著者
松村 理司 金地 研二 小橋 良太郎 塚本 祐己 佐藤 泰吾
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.1593-1594, 2002-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

症例は20歳と21歳の男性.腹痛と貧血があり,当初消化器疾患が疑われた.しかし,職業歴と末梢血塗抹標本での好塩基性斑点から鉛中毒が疑われ,確定診断に至つた.
著者
河内 清彦 佐藤 泰正 黒川 哲宇
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-13, 1985-06-30

本研究では、特教学生・盲学校教師(関係群)と一般学生、普通校教師(無関係群)に視覚障害者に対する態度質問紙を自己の意見と社会的望ましさの規準で評定させた。正準相関分析の結果からは、自己の意見と社会的望ましさの下位次元間に対応関係のある5次元的関係性が見い出された。しかし、冗長度分析によると、互いに予測できるのは自己の意見分散の20.2%、社会的望ましさ分散の23.6%で、両者の線形独立の可能性が示唆された。また、因子得点によるグループの比較では、特殊能力は関係群が自己の意見で否定し、統合教育は普通校教師が自己の意見で否定、関係群が社会的望ましさで肯定し、当惑的拒否では、自己の意見、社会的望ましさ共、関係群が否定、無関係群が肯定し、相互理解では、それと全く逆の態度が見られた。このことから、予測の問題に焦点を当てた研究と態度改善での社会的望ましさの役割を顧慮した活動の必要性が提言されている。
著者
佐藤 かつら
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.36-44, 2007-10-10

明治八年九月大阪・角の芝居で上演された勝諺蔵作「早教訓開化節用」は、錦絵新聞が典拠であることを考察した。またその内容は、当時の事件を「白浪五人男」と「縮屋新助」という既存の黙阿弥作品にあてはめたものであることを見た。主人公の一人である錦織熊吉という巡査、新しい時代における新しい職務を担った人物が抱えた苦悩を、既存の物語によってあらわし、観客に新時代の人物を理解させる価値をもった内容であると考えた。
著者
粟野 皓光 佐藤 高史
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2015-SLDM-173, no.7, pp.1-6, 2015-11-24

本論文では Line sampling(LS) を利用した高速なトランジスタ・レベルの遅延歩留まり解析手法を提案する.集積回路製造プロセスの微細化にともない,トランジスタ特性のばらつきが増加しており,集積回路の設計は困難を極めている.確率的にばらつく回路遅延を解析するために統計的静的遅延解析 (SSTA) が考案され,その高速化に対して数多くの研究が行われてきた.SSTA ではゲート・レベルの遅延モデルを用いている.一層の正確性を期すために,タイミング検証の最終段階では,最悪遅延を与えうるパスを抜き出し,トランジスタ・レベルのモンテカルロ解析 (MC) を行うことが一般的であるが,純粋な MC は収束が遅く実際の歩留まり解析には適用できない.収束性を改善する手法として重点的サンプリング (1s) が一般的に用いられるが,最適な代替分布の決定が必要となり,これはばらつき変数が高次元になるほど困難な問題となる.遅延歩留まり解析においては,最悪遅延パスに限定したとしても数百から数千個のトランジスタにおけるばらつきを考慮出来ることが求められ,次元数にスケーラブルな手法が必要である.本論文では,回路遅延が,ばらつき変数の線形和で近似できるという特性に着目し,LS の応用を提案する.数値実験の結果,最新の歩留まり解析手法である,subset simulation と比較して,同等の解析精度を得るために必要な回路シミュレーション回数を 1/14 から 1/300 程度にまで低減可能であることが明かとなった.
著者
佐藤 則夫
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.594-595, 1991-06-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
2

ヘキサメチルジシラザンは有機ケイ素化合物の中でも良く知られた化合物であり, 分子内にケイ素-窒素結合をもつ化合物の代表である。良好なシリル化剤として有機合成反応でしばしば用いられる。他の有機ケイ素化合物と同じく天然には存在せず, 全て合成により製造されている。
著者
佐藤 聖徳 サトウ キヨノリ Kiyonori SATO
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.4, pp.153-162, 2004-03-31

デザイン基礎教育にとって、デッサン力習得がなによりも重要であることは言うまでもない事実である。しかし、デザインを専門課程とする高等教育に至るまでの間に、デッサン練習に関する系統立てた指導法が、これまでとても少なかった現実がある。義務教育期間の美術授業や高等学校美術では、受験指導体勢のカリキュラム等の都合で美術が軽視されがちになり、それぞれの現場の判断で、短時間の指導をされた程度であることが実情である。本論は、1970年代に10年近くに渡り、同じような問題を感じて問題提起をされた、カリフォルニア大学のべティーエドワード教授の理論を実践し、それに対して新たな提案を加えて、学生達と共に進めているデッサン指導に関する研究経過報告である。It goes without saying that acquiring drawing skill is the most important factor in basic design education. However, the reality is that the use of systematic instruction methods for drawing training has been very limited until students embark on specialized higher education in design studies. The situation is that, because of our current education curriculum, etc., that is based upon entrance exam guidance, there is a tendency for art classes in our elementary, junior high and high schools to be treated lightly and, depending on the various judgments of schools, for only short-term instruction to be provided. Out of a similar sense about the issue, Professor Betty Edwards of the California State University developed a theory on drawing instruction during a period of close to ten years in the 1970s. This essay reports on the research which we conducted with our students - and which incorporated our own propositions - into the practical application of Professor Edwards' theory.
著者
佐藤 時幸 樋口 武志 石井 崇暁 湯口 志穂 天野 和孝 亀尾 浩司
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.280-292, 2003-05-15
被引用文献数
7 10

