著者
井上 博之 田代 渉 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.74, pp.31-36, 2008-05-23
参考文献数
7
被引用文献数
2

気象情報のセンシングとその表示に関して,広島市で行っている取り組み内容を中心を報告する.特にCO2濃度については市内の数カ所で長期間に渡る測定を行っており,その表示としてWebページによる提供や高解像度ディスプレイを使用したCO2濃度表示装置を公共場所に設置している.また,広島市立大学学内には,休講情報などの学内コンテンツを同時に表示する電子掲示板を開発し,約半年間の運用で得られた結果について報告する.その結果から,数値のみのCO2表示装置を広島市立広島工業高校とともに開発した事例等を紹介する.
著者
柴田 義貞 山下 俊一 前田 茂人 本田 純久
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

低線量率放射線への長期被曝が人体に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、チェルノブイリ周辺地域住民における乳がん、甲状腺がん発生の実態について疫学調査を行った。1.乳がん乳がんの危険因子については、チェルノブイリ原発所在地のプリピャチ市を含む、チェルノブイリ30-km圏内からキエフ市に避難してきた、事故当時15-45歳の女性1997人(I群)と、事故以前からキエフ市に在住していた同年齢の女性1931人(II群)に対して、質問紙を用いて、月経・出産に関する因子、喫煙および飲酒状況、有病状況等についてウクライナ放射線医学究所と共同で調査し(I群は2003年、II群は2004年)、以下の結果を得た。I群はII群に比して、既婚の割合は小さく、離婚および死別の割合ならびに出産回数が有意に多く、閉経年齢も有意に高かった。乳がんの発生率に関しては、1982年から2001年までの20年間を4期間に分けて、ベラルーシ共和国における乳がんの年齢階級別発生率について、州別の期間間の比較および期間別の州間の比較を行った。乳がんの発生率は4期間を通じてMinsk市がほぼ全年齢階級でもっとも高く、その他の州の間には大差はなかった。また、それぞれの州では、ほぼ全年齢階級で乳がん発生率が期間を追って増加する傾向が認められた。現時点では、乳がん発生率に関して、放射線被曝の影響は認められなかった。2.甲状腺がん特定被曝集団の長期追跡調査を行い、国際甲状腺組織登録バンクの管理運営に参画し、収集した標本を基に各種免疫組織化学的解析および甲状腺がん関連遺伝子の解析を行い、次のような成果を得た。(1)ミトコンドリア遺伝子(mtDNA)の部分欠失や巨大欠損の詳細なプロファイル解析を行い、放射線被曝線量との相関関係を示唆するデータを得た。(2)新しいret/PTC遺伝子異常の再配列を発見した。(3)小児甲状腺がん組織を用いて分子生物学的解析を行い、BRAF異常に対する放射線の影響が否定的であることを示した。
著者
前田 健太郎
出版者
首都大学東京
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の公務員数が他の先進諸国に比べて大幅に少ない理由を考察した。特に、従来の研究が触れてこなかった点として、日本が経済発展の早い段階で公務員数の増加を抑制した理由を重視した。その結果、日本では政府が公務員の人件費をコントロールする制度的な手段を持たなかったことが重要な要因だという結論に至った。給与を抑制できなかったことが、政府を人員の抑制へと向かわせたのである
著者
前田 青広 福永 雅喜 中越 明日香 山本 洋紀 山本 謙一郎 田中 忠蔵 恵飛須 俊彦 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.13-18, 2003-05-02

Kanizsa型輪郭錯視では、パックマン型誘導刺激のエッジ間を補完するように主観的輪郭線が形成される.本研究では、Kanizsa型輪郭錯視図形を観察している被験者の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験は、パックマン開口部の同期を制御し、局所的な輝度変調のないブロックデザインで行った。主観的輪郭線に対する脳活動は、実輪郭線に対する脳活動と高い類似性を示した。また、脳活動は従来示されてきた線条外皮質だけでなく、線条皮質においてもロバストに観察された。さらに、錯視輪郭を形成しない誘導図形を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。上記の結果を、レチノトピー、輪郭形成過程、形態形成過程の観点から考察した。
著者
後藤 昭 村井 敏邦 三島 聡 石塚 伸一 村井 敏邦 葛野 尋之 水谷 規男 福井 厚 土井 政和 前田 朗 佐々木 光明
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

