著者
佐藤 桂 皆川 鉄雄 加藤 丈典 平田 岳史 鈴木 和博
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2012年年会
巻号頁・発行日
pp.211, 2012 (Released:2014-06-10)

本研究では,西南日本内帯の山陽帯に属する後期白亜紀花崗岩体〔広島花崗岩(複合)体〕内部の鉱床の形成条件・年代を調べる事を目的として,研究を開始した。今回は予察的研究として,岩体の南端である瀬戸内海 芸予諸島東部の大三島の大三島鉱山の花崗岩質岩2試料の記載およびその内の1試料の薄片から見出したモナズ石のCHIME年代測定を行なった。その結果,山陽帯の広島花崗岩の既報の年代と調和的な83.4 +/- 6.6 Ma(N = 51,2 sigma誤差表記)の年代が得られた。
著者
佐藤 良雄
出版者
武蔵野女子大学英文学会
雑誌
武蔵野英米文学 (ISSN:03886662)
巻号頁・発行日
no.3, pp.93-103, 1971-02
著者
佐藤 文彦 竹之内 智 鈴木 由一 矢野原 邦生 日向 誠 田中 康夫
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.109-116, 1981 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7
被引用文献数
4

A series of 120 unselected radiographs of the larynx without organic laryngeal disorders was analysed from the standpoint of laryngeal calcification or ossification. The special patterns of laryngeal ossification were described in the lateral X-ray using low kilovoltage technique of the larynx.1) Normal “figure 8” configuration of the ossified thyroid cartilage angle was characterized in men (37/45, 82%) but rare in women (10/75, 13%).2) A horn-like shadow of the ossified arytenoid cartilage was characteristic in women (43/75, 57%) as compared with men (7/45, 16%).3) A crescent-shaped shadow of the ossified top of the cricoid cartilage was observed in 42% of the total cases.These special configurations of the laryngeal ossification were also discussed from the viewpoint of laryngeal functional surgery.
著者
佐藤 俊之 阿部 梨恵 齋藤 直樹 永瀬 純也 嵯峨 宣彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.827, pp.15-00084-15-00084, 2015 (Released:2015-07-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

This paper addresses position and path-tracking problems of robot manipulators subject to constraints on both the magnitude and difference of the control input. Along with the model predictive control (MPC), the disturbance observer (DOB) is used to compensate for disturbances and nominalize the plant dynamics. To constrain the total control input, which is the sum of the MPC output and DOB output, we adopt time-varying input constraints and construct a useful structure of the combined DOB-MPC system. The effectiveness of the proposed control scheme is validated through a few experiments using a real two-link manipulator.
著者
佐藤 真 山高 博 古明地 勇人 望月 祐志 中野 達也
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2P10-2P10, 2011

水性溶媒中での<I>t</I>-BuClの加水分解反応は、求核的溶媒関与(NSA)と求電子的溶媒関与(ESA)の反応に与える影響が長年の間議論の対象となっている。本研究ではフラグメント分子軌道法と分子動力学法を組み合わせたFMO-MDを利用して、溶媒分子をあらわに含んだ液滴モデルにおける、<I>t</I>-BuClの加水分解シミュレーションを行い、反応プロファイルの作成およびNSAとESAの定量的な評価を行った。
著者
野田 朱美 宮内 崇裕 佐藤 利典 松浦 充宏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

