著者
佐野 浩彬 三浦 伸也 前田 佐知子 池田 千春 千葉 洋平 臼田 裕一郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.203-207, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
20

災害発生時には様々な機関からインターネットを通じて数多くの災害・防災情報が発信されるとともに、時々刻々とその情報が変化し更新されていく。そのため、発信された災害・防災情報にはWebサイト上での記載がなくなり、情報そのもの自体が消失するなど、タイミングを逃すと取得できないものが出てくる。こうした災害・防災情報のデジタルアーカイブを行うことは、災害の動向を時系列で把握する上で重要である。本研究では2019年に発生した風水害を対象として、インターネット上の災害・防災情報の網羅的収集に関する実践事例を紹介し、そこで浮かび上がった課題を述べる。
著者
吉村 衛 木村 文則 前田 亮
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.261-268, 2011-12-03

現在,日本語の古文に対して汎用的に用いることができる形態素解析器は存在しない.それゆえ日本語の古文に対しては,文章を単語に分割することさえ困難である.単語分割が行えるようになると,古文テキストの解析に役立てることができる.本論文では,日本語の古文の文章を単語に分割する手法を手案する.本手法では,文字Nグラムの単語らしさを評価し,この単語らしさが高い文字Nグラムを単語として文の単語への分割を行う.今回は,「源氏物語」に対し本手法の評価実験を行い,評価・考察を行う.
著者
前田 清一 中尾 俊
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.149-154, 1963-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

酸類の酸味としての閾値(Stimulus Threshold Value)と最低閾値(Minimum Threshold Value)、及び酸類間の酸味の強さについて、味覚試験を用いて測定をおこなった結果 : -(1) Panelの識別能力は非常に優秀なものであり、なかでも、女性Panelは男性のそれよりも全般によい様である。(2) 平均最低閾値は、塩酸、アスコルビン酸、グルコン酸では1×10-4M(各0.0004、0.0019、0.0020%)、ベタイン塩酸塩では2×10-4M (0.0027%) であり、クエン酸、酒石酸、乳酸等その他有機酸では5×10-5M(各0.0010、0.0008、0.0005……%)かそれ以下である。(3) 酸味として感じる閾値は、正確には極限法によっておこなわねばならないが、本実験資料から大略次の値であろうと推定される。クエン酸、酒石酸、フマール酸、グルタミン酸塩酸塩については1×10-4M(各0.0019、0.0015、0.0013%)、アスコルビン酸の4×10-4M(0.0076%)を除いて他の本実験試料酸類は、同一モル数すなわち、2×10-3M(塩酸の0.0008、乳酸の0.00018、酢酸の0.0012、コハク酸の0.0024、グルタミン酸の0.0030等の各%)である。(4) 閾値におけるpHは必ずしも同一ではなかった。
著者
鈴木 啓生 大浦 一雅 山原 可奈子 金 正門 田口 啓太 高橋 海 高橋 健太 岩岡 和博 前田 哲也
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.191-204, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
50

パーキンソン病における骨粗鬆症は骨折のリスクのため予防が重要である.骨代謝は性別,年齢,栄養状態や活動度に影響される.パーキンソン病は運動障害が主徴であり,これらを一致させた上で比較が必要だが,同様の検討はない.本研究は慢性期脳血管障害を疾患対照とし,骨密度と骨代謝マーカーを用いて病態を検討した.両群50例を前向きに登録した.パーキンソン病は骨密度低値,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値,血清総ホモシステイン高値,活性型ビタミンD低値であった.骨粗鬆症を有する両群間比較ではパーキンソン病は活性型ビタミンD低値であった.パーキンソン病で骨粗鬆症を有する群はない群より女性が多く,body mass index低値,臨床重症度高値,1型コラーゲン架橋N-テロペプチドと酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値であった.パーキンソン病の骨粗鬆症の病態には一般的リスクに加え骨吸収亢進とビタミンD関連骨形成不全,パーキンソン病自体の重症度の関与が示唆された.
著者
中田 正夫 前田 保夫 長岡 信治 横山 祐典 奥野 淳一 松本 英二 松島 義章 佐藤 裕司 松田 功 三瓶 良和
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.361-368, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
13 14

