著者
河野 愛史 浦辺 幸夫 前田 慶明 笹代 純平 平田 和彦 木村 浩彰 越智 光夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101040-48101040, 2013

【はじめに、目的】 膝関節の靭帯損傷はスポーツで頻発する外傷のひとつであり,なかでも膝前十字靭帯(以下,ACL)損傷は発生頻度が高い.治療には靭帯再建術の選択が一般的で,術後は関節可動域の改善や筋力増強などの理学療法が必要になる.筋力増強の効果判定のひとつとして大腿周径が用いられるが,臨床では大腿周径の回復と筋力の回復が一致しない症例を経験する.一般に,四肢周径は筋や骨の発達状態の把握に役立ち,筋力と有意な相関があるとされ(渕上ら,1990),筋力の発揮には筋量などの筋的要因や運動単位の動員などの神経的要因が影響し,筋力増強はそれらのいずれか,または両者の変容によるものとされる(後藤,2007).本研究の目的は,ACL再建術後の筋力の回復に筋量の回復がどの程度影響するのかを大腿周径と筋力を測定することで検討し,かつそれらを測定する意義を明確にすることである.【方法】 広島大学病院にてACL再建術(STG法)を受け,術後12ヶ月以上経過した初回受傷患者106名(男性50名:平均27.9±11.3歳,女性56名:平均24.8±11.2歳)を対象とした.大腿周径は膝蓋骨上縁から5,10,15,20cmを術後6,12ヶ月時に測定し,非術側に対する術側の割合(以下,患健比)を求めた.筋力測定はBIODEX System3(BIODEX社)を用いて,術後6,12ヶ月時に60°/s,180°/sの角速度での膝関節伸展,屈曲筋力を測定し,患健比を求めた.統計処理は術後6,12ヶ月の各時期での大腿周径と筋力の関係をPearsonの相関分析を用いて検討し,危険率は5 %未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会,広島大学疫学研究に関する規則に基づき実施した.対象には本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た.【結果】 大腿周径の患健比は,術後6,12ヶ月で,男性は5cmで97.1%,98.1%,10cmで95.9%,96.9%,15cmで95.7%,96.9%,20cmで96.4%,96.9%,女性は5cmで97.2%,98.2%,10cmで96.4%,96.4%,15cmで96.3%,96.6%,20cmで96.5%,97.6%であった.筋力の患健比は,術後6,12ヶ月で,男性は60°/sでの伸展筋力は67.2%,77.1%,屈曲筋力は80.9%,83.7%,180°/sでの伸展筋力は75.7%,81.6%,屈曲筋力は85.3%,86.5%であった.女性は60°/sでの伸展筋力は69.1%,82.6%,屈曲筋力は84.3%,89.8%,180°/sでの伸展筋力は77.5%,86.2%,屈曲筋力は87.8%,92.6%であった.大腿周径の患健比と筋力の患健比は,術後6ヶ月で,男性は60°/s,180°/sでの伸展筋力と周径5,10,15,20cmそれぞれと,60°/s,180°/sでの屈曲筋力と周径20cm,女性は180°/sでの伸展,屈曲筋力と周径20cmとに有意な正の相関を示した(r=0.29~0.48).術後12ヶ月で,男性は60°/s,180°/sでの伸展筋力と周径5,10,15,20cmそれぞれと,女性は60°/s,180°/sでの伸展筋力と周径5,10,15,20cmそれぞれと,60°/s,180°/sでの屈曲筋力と周径5cmとに有意な正の相関を示した(r=0.28~0.45).【考察】 男性は術後6,12ヶ月,女性は術後12ヶ月で大腿周径の患健比と膝伸展筋力の患健比の間に有意な相関を示したことから,膝伸展筋力の回復に大腿周径すなわち大腿部の筋量の回復が影響し,術後12ヶ月ではその影響が大きいと考える.しかし,女性は術後6ヶ月で大腿周径の患健比と60°/sでの膝伸展筋力の患健比の間に有意な相関を示さなかった.これは,女性はもともと男性に比べて大腿部の筋量が少ないため(Abeら,2003),筋量が筋力に反映されにくいことや,術後6ヶ月は筋量の回復が不十分で神経的要因の回復により筋力が回復したことなどの可能性が考えられる.以上より,ACL再建術後に大腿周径および膝伸展筋力を測定することで,筋力の回復のどの程度が筋量の回復によるものかを評価でき,回復状況を把握することでリハビリテーションプログラムの再考につながる.また術後12ヶ月では筋量が筋力にある程度反映しているため,大腿周径がスポーツ復帰の指標のひとつとして有用である可能性が示唆されたが,例外もありこのような症例には注意が必要である.【理学療法学研究としての意義】 ACL再建術を受けたスポーツ選手のスポーツ復帰時期を決定するために筋力の回復は重要で,男性は術後6,12ヶ月と大腿周径および筋力が順調に回復する傾向にあるが,女性は各時期での回復状況に特に注意し運動療法を行うべきである.
著者
飯塚 博幸 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.15-18, 2012-02-02

