著者
佐藤 英人 荒井 良雄
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.367-382, 2003-08-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
58
被引用文献数
2 3

In this paper, we try to focus the relationship between progress in information and communication technologies (ICTs) and the suburbanization of the office location.Information-related functions are located not only in the central business district (CBD) but also in the suburbs in Tokyo metropolitan area. Particularly conspicuous suburban locations are Yokohama area, Makuhari area and Tachikawa area, all of which are situated within some 30km from of the CBD.The Makuhari Shintoshin (new city) project has been successively promoted since 1989. To date, this new city is increasingly attracting information-related functions from the CBD, forming a new suburban office core. In terms of capital scale and business contents, these firms can be classified into the following three types. 1. Internet-related firms, 2. Back offices, 3. R&D sections of major firms.Taking into consideration factors of the suburbanization of internet-related firms and back offices, the push factor for internet-related firms have been a sharp rise in office overheads in the CBD, and the push factor for back offices an increase in the number of employees due to intensive investment by major firms in the information industry in the 1990s; the suburbanization has thus made headway in order to secure office space. The pull factor appears to be the same for both internet-related firms and for back offices; namely, an abundant supply of high-quality information infrastructure, specifically intelligent buildings in Makuhari Shintoshin, which has served as a significant pull.In cases where major firms have constructed their own buildings and established the R&D sector, in particular, it is necessary to introduce changes in the corporate organization, which is distinctly different from the situation where single business establishments are relocated. Firms have constructed in Makuhari Shintoshi, with existing offices using a large-volume broad-band communications network, smooth in-house electronic data exchange has become possible leading to the development of an environment in which telecommunications can be actively introduced. For this reason, it is assumed that the "R&D sector", the sector that necessitates relatively little direct contact with clients, has been relocated from the CBD to the suburbs.This paper considered that the relationship between new ICTs and the suburbanization of office location on the basis of practical case study. It is generally understood that new ICT represents one of the factors behind the suburbanization of office location. This conclusion is consistent with previous case studies in Europe and the United States.Future studies will focus on comparing with another suburban core cities, because we continue to discuss that the standardization of relationship between progress in ICTs and the suburbanization of the office location.
著者
林 秀之 山本 克也 水馬 義輝 佐藤 英男 塩田 良子 野村 知未 北 和貴 彦田 星香 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】ダッチオーブンは,厚い鋳鉄製の鍋であり,屋外ではふたの上に炭火を乗せて上下から加熱調理する小型オーブンのような鍋である。屋内では炭火ではなくガスコンロの魚焼きグリルにダッチオーブンを入れることで高温加熱を行うことが可能であり,材料を入れるだけの簡単さからその調理方法への関心が高まっている。しかし,ガスダッチオーブンで調製した料理に関する報告はなく,その嗜好特性等は明らかではない。本研究では,ガスダッチオーブンで調製したいくつかの料理の嗜好特性とうま味成分量について報告する。<br />【方法】ガスコンロの魚焼きグリルを熱源として,ダッチオーブンでアクアパッツァおよびラタトゥイユを調製した。アクアパッツァは11-13分の加熱と10分の余熱調理を,ラタトゥイユは14-18分の加熱と30分の余熱調理を行った。また,フライパン,片手鍋を用いた従来法も比較として行った。食材からのうま味成分の浸出の程度について,煮汁のアミノ酸分析,イノシン酸・グアニル酸分析をHPLCで,ナトリウム分析をICPで行った。官能評価は煮汁の塩分濃度が同じになるよう調整した試料について,女子大学生をパネルとして行った。<br />【結果】ダッチオーブン加熱は従来法と比較して,出来上がり重量,煮汁重量が多く,食材重量が少なかった。また,煮汁に含まれるグルタミン酸,ナトリウム量が多く,官能評価において,味が深く,好ましいとされた。この結果は,ダッチオーブン加熱が,煮汁や食材に由来するうま味成分,ナトリウム量を多く浸出することで,高い嗜好特性と料理に添加する食塩量を減少できることを示したものであり,高温かつ緩慢加熱であるダッチオーブンによる調理が食材の組織変化を促したためと推察された。
著者
畠山 誉史 田中 尚人 佐藤 英一 内村 泰 岡田 早苗
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.49-54, 2011
被引用文献数
1

