著者
上野 吉雄 佐藤 英樹
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.71-84, 2001-05-31 (Released:2007-09-28)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

広島県沿岸部において1988年11月から1990年7月にかけて,のべ406個体(うち,巣内雛に117個体)のエナガに標識してつがい形成および繁殖生態について調査した.1)調査地は森林•宅地•農耕地などが複雑に入りくんだ林縁部で,11月から翌年の2月にかけてみられる冬季群のメンバーは安定しており,それらの行動圏も決まっていた.2)成鳥が繁殖期の前に移動し,群れ間でのつがい形成が普通に起こることが明らかになった.3)冬季群は繁殖期に解消され,繁殖期には群れそのものが存在しないことが明らかになった.4)繁殖終了後,冬季群形成前に多くの個体が消失する一方,調査地外から移入してくる個体がいることが明らかになった.5)冬季群のメンバーは,前年と同じ群れに残っていた成鳥,調査地内で出生した幼鳥からなる標識個体,調査地外から移入してきた幼鳥を含む未標識個体で形成されたが,移入個体が半数近くを占あたので,林縁部のエナガの冬季群が血縁集団である可能性はうすいと考えられる.6)ヒナが孵化した巣では高い割合でヘルパーが現れたが,中でもオス親がヒナの孵化以前に消失した巣にヘルパーが現れる率は非常に高かった.7)履歴の確認できたヘルパーはいずれも繁殖に失敗し配偶者が消失したオスであった.
著者
船隠 恵子 堀田 修次 濱岡 照隆 田阪 武志 立花 広志 村上 敬子 豊川 達也 佐藤 英治 友田 純
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.29-33, 2013-04-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
10

Ulcerative proctitis (UP) is a prevalent condition associated with increased morbidity, and topical mesalazine (5-aminosalicylic acid [5-ASA]) is known to inhibit the inflammatory processes in UP. We successfully devised mesalazine suppositories, in which 250mg mesalazine was equally distributed and remained stable for at least 2 weeks. We evaluated the effect of using mesalazine suppositories twice a day (BID) on two UP patients. The results demonstrated that mesalazine suppositories were efficacious, well tolerated and safe for the long-term maintenance of UP remission.
著者
秦 季之 堀井 梢 松島 裕貴 廣瀬 順造 小野 行雄 佐藤 英治 吉富 博則
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.6, pp.691-701, 2013 (Released:2013-06-01)
参考文献数
30
被引用文献数
3 7

The text mining and full-text searching function were used to analyze the digitalized daily reports of the practical training in pharmacology submitted to the web system in Fukuyama University. Collocations connected to the word “inspection” were searched in the daily reports using the text mining and the full-text search functions of the system. Many collocation groups connected to “inspection” were found in the daily reports and the greatest number of collocations was associated with “preparation of drugs”. Practical training in narcotic dispensing has two different aspects: inspection and experience training. The number of people who reported a relation between “inspection” and “narcotics dispensing” in the daily reports was very similar to those who reported a connection between “experience” and “narcotics”. Practical training to handle narcotic dispensing is the most fundamental training that the pharmacist must undertake. The progression of team-based medical care has caused medical personnel to recognize the practical training in pharmacology, and the number of the people who reported a relation between “inspection” and “team medical care” in 2011 increased in comparison to 2010. Moreover, the progression of cooperation among hospitals, pharmacies, and local blanches of the Japan Pharmaceutical Association is beneficial to practical training. Practical training in pharmacology is based on the core curriculum, but undergoes periodic modification due to societal circumstances. Therefore, these results suggest that the construction of web system for submitting daily reports is useful for analyzing the daily reports.
著者
櫻井 翔一朗 佐藤 英理 山口 亨
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp."2A2-M02(1)"-"2A2-M02(4)", 2007-05-11

This paper presents a gestual interaction system between human and robot using pointing movement. To interact at actual rooms, the system that obtained RGB information of a pointed out object was developed. The system recognized a pointing gesture and obtained a feature of pointed out object by a image processing. Two sets of tracking modules comprised of a camera and a PC was prepared in a room. Thus, in this research, we constructed RGB data obtaining module. The module obtained coordinates of indicated point and calculate the coordinates in picture. The system was developed using Robot Technology Middleware (RTM). RT Middleware was developed by AIST (Agency of Industrial Science and Technology, Japan) for easily integrating robot systems by modularized software components. By constructing modules based on RT Middleware, we developed modules, which are functional elements to interact with human as components of easily system integration.
著者
中澤 勇夫 雨宮 将稔 清水 裕之 秦 正治 広瀬 敏之 佐藤 英昭 木村 滋 小寺 隆三 阿部 宗男 杉田 邦博 水谷 太蔵 光武 雄一郎 工藤 栄亮 野原 学 吉川 憲昭 鈴木 文雄 関 和彦 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.568, pp.141-148, 2000-01-20
被引用文献数
1

