTA)に伴う頚動脈洞反射によって,心静止,徐脈,低血圧が誘発される.当院では,全身麻酔下に施行し,ステントを十分に開大させる方針をとっているため,留置ステントを拡張させて頚動脈内腔に適合させる留置後拡張術(Post-PTA)で頚動脈洞が強く刺激され,高頻度に反射が発生した.この反射を予防するため,Post-PTAの直前に予防的にアトロピンを投与するプロトコールを作成した.その結果,プロトコール施行前後で,徐脈(前100%,後9.8%),低血圧(前100%,後9.8%),体表ペーシング作動(前40%,後0%)の発生頻度が著しく減少した.本プロトコールによって,頚動脈反射に伴う徐脈,低血圧を効果的に予防できた.

1 0 0 0 憲法

著者
佐藤幸治著
出版者
青林書院
巻号頁・発行日
1995
著者
伊藤 美穂 成田 亮子 赤石 記子 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子 白尾 美佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和40年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施した。今回は、主菜について、23区、都下、島しょの特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】東京都に40年以上居住している70歳以上の都民を対象に、昭和40年頃に食べられていた家庭料理について聞き書き調査を実施した。主な調査時期は平成24、25年であるが、随時追加調査を行った。東京都を23区の東部、西部、南部、北部と都下、島しょの6地域に分け、当時食されていた主菜について肉、魚、卵、豆・豆製品、その他に分類して考察した。<br>【結果】肉料理は、23区で多く出現し、中でもすき焼き、とんかつ、ロールキャベツ、餃子などが挙げられた。その他、ステーキやメンチカツ、カレー、ハンバーグなどの洋風料理がみられた。魚料理は、23区では鮭の塩焼き、あじの干物、身欠きにしんの他、種々の魚介を刺身や焼き魚、煮魚、ムニエルにして食していた。都下では、多摩川や浅川などが近いため、川魚のやまめやあゆの料理がみられた。島しょでは、くさやが食されており、伝統的な魚料理の伝承がみられた。その他にもあおむろ、とびうお、ぶだいなど他地域ではみられない魚を使った料理が挙げられた。卵料理は、卵焼き、目玉焼きなどが挙げられ、23区ではオムレツもみられた。納豆や豆腐が23区の日常食に多くみられた。その他の料理として、天ぷらが多くの地域でみられた。23区の東部と北部と比較して、西部と南部に洋風料理が多くみられた。これらの地域では高度経済成長期の中で、食生活が変化していく様子が推察できる。一方、都下や島しょでは、地域の食材に根差した伝統的な食生活がみえた。
著者
佐藤 幸子 小築 康弘 北岡 千佳 梅澤 未来 高梨 萌 渡邉 綾香
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.142, 2010

【<B>目的</B>】食べ物は「単なる商品」として、多くの人々に認識されているとも言え、食品の由来や食の風土・文化的価値に対する理解は希薄であると言っても過言ではないだろう。そこで、我々は、風土と文化を反映する料理の味覚体験を中心に据えた食教育の役割が重要であるとの考えに至った。本報告では、東京湾を魚場とする食産業の中心地である港区芝地区における「江戸前寿司」について、港区芝の寿司職人さんと連携し、体験型調理実習を実施し、地域密着の食文化的視点を取り入れた食教育プログラムを遂行した。更に、新たな食教育の方法として、USTREAMを利用したライブ映像を発信し、その可能性について検討した。<BR>【<B>方法</B>】本学食物栄養科専門科目として「食育演習」(通年,2単位)を新設し、その一講座として「江戸庶民の食文化―握り寿司」を開講した。対象は短大1・2年生30名とした。講座内容は、(1)歴史資料から見た芝地区の漁業についての講義、(2)寿司職人さんによる講義および実演、(3)調理実習、(4)味覚体験「学生による寿司と職人さんによる寿司の比較」を実施した。実習内容は、握り寿司として四種、巻物としてかっぱ巻きとし、食材は、現役漁師の丸氏が東京湾で捕獲した魚類と寿司職人さんが仕入れたものを使用した。講座後、学生に対する意識調査を行い、かわら版の作成と提出を義務づけた。また、講座をUSTREAMを利用したライブ動画発信を行い(アカウント名foodtoitan)、Twitterを利用した教員の解説コメントを同時発信した(アカウント名foodtoitan)。<BR>【<B>結果</B>】意識調査より、食文化・食材・調理・味覚教育を総合的に企画した体験型調理実習は、食と生命の基本的価値を学ぶ食教育として有効であると考えられる。さらに、今回の活動により、食教育に地域の専門家が参加することは有効な手段である可能性を見いだした。今後、継続的な地域組織との食教育プログラムを検討するとともに、USTREAMによる動画発信は、食教育推進の有望な手段である可能性が高いことから、大いなる活用を検討していきたい。
著者
佐藤 幸徳
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.315-319, 2016