植物質発酵食品から分離された乳酸菌(<i>Lactobacillus plantarum</i> SNJ81, <i>Lb. fermentum</i> SNA41, <i>Lb. </i><i>parabuchneri</i> SNC91, <i>Lb. delbrueckii</i> SNK64, and <i>Leuconostoc mesenteroides</i> subsp.<i> mesenteroides </i>10D-2)の食品由来の変異原物質における吸着能を検証した。食品由来の変異原物質は肉や魚のこげなどから検出されるヘテロサイクリックアミン(2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo [4,5-b] pyridine (PhIP), 2-amino-3,8-dimethylimidazo [4,5-f] quinoxaline (MeIQx), 2-amino-9H-pyrydo [2,3-b] indole (AαC),3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido [4,3-b] indole (Trp-P-1) and 2-amino-3,4-dimethylimidazo [4,5-f] quinoline(MeIQ))を用いた。乳酸菌のヘテロサイクリックアミン吸着能は様々であった。使用したヘテロサイクリックアミンの中で、Trp-P-1 が最も高く吸着された。そして死菌体に同等の吸着能を有しており、さらには人工消化液存在下でも吸着能を有していた。乳酸菌の変異原物質吸着に関する研究のほとんどは乳由来の乳酸菌を用いた報告である。本研究では、新規分離原として植物質発酵食品であるすんきに着目し、これまで検証されて来なかった植物質由来の乳酸菌を用いて高い変異原物質吸着能を有することが明らかとなった。
著者
国枝 武文 佐藤 英文 三島 信彦
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.99-103, 1996-07-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

多包虫症 (AHD: alveolar hydatid disease) は北海道では1937年, 礼文島出身者における報告に始まり, 以後同島中心に流行及び鎮静化, 1960年代中期より道東での発症及び症例数の増加, 更に以後道南及びその他地域での発症が相次ぎ, また報告症例数も1980年代中期より増加傾向を認め, 深刻な疫学的問題となっている。一方本州においては東北地方を除いて発症報告は極めて稀で, それ故その診断には臨床, 病理面とも注意を要する。現在迄愛知県下での発症報告は見当たらないが, 今回X線像上胸水で発症し, 両肺野の多発生結節陰影へと進展した肺多包虫症の一例を経験した。潜伏期は45年と極めて長く, 当地域での稀有さ故診断に苦慮した。
著者
久米 正志 清水 雄二 南條 元 佐藤 英樹 佐藤 友彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P2269, 2010