秋田県北部に分布する天徳寺層,笹岡層の石灰質ナンノ化石層序調査結果は,峰浜地域の笹岡層最上部が更新世最初期に対比されるのを除けば,いずれの地域においても両層の年代は3.85-1.73Ma間の後期鮮新世に対比されることを示す.また,北極地域の急激な氷床拡大と関連する基準面Aは峰浜地域と柾山沢地域で天徳寺層・笹岡層境界に追跡されること,これら対比から,秋田地域の大部分が鮮新世末に陸化したことを明らかにした.この調査結果と,新潟,北陸地域の大桑・万願寺動物群産出層準との対比結果から,秋田県内の大桑・万願寺動物群産出層準が,更新世に対比される新潟・北陸地域とは明らかに異なることを指摘した.一方,日本海側地域石灰質ナンノ化石群集は北太平洋-北極海域で認めた群集と極めて類似し,暖海性種を伴う太平洋側地域と対立すること,その生物地理形態が大桑-万願寺動物群と共通することなどもあわせて明らかにした.
著者
佐藤 展之 本間 義之 川瀬 範毅
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-57, 2002-12

2005年に全廃される臭化メチル代替技術の一つとして、従来からの土壌消毒技術である蒸気消毒に散水を同時に行うことで、省力かつ効果的に土壌深部の温度を上昇させる散水蒸気消毒方法について検討した。散水蒸気消毒は、蒸気管と散水チューブを地表に設置した後ビニルフィルムで全面を覆い蒸気送出後に散水を行う方法で、散水を行わない場合と比較して地下20cm以下の高温維持期間が長くなる。蒸気管としては従来の埋設式蒸気消毒法で使用していたホジソンパイプの他に、軽量で取り扱いが容易な布製のキャンバスホースやナイロンポリエチレン耐熱フィルム製のホースもより効果的に使用できる。また、うねを立て後の散水蒸気消毒は、地表面積を増加させ蒸気の熱を効率的に土壌に伝達でき、その後の散水による地下深部の温度上昇効果も高かった。
著者
水津 嘉克 佐藤 恵
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.534-551, 2015

<p>「犯罪被害者遺族」「自死遺族」が現代の社会において直面せざるをえない困難性について, 論じることが本稿の課題である. 一見まったく異なった存在であると認識されている両者が直面せざるをえない, しかし他の遺族とは異なる「生きづらさ」とはどのようなものなのか. まずは素朴に彼らがどのような存在なのかを数的データで確認する. 数値が示す内容とは裏腹に, そうした犯罪や自死によって生み出される「犯罪被害者遺族」「自死遺族」の存在についてわれわれはあまりに知らない. このように「犯罪被害者遺族」「自死遺族」が毎年一定数確実に生じているにもかかわらず, その存在が顕在化することのない社会を本稿では「生きづらさを生き埋めにする社会」とする. そうした社会は彼らを「曖昧な包摂」のもとに置く社会である. そこでの当事者にとっての「現実」とは, 「自責の念」「親密な人びととの問題」「死別を受け入れることの困難性」としてとらえられるだろう. そしてこれらの「現実」は, 社会 (世間) にとっての「現実」とのあいだに大きな乖離を生ぜしめることになるのである. このようなリアリティの乖離は, 相互作用場面において彼らをダブルバインド的状況に追いやることになり, その結果, 彼らは「沈黙」を選択せざるをえないという「生きづらさ」を抱えることになる. 彼らが他の遺族とは異なるかたちで直面せざるをえない困難性がここに日々再生産される結果となる.</p>
著者
奥村 明俊 石川 開 佐藤 研治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.77-93, 1998

