著者
前田 篤彦 杉山 公造 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.87, pp.117-124, 2001-09-13

本研究では,体験型科学館に設置されたインタラクティブ・システムに対するユーザの一連の行為をinquiry learningの機会として捉える.本研究の目的は,inquiry learningのための,より効果的なインタラクティブ・システムのインターフェイス・デザインとはどのようなものなのか,実験によって検証することである.そのために,二つの実験を行った.はじめの実験では,inquiry learningにおける学習達成率が容易になる条件ほど,後半時間における探索行為の減少傾向が強くなることが示された.この結果から,ヒューマン・インターフェイスをデザインする際に,探索行為によらない偶発的な学習の機会を考慮する必要性が示唆される.それゆえ,次に入力デバイスの違いによって,偶発的な学習の頻度に差がでるか検証した結果,オルタネイト・スイッチの組み合わせより,モーメンタリ・スイッチ単独によるほうが,偶発的な学習の機会が増やすことがわかった.最後に,この原因として人間の誤動作について考察する.A series of the user's actions on an exhibit of an interactive art and science museum is examined in terms of inquiry learning. The purpose of this study is to discover the more effective human interface design for the inquiry learning. For this purpose, two experiments are conducted. First experiment's results show that the higher the rate of the learning-achievement in the inquiry learning is, the higher significant decrease of the rate of the exploratory behavior in a series of actions in the latter half is. These phenomena imply that the opportunity for not only learning by exploration but also accidental learning should be considered when designing the human interfaces. Next experiment on input devices shows that one momentary switch is superior to a combination of alternate switches in terms of accidental learning. Finally, we discuss the role of behavioral error (micro slips) to accidental learning.
著者
高見 知寛 鈴木 功一 馬場 達也 前田 秀介 松本 隆明 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26(2006-CSEC-032), pp.209-214, 2006-03-17

本稿ではキーボード入力を取得するというキーロガーの挙動に着目し,キーボード入力に用いられるAPIの使用を検出することでキーロガーの検知を行う方式を提案する.本来のDLLの代わりにAPIの使用を検出する機能を付加した検査用DLLをプログラムにロードさせた上で試実行させることが本方式の特徴であり,ウイルス検知における動的ヒューリスティック法的なアプローチによるキーロガー検知方式となっている.本稿では本方式の基礎実験を行い,その検知率と誤検知率について評価する.
著者
杉本 祐太 前田 正登
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.145-154, 2013-03-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Subjective effort is an adjustment in output performance, dependent on an athlete’s perception and it is an important factor in sprint training. To gain information about utilizing subjective effort in sprint training, this study investigates changes in sprint running movement due to the different subjective effort of athletes at various performance levels. The participants were 15 male collegiate sprinters, who were divided into high-level (n=7) and low-level (n=8) groups based on their personal best times in the 100 m dash. The participants performed 50 m sprints at five levels of effort ranging from 60% to 100%, with increases at 10% intervals. The final 10 m of each sprint was recorded by two high-speed video cameras to analyze each participant’s movement. The results are summarized as follows.     The decline in sprint speed at lower subjective effort was higher for the low-level group than high-level one. This was the reason why low-level group decreased swing back velocity of the leg with the change of knee joint angle increased below a subjective effort of 70%. And the achievement of sprint speed from a subjective effort of 90% to maximum effort was not practical because of knee extension during support phase. Moreover, below a subjective effort of 70%, the low-level participants’ movement during support phase differed from that of maximum effort sprint running. In contrast, the high-level participants’ movement was the same even a subjective effort of 60%.

3 0 0 0 OA 陰影

著者
前田夕暮 著
出版者
白日社
巻号頁・発行日
1912
著者
吉川 裕之 前田 平生
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