【目的】厚岸町は北海道の東南部に位置し、総面積は739平方kmで、主な産業は水産業と酪農を中心とした農業である。厚岸町役場保健介護課健康づくり係では、一般高齢者を対象とした介護予防事業の一環として平成13年度から地域出前講座の転倒予防教室「ころばない講座」を始めた。高齢期における具体的な転倒予防のため、地区の自治会・老人クラブ等の開催要請に応える形で実施している。<BR>本研究では町内の各地域に明確な産業特性がある事から、ころばない講座受講者を居住地域毎に「漁村部」「農村部」「市街部」の3地域に分類し、産業特性の異なる各地域間にどのような違いがあるかを比較検討した。<BR>【方法】対象はころばない講座を受講した65歳以上の厚岸町民1598名(男性279名:平均年齢77.1±4.6歳、女性1319名:平均年齢75.1±5.4歳)である。ころばない講座は、検査・検査の見方・日常でころばないための講話・家庭でできる簡単な転倒予防体操で構成されている。検査項目は全身状態の検査として、血圧・体重・体脂肪・BMI・握力、転倒骨折評価として10m全力歩行・最大一歩幅・下肢長・40cm踏み台昇降である。転倒骨折評価は東京厚生年金病院転倒予防教室で行われている健脚度評価を利用した。<BR>本研究では各検査項目の中から転倒骨折評価に焦点を当て、10m全力歩行・最大一歩率(最大一歩幅/下肢長)・40cm踏み台昇降について、健脚度評価基準の転倒カットオフ値を基に3地域を比較検討した。統計処理には1要因の分散分析を用いて、有意水準を5%とした。<BR>【説明と同意】ころばない講座受講者に検査の目的を説明し、本人並びに厚岸町の健康づくりに活用する事の同意を得た。<BR>【結果】10m全力歩行<BR>男性:農村部5.22±1.18秒>市街部5.32±0.90秒>漁村部5.71±1.16秒<BR>女性:農村部5.95±1.70秒>市街部6.09±1.62秒>漁村部6.32±1.64秒<BR> 転倒カットオフ値は6.41秒であり、男女共にカットオフ値を下回る地域はなかった。男女共に各地域間で有意差が認められた。<BR>最大一歩率 <BR>男性:農村部1.32±0.16>漁村部1.31±0.17>市街部1.29±0.12<BR>女性:市街部1.32±0.19>農村部1.30±0.15>漁村部1.26±0.18<BR> 転倒カットオフ値は1.17であり、カットオフ値を下回る地域はなかった。男性は各地域間に有意差が認められなかったが、女性では有意差が認められた。<BR>40cm踏み台昇降(可能の割合を表示)<BR>男性:漁村部67%>市街部65%>農村部62%<BR>女性:農村部41%>市街部・漁村部34%<BR> 男女共に各地域間で有意差が認められた。 <BR>【考察】10m全力歩行・最大一歩率は、3地域男女共に転倒カットオフ値を上回った。3項目の転倒骨折評価を男女地域別に比較検討すると、最大一歩率の男性以外は各地域間に有意差が認められた。10m全力歩行での特徴は、同地域男女の序列が同じ事である。男女共に農村部が最も高く、市街部、漁村部と続く。共に肉体労働である農村部・漁村部で有意差が現れた事は印象的である。仕事の内容の相違や、酪農業は通年であるのに対し漁業は季節性である事も有意差の一因と考えられる。最大一歩率は男性では有意差が認められなかった。女性は有意差が認められ市街部、農村部、漁村部と続く。特に漁村部女性が低い値であった。40cm踏み台昇降は、漁村部では男性が最も高く女性が最も低い等、同地域男女の序列の相違が現れた。女性は農村部が特に高い割合であった。同地域男女の序列の相違は市街部で小さく漁村部・農村部で大きい事から、漁村部・農村部での男女の仕事内容の違いが影響している可能性が考えられる。漁業では主に男性が漁に出て船の乗り降り等で昇降動作を行うのに対し、女性の仕事は加工が主であるいう役割分担もみられる。<BR>各項目で各地域間に有意差が認められたが、それが現役世代の仕事内容からくるものか、引退後の活動歴が影響しているかを精査するためには今後更なる情報が必要である。本研究を基に、現役引退の度合い(家族経営が多いことから部分的な引退も考慮)・各業種における男女別の仕事量や内容の把握・引退年齢や引退後の運動・活動歴の情報も得ていきたい。そして本研究で明らかになった地域間の差や、同地域男女の序列の相違について、どのような因子が影響を与えているのかを明らかにし、各地域に合った予防的な健康づくりの方法を提案していく。<BR>【理学療法学研究としての意義】理学療法士が保健・福祉と共働・連携し町民の健康づくりを行っていく事の意義は大きく、本講座を通して町民が高齢期における健康づくりを主体的に行う町になるように働きかけていく事ができる。また、厚岸町独特の産業・地域特性に焦点を当て研究を行う事で、受講者のみではなく町全体、更には産業特性が同様な地域に結果を還元する事ができる。
著者
佐藤 英樹 松井 悠祐
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集 第29回表面科学学術講演会
巻号頁・発行日
pp.158, 2009 (Released:2009-10-27)

触媒化学気相成長法を用いたカーボンナノチューブ成長において、触媒の酸化がカーボンナノチューブの成長を促進することが報告されている。本研究では、アルコールを原料とする触媒化学気相成長法においても触媒酸化がCNT成長を促進することを見出した。XPSによる触媒酸化状態とCNT成長の相関関係について調べた結果を報告する。
著者
広瀬 雅一 松田 幸久 小川 圭太 太田 愛子 山下 広之 髙橋 伸明 五郎丸 剛 佐藤 英治 長崎 信浩 吉冨 博則
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.183-195, 2020-04-10 (Released:2021-04-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

