著者
小松 かおり 佐藤 靖明 田中 啓介 北西 功一 小谷 真吾
出版者
北海学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、現代社会で最も脆弱な立場にある熱帯の小農の戦略の歴史について、主食バナナ栽培を共通項として比較し、それを元に、農民を含む地域の住民の食料主権のあり方について検討する。バナナは、アグリビジネス企業に寡占されるグローバル商品である一方、熱帯の重要な主食作物でもあるが、主食作物としてのバナナは、グローバリゼーションの中で周辺化されてきた。現在も、アフリカ、パプアニューギニア、東南アジア、中南米など世界各地の熱帯で重要な作物である。このようなバナナ生産地域における農民の戦略を比較することによって、農民の決定権と住民の食料主権のあり方について検討する。
著者
佐藤 靖之 浜本 正人 S. シュパイデル 岩田 聡 内山 晋
出版者
The Magnetics Society of Japan
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.133-136, 1986

It is found that a large orthorhombic anisotropy is induced in (EuBi)<sub>3</sub>Fe<sub>5</sub>O<sub>12</sub> garnet films grown on (110) NdGG substrates. The Bi content is controlled by controlling the melt composition and the supercooling temperature. Gyorgy's parameter <i>B</i>=−2(<i>K</i><sub>u</sub>+<i>K</i><sub>p</sub>) increases linearly with the Bi content. The main part of <i>B</i> is found to be growth-induced. Gyorgy's parameter <i>A</i>=<i>K</i><sub>p</sub>−<i>K</i><sub>u</sub> is very small and almost independent of the Bi content. The growth- and stress-induced parts of <i>A</i> are found to be considerably large, but of opposite sign, and to compensate each other nearly completely, although their respective absolute values increase with increasing Bi content.<br>Magnetic properties of a (Eu<sub>1.8</sub> Bi<sub>1.2</sub>) Fe<sub>5</sub>O<sub>12</sub> film are obtained as follows: saturation magnetization 4π<i>M</i><sub>s</sub> = 1560 Gauss, uniaxial anisotropy <i>K</i><sub>u</sub> = 1.6 × 10<sup>5</sup>erg/cm<sup>3</sup>, in-plane anisotropy <i>K</i><sub>p</sub> = 1.6 × 10<sup>5</sup>erg/cm<sup>3</sup>, quality factor <i>Q</i> = 1.7, material length <i>l</i> = 0.06 μm and wall mobility μw = γ<i>Δ<sub>0</sub>/<i>α</i> = 19 ms<sup>-1</sup>. Such a film might be used as a 0.5 μm bubble material for current access devices.
著者
長谷 一矢 横田 弘 佐藤 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.270-282, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

日本の最北端にある稚内港には,古代ギリシャ建築を彷彿させる北防波堤ドームがある.1936年に竣工したドームは,1981年の全面改修を経て,現在,再び劣化が顕在化してきた.ドームは構造が特殊で点検診断範囲が広大であり,対策の検討においては,部材性能の評価や補修範囲の決定方法が課題となった.そこで,広大な点検診断領域を格子状のエリアに細分化し,変状に基づき設定した5段階の劣化度で格付けした「劣化度マップ」を考案した.劣化度マップの活用により,広域変状の定量的な把握,鉄筋腐食状況の把握,エリア単位の合理的な予防保全のための補修が可能となる.本論文は,北防波堤ドームの維持管理をとおして,多面的な観点から作成する劣化度マップの考え方を整理し,劣化度マップに基づく補修判定の有効性を考察するものである.
著者
布川 美穂 佐藤 靖子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.163-170, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】中学生を対象に牛乳に関する短時間教育を実施し,知識理解と牛乳飲用意志向上を含む意識変容を検討した。【方法】2017年8月から9月,中学1年生561名を対象に学校給食の牛乳に関する3分間の短時間教育(以降 3分教育)を実施した。3分教育は給食の時間等に誰でも簡単にできる口頭伝授の方法を用いた。その後,自記式質問紙にて学校給食牛乳に関する知識と意識調査を行い,7項目の質問項目では男女別のデータをχ2 検定,自由記述ではKJ法を用いて検討した。【結果】3分教育を受け,男子89.3%,女子93.5%の生徒が学校給食の牛乳に対して新しい知識を得ることができ,男子90.4%,女子93.8%の生徒が今後の教育を希望すると回答した。今後も毎日飲用したいと回答した生徒は,男子85.6%,女子73.5%であった。【結論】中学1年生に実施した3分教育においては,給食の牛乳に対する新たな知識を伝えることが可能であったが,今後も毎日飲用したいという意志向上の効果は把握できなかった。しかし,3分教育の継続希望が多かった結果より,継続的な教育の実施と,牛乳飲用意志向上を含む意識変容との関係性を検討していく必要が考えられた。
著者
佐藤 靖史 安部 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.169-177, 2002-05-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
54
被引用文献数
1