第三世代移動通信システム(IMT-2000)は、世界各国で使用可能なグローバルサービスを目指す位置づけから1992年ITUにおいて世界共通の周波数(2GHz帯)の割当が行われた。国内のIMT-2000の2GHz帯導入に際しては、既存システムとの干渉特性を明らかにする必要がある。このため、(社)電波産業会(以後ARIB)では平成8年度より調査検討会を設置し、導入が期待されているCDMA方式による移動無線と、IMT-2000に割り当てられた周波数帯を用いている既存の固定無線との周波数共用の可否、及び周波数共用を可能とする条件を明らかにするために、計算機シミュレーションおよびフィールド実証試験について調査及び試験分析を行ってきた。本報告はこの内、フィールド実証試験についての調査及び試験結果の報告であり、相互干渉モデル、試験システム、広帯域伝搬路特性、電界強度特性等について述べる。
著者
佐藤 英次 浅岡 康 出口 和広 伊原 一郎 箕浦 潔 藤原 小百合 宮田 昭雄 伊藤 康尚 居山 裕一 柴崎 正和 菊池 克浩 久保 真澄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.30, pp.9-12, 2010-07-23

我々はポリマーネットワーク液晶(PNLC)を用いた60インチ型のシースルーディスプレイを開発した。このディスプレイは、TFTパネルと散乱-透過表示を組み合わせた世界初の大型シースルーディスプレイである。また、このシースルーディスプレイとプロジェクタの組み合わせによって実現したカラー表示システムは、他のディスプレイとは一味違うアイキャッチ効果を可能とする。これらのモノクロ表示およびカラー表示のディスプレイは、インフォーメーションディスプレイやデジタルサイネイジ、さらには窓の置き換えのような新しいディスプレイ応用商品への展開が見込まれる。
著者
渡辺 和子 細野 喜美子 嶋田 智明 吉田 正樹 佐藤 英一 新田 麗子 細野 喜美子 渡辺 和子
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

看護における移動技術の巧拙は看護者の体のテコのバランスの用い方と密接に関連しているが, 患者及び看護者の重心移動に関するより詳細なバイオメカニクス的研究は未だない. 重量負担の大きい患者の移動動作の効率的な介助方式の開発は, 老人人口が増加する今日の重要な課題である. 従って, 我々は日常用いられている看護者の移動技術を取り上げ熟達者と未熟者達の技術の差及び患者の受ける負担を力学的・生理学的に解明することを目的とした. 全介助の必要な患者を仰臥位から起坐位にする場合の技術の効率性を検討するために次のような実験を行った.1.熟練者の技術の特長から指導ポイントを取り出し, これを用いて未熟練者の指導前後の関節角度の変化を分析し, 指導ポイントの要因について考察し知見を引き出した.2.熟練者の移動動作における筋活動の発生順序の分析の結果, 動作初期の腓腹筋と大腿四頭筋・左上腕三頭筋・左上腕二頭筋の活動の様相に特徴が見られた.3.未熟練者の左右の腰背筋の筋電図と関節角度の変化を指導前後に測定した. 指導前に腰背筋は最大収縮力を使っているが, 指導後は低い筋活動で患者の移動を成功している. これにより指導ポイントがより明らかになった.4.熟練者から取り出した指導ポイントを用いて, 未熟練者14名の指導前後の筋電図の比較検討を行った. その結果, 指導によって動作はリズミカルになり, 筋活動も効率的となることが明らかになった.5.全介助の必要な患者をベッド上で仰臥位から坐位にする際, ベッドの高さに対して介助者の身体的負担への影響を検討した. その結果介助者の身体疲労・疼痛の程度は身長の50%のベッドの高さで最も少なかった.
著者
井上 正康 佐藤 英介
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本申請者は、不安定で短寿命の活性酸素やNOのクロストークが、循環エネルギー代謝、感染防御、発生分化、組織リモデリングなど、種を越えて生物の生存を保証する危機管理スーパーシステムを構築することを世界に先駆けて報告してきた。本研究は、本システムの全容解明とその特異的代謝制御法の開発により各種病態の予防治療法確立を目的として進められた。本研究により、短寿命の活性酸素やNOを個体レベルで組織特異的に代謝制御するシステムがが確立できた。例えば、虚血組織、血管内皮細胞、肝細胞、腎尿細管細胞、白血球や網内系細胞などをその特異的ターゲットとするSOD群、長時間循環型のアスコルビン酸オキシダーゼおよびチトクロムcなどの検出分子系の開発などがその例である。これらを利用し、活性酸素NO系のスーパーシステムが抵抗性血管と所属組織のミトコンドリアエネルギー代謝・活性酸素代謝系を総合的に制御している分子機構が判明し、高血圧やショック病態がその代謝の歪みである可能性も判明した。さらに、ミトコンドリア内膜分子群に対する本スーパーシステムの作用機構を明らかにし、その特異的制御によりアポトーシスのコントロールが可能となった。さらに、本スーパーシステムが細胞の増殖制御や昆虫の変態現象にも関与することが判明した。後者は、感染症との関係で変態時期を認知実行する機構を形成していることも明らかになった。これに関連し、NO代謝を主軸とする活性酸素スーパーシステムが両棲類(オタマジャクシ)、及び昆虫(クワガタ虫やカイコ)の変態(プログラム細胞死と組織リモデリング)、および神経筋疾患の発症の時期や進行速度を統御していることが明らかになった。また、ミトコンドリア依存性細胞死を抑制するカルニチンがミトコンドリア病態を介する神経・筋萎縮性病態の進行を抑制することが判明した。さらに、組織特異的な活性酸素代謝制御による抗ガン剤の副作用(特に腎と消化管上皮細胞のミトコンドリア依存性アポトーシス)の特異的抑制法が可能であることも判明した。
著者
馬淵 一誠 酒井 彦一 (1985) 祖父江 憲治 渡辺 良雄 黒川 正則 佐藤 英美 平本 幸男
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

