著者
白木 由花 宮内 清子 佐久間 夕美子 佐藤 千史
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.25-30, 2008-07-31 (Released:2017-12-28)
参考文献数
13

本研究はヨーガ・プログラムが医療職者の腰痛に及ぼす効果および改善の関連要因について検討することを目的とした。ヨーガ・プログラムは太陽礼拝と3つのポーズで構成した。このプログラムはシンプルにデザインされ,容易に実施可能であった。対象者は,看護師および介護職員の11名とし,6分間のプログラムを自宅で2週間実施した。対象者はプログラム実施前に現在の腰痛の程度,年齢,職種,在職期間について回答した。また,プログラム終了後,腰痛の程度とヨーガ・プログラムの感想を回答した。ヨーガ・プログラム実施回数の平均は9.5±2.8回,最小で4回,最多が14回であった。ヨーガ・プログラム実施後,対象者の腰痛は有意に改善した(p<0.01)。しかし,看護・介護歴,年齢,実施回数は腰痛の変化と相関しなかった。ヨーガ・プログラム感想では,「体が温まった」「汗がでた」といった記述がみられた。本研究で作成したヨーガ・プログラムは医療職者の腰痛の緩和に効果的と考えられる。
著者
佐藤 博 飯野 公彦
出版者
山梨大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = 教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:18816169)
巻号頁・発行日
no.24, pp.79-85, 2019-02-28

古くから使われてきた鋸であるが、西洋と日本では使い方に違いがある。この違いは東洋と日本の文化の特性にあると考えられる。本研究では、西洋と日本を含む東洋の民族性の違い、力の使い方の違い、住居の立て方の違いと自然とのかかわり方とその文化を調べることにより、鋸の発明とその発展について歴史的、教育的観点においてまとめると以下のようになる。 1 西洋の鋸は17世紀に現代の一般的な形になった。日本の鋸は、江戸時代に今日の鋸の種類のほとんどが出揃った。 2 西洋人は、飛び跳ねて力を開放する力、すなわち「押す力」となる。それに対して、東洋人は、地面にしっかり足をつけ倒れない力、すなわち「引く力」となる。 3 西洋では建物をどんな自然条件にも耐え得る様に石で堅牢に造る。これは自然と闘う姿勢である。しかし日本では、自然条件が過酷であるにも拘わらず、建物と外界を遮る物は障子と襖だけであり、自然は敵ではなく共存する相手なのである。 4 西洋では自然は征服して克服してゆくもの、その為に「押す力」が必要になってきます。それに比べ日本では厳しい自然に逆らうのではなく無理なくその力に寄り添う形で文化を形成していて、押すのではなく引く事で力を微妙に制御するという考え方が深く根付いていると考えられている。 5 最初に木材加工を学ぶときには、機械加工は最小限に抑え、手工具によって日本人が永々と築いてきた木工技術を経験する事で、日本人の物作りに対する考え方やそこに至るまでの精神性をも感じてもらえたらと考えている。
著者
西田 哲也 佐藤 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-8, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
19

歯周病患者は歯を喪失することが多いため,歯周治療において欠損補綴は比較的頻度の高い治療である。また,歯周病により歯を喪失した場合,十分な残存歯数や咬合支持組織量がないばかりか,歯冠歯根比など力学的なバランスも悪化する傾向にあるため,欠損補綴は難症例となることをしばしば経験する。欠損補綴には様々な手法がある。従来型の欠損補綴であるブリッジや有床義歯は,欠損した歯が担っていた咬合負担を残存歯や顎堤に分散させるが,インプラント治療では残存歯に負担をかけることなく,また,連結することによる再治療の確率の上昇,非生理的な咬合負担,口腔清掃の煩雑さなど様々なリスクやディメリットを回避し欠損補綴を完了することができる。すなわち,インプラント治療は歯周治療の欠損補綴に多大な恩恵をもたらす治療法といえる。しかしながら,歯周病患者のインプラント治療は,細菌因子,宿主因子,環境因子などの影響を受けるため,厳密な管理や処置が必要となる。そこで本論文では,歯周病患者におけるインプラント治療の上部構造体の装着法について考察する。
著者
佐藤 智子
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.176-192, 2010-10-01 (Released:2018-01-09)