西九州には縄文早期の鷹島遺跡や数多くの縄文前期から中期の水中遺跡が存在する. これらの遺跡が水没したおもな原因は, 最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタシーに帰すことができる. 本論文では, このことを定量的に示した. この研究をさらに進めることは, 両極の氷床モデルや地殻とマントルのレオロジーを推定するのに非常に有益である.
著者
福本 幸成 前田 修 福山 貴子 池谷 毅 稲垣 聡 岩前 伸幸 宇佐美 栄治 石原 孟
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_13-I_18, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2013年1月,銚子沖洋上風力発電所は,わが国初の沖合洋上風力発電所として運転を開始した.実証研究設備として,洋上風車の性能評価や洋上風況の評価,環境影響調査など,着床式洋上風力発電の技術を総合的に確立していく.発電所建設前から47ヶ月にわたり観測してきた波浪データによれば,当海域は常に波高が高く「うねり」が来襲しやすい.また,台風1326号により設計波高に近い観測最大の最高波高が発生し,基礎に衝撃砕波力が作用したと推定される.これらの観測結果等から,洋上風力発電の導入拡大のためには,高い波高や「うねり」に適用できる船舶の調達や,近隣の基地港湾の整備が課題と思われる.
著者
前田 倫
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.654-660, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
参考文献数
7

区域麻酔・神経ブロック時の抗血栓療法(抗凝固薬・抗血小板薬)の休薬は,血栓予防には短期間が望ましいが,出血・血腫予防には十分な休薬が望ましい.この相反する問題解決のために2016年12月,日本ペインクリニック学会・日本麻酔科学会・日本区域麻酔学会が共同で,抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックの日本版ガイドラインを作成した.手技と出血性素因により,高・中・低リスク群に分類した上で,各薬剤の休薬期間を設定しているが,休薬による血栓形成より出血予防を優先している.合併症が極めてまれであるため,DOAC(direct oral anticoagulant)も含めエビデンスに乏しいが,抗血栓療法の休薬基準がない本邦の現状から脱する一つの道標としての意義があり継続的な内容改訂が望まれる.
著者
前田 高弘
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-81, 1999-05-15 (Released:2009-05-29)

注意されたいのは,私はスワンプマンがある種の生物学的機能や心的特性(ないしそれに似た何か)をもつことを否定してはいないということだ.スワンプマンが通常の照明の下で赤いリンゴを目の前にしたとき,彼はあなたが同様の条件下でもつ経験と同じ経験をもつという直観は,内在主義というより,物理的スーパーヴィニエンスに基づく自然主義に由来するものであるように思われる.だが他方で,心的特性を進化論的な観点によって捉えようとする外在主義も同様の自然主義によって動機づけられており,本稿は,この自然主義の内部における対立を調停する試みであると言える.この試みによって,外在主義者たちがスワンプマンに悩まされなくなれば幸いである.だが,たとえそうならなくても,スワンプマンを自然法則に関する形而上学的問題の中に位置づけることによって,志向性や感覚質に関する哲学的議論の場そのものからはスワンプマンに別れを告げることができれば私は満足である.そこではドッペルゲンガーだけで十分だろう.
著者
前田 洋介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.220-241, 2011-05-01 (Released:2015-09-28)
参考文献数
114
被引用文献数
3 4

本稿は,英語圏地理学で展開されてきたボランタリー・セクター(VS)研究の歩みと論点を整理することで,日本における研究の方向性を探ることを目的とする.1970年代後半から1980年代にかけ,Julian WolpertとJennifer Wolchを中心に,地理学でVSが本格的に研究されるようになった.先進資本主義国において,福祉国家の再編に伴い,VSが公共サービスの提供主体として期待されるようになる中,地理学は第1に,VSの空間的特徴を示してきた.また,Wolchにより「シャドー・ステート」が議論されてからは,公的資金を通じた政府とVSの関係性に最も焦点があてられ,その背景にある新自由主義の進展とともに批判的に検討されてきた.しかし,最近では,シャドー・ステート概念ではとらえられない両者のより複雑な関係性も示される中,新たな枠組が求められているといえる.その中で,近年のボランティア等の担い手をめぐる研究は,地理学のVS研究を前進させる一つの鍵になると思われる.
著者
前田 浩人 林 加織 石毛 崇之 三品 美夏 渡辺 俊文 曽川 一幸
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.59-62, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
10