本稿では自己と他者の違いに焦点を当てる.動作を行っている主体が自分であるという感覚を運動主体感と呼ぶが,この運動主体感が視覚と触覚と運動の感覚の統合においてどのように形成されているのかを明らかにすることを目的としている.この問題を扱うに当たり,他者にくすぐられるとくすぐったいが,自分で自分をくすぐることはできないことを利用する.実験では,視覚刺激を操作することで自分でくすぐっているにも関わらず,くすぐったくなることを示し,運動主体感について議論する.
著者
松本 隆之 北川 貴士 木村 伸吾 仙波 靖子 岡本 浩明 庄野 宏 奥原 誠 榊 純一郎 近藤 忍 太田 格 前田 訓次 新田 朗 溝口 雅彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2013-07-15

メバチThunnus obesusおよびキハダThunnus albacaresは三大洋の熱帯域を中心に温帯域にかけて広く分布し,日本をはじめとする各国により漁獲され,マグロ属魚類の中でもっとも多獲さる重要種である。大型魚,特にメバチは主としてはえなわ漁業で,小型魚はまき網,竿釣り等の漁業で漁獲される。日本沿岸においては,小型の竿釣り,曳縄等の漁業でも漁獲されており,それらの漁業にとっても重要な魚種である。しかしながら,これら2種については資源の減少もしくは低水準での推移が見られ,その動向には注視する必要があり,また,資源学的研究の強化,およびより精度の高い資源評価が望まれる。そのためには,移動,遊泳行動等の生物学的パラメーターのより詳細な解明も必要である。
著者
前田元敏 著
出版者
大日本図書
巻号頁・発行日
vol.巻の1, 1911
著者
前田元敏 編
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1914
著者
倉持 秀敏 崔 基仁 大迫 政浩 前田 光治 中村 一夫 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.175, 2007 (Released:2007-11-23)

トラップグリースのような低品質な廃油脂類をBDF原料として利用するには、既存のBDF製造ラインに投入する前に原料の脱水および遊離脂肪酸(FFA)の除去が必要である。そこで、本研究では、脱水方法として莫大な水の蒸発潜熱の投入を回避でき、かつ、後段の反応系への展開が容易な溶媒抽出法に着目し、溶媒抽出による脱水の可能性を検討するとともに、新規BDF製造法として抽出剤を含む抽出物をFFAの除去およびBDF製造プロセスに直接導入した場合を想定し、抽出剤がFFAの除去および油脂のBDF化に与える影響を調べた。
著者
前田 英仁 菅原 雅信
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.328, pp.66-69, 2003-05

1961年9月19日、香川県生まれ。86年9月、アパレル企業の株式会社エイジェンスを設立。2001年11月、株式会社はなまるを設立し、代表取締役就任。◆——「まんまるはなまるうどん」は急成長チェーンとして注目の的ですが、都会でも讃岐うどんがこれだけ受け入れられると考えていましたか。
著者
髙橋 昂也 前田 幸嗣
出版者
九州大学大学院農学研究院
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:13470159)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.27-38, 2015-02