The question is whether we should promote and practice adult education at public expense. This problem about the necessity of public adult education has been accounted for by the promotion of decentralization. We can assume two choices for putting the autonomy of citizens into practice. One is a view that we can reduce the responsibility for informal adult education because it is enough for them to learn on a voluntary basis. The other is an idea that it should be necessary for adults to have the opportunity for continuous or complementary education for the sake of democratic governance. Wide differences exist among individuals in educational achievements ; therefore, it is important for them to have enough chances to learn at any one given point in time. This paper examines empirically whether and how adult education has any possible effects for people's psychological involvement in politics as active citizenship, and then considers some policy proposals. A logistic regression analysis to confirm any effects of formal and informal education and non-formal lifelong learning on people's political engagements was made which especially focused on the degree of psychological involvement, which can be strongly affected by education. Dependent variables dealt with as cognitive variables of political engagement include the sense of political efficacy and political obligation. Independent variables are schooling, informal adult education and non-formal lifelong learning, with certain variables added about individual attribution and other social factors for control. The analysis is based on the integrated data of JGSS-2000 and JGSS-2001. The findings of this analysis are as follows : 1) The higher the level of schooling achievement, controlling for other demographic variables, the more they feel political efficacy and political obligation. 2) In addition, their experience of informal adult education courses and reading books have positive effects on psychological involvement in politics. 3) Political obligation is affected by people's participation in hobby groups and hobby-oriented educational courses besides belonging to voluntary groups. These findings demonstrate the relationship between psychological involvement in politics and participation in lifelong learning besides schooling. While the sense of political efficacy is enhanced with pragmatic and technical knowledge, the sense of political obligation is improved with academic knowledge and social networks based on various group activities. Therefore, policy proposals might be as follows : First, courses, including lectures on pragmatic and technical contents, should be instituted to lend intensive support to people who have not experienced higher education. Second, governments and public agencies should not only allow the market to provide multiple programs and courses of adult education but also to promote and support people's participation in informal educational courses and non-formal learning networks.
著者
竹内 咲恵 ラン トラン ソニア ボーランド 市原 学 サンドラ ブラニッチ 渡邊 英里 長田 百合果 平野 明穂 櫻井 敏博 佐藤 聡 市原 佐保子 ウ ウェンティン
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.45, pp.P-70, 2018

<p>【背景・目的】</p><p>ナノテクノロジーが発展途上にある現在、その基盤となっているナノマテリアルの特性と生体影響との関係を明らかにすることは、安全なナノマテリアルを開発するため、あるいは安全に使用するために必要である。ナノマテリアルの中でも多く用いられているシリカナノ粒子(SiO<sub>2</sub>NPs)にカルボキシル基、アミノ基、水酸基を付加してマウスの肺に曝露し、肺胞洗浄液中のマクロファージ、好中球の数をカウントしたところ、水酸基を付加したSiO<sub>2</sub>NPs(OH-SiO<sub>2</sub>NPs)を曝露したときのみマクロファージや好中球が他の2種類の粒子よりも少なかったことが先行研究より明らかになっている。また、OH-SiO<sub>2</sub>NPsはマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞への曝露において、細胞生存率を著しく低下させたことも明らかになっている。そこで本研究では、それがアポトーシスによるものであると仮説を立て、経時的にLDHとCaspase-3,Caspase-7の活性を測定することにより検討を行った。</p><p>【方法】</p><p>マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を96wellプレートに15,800 cells/cm<sup>2</sup>で播種した。37℃、5%CO<sub>2</sub>で24時間培養後、メディウム中に分散させたOH-SiO<sub>2</sub>NPsを19.5 µg/mLの濃度で曝露し、曝露から1,6,12,18,24時間後にLDH活性を、0,6,12,18時間後にCaspase-3,Caspase-7の活性を測定した。</p><p>【結果】</p><p>LDH活性、Caspase-3,Caspase-7の活性は共にOH-SiO<sub>2</sub>NPs曝露後6~18時間で著しく増加し、相関していた。</p><p>【考察・結論】</p><p>LDH活性の測定結果から、OH-SiO<sub>2</sub>NPs曝露後6~18時間の間に細胞障害、あるいは細胞死が起こっていると考えられる。また、同じタイミングでCaspase-3,Caspase-7の活性が上昇していることから、OH-SiO<sub>2</sub>NPsがアポトーシスを誘導すると考えられる。</p>
著者
大谷 雅人 岩泉 正和 佐藤 新一 宮本 尚子 矢野 慶介 平岡 宏一 那須 仁弥 高橋 誠
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

林木遺伝資源の生息域内保存を進めるにあたっては、集団内の遺伝的変異の維持機構を明らかにすることが重要である。本研究では、中間温帯林の主要な遷移後期樹種であるモミを対象として、花粉及び種子を介した遺伝的流動の様態を分析した。福島県いわき市の固定試験地(約1 ha)の7地点において2002年、2005年、2010年に採取された自然散布種子のうち約650粒の胚と雌性配偶体、および試験地内の成木327個体について、SSR12遺伝子座における遺伝子型を決定した。種子散布量には豊作年と並作年の間で約5倍の差が認められたが(125.2~652.9粒/m<sup>2</sup>)、試験地外からの遺伝子流動の割合は調査した3繁殖年次間でほぼ一定であった(種子経由:約13~15%、花粉経由:53~57%)。種子親・花粉親として寄与した試験地内の成木の個体数や多様性についても、繁殖年次による差異は認められなかった。ただし、複数年にわたって種子親・花粉親として寄与した個体は3繁殖年次の寄与個体ののべ数のそれぞれ60.3%、42.4%にすぎなかったことから、各成木個体の雄性・雌性繁殖成功は年次ごとに大きく異なることが示唆された。
著者
佐藤 枝里 渡邉 素子 北岡 智子 鈴木 雅子 谷口 洋子 和合 香織 和田 浩平 稲山 かおり 願興寺 礼子
出版者
中部大学, 大学企画室高等教育推進部
雑誌
中部大学教育研究 (ISSN:13497316)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-49, 2021-12