1.子宮頸がん症例、一般コントロールからのリンパ球のsampling:症例登録施設9施設(筑波大および研究協力者施設;東北大、癌研、慶応大、千葉大、近畿大、佐賀大、琉球大、東大)において、新たに全体として子宮頸がんおよびコントロールからのリンパ球と子宮頸部擦過検体のsamplingを行い、病理標本とともに提出した。2.HLAクラスIおよびクラスIIアレルの決定:HLAはgenotypingでgroup-specific primersを用い、PCR産物をSSCPおよびRFLPで同定した。前癌病変であるCIN I/II 570例のHLAクラスIおよびIIアレルを同定したことに加えて、子宮頸がん279名とコントロール203名の解析が終了した。3.HPV型の同定:consensus primer-mediated L1-PCRでのPCR-RFLP法と積水メヂィカルのクリニチップで解析した。子宮頸癌266名とコントロール188名が対象であるが、後者の方法では全体で300検体が終了した。4月末には全検体で終了する見込みである。がんで88%、コントロールで26%の陽性率である。4.統計解析:子宮頸がんの症例対照研究について検査がほぼ終了しつつある。まず、HLAとHPVのデータから約200ペアで解析する。暫定的な解析で複数のアレルで有意差が出ているが、最終解析を待ちたい。2011年秋頃には投稿できる見込みである。5.中央病理診断;コントロールが得られなかったがん症例も含めて、HPV型と組織型について検討する予定である。暫定的には神経内分泌型においてHPV18型陽性が多いことが判明している。
著者
前田 朗
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.150-154, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

大学等の学術研究機関に所属する図書館員のスキルアップの手法として,学術情報システムの個人的なプロジェクトに取り組むことを提案する。この手法では,成果が出ることがモチベーションとなる,学習の機会が増えるといった利点がある。プロジェクトの取り組み対象は,業務の自動化,インターフェイスのカスタマイズ,ツールの作成,学術情報の解析,情報検索システムの試作とさまざまなものがありえる。これらのテーマごとに,筆者が職務ほか「図書系職員のためのアプリケーション開発講習会」講師や「専門用語自動抽出システム」開発に取り組んできた経験から,注目している情報を提示していく。
著者
前田 晴良
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.148, pp.285-305, 1987-12-30
被引用文献数
14

北海道からサハリンにかけて分布する上部白亜系から産するアンモナイトのタフォノミーについて, 主に達布地域での観察を中心に議論した。平行葉理の発達したセノマニアン階の泥岩では, アンモナイトの殻は石灰質ノジュール中に含まれている場合でも, 圧密・溶解を被っている。一方, 生物擾乱を強く受けたチューロニアン階中部〜サントニアン階上部の泥岩中のノジュールは, 圧密・溶解を受けていない保存の良いアンモナイトを豊富に含む。おそらく上位層準のノジュールの方が, 下位層準のものよりも続成作用のより早い段階で形成されたと考えられる。大型アンモナイトは, 中・小型のものより続成作用の影響を強く受け, "half-ammonite"や"ventral-tire"等の特徴的な保存をしばしば示す。これらの保存は, 堆積物が殻内を不均一に埋積するため生じると考えられる。また, アンモナイトの殻は, 植物片とよく共存する。これは海水が侵入したアンモナイトの殻の密度が, 流木片のそれと近く, 両者が水力学的に似かよった挙動を示すためと推測される。これら木片やアンモナイト・イノセラムスの殻破片は, 大型アンモナイトのヘソの下に特徴的に掃き寄せられることも多い。植物片や貝の殻破片が集まったこのようなヘソ下部の空間に, 堆積物食者のブンブク類ウニが自生的産状で保存されていることがある。
著者
前田 隆子 田中 俊行 大城 等 船川 一彦 能勢 隆之 今井 昭二 林 康久
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.781-787, 1990-08-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

This study reports the contents of Zn and Cu in the breast milk and serum of postpartum mothers, 17 primiparas and 20 multiparas, at one week and at one month after delivery.Results were as follows.1. The mean content of Zn in the breast milk was 5.44μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased significantly (p<0.01) to 2.73μg/ml at 1 month after delivery.2. The mean content of Zn in serum was 0.66μg/ml at 1 week, and it increased significantly (p<0.01) to 0.84μg/ml, close to the normal level, at 1 month.3. The milk Zn level at 1 week after delivery was about 8 times as high as the Zn in serum. There was a significant (p<0.05) negative correlation in Zn contents between milk and serum at 1 week after delivery, and there was no significant correlation in Zn contents between milk and serum at 1 month after delivery.4. The mean content of Cu in breast milk was 0.55μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased to 0.44μg/ml at 1 month after delivery.5. The mean content of Cu in serum was 2.14μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased significantly (p<0.01) to 1.35μg/ml, close to the normal level, at 1 month after delivery.6. Concerning the Cu contents of milk and serum, there was not a significant correlation at 1 week after delivery, but a significant (p<0.05) positive correlation was found at 1 month after delivery.
著者
山下 雅之 桑原 丈和 前田 益尚
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

