著者
関口 敦 曾田 治男 大木 康則 樺澤 寛二 吉田 譲 森田 高志 笹川 繁 佐藤 智明 見目 恭一
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.53-56, 1998

当院における過去4年間の機器トラブル1,409件を検討した。機器は心電図モニター190台,輸液ポンプ140台,シリンジポンプ150台,パルスオキシメータ61台。修理内容の内訳は,非故障が303件(21.5%),院内修理が689件(48.9%),メーカー修理が417件(29.6%)であった。年別のメーカー修理の比率は,1994年度48.6%,1995年度34.2%,1996年度20.0%,1997年度27.6%であった。修理1件当たりの平均ダウンタイム日数は,心電図モニター13.1日,輸液ポンプ37.6日,シリンジポンプ34.4日,パルスオキシメータ17 .4日で,ダウンタイム率2.9%であった。トラブルの約46%が現場スタッフの不適切な使用方法に由来していた。看護婦への機器教育に力を入れているが,不適切な使用方法に由来するトラブルが減少せず,操作未熟が16.0%,破損・紛失が30.5%あった。トラブルを起こさないための対策として,注意喚起だけでなくFool proof的な対策を講じることが今後重要と考えられた。
著者
佐藤 美樹 田髙 悦子 有本 梓
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.121-129, 2014 (Released:2014-04-16)
参考文献数
31

目的 孤独感に関する研究は,一般成人や高齢者を対象とした研究は比較的多くみられるものの,乳幼児を持つ母親を対象とした研究は,まだ限られている。本研究の目的は,都市部在住の乳幼児を持つ母親の孤独感の実態ならびに関連する要因について,乳幼児の年齢集団別(4 か月,1 歳 6 か月)に個人要因ならびに環境要因から検討を行い,育児支援に関する実践への示唆を得ることである。方法 A 市 B 区の乳幼児健康診査に2012年 9 月~11月(計10回)に来所した母親を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。分析は,日本語版 UCLA 孤独感尺度得点を従属変数とし,乳幼児の年齢集団別に基本属性,個人要因(内的作業モデル,育児感情),地域要因(子育てのしやすさ,近所との付き合い方,ソーシャルネットワーク)を独立変数とした重回帰分析を行った。結果 回収した251票(回収率58.4%)のうち回答に欠損のあった 3 人を除く248人(有効回答率57.7%)を分析対象とした。なお,4 か月児は125人(55.8%),1 歳 6 か月児は123人(59.7%)であった。その結果,4 か月児を持つ母親の孤独感尺度の平均点は39.2±9.4点,孤独感の高い者は,内的作業モデルタイプがアンビバレント型(β=.354,P<.001)傾向もしくは回避型(β=.331,P<.001)傾向であり,また育児感情の負担感(β=.180,P<.05)の得点が高く,ソーシャルネットワークの家族(β=−.144,P<.05),育児仲間(β=−.255,P<.01)の得点が低かった。また 1 歳 6 か月児を持つ母親の孤独感尺度の平均点は37.5±10.0点,孤独感の高い者は,母の主観的健康感(β=−.191,P<.01)が低く,内的作業モデルタイプがアンビバレント型(β=.297,P<.001)傾向もしくは回避型(β=.190,P<.05)傾向であり,育児感情の負担感(β=.283,P<.001)の得点が高く,ソーシャルネットワークの育児仲間(β=−.213,P<.01)の得点が低かった。結論 母親の孤独感を予防•軽減するためには,母親が育児を通じた人間関係を構築することやサポートを受けながら育児を行っていくための力を高める支援とともに,地域の人的ネットワークを含む地域の環境づくりへの支援が重要であると考えられた。
著者
佐藤 惣之助[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1941-11
著者
佐藤 理史
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.253-254, 2018-06-15 (Released:2018-09-15)
著者
佐藤 譲 池上 高志
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.659-664, 1997-08