Angiogenesis plays an essential role in a wide range of physiologic and pathologic states. Numerous factors are reported to be involved in angiogenesis. Among them, vascular endothelial growth factor (VEGF), a homodimer-secreted protein, is one of the most important factors. VEGF was initially termed vascular permeability factor (VPF) and was shown to induce vascular permeability, as well as to promote angiogenesis. There are three tyrosine kinase-type VEGF receptors, Fit-1 (VEGFR-1), KDR/Flk-1 (VEGFR-2), and Flt -4 (VEGFR-3) . Flt -1 and KDR/Flk-1 are expressed in vascular endothelial cells (ECs), whereas Flt -4 is preferentially expressed in lymphatic ECs. VEGF binds to Flt -1 and KDR/Flk-1, and to a membrane protein neuropilin-1 on ECs. Neuropilin-1 does not contain a tyrosine kinase domain, but is functionally associated with VEGF receptors. The VEGF-KDR/Flk-1 mediated signal is indispensable for the differentiation of ECs and blood cells in embryo. The VEGF-KDR/Flk-1 mediated signal also play an important role in adult, and stimulates protease synthesis in ECs and promotes EC migration and proliferation. VEGF-induced angiogenesis results beneficial effects in several animal models of myocardial or limb ischemia. Currently, several clinical trials are ongoing to test the hypothesis that VEGF-induced angiogenesis may be beneficial for these conditions.
著者
寺尾 彬 佐藤 靖雄
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.101-105, 1978-02-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Thirty-five patients with cedar pollinosis were studied for clarifying the specificities of HLA antigens. Identification of HLA types was based on the result of the lymphocyte microcytotoxity test. There was a significantly high incidence of HLA-A10 and HLA-BW15 in cedar pollinosis.The incidence of HLA-A10 was 11.7% in the control group and 68.6% (X2=49. 1, p<10-6, Pc <10-5) in the patients, while that of HLA-BW 15 was 37. 1 % (X2= 12.8, p=5×10-', Pc=8 × 10-3) in the patients compared to 11.7% in the control.
著者
佐藤 靖雄 森田 守 高橋 広臣 蔵内 祥博 黄川田 光夫
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.160-167,en1, 1965 (Released:2010-10-20)
参考文献数
29

Two cases of carcinoma of the larynx, which were found in teenagers, were reported: a fourteen year-old girl supralottic type, squamous cell carcinoma, Stage III (T2N1M0) and a seventeen year-old girl (glottic Type, carcinoma in situ, Stage I (T1N0)). The former was treated with irradiation followed by surgery, and in the latter, radiation only. The vocal cords were saved in both cases. No recurrance of tumor is seen for one and half year in the former case and six months in the latter after treatment. The followings are discussed: how to combine radiation therapy and surgical treatment, concerning skin incisions of partial resection, regional application of anti-cancerous drugs, and the functions of speech and swallowing after surgery.
著者
佐藤 靖子 鈴木 惇
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】採卵を終えた廃鶏の肉は、膠原線維が発達して硬いため市場に流通することはなく処分されている。しかし、この硬い肉を軟化させて美味しく食する方法を見出すことは、タンパク質の有効な供給源として望ましいと考える。本研究では、食酢およびすりおろしたキウィの25%希釈液で前処理した廃鶏の肉について、好ましい肉の軟化状態を見出すことを目的とした。【方法】材料には、廃鶏のムネ肉を用いた。試料は、縦2.5cm&times;横2.5cmに切り出し、食酢およびすりおろしたキウィの25%希釈液に、5時間および24時間浸漬した後10分間茹でた。組織構造の観察は、10%ホルマリン液で固定後パラフィンに包埋して薄切し、ピクロシリウス染色を行った。官能評価は、10項目の評価項目について東北生活文化大学健康栄養学専攻の学生40人でおこなった。軟化度の測定は、クリープメーターにより破断荷重および破断歪率を測定した。【結果】食酢で前処理した肉では、膠原線維が部分的に大きく切断された、キウィで前処理した肉では膠原線維への影響は小さかった。破断荷重は、食酢で前処理した肉では、破断荷重および破断歪率ともに低下したが、キウィで前処理した肉では、破断歪率が低下しなかった。官能評価により最も好まれた肉の軟化は、食酢25%液に5時間浸漬した肉であった。この肉は、軟らかく歯ごたえが適度にあり、酸味が殆ど残らなかった。廃鶏の肉は、食酢25%液前処理後の調理への展開が期待できると考える。
著者
白井 真紀 佐藤 靖 藤川 真章 山田 弘 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.89, 2006 (Released:2006-06-23)