クロス言語検索手法GDMAXは, 日本語入力から英語ドキュメントの検索を可能にする. GDMAXは, 対訳辞書によって入力キュエリから翻訳キュエリ候補を生成し, キュエリからそれぞれの言語のコーパスにおけるキュエリタームの共起頻度を成分とすそ共起頻度ベクトルを生成する. 入力共起頻度ベクトルと翻訳共起頻度ベクトルとの距離によって, 翻訳キュエリ候補をランキングし, 上位の英語キュエリ集合を検索キュエリとする. この手法によって, 一つの対訳だけでなく適切な複数の訳語集合を英言語キュエリとして得ることができる. ウォールストリートジャーナルやAP通信など2ギガの英語ドキュメントについて適合率と再現率で評価したところ, 理想訳と比べて約62%の精度を得て, 対訳辞書のすべての訳語候補を用いる場合と比べて12%, 機械翻訳による訳語選択と比べて6%高い精度を得ることができた.
著者
中尾 喜久 佐藤 茂秋 内村 英正 三浦 恭定 藤岡 成徳 衣笠 恵士 今泉 真澄 武藤 徹一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.246-251, 1968-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1

トロトラストによる遅発障害は,肝硬変•胆管癌など,肝を中心としたものがかなり報告されているが,血液疾患を来たした例は少ない.われわれはトロトラスト注入後22年目に発症したと思われる赤白血病の症例を経験したので報告する、症例は59才男で,昭和19年に左大腿動脈よりトロトラストによると思われる血管造影術を受け,昭和39年ころよりパーキンソン症候群が出現し, 41年当科を訪れて高度の貧血と後に末梢血中に幼若細胞を発見され,骨髄所見などから臨床的に赤白血病と診断され,同時に腹部X線像で異常陰影があり,ヒューマンカウソター,オートラジナグラフィーでトロトラスト沈着が確認された.剖検でも脾•リンパ節•骨髄•肝にトロトラスト沈着が発見され血液細胞の異型性,各臓器への細胞浸潤などから病理学的にも赤白血病と診断され,放射能を持つトロトラストと赤白血病発症との関係が問題となつた.
著者
佐藤 宏道 勝山 成美
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.154-160, 1993-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
30
被引用文献数
1

サルの大脳皮質一次視覚野(V1)の機能と構造の関連を理解する枠組を概説するとともに,V1が視覚中枢の中でどのように位置付けられるのかを最近の知見を交えて概説した.V1の機能構築を理解するには,網膜部位再現,層分化,ニューロン活動の刺激特異性,機能円柱などについて知ることが重要である.また視覚情報の流れとV1の役割を機能面および構造面から理解するのには,視覚刺激の運動や立体視の情報を運ぶ大細胞系(magnocellular system)と,形態や色などの情報を運ぶ小細胞系(parvocellular system)というV1にいたるまで並列な2つの経路の違いを知ることが助けとなる.両系によってV1に入力された情報は,それぞれの刺激特徴を専門に処理する並列な計算モジュールである機能円柱内で層間の階層的な処理を経た後,高次視覚野に分配出力される.視野の一点の情報を処理している各々のV1ニューロンの活動が,視野全体の再構築のためにどのように統合されているかについては不明の点が多いが,光学的計測法など新技術を導入した研究によってこの問題について新たな発展が期待される.
著者
齋藤 寿広 壽 和夫 澤村 豊 阿部 和幸 寺井 理治 正田 守幸 高田 教臣 佐藤 義彦 平林 利郎 佐藤 明彦 西端 豊英 樫村 芳記 小園 照雄 福田 博之 木原 武士 鈴木 勝征 内田 誠
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
pp.1-9, 2009 (Released:2011-05-24)

1. ‘ぽろたん’は、1991年に農林水産省果樹試験場(現農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所)において‘550-40’に‘丹沢’を交雑し、育成した実生から選抜した渋皮剥皮性が優れる早生のニホングリ品種である。1999年に一次選抜し、2000年からクリ第6回系統適応性検定試験に供試した。その結果2006年10月4日付で‘ぽろたん’と命名され、‘くり農林8号’として登録、公表された。2007年10月22日付けで種苗法に基づき第15658号として品種登録された。2. 樹勢はやや強く、樹姿はやや直立である。枝梢は密に発生し、太く、長い。雌花の着生は多く、結果性はやや多い。果実の成熟期は育成地では9月上~中旬で‘国見’と同時期である。3. きゅう果は扁球形で‘国見’と同程度の大きさで、果実の側果側面の形は帯円三角形、横面は尖円形である。平均果重は30g程度で‘国見’より若干小さいが、‘丹沢’よりやや大きく、揃いは中程度である。双子果の発生はやや多く、裂果の発生は少ない。果実の比重は‘丹沢’や‘国見’より高く、肉質はやや粉質である。果肉は黄色で甘味、香気ともに‘丹沢’や‘国見’より多く、食味は良好である。環境条件により、虫害果が多発する場合がある。蒸しグリでの渋皮剥皮性は易であり、焼きグリにした場合、チュウゴクグリ程度に容易に剥皮出来る。4. 試作を検討した関東地方以西の産地で特性を発揮できるが、東北地方での適応性は不明である。ニホングリで唯一渋皮剥皮性が優れる品種であり、家庭での消費増大はもとよりニホングリの新規加工需要の創出等多方面での利用が期待される。