命題論理式の充足可能性問題(Satisfiability problem,以下SATと表記する.)は数理論理学を背景に持つ代表的なNP完全問題であり,計算の複雑さの理論においては「実際的計算可能性」を考える上で重要な研究対象になっている.近年,このSATは数値計算を用いる実験数学的な手法によって研究されており,計算の複雑さの現実的な性質が明らかになっている.本論文では力学系の理論に基づき計算理論に新たな視点を導入する.SATのうちで,節に含まれるリテラルの数がk個である和積標準型の論理式(kCNF)の充足可能性を判定する問題を特にkSATという.本稿では主にこのkSATを取り上げる.kSATは与えられたkCNFを満たす解が存在するかどうかを判定する決定問題であり,k=1,2のときは多項式時間で解ける問題クラス(class P),k&ge;3のときは多項式時間では解けないと予想されている問題クラス(class NP)に属することが知られている.先行研究によると,計算コストのかかる問題の分布は一様なものではないことが示唆される.この分布の幾何学的側面を考察するために,ここではkCNFをk次元の単位区間内にコードし,充足可能式をプロットするという方法をとった.このとき3CNFの充足可能式の集合は3次元の単位立方体内部に,2CNFの充足可能式の集合はその原点を通る平面での切断面に埋め込まれることになる.結果として,このkCNFの充足可能式の集合は,k=2のとき完全な自己相似集合(フラクタル),k&ge;3のとき部分自己相似集合(準フラクタル)となると予想された.自己相似集合は単純な入れ子構造をもつ縮小写像系,部分自己相似集合は互いに他に含まれるような入れ子構造をもつ縮小写像系で表現される.したがってここでは,このような縮小写像系の再構成が重要な意味を持つ.k=2の場合,充足可能式の集合を縮小写像系で再構成することができたが,k&ge;3の場合は再構成が困難だった.このためBox-counting法で数値的にHausdorff次元を求めたところ,k=2の場合は理論値に良く一致したが,k&ge;3の場合は(自己相似集合を仮定した場合の)理論値からややずれるという結果を得た.3SATがclass NPに属するのは何故かという論点に戻ると,相互に他に含まれる入れ子構造をもつ縮小写像系によって生成される準フラクタルの性質により,NPの言語を認識することのできる離散力学系(アルゴリズム)において初期入力が不変集合に到達する時間(計算時間)が単純な入れ子構造をもつ縮小写像系によって生成されるPのそれよりも長くなるという説明がつく.以上を考察して,以下の予想を得た.class P ⇔ Self similar set class NP ⇔ Partially self similar setこの予想の検証は今後の課題である.
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
佐藤 嘉一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.35-44,129*, 1986-06-30

日常経験、日常知、日常生活を改めて見直す動きが、近年社会学、哲学、言語学などの諸専門的学問分野で盛んである。社会学の分野では、とくにエスノメソドロジー、象徴的相互作用論、現象学的社会学などの<新しい>社会学が日常生活を問題にしている。本稿で問題にしている事柄は、次の三点である。<BR>一、 社会学の内部で日常経験の世界に関心をむけさせる刺激因はなにか。日常経験へと志向する社会学が<新しい>と呼ばれるのはなぜか。日常経験論とシステム理論とはどのような問題として相互に関連するのか。<BR>二、 一で明らかにした<科学の抽象的現実>と<生活世界の具体的現実>との<取り違え>の問題を、シュッツ=パーソンズ論争を例にして検討する。<BR>三、 ルーマンのシステム理論においても、<科学の自己実体化>の角度から二の問題が論じられている。ルーマンの論理を検討する。
著者
佐藤 亨
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.234-240, 2007