まず平成17年度には、夏期休暇を利用してフランスとベルギーでマンガ文化の中心をなすと考えられる都市、アングレームとブリュッセルを訪れた。アングレームでは国立マンガセンターで展示資料の閲覧と蔵書資料の検索、調査を行った。またアングレームは町全体のあちこちの壁面に有名なマンガキャラクターが描かれているので写真撮影を行った。ブリュッセルでは、マンガセンターを訪れ、展示されているマンガ史に関する資料を閲覧し、図書館の蔵書を調査した。また市内各所にある書店、古書店を訪れ、マンガの資料収集に当たった。このほかパリなどを中心に書店、古書店を訪れ、マンガの資料を収集した。平成18年1月にはアングレームで行われた国際マンガフェスティバルを視察し、多くのマンガ出版社や作家、雑誌社などのブースを訪れマンガ資料を収集するとともに、関係者にインタビューを行って、マンガ界の現状についての意見交換を行った。平成18年の夏季休暇を利用し、おもにパリで資料の収集に当たった。マンガ専門の書店や古書店で、どのようなものに人気があるか、最近の流れとしてとりわけ人気の高い日本マンガの翻訳の状況などを、実際に書店の店頭で数多く触れることができた。また8月末には南フランスのソリエスヴィルで毎年行われているマンガフェスティバルに参加することができた。小規模ながらも、バカンスシーズンに行われる催しで、地元の人々を中心に熱心なマンガ好きの人たちが集まるイベントを肌で体験することができた。平成19年1月末には、アングレームのマンガフェスティバルに参加した。今年の傾向としては、日本マンガを始めますます輸入が増加する海外のマンガに関心が高まっており、今年のマンガ大賞にはアルゼンチンのマンガ家、そして単行本に与えられる賞には、日本の水木しげるが選ばれた。こうしたことから、これまでの伝統あるフランスのバンデシネに対する危機感も叫ばれるようになり、そうしたテーマのシンポジウムに参加して、現場の出版社や批評家などの生の声に接することができた。さらにアングレームの国立マンガ研究所の学芸員に会って話をすることにより、これから相互に交流を深めながら研究を進める足場を作ることができ、たいへん有意義であった。日本マンガ批評の現状については、本研究組織のメンバーが研究を行い、フランスのマンガについての研究と比較をするため、研究会を数度開催した。この結果、それぞれの発展プロセスの違いから、日本のマンガとフランスのマンガには、いろいろな興味深い差異があることが明らかにできた。なお17年度研究分担者として参加した前田は、平成18年4月から2年を要する病気療養のため休職したので、研究の継続を断念し成果報告も不可能となった。
著者
前田 ひとみ
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-29, 2000-02-15

はじめに アメリカ合衆国の首都であるワシントンD.C.に隣接するメリーランド州ベセスダに,米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:略称NIH)のメインキャンパスがある。NIHは衛生機関の1つであるが,アメリカ合衆国最大の生物医学研究所でもある。昔,ゴルフ場だったというベセスダのキャンパスは300エーカー(1.2km2)以上の広さをもち,木々や芝生の緑に囲まれ,りすや鹿も訪れる自然豊かなところである。 NIHには博士取得者が約6,000人働き,年間7,000以上の論文が世に送り出されていると言われる。NIHは,ベセスダ以外にもフレデリック,バルチモア,ロッキーマウンテン等にも研究施設をもち,おそらく世界最大規模の生物医学研究機関といっても過言ではないであろう。また外国人研究者として日本人研究者も常に400人以上がNIHで働いていることから考えると,日本人にとってもNIHは最大の生物医学研究施設と言えるのではないだろうか。
著者
前田 見太郎 清川 朝栄 小林 章子 西口 理恵 矢野 忠 大山 良樹
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.120-124, 1993-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7