高島屋新宿店で2015年5月28日から6月2日までの6日間,「研究心と豊かな発想で生まれた,大学のおいしい成果を一堂に」と謳われた第8回「大学は美味しい!!」フェアが,NPO法人「プロジェクト88」(代表理事高橋菜里氏)主催のもとに開催され,全国大学34校が参加した。秋田県立大学も純米吟醸「究(きわむ)」を出展した。林農水大臣,石破地方創生大臣,安倍昭恵首相夫人他も臨席され好評であった。これまで大学発ブランドの日本酒を比較した報告は無かったので調査し読者の参考に資する。
著者
佐藤 幸也
出版者
関東学院大学工学部教養学会
雑誌
科学/人間 (ISSN:02885387)
巻号頁・発行日
no.44, pp.85-114, 2015-03

21世紀に引き継ぐ日本の教育課題のひとつは、日本国憲法前文に示された「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という民主主義の成熟と国際平和の実現である。文部省が日本国憲法公布後の昭和22年8月に全国の中学生向け教科書用に発行した『あたらしい憲法の話』でも、この民主主義と国際平和の精神は高らかに謳われている。そのため、社会科教育が創設され、学習指導要領においても繰り返しその重要性が語られてきた。また、国民も相応の努力を重ねてきたと言っていいだろう。しかるに、冷戦の終結とパックス・アメリカーナを基本とするグローバリゼーションへの対応、中国の台頭などの国際情勢の変化と国内の産業構造の激変、具体的にはバブル崩壊後に顕著となった労働環境の劣悪化(ワーキング・プアなど)や世界トップクラスの格差拡大などによって、教育政策が一層国家主義的になってきた。これがいわゆる「近隣条項」を無視した歴史教科書の問題であり、それに関連する教科書採択の問題と道徳の教科化推進及強化につながっている。道徳教育の重要性は否定しない。ただし、アジアの人々は、道徳と歴史教育、歴史認識が不可分になっていることと、そこからどのような日本人像が浮上してくるのか、軍事、外交政策が展開されようとしているのかを危惧している。さらに、歴史修正主義とマスコミの自主規制というイデオロギーコントロールが加わっている。この結果、国内の国民生活と政治意識が萎縮し始めている。この一つの側面が国政選挙による無投票(主権行使の放棄)やヘイトスピーチである。なお、このヘイトスピーチは、国連「人種差別撤廃条約 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の第4条によると、「締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する」とされていることからも、近年日本国内で活発化しているヘイトスピーチは無視できないものであることが理解されよう。こうした社会的状況は、ともすれば「いつかきた道」に誘導されかねない危険性を持つ。そのことによって、災禍に遭遇しないとも限らないのである。経済成長神話がすでに崩壊しており、世界は次なる資本主義システムを模索している。ドイツのメルケル首相が脱原発、自然エネルギー産業のフロンティアに舵を切り、イスラム世界は産みの苦しみにあえいでいる。日本は、その勤勉さと控えめではあるが高い共感能力と誠実さを持ち、国際社会からも評価されてきた。それが、歴史修正主義や国家主義的教育が再燃していくことになれば、これまで積み上げてきた努力が水泡に帰しかねない。現在は、そうした岐路に立っている、と言えよう。本研究では、近現代日本の教育構造や教育課程編成原理とその社会的背景を捉え直し、国民統治、教化手段としての教育行政の継続が、国際理解と平和友好促進とは逆ベクトルの歴史認識と関係しており、ネオナショナリズムの危険性が拡大していることの問題性を考察した。
著者
内田 まり子 中村 透 山縣 浩 佐藤 幸子 浅野 真晴 秋保 明 阿部 直子
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71, 2005