Arson is not a major part of misbehavior of delinquents. However, we should not overlook this type of offence because arson could make a great damage on others' properties or lives at once. It is important to discuss why they commit arson and how we should treat them. This article focuses on motivation of juvenile fire setters. Two arson cases are mentioned and three different kinds of motives are discussed; hate, unhappiness, and reset of unpleasant situation. They may have damaged self-images and unpleasant feelings pile up inside them. Finally, they can not keep such feelings inside and vomit them by fire setting. They could have psychological problems and we must consider how we should treat them to avoid re-offence.
著者
佐藤 睦人
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.10_17-10_21, 2012-10-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
3
著者
佐藤 淑子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.345-358, 2015 (Released:2016-01-28)
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究はワーク・ライフ・バランス(WLB)という点で対照的な日本とオランダの育児期家庭の生活の実態と心理を比較検討し, WLBが乳幼児を持つ父母の育児に与える影響を考察した。WLBとは「職業役割」と「家庭役割」をバランスよく担うことである。日本は母親の育児不安が高いが, その要因は父親の育児不在と母親が育児を1人で抱え込むことにある。対照的に, オランダは仕事と家事・育児をより男女平等に担い, 最もWLBの達成された国である。本稿では, 父母の生活時間, 育児行動等の生活の実態と, 育児感情, 自尊心, ストレスなど心理のかかわりを検討した。その結果, 次の4点が明らかになった。(1) 育児行動においては日本とオランダともに母親の方が父親より育児を多く行っていた。但し, 日本では父母間の差はオランダより著しい。(2) オランダの父親の労働時間は短く母親の就業率が高く, 父母のWLBがとれ, 育児の協同が顕著である。(3) 日本は父母のWLBが欠けており, ともに「育児への否定感」がオランダより高い。(4) オランダの父母は日本より自尊心が高くストレスも低い。
著者
佐藤 さつき 芦野 祐樹 上原 哲太郎 佐々木良一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.81, pp.67-73, 2006-07-20
参考文献数
9

PCリサイクル法に伴い,ネットオークションで個人や業者が中古PCを売る割合が増えていく中で,データの削除方法を知らないままにネットオークションにノートPCやHDDを売るという行為は個人情報漏えいなどにつながる大変危険な行為といえる.ここではオークションに実際に出品している業者を対象にアンケート調査し,復元ソフトで復元できないようにきちんと抹消するようにしているか確かめた.また実際にPCやHDDを購入し実験を行い,実際にデータが復元できるPCがあることを確認した.あわせて,オークションサイト運営者に対し,PC出品者にデータの抹消を指導するよう提言を行った.The PC recycle law leads increase of selling second hand PCs in Internet auction system. It is dangerous to sell note PCs or HDDs in the Internet auction system without understanding the proper method of deleting data, because there is the possibility of the leakage of individual information etc. We made the survey on the status of deleting data in PC exhibited by a company to sell the second hand PCs in the auction site. In addition, after buying the PCs from the auction site, we confirm actually that it is possible to recover the data from the PCs. Moreover, we proposed auction site manager to give the caution on the necessity to delete the data properly to the PC exhibitor of the auction site.
著者
松下 貴史 佐藤 伸一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.333-342, 2005 (Released:2005-11-05)
参考文献数
64
被引用文献数
4 12

B細胞の生存・分化・抗体産生に重要な役割を果たすBAFF (B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family)はTNFファミリーに属する分子で単球,マクロファージ,樹状細胞の細胞膜上に発現され,可溶型として分泌される.BAFFの受容体にはBAFF-R (BAFF receptor), BCMA (B-cell maturation antigen)およびTACI (transmembrane activator and calcium-modulator and cyclophilin ligand interactor)の3種類が知られておりいずれもB細胞の広範な分化段階において発現がみられる.BAFFシグナルは主にBAFF-Rを介して伝えられ,TACIは抑制性のシグナルを伝達している.BAFFはB細胞上の受容体との結合により未熟B細胞の生存と分化,成熟B細胞の増殖,自己反応性B細胞の生存を制御する.BAFF過剰発現マウスでは全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus ; SLE)やSjögren症候群に類似した症状を呈する.さらにSLE自然発症モデルマウスや関節リウマチ(rheumatoid arthritis ; RA)モデルマウスであるコラーゲン誘導関節炎においてBAFFアンタゴニストの投与にて症状が改善することが明らかにされた.そしてSLEやRA,Sjögren症候群,全身性強皮症の患者において血清BAFF濃度の上昇が報告されている.BAFFは末梢性B細胞の分化・生存に影響することから,BAFF/BAFF受容体の異常が末梢性トレランスの破綻を来たし,リウマチ性疾患の発症に関与していると推測される.近年SLEやRAにおいてB細胞をターゲットした治療が脚光を浴びており, BAFFが有望な治療標的となることが期待されている.
著者
佐藤 至 西川 裕夫 齋藤 憲光 金 一和 大網 一則 津田 修治
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第32回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.75, 2005 (Released:2005-06-08)