房総半島南端部には沼Ⅰ~Ⅳ面と呼ばれる完新世海成段丘が発達している.このうち最低位の沼Ⅳ面は1703年元禄地震の際に離水した浅海底地形(波食棚から海食台付近)であることが知られており,元禄段丘面とも呼ばれる(松田ほか, 1974).この元禄段丘面と高位の沼Ⅰ~Ⅲ面の高度分布パターンが良く似ていることから,従来,沼Ⅰ~Ⅲ面も昔の元禄型地震によって離水したと考えられてきた(Matsuda et al., 1978; Shimazaki & Nakata, 1980; 宍倉, 2003).しかし,プレート境界地震の場合,地震時にすべった領域(震源域)はやがて再固着するが,それ以外のプレート境界では地震間を通じて非地震性すべりが進行するため,地震時の隆起・沈降パターンは時間と共に徐々に失われていき,最終的に残るのはプレートの定常沈み込みによる変動だけである(Matsu'ura & Sato, 1989).従って,沼Ⅰ~Ⅲ面の形成は元禄型地震の発生とは関係なく,その成因は太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みによる房総半島南端部の定常的な隆起運動と完新世の海水準変動に帰すべきものである(松浦・野田,日本地震学会2014年度秋季大会講演予稿集,D11-03).こうした考えの妥当性を検証するため,本研究では,波浪による浸食と堆積,地盤隆起,及び海水準変動を考慮した海岸地形形成モデルを構築し,房総半島南部の完新世海成段丘発達の数値シミュレーションを行った.海岸地形の形成過程は概念的に次のような式で記述される:標高変化=-浸食+堆積+地盤隆起-海面上昇.海岸での海-陸相互作用のモデル化に際しては,浸食レートは波浪エネルギーの散逸レートに比例し(Anderson et al., 1999),浸食によって生産された浮遊物質の堆積レートは岸から遠ざかるにつれて指数関数的に減少していくとした.また,房総半島完新世海成段丘の発達シミュレーションでは,地震性の間欠的な隆起運動は考慮せず,プレートの沈み込みに起因する定常的な隆起運動(Hashimoto et al., 2004)のみを考慮し,酸素同位体比記録に基づく平均海面高度の時系列データ(Siddall et al., 2003)を3次スプライン関数の重ね合わせでフィッティングした海水準変動曲線を用いた.海食崖と海食台は海水準変動曲線の変曲点(山と谷)付近で発達する.1万年前から現在までの海水準変動曲線には7つの変曲点(4つの山と3つの谷)があるため,7つの海成段丘が形成される.しかし,隆起速度が遅いと,形成された段丘の殆どは現海面下に沈んでしまい観測されない.隆起速度が早い場合でも,古い段丘と新しい段丘の重なり合いや逆転が生じ,段丘面の形成年代と現在の高度の対応関係は単純ではない.このことは,房総半島南部の完新世離水海岸地形の詳細な調査に基づいて,既に指摘されている(遠藤・宮内,日本活断層学会2011年度秋季大会講演予稿集,P-06).今回のシミュレーションでは,隆起速度を3~4mm/yrとすると沼Ⅰ~Ⅳ面に相当する明瞭な段丘面が発達することが分かった.但し,その場合でも,古い段丘と新しい段丘の重なり合いや逆転が生じているため,最高位の段丘面の形成年代が最も古いわけではないことに注意する必要がある.
著者
神森 大彦 山口 直治 佐藤 公隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.1050-1055, 1967 (Released:2010-02-16)
参考文献数
19
被引用文献数
8 16

赤外線分光分析法を鋼中析出物介在物分析,腐食生成物あるいは鋼板表面処理などの研究に応用するため,さしあたりアルミニウム,カルシウム,セリウム,コバルト,クロム,銅,鉄,マグネシウム,マンガン,ニッケル,鉛,スカンジウム,ケイ素,スズ,チタン,バナジウム,イットリウム,亜鉛およびジルコニウムの酸化物あわせて25種の赤外吸収スペクトルを検討し,主としてこれらのスペクトルの傾向と結晶構造との関連性について考察した.方法として臭化カリウム錠剤法とNujol paste法を併用し,測定は1400~400cm-1(約7~25μ)の範囲で行なった.また一部の酸化物については400~60cm-1(25~約167μ)の遠赤外部のスペクトルについても検討した.その結果,これらの酸化物はそれぞれ測定領域内で特長ある吸収を示し,ベルトリド化合物,スピネル型化合物などのグループにより結晶構造と関連づけるとスペクトルをある程度系統的に分類できることがわかり,さらに今後の定性的かつ定量的応用研究への見通しを得た.
著者
渡辺 明夫 百目木 幸枝 軸丸 裕介 笠原 博幸 神谷 勇治 佐藤 奈美子 高橋 秀和 櫻井 健二 赤木 宏守
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0053, 2011 (Released:2011-12-02)