日豪EPAが2014年4月に大筋合意に至り,豪州産牛肉については,セーフガードを設定した上で,冷凍牛肉の関税率は19.5%,冷蔵牛肉の関税率は23.5%まで,それぞれ段階的に引き下げられることが決定した。また,現在,わが国が参加している環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では,日米の協議において,牛肉の関税水準およびセーフガードが争点の1つとなっている。以上のようにわが国では現在,関税削減などによる国産牛肉生産への影響が懸念されているところである。そこで,本稿では,わが国における牛肉の貿易自由化に関する計量経済研究のサーベイを行い,牛肉の貿易自由化の影響を計量経済学的に分析する際の課題を明らかにする。
著者
前田 久明 増田 光 林 昌奎 居駒 知樹 伊藤 和彰 加納 裕三
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
Techno marine : bulletin of the Society of Naval Architects of Japan : 日本造船学会誌 (ISSN:09168699)
巻号頁・発行日
no.866, 2002-03-10

本論文の目的は,幾何学相似モデルを用いた実験を行い,VIVによるライザーの挙動を把握することである。海象条件を模擬した一様流中,あるいは波浪中,強制動揺下においてライザーの挙動計測実験を行い,結果として,VIVがライザーの高次モードの変形に寄与していることを把握した。また,ライザーのトップテンション,表面粗度がライザーの挙動に大きく影響することを確認した。[graph]
著者
安野 洋一 前田 基彰 佐藤 みち子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.573-578, 1975-08-01 (Released:2012-03-24)
参考文献数
12

Dermadromeとしての脂漏性皮膚炎を検討するために京都府立医大皮膚科外来患者(昭和42~46年)で統計的観察をおこなつた。脂漏性皮膚炎は全体で3.32%にみられ, 疹型別(安田の分類に準ず)ではscalp type, facial type, flexural type, localized typeの順に多かつた。多発型と限局型の比は1:2.7であつた。つぎに全身性疾患との関係を糖尿病, 前糖尿病状態, その他の全身性疾患の3つに分けて検討した。全身性疾患を合併した脂漏性皮膚炎は18.9%にみられ, 40才以上で著明に増加した。高率にみられた疹型はflexural type, psoriasiforme, facial type, scalp typeの順で, とくにflexural typeは糖尿病, 胃腸疾患, 肝疾患で多い傾向がみられた。また全身性疾患を伴う症例では多発~汎発型が増加した。
著者
前田 勲 早坂 明彦
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.50, pp.37-40, 2004-10-08

男女雇用機会均等法が施行され, 法的には男女の雇用条件は同等と考えられるようになって入るが, 雇用管理上, 必ずしも同じ状況にはない。施行から18年が経過し, その後の雇用状況, 人事管理上での問題点等に関連した本研究の一部についての報告である。現在, いわゆる第1期生といわれる女性が多数働き続けており, その女性たちの能力, 地位等は確実に向上しているとはいえ, まだまだ男性中心の社会構造は活きているといわざるを得ない。明確に差別があるわけではないが, 女性労働者の中には少なからず「同じではない」とする意識が働いている人もおり, また, 「妊娠・出産」「育児」といった子育ての問題に関しては, 企業や自治体等の努力 (育児施設、制度充実等) は見られるものの, 育児休業の取得などでは圧倒的に女性が多く, 働く女性のキャリアにはマイナスの要因として取り扱われている実情にある。人事考課における男女間の格差をなくす方策について, 差別の生じにくい施策が求められている。
著者
菅原 光晴 前田 眞治
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.77-85, 2010-03-31 (Released:2011-05-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究は,左半側空間無視 (以下USN) に対する認知リハビリテーションの有用性について検討した。対象は USN を有する実験群 13 例と対照群 12 例である。実験群には USN へのアプローチに加え,認知リハビリテーションを実施した。対照群には認知リハビリテーションを除く実験群と同様の訓練を実施した。訓練効果の測定にはBIT 行動性無視検査,Catherine Bergego Scale を用いた。各評価をベースライン期,介入期 4 週後,8 週後,12 週後,フォローアップ期 3 ヵ月後,6 ヵ月後に行った。その結果,介入期 12 週後の成績には差がないものの,実験群では早期から成績向上が認められた。さらに,フォローアップ期において成績低下は緩やかで維持する傾向が認められた。以上より,USN 患者に対する認知リハビリテーションは,USN の改善を早期に促進させ,訓練終了後も訓練効果を維持させる可能性が高いものと考えられた。
著者
中塘 二三生 田中 喜代次 羽間 鋭男 前田 如矢
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.164-172, 1990-06-01
被引用文献数
11 7