【背景】近年,創薬初期でのminiaturizeされたげっ歯類のin vivo毒性試験が展開されてきている。我々は,ラットを用いたin vivo Mini-tox studyを探索研究早期のin vivo毒性スクリーニング試験として立ち上げ,毒性情報の乏しい新規化合物の多面的安全性評価を進めている(第31, 32回日本トキシコロジー学会)。今回,マウスを用いたバリデーション試験を示す。【材料および方法】動物:頚静脈カニュレーション(JVC)施術済みのICR マウス(8週齢,雄)を溶媒対照群,低用量群(L),高用量群(H)の各群に3例づつ振り分け,化合物Xを単回経口投与し,投与翌日にネンブタール麻酔下で放血,安楽殺し,剖検した。検査項目:体重(毎日),機能観察総合評価法(FOB),自発運動測定Motor Activity (MA),心拍数・血圧測定(HR,BP with BP Monitor MK-2000),薬物血中濃度測定,剖検,臓器重量測定および血液生化学的検査を行った。【結果および考察】JVCマウスを用いた今回のバリデーション試験において,ラットとほぼ同等の結果を得ることができた。創薬早期においては使用化合物量の少量化が求められること,また,薬効評価のための疾患モデルとしてマウスが用いられることも少なくない。今回,ラットに比べて,より少ない化合物量で毒性学的評価が可能であり,創薬早期のin vivo毒性スクリーニング試験としてマウスが有用となる場合があることが示唆された。
著者
佐藤 靖丈 丹羽 健市
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.113-121, 1997-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1

運動時の飲水が発汗量に及ぼす影響を検討するために, 脱水状態及び種々の量の水分を補給しながら一定強度の運動を負荷し, その際の発汗量の相違ならびに体重減少率と体温上昇との関係及び飲水による体冷却効果から検討した.1.運動時の発汗量は運動開始前の脱水状態時, 運動時水分非補給時, 水分補給時にかかわらずほぼ一定値 (968~996g/hr) を示した.2.体重減少率は飲水量の増大に伴って有意に少ないが, 発汗量との間に有意な関係は認められなかった.3.運動時の直腸温は体重減少率の増大に伴って有意に上昇した.4.飲水による体冷却熱量は飲水量の増大に伴って増大し, 水分非補給時の貯熱量のほぼ13~45%の相当した.
著者
清田 洋正 小池 貴徳 東 栄美 佐藤 靖 折谷 隆之
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.96-99, 2001-02-20
被引用文献数
1

ジャスモン酸メチルは植物の成長抑制に働くアブシジン酸様の植物ホルモン様物質である.その代謝不活性化は, 11位或いは12位の水酸化から始まると推定されている.実際, 単離或いは合成された11-(或いは12-)水酸化体は不活性である.この代謝をブロックし, より高活性なアナログを開発する目的で, 11位のモノフルオロ置換体を設計した.合成(ラセミ体)は, 既に報告した12-OH体の合成経路に準じ, ノルボルネンを出発原料として用いて行った.鍵段階のフッ素化反応にはDASTを用いた.イネ芽生えの第二葉鞘伸長阻害試験では, このアナログはジャスモン酸メチルの約10分の1の活性であった.ハツカダイコン芽生えの根伸長阻害試験でも活性は弱かったが, 低濃度では逆に伸長を促進した.12-OH体も同様の効果を示すことが知られている.これらの結果から, 導入したC-F結合は, 望むC-H結合のミミックではなく, C-OH結合のミミックとして働き, 活性が低下したものと考えた.
著者
大橋 雅津代 佐藤 靖 岩田 博司 河合 光久 榑林 陽一
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1223-1228, 2007-12-25
被引用文献数
4 23

2、4、6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)をラットの近位大腸内に投与すると、遠位大腸の伸展刺激に対する痛み感受性の有意な増大が認められた。TNBSに直接暴露された近位大腸には粘膜壊死と炎症性細胞浸潤が認められ、組織中ミエロパーオキシダーゼの有意な増加が認められた。一方、遠位大腸には粘膜壊死は発生せず、ミエロパーオキシダーゼ含量の増加も認められなかったが、トルイジンブルー陽性粘膜型肥満細胞が有意に増加していた。さらに遠位大腸組織を器官培養し、粘膜型肥満細胞脱顆粒の特異的なマーカーであるrat mast cell protease-2(RMCP-2)の遊離量を測定したところ、TNBS処置ラットでは正常対象値と比較して有意なRMCP-2遊離量の増加が認められた。また、肥満細胞安定化作用を持つデドキサントラゾールの皮下投与によりTNBS誘発大腸過敏は有意かつ用量依存的に抑制された。以上の成績から、脱顆粒亢進を伴った大腸粘膜肥満細胞浸潤によるメディエーター遊離亢進がTNBSによる大腸過敏症の発現に関与していることが示唆された。
著者
前島 洋平 佐藤 靖史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全・心血管疾患の危険因子である。本研究では、内在性血管新生制御因子Vasohibin-1のCKDの病態における機能的解析を行った。Vasohibin-1欠損マウスにおいて野生型マウスに比して、糖尿病性腎症、尿細管間質病変、急性腎障害が増悪した。CKD患者にて、腎組織でのVasohibin-1発現は半月体形成、間質炎症細胞浸潤と相関し、血・尿中Vasohibin-1濃度高値群では、将来的な腎機能低下進展のリスクが増加した。内因性Vasohibin-1のCKD病態における腎保護的効果並びに新規バイオマーカーとしての可能性が示唆された。