多くの植物種では頂芽の成長が優先され側芽の成長が抑えられる頂芽優勢と呼ばれる機構が働き、全体の草型が制御される。私たちは主茎や側枝が長期間伸長を続け、最終的に鳥の巣のような姿となるシロイヌナズナ変異体を見いだした。解析の結果、この独特の草姿は、全ての枝の茎が頂芽優勢による抑制をのがれ長期間伸長を続けることに主な原因があり、一枝当りの分枝数は極端には増加していないことが分かった。頂芽優勢を免れて全ての茎が伸長を続ける表現型は単一の劣性変異に起因していたため、この原因変異をnoah (no apical dominance in branch hierarchy)と名付け、noah変異体の特異な草姿形成機構の解明を試みた。 主茎や側枝の伸長を詳細に調べた結果、WTの茎では茎頂から約1.5 cmほど下部を中心に幅広い領域が伸長していたのに対し、noah変異体の茎では茎頂から約0.5 cm以内の狭い領域のみが伸長していた。茎の細胞伸長が茎中を極性輸送されるオーキシンにより引き起こされると考えると、上記の結果は変異体の茎中のオーキシン分布が著しく変化していることを意味していた。そこでオーキシン濃度を詳細に測定した結果、変異体の茎のオーキシン分布はWTのものと著しく異なっていた。このため、noah変異体では茎中のオーキシンの極性輸送が著しく撹乱されていることが推察された。
著者
木下 里美 宮下 光令 佐藤 一樹
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-128, 2018 (Released:2018-03-29)
参考文献数
34
被引用文献数
1

米国のIntensive Care Unit版Quality of Dying and Death(ICU-QODD)医療者版の終末期における患者の体験に関する評価15項目から,ICU-QODD看護師評価用の日本語版を作成し,総合評価として使用可能かを検討した.尺度の因子妥当性と内的一貫性の確認のための調査は1372名,再調査信頼性の確認のための調査は39名のICU看護師から回答を得た.探索的因子分析の結果,6項目2ドメインとして確定し,「身体症状」,「尊厳」と命名した.Cronbachʼs α係数は,「身体症状」が0.89,「尊厳」が0.75であった.級内相関係数は,「身体症状」が0.62,「尊厳」が0.72であった.因子妥当性,内的一貫性,再調査信頼性のある尺度であることが確認できた.15項目のうち6項目が総合評価として使用可能であることが示唆された.
著者
福森 崇貴 後藤 豊実 佐藤 寛
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
7

<p>In this study, we developed a Japanese version of the Professional Quality of Life Scale for Nurses (ProQOL-JN). The scale was designed to evaluate the quality of life of people working as health care professionals and involves three subscales: compassion fatigue/secondary traumatic stress, compassion satisfaction, and burnout. The scale's reliability and validity were examined using data from 618 Japanese nurses. The results indicated that this scale had three component structures; furthermore, a test–retest correlation and an internal consistency indicated that the scale had high reliability. Correlations with the Impact of Event Scale-Revised, the Japanese version of the Posttraumatic Growth Inventory, and the Japanese version of the Burnout Inventory were mostly consistent with the current theory of professional quality of life, which supports the high validity of the ProQOL-JN. These results indicated that the scale has the required reliability and validity to measure nurses' quality of life.</p>
著者
佐藤 暢 谷口 英嗣 高橋 直樹 Mia Mohammad MOHIUDDIN 平野 直人 小川 勇二郎
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.203-215, 1999-06-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
65
被引用文献数
5 10