財団法人日本盲導犬協会仙台訓練センターでは、平成13年11月から平成17年3月まで、仙台市による地域リハビリテーションモデル事業の一環である中途視覚障害者生活訓練事業の委託を受け、訪問による視覚障害リハビリテーションサービスを実施した。このサービスを利用した仙台市民の人数は、平成13年度および平成14年度は16名、平成15年度は16名、平成16年度は23名であった。のべ55名のケースについて、支援に関係した施設および機関は、当訓練センターのみではなく、地域に存在する複数だったケースが大半を占めた。その他、ケースの概要と傾向をまとめ、地域にある複数の関係機関どうしの関わりや支援システムの動きなどについて報告する。 また、受傷後およそ3年間、引きこもりに近い生活をしていたケースが地域のデイサービス利用をきっかけに視覚障害リハビリテーションサービスを利用し、交流会(「仙台市における中途視覚障害者リハビリテーション支援システム第3報」にて発表)にも参加を始めたケースを報告し、地域に住む視覚障害者に提供できるリハビリテーションサービスについて考察したい。
著者
牧内 義信 佐藤 幸也
出版者
関東学院大学理工学部建築・環境学部教養学会
雑誌
科学/人間 (ISSN:02885387)
巻号頁・発行日
no.50, pp.73-136, 2021-03