新型コロナウイルスの蔓延により、学生達の生活様式は大きな影響を受けた。大学生活が従来包摂してきたフェース・トゥ・フェースで対面することの豊かさ、直接性や身体性が有していた価値、身体移動に伴う距離や時間が封印されることとなった。これまで学生相談・学生支援は、対面相談を基本とした個人カウンセリングと予防的心理教育を行ってきたが、コロナ禍を機に、対面と遠隔のハイブリッドによる支援が必要とされるようになった。本論文では、パンデミック発生後18か月間の取組を主に予防的心理教育の視点から概観し、今後の学生支援の可能性と留意点について取り上げた。初年次科目の出前授業では、授業形態の切換えに関わる適応支援や学部・学科への帰属意識を高める工夫が望ましいこと、新入生アンケートは、宿泊研修中のウェブ実施が学生への迅速な支援につながること、心理教育的グループ活動については対象学生により開催方法を選択することが重要であることが考察された。
著者
人見 泰正 鈴木 尚紀 辻 義弘 高田 博弥 山田 将寛 北村 悠樹 佐藤 暢
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.167-173, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
15

【目的】シャント狭窄部に駆血を行うことで血管拡張が得られる症例とそうでない症例で,治療成績や検査基準に違いがあるかどうかを検討した.【対象】対象は,非駆血時での狭窄部血管断面積が3.14 mm2(径で2.0×2.0 mm)以下で,エコー下VAIVTを実施した96例である.【方法】対象を,駆血で狭窄部血管径が拡張する血管拡張良好群と拡張しない血管拡張不良群に分類し,両群のVAIVT前での非駆血時狭窄部断面積,FV,RI,および治療での最高拡張圧,過去3年間のVAIVT回数などを統計学的に比較した.【結果・考察】血管拡張良好群の治療効果は血管拡張不良群よりも低い可能性が高く,血管拡張良好群の非駆血時の狭窄径は見かけ上の有意狭窄である可能性が示唆された.非駆血状態で狭窄部の径計測を行い,それのみをVAIVT介入の基準とした場合,過剰な治療介入が存在する可能性がある.治療適応を考査する際には,駆血したうえで狭窄部の径計測を行う必要がある.
著者
長 聖 佐藤 尚
出版者
JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.57-62, 2005

本研究では、カメラから取り込んだ実写映像を元に非写実的な効果を生成することを目的とし、その手法を提案した。12世紀に描かれた鳥獣人物戯画などの絵巻物からわかるように、日本では昔から「アニメ的マンガ的」な絵が作られてきた。そして、現在ではセルアニメーションという非写実的な表現にスピード感などを与える手法としてカトゥーンブラーが頻繁に用いられている。そこでカトゥーンブラーによる強調表現に着目し、現実の映像に強調表現を付加することで視覚的な補助や、新たな映像表現としての効果を期待し、自動的に写実的な映像へ非写実的な強調効果を生成することにした。非写実的な強調表現の代表として「線」と「残像」の2種類の規則を定め、実装した。本研究における最大の特徴は3段階処理における残像輪郭線の生成である。残像輪郭線を生成するために時間的に連続した画像を3コマ用意し「フレーム差分二値化処理」、「共通部分抽出処理」そして「膨張・共通部抽出処理」の処理を施すことによって輪郭線を抽出、生成し残像輪郭線とした。残像輪郭線を利用することによって「残像」の描画を可能とし、残像輪郭線の時間経過による移動関係を求め、その移動位置を利用することによって「線」の描画を可能とした。しかしながら、実験により新たに「色変化が複雑な背景では正しく残像輪郭線が検出できない」、「映像として効果が不自然に連続的」そして「速い動きに対応できない」などといった問題が発生した。
著者
藤田 祥子 尾上 雅人 浅野 明雄 佐藤 良一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.63, no.606, pp.335-340, 1997-02-25
参考文献数
8
被引用文献数
1

Stresses and stiffnesses of band adhesive box section beams subjected to torsional loads have been studied analytically. The influences of pitches and width and thickness of the adhesives on the stress distributions and the torsional rigidities were investigated analytically and numerically. Maximum shear stress in the adhcsives occurs at an intersection of the adhered boundary and the inner edge of flange, and it decreases with increase in the width and thickness of the adhesives. The analytical results were consistent with the results of finite element methods.