Recently, bioelectrical impedance analysis systems(BIA)have become available for determination of human body composition, The validity of BIA has been found to be sufficiently in the American population. However, more work is needed to assess the validity and applicability of BIA to the Japanese population. The purposes of this study were (1) to test the validity of body composition measured by BIA in comparison with the underwater weighing criterion method, and (2) to develop a convenient equation that would reliably predict body composition using BIA and anthropometric measurements in Japanese females. The subjects were 226 Japanese womn and girls aged 11 to 55 years (23.9±8.3). Body impedance was measured using a tetrapolar electrode method, with a localized 800-μA and 50-kHz current injection(Selco SIF-881. The percentage of body fat (%fat) estunated by BIA was significantly correlated with densitometrically determined %fat (r=0.793, Lukaski et al.method;and r=0.800, Segal et al.method). The magnitude of these correlations was substantially higher when compared with r=0.615 found between the skinfold thickness method and the criterion method. Absolute %fat values estimated by BIA were, however, significantly lower than those determined by the criterion method, thereby indicating the need for a more accurate method of assessing Japanese body composition. For this, we propose the use of D=1.1303-0.0726(Wt/2), where D=body density in g/ml, Wt=body weight in kg, R=(R^2+Xc^2)<0.5> in ohms, and Ht=body height in cm. Lean body mass (LBM) and %fat predicted from this equation were correlated significantly (r=0.924 and r=0.799, respedtively) with values determined by densitometry. The standard error of estimates of LBM and %fat resulted in figures of 1.9kg and 3.7%, respectively. Thus we suggest that BIA is valid, convenient, and inexpensive, and that the prediction equation proposed in this study is useful for assessment of body composition in Japanese adult females.
著者
関根 利一 前田 剛志 山井 成良 北川 直哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CSEC, [コンピュータセキュリティ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.6, pp.1-5, 2015-05-14

DNS は,Web や電子メール等の様々なインターネットサービスの利用前に,通信相手が持つドメイン名の名前解決を行うために使用される機構である.したがって,DNS が使用できない環境では通信相手が特定できず,各種サービスを利用することができなくなるため,政府や ISP などの運用ポリシによって様々なアクセス制限が行われる場合でも DNS サービスが完全に使用できない環境は存在しない.本研究では,この特徴を利用し,利用者の得たい情報を代理で取得し,応答する特殊な DNS サーバを試作した.これにより,Web ページのアクセス制限が実施されている環境下においても任意の情報を取得することができる.

1 0 0 0 昭和叛乱史

著者
前田治美 著
出版者
日本週報社
巻号頁・発行日
1964
著者
坂本 和彦 西田 峰勝 前田 義隆 岡 正朗 栗本 典昭 森田 克彦
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.2338-2343, 1999-09-25
被引用文献数
8 1

肝細胞癌切除後の肺門リンパ節転移巣を切除し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は63歳男性.平成5年10月,肝S7の肝細胞癌に肝後区域切除を施行し,約2年後S8の残肝再発と右肺上葉の肺転移に対し肝部分切除と肺部分切除を施行した.平成8年8月の胸部CTにて約2cmの肺門リンパ節腫大を認め, 3カ月後には腫瘤は約3cmに増大した.肺門リンパ節転移と診断し,平成9年1月よりミトキサントロンによる化学療法を施行し経過観察した. 5月の胸部CTで腫瘤は約4cmと増大したが,画像上で新たな他病変はなく手術適応と考えた.血管造影で大血管への浸潤はなく, 6月25日右開胸下右肺上葉切除とリンパ節郭清を行い術後15日目に退院した.術後約1年経過した現在,外来にて厳重に経過観察をしているが血液検査および画像診断で再発の徴候はない.