これまで視力回復に対する鍼治療の効果については近視の分類上, 軽度近視に対する治療が多く, 中等度ならび強度近視に対しての鍼治療の効果に関する報告は少ない。筆者らは中等度及び強度近視に対して裸眼視力回復を目的に置鍼術による鍼治療を行った。裸眼視力の回復を認めた3症例については, 治療を一時中断し, 鍼治療後の持続効果を観察した。また, 裸眼視力の回復が認められなかった3症例については, 置鍼術を鍼通電治療に変更し, 治療効果について観察を継続した。その結果, 置鍼術治療で裸眼視力の回復を認めた3症例は治療を中断してもなお, 初診時裸眼視力よりも高い視力を維持し, 鍼治療の持続効果を示した。一方, 視力の回復の認められなかった3症例に対しては鍼通電治療に変更してからは徐々に回復を示し, 初診時裸眼視力よりも高くなり, 鍼通電治療による効果を認めた。
著者
小林 正人 岩佐 豪 高 敏 高木 牧人 前田 理 武次 徹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
著者
大野 公一 前田 理
出版者
分子科学会
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.A0042, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
83
被引用文献数
2 2

It has been a long standing problem to answer the following fundamental questions in chemistry; (1) what kinds of chemical compounds (isomers) can be produced from a set of atoms given by a chemical formula, such as H4C2O2, (2) how the isomers can be converted to one another, (3) how they are decomposed into smaller species, or conversely (4) how they are made of smaller species. Although this problem can be solved theoretically if all minima and pathways among them via saddles could be searched on the potential energy hypersurface, it has been believed to be impossible, when the number of atoms exceeds four in the target chemical formula. A very simple tool like a compass for voyage could be discovered for global reaction route mapping (GRRM) in the chemical world. That is the anharmonic downward distortion (ADD) which enables one to follow all reaction pathways from an equilibrium (EQ) point toward structures of transition states (TS) surrounding the EQ point. Subsequent downward followings from already found TSs can easily be made as conventional intrinsic reaction coordinate (IRC) followings to reach some EQ points and dissociation channels (DC). Further quests around newly found EQs will yield many more reaction pathways via many other TSs. Such one-after-another procedures will continue until no new EQ could be found, and finally one can obtain a global reaction route map of the chemical formula as well as the answers to the fundamental questions in chemistry. Now, one should step into the new era of chemical problems to perform a perfect microscopic control of chemistry involved in the stereo reaction dynamics of atoms and molecules, based on leading information on typical trajectories searched by the automated exploration of chemical reaction pathways.
著者
前田 美紀 宮地 直道
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.19-35, 2012-03-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
42

Formation mechanism of basaltic pyroclastic flows has not been sufficiently clarified yet because basaltic pyroclastic flows do not occur as frequently as felsic ones. We studied the Osawa pyroclastic flow 3 deposit (OsPfl-3), which took place on the western flank of the Fuji volcano between 2.9 and 3.0 ka. OsPfl-3 has two flow units and one cooling unit, which have a combined volume of 6.2 × 106m3. The flow overlies another unit composed of two scoria fallout deposits (YokSfa-2a and 2b) which sandwich a pyroclastic flow deposit (OtPfl). OsPfl-3 mainly consists of welded blocks and dense blocks with composition and petrographical characteristics of basaltic andesite. Some of the dense blocks have cracks on their surfaces and look like “cauliflower-shaped bomb”. They have a flat surface on one side with concentration of vesicles near the surface. The matrix of OsPfl-3 has dense fragments that are thought to have originated from dense lava blocks and poorly vesiculated scoria. The emplacement temperature of the blocks is estimated to be higher than 580℃ from thermoremanent magnetization measurements. These observations indicate that the blocks in the OsPfl-3 originated from welded pyroclasts, lava flow or lava lake at the summit crater. The sequence of the eruptions that formed OsPfl-3 and underlying deposits are summarized as follows: Stage 1: Deposition of fallout tephras (YokSfa-2a and 2b) and an intercalated pyroclastic flow (OtPfl) which are composed of fairly vesiculated scoria; Stage 2: Formation of lava flow or lava lake at the summit crater, and deposition of pyroclastics on the lava; Stage 3: Occurrence of the pyroclastic flow (OsPfl-3) caused by collapse of lava and pyroclastics. OsPfl-3 is prominently distributed on the western flank. This observation implies that the westward flow from the source lava that filled the summit crater could cross the lower part of the crater rim.
著者
岩城 麻子 前田 宜浩 森川 信之 武村 俊介 藤原 広行
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