近年ネコ飼育頭数の増加傾向に伴い獣医臨床現場においてネコの下部尿路疾患(Lower urinary tract disease (LUTD))を治療する機会が増えつつある中で,原因の特定に至らず治療方針の決定に時間を要する症例も少なくない.中でも下部尿路疾患の2–10%の症例において細菌感染が認められる.MALDI-BioTyper Systemとrapid BACproを応用し,ネコの尿における直接菌種同定を試み,検査の感度及び時間の短縮について検討を行った.本法は,ネコの尿中における細菌種の同定分析を短時間に可能にする方法である.
著者
大山 英明 前田 太郎 舘 [ススム]
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.59-68, 2002
参考文献数
78
被引用文献数
2

Telexistence, tele-existence, or telepresence, is an advanced form of teleoperation, which enables a human operator to remotely perform tasks with dexterity, providing the user with the feeling that he or she is present in the remote location. Although tele-existence/telepresence as an engineering concept was proposed in 1979-1981, a comic titled " Jumborg A " proposed and illustrated a primitive tele-existence robot control system in 1970. As a matter of fact, some fictitious robot control systems in novels, comics, animations, and movies precede real robot control systems. In this paper, we will introduce the history of telexistence robots, both in terms of current technology and science fiction
著者
加藤 雅康 林 克彦 前田 雅人 安藤 健一 菅 啓治 今井 努 白子 隆志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.229-235, 2011-05-15
参考文献数
15

近年,クマの目撃件数が増加しており,クマが生息する山間部付近の病院ではクマ外傷を診察する機会が増加することが予想される。当院で過去2年間に経験したクマ外傷の4例を報告し,初期治療での注意点について考察する。クマ外傷は頭部顔面領域に多く,顔面軟部組織損傷の治療にあたっては,眼球,鼻涙管,耳下腺管や顔面神経などの損傷を確認し,損傷の部位や程度に応じてそれぞれの専門科と共同で治療を行うことが必要となる。また,細菌感染や破傷風の予防が必要である。当院で経験した4例と文献報告でも,創部の十分な洗浄と抗菌薬治療,破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリンの投与により重篤な感染を生じることはなかった。しかし,頭部顔面の創部と比較して四肢の創部は治癒に時間がかかった。クマ外傷の診療にあたっては,顔面軟部組織損傷と感染症予防に対する知識が重要と考えられた。
著者
吉野 諒三 田中 康裕 小出 哲彰 稲垣 佑典 芝井 清久 前田 忠彦
出版者
日本分類学会
雑誌
データ分析の理論と応用 (ISSN:21864195)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-24, 2019-06-01 (Released:2019-11-22)
参考文献数
13

公開データ利用促進の任務を担う情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設のプロジェクトの一部として,2018 年3 月13 日「第2 回人間・社会データ構造化シンポジウム」が開催された.特に,社会調査データの公開における個人情報保護等の法的規制と倫理的指針について,同施設の社会データ構造化センターの法律アドバイザーである牧野二郎弁護士により,一般公開の特別講義が行われた.講演に先立ち,同センターの研究者たちとの協議を経て,牧野総合法律事務所により講演資料が用意された.本稿は,筆者らがその資料を改稿し,シンポジウムでの討議や,2018 年5 月よりEU で施行されているGeneral Data Protection Regulation(一般データ保護規則)など関連資料やその後の推移の確認などを含め,官民学の社会調査関係者向けに概説したものである. 現実の法律の執行は,各研究者の解釈や意図とは必ずしも完全には一致しないこともあり得るが,本稿は実証的データに基づく人文社会科学の発展や政策立案を促進するための参考としてまとめた.
著者
前田 正登
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.33-41, 2005-09-30 (Released:2010-07-27)
参考文献数
5

The present study focused on the behavior of the ball at the time of the stroke in soft tennis, and it aimed at exploring the relations of many kinematic values at impact, and the flight behavior of the ball, while checking whether there might be an abnormal flight behavior. The flight of the ball was videotaped by three sets of video cameras, and the ball at impact was videotaped with two high speed cameras. The behaviors of these balls were analyzed. These experiments investigated the conditions of the flights of soft tennis balls, both when given a lift from an applied drive rotation and when given a sinking flight from a slice rotation. It was suggested that the difference in rate of spin given by a stroke influenced the abnormal flight behavior of a soft tennis ball, and also that when there was drive rotation or slice rotation of 40rps or more, the possibility of abnormal flight behavior occurring was high.