Geological, petrological, and biostratigraphical studies of Mineoka ophiolite and related rocks, Hayama and Mineoka Belts, central Japan, were reviewed, and the origin of ophiolite is summarized as follows. 1) Pelagic to hemipelagic sedimentary rocks occur from late Paleocene to middle Miocene. 2) Basaltic rocks in the Hayama Belt are mostly alkali basalts of hotspot origin, whereas those in the Mineoka Belt are mostly tholeiite of mid-ocean ridge origin. 3) Chemical compositions of gabbros and diorites indicate island arc origin. 4) Peridotites are residues after a medium degree of partial melting. These facts arenot consistent with previous ideas that the ophiolite is island arc or back arc originonly. “It is concluded that ophiolite is part of the Mineoka plate” in the Pacific Ocean side, not in the Philippine Sea as previously proposed. Reconstruction of plate motions of the Mineoka plate is proposed, as it was formed at mid-ocean ridge, was subducted by the Pacific plate, and obducted to the Honshu arc during Miocene age after the eastward motion of the triple junction.
著者
藤崎 洋子 島瀬 初美 五十嵐 隆夫 山田 康子 小林 收 佐藤 尚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.668-677,692, 1976
被引用文献数
3

マツ花粉飛散の多い新潟市に約20年間居住した後発症したマツ属花粉症の2症例を報告した.2症例はマツ属のほかイネ科, ヨモギ属の複合感作をうけているが, 毎年マツ飛散期に一致した4月より6(7)月まで眼, 鼻症状がおこり, クロマツ, アカマツが主要抗原であると診断し, 各花粉液による減感作両療法で著効をえたものである.症例1の皮内反応はクロマツ10^<-3>液でlateの反応を示し, 症例2の皮内反応陽性閾値はアカマツ10^<-5>であった.症例1のP-K反応は8時間後に最大となる皮膚反応を示し, 症例2のP-K反応は陽性であった.2症例ともマツによる鼻粘膜試験は陽性, 結膜試験は陰性であった.新潟市におけるマツ属花粉飛散期間は4月ないし6(7)月で, 5月初旬に最高飛散となる.新潟県内居住の小児気管支喘息患者について皮内反応を行い, クロマツ1.6%, アカマツ1.7%の陽性率をえた.また両者の共通抗原性は特に認められなかった.これらの結果から, マツ属花粉は抗原性が弱いとはいえわが国における花粉症抗原の1つとして検索をすすめるべきものと考えられる.
著者
佐藤 勝明
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.47-56, 2012

<p>芭蕉が「幻住庵記」を書いていた元禄三年、門人らに宛てた書簡には「誹文」「俳文集」といった文言が何度か使われている。去来・凡兆を指導しながら『猿蓑』の編集にいそしんでいた当時、芭蕉は発句・連句のほかに俳文でも一格を立てようとし、『猿蓑』には文章編をも企図していたことが知られている。しかし、その俳文がどのようなものをさすかについて、まとまった発言はないため、なかなか核心に迫れない憾みがある。しかも、『去来抄』に録された言辞によれば、「西鶴」を「俳諧の文章」と認めていたことも知られるため、問題はいっそうぼやけてくる。そうした現状を踏まえ、本稿では、芭蕉が「誹文」として書いたことが確実な「幻住庵記」を取り上げ、その推敲過程を通じて、その趣意が変化していったことを確認する。次に、凡兆の原案に基づき、芭蕉が俳文とすべく改稿したと見られる「烏之賦」、芭蕉が俳文と認めていたらしい嵐蘭の「焼蚊辞」を取り上げ、ここに俳文の基本的な性格のあることも確認する。これらを合わせることから見えてくるのは、人間の内面をとらえようとして、芭蕉が苦心惨憺していた姿であり、また、割り切れない問題の前で迷う姿そのものを、文芸的な趣意として発見していく様相である。そして、これが『おくのほそ道』の執筆につながっていくこと、同書は紀行文であると同時に俳文の集でもあって、やはり曖昧性を趣意としている条が見られること、その際に西鶴の書く草子が一つの先達でもあったであろうこと、などを論じていく。さらに、仮名草子と俳文の関係をどう見るかという問題にも言及し、近世前期の俳文を考えるには、芭蕉の考えに沿いながら慎重に見極めていくしかない、ということを結語とする。</p>
著者
山本 明美 工藤 志保 中谷 実 花石 竜治 増田 幸保 木村 淳子 櫻庭 麻恵 柴田 めぐみ 工藤 翔 五日市 健夫 佐藤 裕久 村上 淳子 古川 章子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.281-287, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
8