(1)全国の刑事施設および更生保護関連機関等に関する実態調査およびデータベース作成:統一的な調査を実施するため、「施設調査票」を作成し、全国的に施設参観を実施した。その他、元矯正施設職員、施設関係での訴訟を提起している当事者、弁護士等から、日本または海外の矯正施設の現状や新たな立法動向等についての聴き取りを行った。これらの調査から、刑事施設が現在抱えている最大の問題は過剰収容であり、それによって、施設運営も保安的観点が重視され、処遇面がおろそかにされるおそれがある等の状況が把握された。日本の刑罰システムに関する総合的なデータベース作成については、国内外のインターネット上で提供されている情報を利用しやすい形態にまとめた。その他、海外については、NGOの発行した年次活動報告書、欧州人権裁判所の重要判例関する資料を収集した。日本については、近代監獄改革関連事項に関する年表を2001年度分まで完成させた。(2)現行制度および運用に関する評価・分析、ならびに「対案の」提示:かつて本研究会が、拘禁二法案への対案として作成した『刑事拘禁法要綱案』(1996年)につき、改訂作業を行った(「改訂・刑事拘禁法要綱案」)。改訂に際しては、近年、日本においてもNGO活動が盛んとなりつつあることや、行政機関の情報公開に対する意識が高まっていること等、新しい社会の動向にも注目した。主な改訂のポイントは、施設内処遇に市民が協力するという形態を積極的に採用したこと、施設処遇に対する第三者機関としての市民の監視を充実させたことにある。刑事施設の抱える問題点に対する一つの回答でもあり、施設だけで処遇を担うのではなく、一般社会と連携しながら、また一般社会に対しアカウンタビリティを果たしながら施設を運営していくべきであるとの方向性を示したものである。改訂作業に加え、改訂要綱案に基づく施設運営の実現可能性についても検討を行った。そのために、数名の被収容者を想定し、入所時から出所時までのシミュレーションを作成した。(3)研究成果の公表およびシンポジウムの開催:以上の研究成果を広く公表するために、研究会のホームページを立ち挙げた。2002年3月9日には、法政大学において、「21世紀の刑事施設-グローバル・スタンダードと市民参加」と題するシンポジウムを開催した。
著者
中田 正夫 奥野 淳一 横山 祐典 長岡 信治 高野 晋司 前田 保夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.315-323, 1998-10-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
9 16

西九州には,縄文前期から縄文中期の水中遺跡が存在する.最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタティックな地殻傾動は,これらの遺跡の沈水を定量的に説明することができる.これらの水中遺跡の分布は,地球の約250kmまでの深さの粘性構造に敏感に対応した事実を示している.この地域の海面変化の観測値と理論値を比較検討した結果,観測値を説明しうる粘性構造は,リソスフェアの厚さが30~50km,リソスフェア下200kmのアセノスフェアの平均的な粘性率が(8~20)×1019Pa sであることが判明した.つまり,アセノスフェアとその下の上部マントルとの粘性率のコントラストは有意ではなく,日本列島のような島弧域においても,発達した低い粘性率のアセノスフェアは存在しないことが示唆される.さらに,ハイドロアイソスタティックな地殻傾動に規定された後氷期の海水準変動は,空間・時間的に変化し,先史時代の居住地や生活様式を規定した可能性がある.
著者
浜中 保三 前田 省吾 赤岩 道夫 岸川 央 沢江 義郎 冨永 喜久男
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.898-903, 1974 (Released:2008-10-31)
参考文献数
8

A 29 years old male patient of Lymphosarcoma with two kinds of M-Components has been described.The patient had been admitted to Shin Kokura Hospital because of lymphadenopathy of cervical, axillar and inguinal area. Biopsy of the cervical lymph node has revealed the histological finding of Lymphosarcoma.During the course of therapy with corticosteroid hormone and cyclophosphamide, two kinds of M-components had appeared in the patient's serum, and had been identified as IgG·κ and IgM·κ by immunoelectrophoresis.Serum concentration of the patient's immunoglobulin had increased three times for IgG and approximately ten times for IgM by antibody agar plate method.In ultracentrifugal analysis, however, there had been no increase of 19S component although 7S component had shown remarkable increase.The dyscrepancy between immunological measurement and ultracentrifugal analysis has been explained by the appearance of IgM with smaller molecular size than usual 19S-IgM. After clinical course of some thirty days the IgM concentration had come down to normal range accompanying the disappearance of monoclonal IgM in immunoelectrophoresis.The mechanism of the appearance of the two kinds of M-components, one of which was transient, has been discussed.
著者
佐々木 裕 磯崎 秀樹 鈴木 潤 国領 弘治 平尾 努 賀沢 秀人 前田 英作
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.635-646, 2004-02-15
被引用文献数
12