【目 的】パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は合成樹脂原料,撥水剤,コーティング剤など,様々な用途に使用されている。これらは極めて安定性が高いために環境中に長期間残留し,人や多くの野生動物においても蓄積が確認されているが,その毒性については十分な情報が得られていない。このため本研究ではマウスなどの実験動物とゾウリムシを用いてPFOSおよびPFOAの神経毒性について検討した。【方 法】8〜9週齢のWistar系雄ラットまたはICR系雄マウスにPFOSまたはPFOAを経口投与し,一般症状を観察するとともに超音波刺激に対する反応を観察した。また,ゾウリムシをPFOSまたはPFOAを含む種々の溶液に入れ,遊泳行動の変化を観察することにより毒性評価を行った。【結 果】PFOSおよびPFOAのマウスおよびラットに対する致死量は約500 mg/kgであった。これ以下の投与量では一時的な体重の減少または増加の抑制が認められたが,その他の一般症状に著変は見られなかった。しかし,PFOSはマウスで125 mg/kg以上,ラットでは250 mg/kg以上で超音波刺激による強直性痙攣を誘発した。PFOSによる痙攣は超音波刺激2時間前にジアゼパムまたはニフェジピンを投与しても抑制されなかった。一方PFOSおよびPFOAはゾウリムシに対して後退遊泳を誘発し,膜電位あるいは細胞内カルシウムに対する影響が示唆された。後退遊泳誘発作用はPFOAよりもPFOSの方が強かった。ジアゼパムおよび数種のCa2+チャンネルブロッカーは高カリウムによる後退遊泳は抑制したが,PFOSによる後退遊泳は抑制しなかった。また低カルシウム溶液中ではPFOSによる後退遊泳が増強された。以上の結果からPFOSは細胞外カルシウムの取り込みによらずに神経毒性を示す可能性が示唆された。
著者
吉岡 尚美 植木 順子 佐藤 宏子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 体育学部 (ISSN:03892026)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.97-103, 2005-03-31

The purpose of this paper is to discuss an efficacy study of recreation activities in a longterm care facility. Having the lack of social understanding of recreation for the elderly with Dementia and other disabilities, this paper first discusses the needs and issues of efficacy studies on recreation activities in long-term care facilities, following by an explanation of two key-words, Tanoshimi and Ikigai. Then the paper will discuss a qualitative way of examining influences of recreation activities on Tanoshini and Ikigai among older people.
著者
西 智弘 小杉 和博 柴田 泰洋 有馬 聖永 佐藤 恭子 宮森 正
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.901-905, 2017 (Released:2017-01-19)
参考文献数
8

2015年8月から,他院で化学療法中の患者を緩和ケアとして併診する目的で,早期からの緩和ケア外来(EPC外来)を開設.2015年8月~2016年1月に,EPC外来を受診した患者について,初診診察時間,診察の内容,入院・死亡までの期間などについて,診療録から後ろ向きに調査を行い,同時期に腫瘍内科を受診した患者と比較検討した.結果,EPC外来群19名,腫瘍内科外来群11名が,それぞれ延べ80回および117回外来受診.初診外来での診察時間中央値は各45分(10〜106),38分(23〜60)であった(p=0.17).診察の内容は,症状緩和,コーピングなどについてはEPC外来群が有意に多かった.EPC外来群では初診から60日以内死亡が5名(26%)であった.EPC外来で初診に要する時間は腫瘍内科外来と同程度であった.紹介されてくる時期が遅い患者も多く,今後の啓発と継続した実践が重要である.