記憶喪失性貝毒は,日本では規制対象となっていないがEUなどでは重要視されている貝毒の1つである.筆者らはHatfieldらの方法等を参考にHPLC-UVによる記憶喪失性貝毒の分析法を構築し,組成型認証標準物質を用いて性能を評価した.17個の分析結果から推定された真度は97.5%,室内精度はRSDとして1.5%でHorRat(r)値は0.16であった.これらの推定値はCodex Procedural Manualに収載されたガイドラインに示されている分析法の性能規準値を満たしていた.また,組成型認証標準物質を用いて内部品質管理を実施した.処置限界は分析法の性能評価結果から設定した.大部分の結果が処置限界内となり,妥当性確認された分析法の性能から予測される分析値の品質が維持されていることを確認した.本分析法を実際に使用する目的は,ホタテガイ中の記憶喪失性貝毒が4.6mg/kg未満の確認であることから,この条件での適用性を,ホタテガイへの添加試料を用いて確認した.
著者
苛原 隆之 佐藤 格夫 大嶽 康介 邑田 悟 播摩 裕 柚木 知之 石原 健吾 伏木 亨 井上 和生 横田 裕行 小池 薫
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.151-156, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
8

侵襲時の栄養療法に関しては,種々のガイドラインが作成されているものの詳細はいまだ不明瞭な部分が多い.また運動介入についても近年ICUAW 予防としての意義が注目されているが,早期の運動介入が代謝や生存率に与える効果についての報告はない.本研究ではマウス敗血症モデルを用いて間接熱量測定および尿中窒素測定により栄養代謝動態の変化を調べ,敗血症の重症度・時期による糖質・脂質・タンパク質の三基質の代謝動態の変化を明らかにした.また低強度の運動介入による効果についても調べ,急性期の低強度運動によりPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha)が活性化された結果,内因性脂肪利用が上昇して脂質代謝が改善することが転帰改善に寄与していることが示唆された.早期運動介入が病態そのものに対する治療的効果をもつ可能性があるというのは画期的な知見であり,臨床における重症患者への栄養療法にも応用が期待される.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-52, 1989-03-24 (Released:2009-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
2

従来の社会計画論は社会計画の失敗メカニズムを的確に捉えることができなかった。その理由は、従来の社会計画論が「社会システムは通常の行為者の『理論や知識』(一次理論)に依存する」ということにあまり注意を払わなかったからである。このため、「社会計画の実施によって通常の行為者の一次理論が変動する」というようなケースを適切に扱うことができなかった。 本稿では、分析モデルの構成要素として、計画主体の一次理論(政策と結果を結びつける理論)、通常の行為者の一次理論、通常の行為者の一次理論に依存する社会的メカニズム(政策と結果の実際の関係)を設定する。さらに、「社会計画の実施は通常の行為者の一次理論を変動させる」、「通常の行為者の一次理論の変動は社会的メカニズムを変動させる」という二つの仮定を置く。そして計画主体の一次理論と社会的メカニズムの一致・不一致、上の仮定の成立・不成立を組み合わせて、六つのケースを得る。これらの中、社会計画の失敗メカニズムに対応する三つのケースを検討し、失敗メカニズムを解明する。さらに、成功メカニズムに対応する残りの三つのケースも検討し、成功メカニズムの解明も行う。