The role of medication history at pharmacies has increased as a means to realize improved pharmaceutical care. Furthermore, the education guidelines of clinical clerkship for pharmaceutical education were revised in 2013 to provide better clinical training. The principal aim of the new guidelines was to allow the students to experience medication management, such as medication counseling and the recording of medication histories, frequently. In these circumstances, pharmacy students should acquire, to some degree, the cardinal skills of medication management by the initiation of their clinical clerkship. In this study, we established methods to quantitively evaluate the ability of the medication management at pharmacies. Additionally, we conducted the same practice with pharmacists engaged in pharmacies for less than three years to compare their ability with that of the students. In the practice, the participants presumed the patient characteristics and disease state from a scenario and created the medication counseling phrases from a simulated prescription. Subsequently, they recorded a medication history electronically following the SOAP format. The results showed the scores of the pharmacists regarding medication counseling phrases and medication history descriptions were much higher than those of the students. In contrast, the scores of presumption skills in terms of patient characteristics and state were equivalent. To enhance clinical skills, education programs should include problem-oriented system exercises to integrate various factors of patients’ characteristics as well as to build up student knowledge. This study also suggests that the modification of an electronic medication history system might be efficacious for pharmaceutical education.

1 0 0 0 OA 絵画と類似性

著者
佐藤 英明
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-84, 1996-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
12

従来, 絵画的描写は言語的記述と異なり, その対象との間に何らかの「類似性」が存在するものと考えられてきた。だが, N.グッドマンは『芸術の諸言語』において, そのような考え方が誤りであることを指摘し, 言語的記述と絵画的描写との違いは, その記号系が「稠密」か否かに求められるとした。本稿は, このグッドマンの理論の難点を明らかにし, その克服の方途をフッサールの像理論に見いだそうとする試みである。そして, それによって, 逆にフッサールの像理論をグッドマンの理論に基づいて再構成し, そこに「類似性」を考察する新たな視点を求めたい。
著者
佐藤 英晶
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学地域連携推進センター紀要 (ISSN:21889791)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-19, 2019-09-30 (Released:2019-12-12)
参考文献数
13

近年,成年後見制度の利用を希望する人々の増加により申立て件数が過去最高を記録している。そうした中で,親族後見による不正状況も増し,第三者後見の選任は増加してきている。そのため第三者後見を担う成年後見人等が不足してきている実態がある。特に中山間地域の郡部・過疎地において,第三者後見を担える専門職の量的確保が課題となっている。そこで国や最高裁判所は親族後見の支援に乗り出し,成年後見人等の選任の親族後見への回帰を試みている。しかし,少子高齢化や過疎化により親族後見が期待できない利用者も多く,中山間地域では親族後見に頼らない成年後見人等の選任を検討せざるを得ない。そのため,中山間地域の第三者後見の在り方を検討した結果,専門職後見を担う人材の不足する中山間地域では,法人として行う法人後見が有効であると結論付けられた。また,法人後見には様々な運営主体があり,中山間地域にあった法人後見の推進が求められるため,法人後見の運営主体やその特徴から類型化したうえで,中山間地域に適した法人後見の在り方を検討した。そこから明らかになったことは,町村社会福祉協議会による法人後見が公益性や継続性で他の法人後見に比して優位であると結論付けられた。しかし,一方で町村社会福祉協議会は現状では小規模であったり,財源的に体制を整備したり,十分な人員の配置が困難となっている。そこで,町村が中核機関や後見実施機関の設置を町村社会福祉協議会が担うことで財源や人員配置の問題を緩和でき,地域の成年後見人等の確保につながると結論付けられた。
著者
只野 喜一 磯辺 智範 佐藤 英介 武居 秀行 小林 大輔 森 祐太郎 富田 哲也 榮 武二
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.148-150, 2016 (Released:2017-04-24)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Treatment planning systems with highly accurate dose calculation algorithms such as Monte-Carlo method and linear Boltzmann transport equation are becoming popular thanks to a development of the computer technology. These algorithms use new concepts, dose-to-medium and dose-to-water. However, introducing these concepts can cause confusion in clinical sites. Basic knowledges about Monte-Carlo simulation and other corresponding algorithms were explained in this article such as the principles, the parameters and words of caution.