本総合研究は微小管をはじめとする細胞骨格による多様な細胞機能の制御機構を明らかにする目的で行われた。主に6つの研究計画を軸として行ったので、個々の成果を以下に記す。1.有糸分裂と微小管-ダイニン系の機能。顕微操作により、染色体運動の原動力は染色体近くの半紡錘体部に局在していることが分かった。T-1によるタル型紡錘体の形成は微小管形成果粒が分散する結果であると考えられた。微小管結合蛋白質MAP1は【G_o】期に細胞骨格微小管、【G_1】期に核に結合していることが知られた。2.細胞骨格蛋白繊維と細胞運動系。微小管は試験管内で自発的に重合・脱重合を繰り返していることが分かった。テトラヒメナの中間径繊維が接合後の減数分裂、核交換の過程に関っていることを示した。またテトラヒメナアクチンのアミノ酸配列を遺伝子レベルで解明した。リンホーマ細胞に発現する重合能の低いβ-チューブリンのアミノ酸配列を遺伝子レベルで解明した。3.軸索内における微小管の動態。ニューロフィラメントの分子量200K成分はリン酸化され、通常のニューロフィラメントの数倍の速さで輸送されることを見い出した。イカ巨大軸索中でアクソラニンが微小管と共に分布していることを確かめた。またアクチンが膜の内側に結合していることを初めて観察した。4.細胞骨格調節蛋白質の分子機能。卵細胞より分子量100Kのアクチン繊維切断蛋白質を発見した。受精後、卵表層においてアクチンの重合がおこること、α-アクチニンの濃縮がおこることを観察した。5.神経興奮と微小管の役割。カルモジュリン阻害剤がNa電流を抑制することを発見した。6.細胞機能と細胞骨格。筋細胞において筋原繊維が付く形質膜域の裏打ち構造を明らかにした。また星状膠細胞における中間径繊維の細胞膜付着域の構造をも明らかにした。以上のように2年間で多くの成果があげられ、班員同士の共同研究も活発になり、今後の発展の基礎が築れた。
著者
川口 太郎 中澤 高志 佐藤 英人
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

高齢化がすすむ大都市圏の郊外住宅地の持続可能性を住民特性の面から検討し,内郊の「街なか化」する住宅地,外郊の「地元化」する住宅地,アッパーミドルの「孤立化」する住宅地を見出した。また,第二世代の居住地選択は,働き方や家族の在り方が多様化するなかで,単線的・画一的にとらえることが難しくなったものの,そのなかで実家との関係性が選択に際して大きな位置を占めていることが明らかになった。
著者
佐藤 英明 西森 克彦 甲斐 知恵子 角田 幸雄 佐々田 比呂志 眞鍋 昇
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1)インドネシア・ブラビジャヤ大学生殖生物学部門教授のS.B.Sumitro博士を招聘し、「The use of zona pellucida protein for immunocontraceptive antigen」と題するセミナー、及びをウイスコンシン医科大学生化学部門助教授の松山茂実博士を招聘し、「Bcl-2 family proteins and cell death regulation」と題するセミナーを行った。また、国内からアニマルテクノロジーに関する専門家を4名招聘し、セミナーを行った。2)自治医科大学分子病態治療研究センター教授の小林英司博士を招聘し、「ブタは食べるだけ?」と題するセミナーを行い、アニマルテクノロジーによって家畜の意義がより広い分野で高まっていることについて情報を収集した。3)オーストラリア・アデレード大学において体細胞クローンの研究動向調査を行った。スウェーデン農科大学獣医学部において受精卵の大量生産技術の現状と将来の研究方向の調査を行った。インドで開催されたアジア大洋州畜産学会議において、アジアにおけるアニマルテクノロジーの動向について情報を収集した。4)オーストラリア・アデレード大学において、アニマルテクノロジーに関するアジアシンポジウムを共催し、世界の動向について情報を収集した。5)体細胞クローン技術による遺伝子欠損動物作出戦略について検討した。特に、「卵巣から採取した卵子を体外成熟させ、除核未受精卵をつくる。また体外成熟卵子を体外受精・体外発生させ、胚盤胞をつくり、そのような胚盤胞から胚性幹細胞株を樹立する。胚性幹細胞株を用いて遺伝子欠損細胞を作り、これを除核未受精卵に移植する。このような核移植胚を体外で培養し、生存胚を仮親に移植する」という戦略の有効性を検討した。6)調査結果をまとめ、「Animal Frontier Science」と題する本に計9編の論文を寄稿し、出版した。