新学習指導要領による高等学校教育の本格実施が迫っている。改訂された学習指導要領は、新教育基本法と関連する法律等の整備を踏まえた上で、従来の教育改革の流れを汲みながら、より一層学校教育のカリキュラム編成や教育方法等まで踏み込んだ内容となっている。思想と手法は新自由主義によるものと言えるが、日本社会が構造的に抱える緊急的課題に応えかついわゆる"Society 5.0"なども意識した学校の在り方、教授方法の改善等まで細かに論じたものとなっている。そうした改善、改革には一定の説得性はあるものの、実際の現場に対してはより一層負担を強いるものとなっていることも無視してはならない。「ブラック」職業とまで揶揄されるようになった教職は、その尊厳性や専門性などが毀損されている。ここでは、保護者などが持つ教育政策への不満などが国家、政府ではなく直接的に教育委員会や学校の教職員に向けられることも珍しくなく、本来であれば教育の専門家である教職員と保護者、地域の関係者などが児童生徒を核にして公教育のよりよい実践を目指して連携・協力し合う関係が築かれることが望ましいにもかかわらず、児童生徒も含めてそれらの関係性は分断されている実態がある。マスコミなどで取り上げられるような一部では成立しているように見えるものの、臨教審以来の新自由主義と市場化が進められた結果(地方自治の基盤劣化も含め)、識者の間では「公教育の崩壊」という言葉さえ聞かれるようになった。生徒と教師の学びの共同体である学校、授業の改善にほとんどの教職員は誠実に取り組もうとしているが、やればやるほど心身にダメージを蓄積することや生徒(子どもたち)の「学びからの逃走」、健全に成長発達することの危機の諸相は深刻になっている。その一つとして懸念されているのが現場の実態を無視したICTの推進である。久里浜にある国立の医療・教育機関の医師などは新たな病理としての「スマホ依存症」などITの普及に伴うリスクに警鐘を鳴らしているが、欧米各国でもこの問題は切実なものとして受け止められている。ドイツや北欧などで自然体験を豊富にそろえた教育プログラム(例えば森の中の学校園やシュタイナースクールなど)、イギリスで行われたスマホを捨て野に出ようというようなルソーの思想的、方法的流れを汲むような教育実践、教育ファーム(近年ではCity Farmという名称が使われるようになった)での学びは、人間性を呼び起こす、日本的な言い方をすれば「健全育成」が図られている。蛇足かも知れないが、平成以降の学習指導要領では「体験」学習の重要性が繰り返し述べられている。しかし、そのための条件整備はあまり進められておらず、豊かな自然体験に預かれるのはどちらかと言えば富裕層の児童生徒であり、体験学習においても格差が拡大している。現代の社会的病理の蔓延と将来的リスクの増大などはSDGsの重要な学習課題でもあり、それらは学校の教職員だけでは到底対応しきれない問題である。そこで、各教育委員会や高等学校では従来の理科教育の在り方を見直し、サイエンスとして学ぶこと、サイエンスとしての学びが未来の社会を担う公民・市民(国民)として「生きて働く」学力形成を目指す方向に行きつつある。大学入試に大きな影響を受けるが、高大連携や中学高校との一貫した自然科学の教育の内容と方法、それを具体的に実践する「授業」の場をどのように構築していけばいいのか模索している。本研究では、上記のことを意識しつつ、これまで高等学校教育について検討、考察してきたこと等を活かしながら、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、課題解決に向かう学力と生きる力の形成を目指す高等学校理科の教育指導計画、授業改善の具体を示すものである。
著者
佐竹 紀香 田中 美希 浜守 杏奈 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】漬物は、特徴的な香りを持つことから「お新香」「香の物」といわれている。漬物の中で、近年、市販の糠床や一夜漬けの糠漬けが流通するようになったが、その独特の臭いにより嗜好性が大きく分かれる。そこで本研究では、スパイスを添加した糠床に胡瓜を漬け込み、その糠漬けについて、香気成分分析および嗜好評価を実施し、糠漬けの糠臭軽減効果について検証した。また、スパイスの認知度を検証するために「スパイスの使用頻度等の意識調査」をあわせて実施した。</p><p>【方法】糠床は、生糠に塩、唐辛子、昆布、水を混ぜ合わせ、1か月間キャベツで捨て漬けし、調製した。調製した糠床に各スパイス(八角、ナツメグ、クミン)を混ぜ込み、3種類の糠床を調製した。糠床に12時間漬けた胡瓜をすりおろしたものを香気成分用試料とした。香気捕集はMonolithic Material Sorptive Extrction 法に採用し、undecane(C11H24:東京化成㈱)を内部標準とし、GC/MSおよびGC/O分析を行った。また、官能評価(5段階評価法)を実施し嗜好評価を行った。</p><p>【結果】香気成分分析の結果、糠漬けは胡瓜由来のグリーン様のHexenalと糠臭の3-methyl-butanolが確認できた。スパイスを添加した糠漬けは、いずれも糠臭の香気成分構成割合が半減し、糠臭は抑制された。また、胡瓜由来の匂いはスパイスによる差が顕著であり、八角の添加によって匂いが強調された。官能評価では、ナツメグが最も糠漬けとして好ましい評価を得た。本研究では、スパイス添加による糠臭のマスキング効果が期待できた。今後、食材によりスパイスの種類および添加量を検討する必要があると思われた。</p>
著者
鷲塚 晋 奥田 玲子 佐藤 幸治 白杉(片岡) 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】大麦は「食後血糖値上昇抑制作用」「腸内環境の改善」などの生理機能を持つ水溶性食物繊維β-glucanに富むことから、パンなどの様々な食品に応用されている。しかし、パンの場合、大麦粉の配合割合が高くなるにつれて、製パン性が低下する。奥田らは、食味の優れた高β-glucan大麦20%含有食パンを調製した<sup>*</sup>が、製パン技術が必要であること、生理活性発現の観点からは、大麦粉の配合割合を高める必要があることなどが課題であった。本研究では、ホームベーカリーを用いて日常食として利用できる高β-glucan大麦40%含有食パンの調製を試みた。<br>【方法】試料粉は、カナダ産小麦粉 1CW(アヴァロン:日本製粉)と国産大麦60%搗精粉(高β-グルカン大麦品種ビューファイバー[高粒度タイプ]:豊橋糧食工業)を用い、奥田ら<sup>*</sup>の大麦パンの配合を参考に改変した。試料の調製は、ホームベーカリー(SD-MDX100, Panasonic)で行った。加水量は100%(BP: ベーカーズパーセント)とし、グルテン(A-グルG:グリコ栄養食品(株))を添加した。混捏と発酵の各合計時間は約49分と約110分であった。官能評価には評点法と順位法を用いた。体積は菜種置換法により測定した。<br>【結果】官能評価から、大麦食パンの砂糖の添加量は7.5%(BP)とした。大麦食パンの比容積 (cm<sup>3</sup>/g)は、2.59±0.03であった。大麦食パンと市販小麦食パンとの官能評価による比較では、嗜好性を問う総合評価に有意差はなく、60%のパネルが本研究で調製した大麦食パンを「日常的に食べられる」と回答した。これらの結果から、本研究で調製した大麦食パンは日常食として利用可能であると考えられた。今後、ヒトを対象とし、本研究で調製した大麦食パンの生理活性について検討する予定である。<br><sup>*</sup>奥田玲子他(2016), 日調科平成28年度大会
著者
熱海 明 青柳 澄 小野 精美 鈴木 武 鈴木 肇 栗原 幸一 西塚 胞喜 岡 英彦 二戸 源治 梅沢 長一 木村 広 安孫子 淳一 高梨 勝広 山口 正志 丹羽 与英 中村 春夫 高槻 和雄 遠藤 厳 岡田 昌吉 佐藤 幸雄 東海林 喜助 斯波 八郎 奥山 繁雄 五十嵐 茂 斎藤 安司 菊地 正逸 槙 千秋
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.521-526,539, 1964-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22