地震ハザード評価において、長周期(ここでは周期およそ1秒以上を指す)の理論的手法による地震動計算では一般的には均質な層構造からなる速度構造モデルが用いられることが多いが、現実の地下構造には様々なスケールの不均質性が存在する。長周期地震動ハザード評価の対象周期を周期1~2秒まで確保するためには、特に数秒以下の周期帯域で媒質の不均質性の影響を評価することは重要である。本研究では、首都圏の詳細な地盤モデルを用いて、深部地盤以深の媒質のランダム不均質性がVS=350m/s程度の解放工学的基盤上での長周期地震動へ及ぼす影響とその周期帯域を評価する。首都圏の浅部・深部統合地盤モデルの深部地盤構造部分(地震本部, 2017)(最小VS=350m/s)のうち、上部地殻に相当する層(VS=3200, 3400 m/s)の媒質物性値に、指数関数型の自己相関関数で特徴づけられるランダム不均質を導入した。相関距離aは水平、鉛直方向で等しいと仮定し、1 km, 3 km, 5 km の3通りのモデルを作成した。標準偏差εは本検討では5%に固定し、物性値に不均質性を与える際、平均値±3ε を上限・下限値とした。地震波散乱の影響は不均質の相関距離と同程度の波長に対応する周期よりも短周期の地震動に表れると考えられる(例えば佐藤・翠川, 2016)。波長1、3、5 km に対応する周期はそれぞれおよそ0.3、0.9、1.5秒であり、周期1秒以上の長周期地震動の計算結果に対する系統的な影響は大きくはないことが予想されるが、不均質性の導入による地震動のばらつきを見積もることも必要である。異なる震源位置やパルス幅(smoothed ramp関数で3.3秒および0.5秒幅)を持つ複数の点震源モデルを用いて、3次元差分法(GMS; 青井・他, 2004)で周期1秒以上を対象とした地震動計算を行った。パルス幅が3.3秒の場合、震源から放出される波の波長はおよそ10 kmとなり、不均質媒質の特徴的な長さaよりも長い。パルス幅が0.5秒の場合、波長はおよそ1.7 kmであり、aと比べておおむね同等から短い波長となる。各震源モデルについて、不均質媒質を導入していないモデルによる計算結果に対する不均質媒質を導入したモデルによる計算結果の比(不均質/均質比)をPGVや5%減衰速度応答スペクトルについて調べた。不均質/均質比の空間分布は地震動の強さそのものには寄らずランダム不均質媒質に依存することが分かった。不均質/均質比は計算領域全体の平均としてはほぼ1になった。つまり、領域全体で見た場合、この条件下でこの周期帯では不均質媒質によって系統的に地震動が大きくまたは小さくなるということはほとんどなかった。一方、不均質/均質比のばらつき(標準偏差)は震源距離に応じて大きくなった。また、パルス幅の短い震源モデルの方が、パルス幅の長いモデルと比べて不均質性の影響が大きく、比のばらつきも大きかった。パルス幅の短いモデルでは震源から放出される波の波長が媒質の特徴的な波長に近く、パルス幅の長いモデルと比べて同じ伝播距離に対する波数が多いため、不均質媒質の影響がより強く出るものと考えられる。同じ震源距離で見ると比のばらつきは地震動の短周期成分ほど大きいことも分かった。今回検討した範囲では、地殻内のランダム不均質媒質が周期1秒以上の長周期地震動の計算結果におよぼす影響として、計算領域全体の平均値への系統的な影響よりもむしろ、予測問題における地震動ばらつきを生じさせる影響がより顕著に認められた。今後はパラメータ範囲を広げた検討や、より浅い地盤構造の不均質性をモデル化した検討も必要であると考えている。
著者
前田 龍彦
出版者
金沢大学文学部考古学講座
雑誌
金沢大学考古学紀要 (ISSN:09192573)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.64-73, 2000-12-25