近年,大量の文書を用いて自然文によるユーザからの質問に答える質問応答(QA: Question Answering)システムに関する研究が注目を集めている.これまでいくつかのQAシステムが開発されてきたが,それらの多くは人手で作成されたルールや評価関数を用いて,質問の答えを大量の文書から抽出するアプローチをとっていた.これに対し,本論文では,機械学習技術を用いて,日本語QAシステムの主要なコンポーネントをそれぞれ学習データから構築することにより,QAシステム全体を構築する方法について述べる.具体的には,質問タイプや答えの判定を2クラス分類問題としてとらえ,質問文やその正解例から学習された分類器により,これらの機能を実現する.本アプローチのフィージビリティの確認のため,機械学習手法Support Vector Machine(SVM)を用いて学習型QAシステムSAIQA-IIを実装し,2 000問の質問・正解データによるシステム全体の5分割交差検定を行った.その結果,システムの性能として,MRR値で約0.4,5位以内正解率で約55%の正解率が得られることが明らかになった.This paper describes a Japanese Question-Answering(QA) System, SAIQA-II.These years, researchers have been attracted to the study of developingOpen-Domain QA systems that find answers to a natural language question given by a user.Most of conventional QA systems take an approach to manually constructing rules and evaluation functions to find answers to a question.This paper regards the specifications of main components of a QA system,question analysis and answer extraction, as 2-class classification problems.The question analysis determines the question type of a given question andthe answer extraction selects answer candidates thatmatch the question types. To confirm the feasibility of our approach,SAIQA-II was implemented using Support Vector Machines (SVMs).We conducted experiments on a QA test collection with 2,000 question-answer pairs based on 5-fold cross validation.Experimental results showed that the trained system achieved about 0.4 in MRR andabout 55% in TOP5 accuracy.
著者
前田 剛 有川 善久 佐藤 哲夫 藤原 勇一 中村 安雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.33-40, 2008-06-19
被引用文献数
5

超高速インターネット衛星「きずな(WINDS:Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite)」は、平成20年2月23日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット14号機により打ち上げられ、現在、初期機能確認試験を実施中である。本稿では、打上げから静止化までのクリティカルフェーズの運用結果の概要及び現在実施中の初期機能確認試験の実施状況について紹介する。
著者
前田 辰昭 高木 省吾 中谷 敏邦 高橋 豊美
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

北海道西岸沖合に産卵のため来遊するスケトウダラの魚群構造と回遊の研究は、当初計画通り実施された。昭和62年度から平成元年度の4月と10月に、後志沖合から青森県沖合の日本海で水温、塩分、餌料プランクトン等の外、航走中24KHzの魚探を作動させて、スケトウダラの分布と密度を観察した。また、中層トロ-ルによる漁獲試験と標本採集をした。この外2月には檜山沖合で本種の標識放流を実施した。1.4月の魚群は沿岸の産卵場付近では150〜300m層に、沖合では200〜400m層と、沖合ほど深い。分布域は日本海の中央部にまで達し、対馬暖流水と亜寒帯水との境界域に当る前線域に高密度群が出現した。2.10月の魚群は産卵期の接近に伴い、次第に接岸し、沿岸域で最も密度が高い。この時期は高水温のため、400〜500m層と分布層が深い。3.魚群の年齢組成は3〜8才で、それらの中心は卓越年級群の1984年生れである。3ケ年間では1989年10月が最高密度を示した。4.標識放流は昭和62年度から平成元年度までの2月に、檜山沖合で約4500尾について実施した。本研究期間内の再捕結果は、従来の知見とされた定説の北上回遊と異なり、索餌期の夏期には南下して津軽海峡に出現し、さらに新潟県沖合から富山湾沖合にまで回遊して再捕されている。しかし、産卵期には放流地点の檜山沖合でのみ再捕され、本種の回帰性の強さが示唆された。5.本種の回遊は従来、北部の武蔵堆周辺から陸棚沿に南下し、産卵後は再び北上するとされていた。しかし、本研究では、成魚は南西部沖合から接岸し、産卵後は再び南西海域に回遊することが明らかになった。今後は不明であった幼稚魚の移送先や未成魚期の生活域の把握が必要である。それは来遊量予測や資源変動の解明に不可欠なためである。