A total of 244 persons were reported officially to be involved in an outbreak of food poisoning possibly attributed to whale-meat bacon in Yamagata and its neighboring areas in Yamagata Prefecture at the end of August. One fatal case occurred in the city of Yamagata.The period of incubation was 12 to 21 hours in most cases. The main symptoms consisted of fever, stomachache, vomiting, and diarrhea and were almost identical with those of food poisoning known to be caused by enteritis vibriones.The incriminated food was whale-meat bacon, which had been eaten without being cooked. The same food as this, in raw state, was given per os to mice and cats without any ill effect. Bacteriological examination failed to detect any known pathogenic organisms, except staphylococci, or such enteritis vibriones as identical with those of the known serotype.Enteritis vibrio O-2 (“E” by Agatsuma's classification) was detected from 19 (76%) of 25 fecal specimens collected from the patients involved. Staphylococcus and Proteus were also detected from these specimens. Most of the staphylococci isolated from the whale-meat bacon, and the fecal specimens were coagulase-positive.All the strains of enteritis vibriones isolated from the fecal specimens were pathogenic for mice. So were three strains of these organisms isolated from the whale-meat bacon.
著者
佐藤 幸子 数野 千恵子 西島 基弘
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.111-116, 2008-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

タイム(Thymus vulgaris L.)を加熱したときの香気成分の挙動を検討した。フレッシュタイムの香気中に,炭化水素類(α-thujene・α-pinene・camphene・β-myrcene・carene・limonene・γ-terpinene・cyrnene・caryophyllene),アルコール類(1-octen-3-ol・linalool・borneol)およびフェノール類(thymol)の14成分を確認した。GC-MSによる香気成分の構成割合は,加熱によってフェノール類のthyrnolが増加傾向を示し,加熱温度が香気成分の揮散に影響していることが推察された。GC-O分析によりフレッシュタイムの香気成分は,初めにα-thujeneとα-pinene,次いでlinaloolとborneol,最後にthymolを順次感じられることがわかった。タイムの香気成分を構成割合とFD-factorにより総合的に検討した結果オーブン加熱では樹木様の香り,電子レンジ加熱では青葉様の香り,真空加熱では甘い青葉様の香りが特徴的であり,加熱方法によりそれぞれの特徴的な香りを食材に賦香することできると考えた。
著者
佐藤 幸子 小築 康弘 民谷 万里子 北岡 千佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2082, 2009

<BR>【目的】本学が立地する東京都港区芝界隈は、江戸時代より東京湾の魚場として食産業の中心地である。そこで、芝落語会および芝青色申告会青年部との地域連携により、庶民の食べ物として「蕎麦」をテーマとし、栄養士を目指す本学の学生を対象に食教育を展開した。「蕎麦」という食材について、落語鑑賞による食文化的視点と「蕎麦打ち」による調理科学的視点を通して、食材を生かした料理の美味しさの探究を目指し、その文化および調理性について理解することを目的とした。<BR>【方法】食教育として (1)「落語鑑賞」(2)「手打ちそばの体験」(3)「蕎麦粉を使ったお菓子作り」を展開した。対象は、本学食物栄養科の学生に選択授業として実施した。(1)「落語鑑賞」(2)「手打ちそばの体験」において、食文化的視点では落語家の瀧川鯉之助氏により、演目の「時蕎麦」を鑑賞させた。調理科学的視点では、「蕎麦粉」についての解説と芝地区の蕎麦打ち職人さんの実演を受講させた後、その場で打ち立ての「蕎麦」を試食させた。学生の評価は、「かわら版」としてまとめさせた。また、(3)「蕎麦粉を使ったお菓子作り」では、「蕎麦粉を使ったお菓子」を調理学研究室のゼミ履修学生と試作検討し、芝地区活動として「蕎麦」の普及を目指した。<BR>【結果】体験授業後、意識調査(n=74)を行った結果、「落語を聴いて興味をもった」が約80%を占め、手打ち蕎麦については「打ち立て蕎麦を試食して美味しかった」と、多くの学生が、「蕎麦」の文化・美味しさに関しての意識の向上が認められた。また、蕎麦の風味を生かした焼き菓子を試作し、「第4回ふれ愛まつりだ、芝地区」に参加した。