著者
篠原 康男 前田 正登
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.15096, (Released:2016-08-29)
参考文献数
39
被引用文献数
1

This study aimed to clarify the composition of the phases (acceleration, full sprint, and velocity endurance) in the 50-m sprint as performed by elementary school students, focusing on changes in running velocity. The subjects were 169 boys and 178 girls in the first to sixth grades of elementary school, who performed a 50-m sprint from a standing start. Running velocity was measured using a laser distance meter, which was synchronized with a video camera that recorded the entire sprint. It was found that the running time of the total sprint was significantly shorter and that maximal velocity was significantly higher for higher-grade than for lower-grade students. The distances of the acceleration phase and full sprint phase were significantly longer for higher-grade than for lower-grade students, but there was no significant difference in the duration of these phases by grade. However, both the distance and duration of the velocity endurance phase were significantly shorter for higher-grade than for lower-grade students. Step length in the acceleration, full sprint, and velocity endurance phases was longer for higher-grade than for lower-grade students. However, step frequency at each phase tended to be almost equal or slightly lower for higher-grade than for lower-grade students. The SL index for higher-grade boys tended to be higher than for lower-grade boys. However, for girls, there was little difference in the SL index at each phase for second-grade students or above. Taken together, the results indicate that the velocity endurance phase comprises the majority of the 50-m sprint when performed by lower-grade students. However, for higher-grade students, the velocity endurance phase is shorter due to the relative increases in the acceleration and sprint phases. This suggests that the distance of the acceleration and full sprint phases affects the distance and duration of the velocity endurance phase.
著者
前田 一之
出版者
京都教育大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

教授会の諮問的役割を明文化した平成27年4月の学校教育法改正は, 大学組織における上意下達型のガバナンスに決定的ともいえる法的正当性を付与したが, 国立大学法人化に淵源を有するこれら一連の改革は, 集権化が大学組織の経営効率を高めるという「前提」に依拠しているに過ぎず, 確たる裏付けがなされている訳ではない。「産業企業とは異なる組織特性を有する大学において, 組織構造の集権化は大学経営の質を高め得るのか」, 本研究は, かかる問題意識に基づき実施がなされたが, 研究の趣旨に照らし, 政策的誘導が相対的に生じにくい, 私立大学のみに限定した。従来, 私立大学における経営状態の規定要因を分析した先行研究では, 定員充足率や人件費比率が用いられてきたが, これら指標では, 本研究が目的とする「組織運営の効率性」を把握することはできない。そこで, 筆者は, 私立大学の財務データをもとに, DEAによる効率性分析とTobitモデルによる回帰分析を併用することで, 組織の運営効率に対する所有権構造の影響について実証的観点から検証を行うこととした。分析の結果, 組織構造は, 組織の運営効率に対して, 影響を及ぼしていないことが明らかとなった。逆に, 組織の運営効率に対して, 最も強い影響を及ぼしていたのは選抜性であり, わが国においては, 大学の威信による経路依存性が未だ根強く残っている状況が看取された。今後, 少子化が進行する中で, 大学の自助努力のみを期待する政策では, 多くの大学は自大学で統制不能な要因によって市場からの撤退を余儀なくされる可能性が高い。一方, かかる強い影響力を有する選抜性で統制してもなお, 柔軟性と革新性を志向するアドホクラシー文化が効率性に対して有意に正の影響を及ぼしていた事実は興味深く, この結果は, 米国における先行研究とも符合している。結果的に, 大学組織における中央集権的な所有権構造の有効性は否定されたといえる。
著者
加古 大貴 前田 貴彦
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.75-81, 2013-07-20

本研究は、小児看護において入院中の患児と付添い者をケアする上で、男性看護師が認識する困難を明らかにすることを目的に、小児病棟に勤務する男性看護師6名に半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。分析の結果、困難として【思春期の女児への羞恥心を意識したケアの実施】【思春期の女児との良好な関係づくり】【男性が苦手な患児のケア】【授乳や母親の入浴場面に遭遇した際の対処】【母親が抱く思いへの共感】【女性看護師とケアを交代する際の調整】の6つが見出された。また、これらの中には成人看護と共通する困難も含まれていた。しかし、〔授乳場面に遭遇した際の対処〕や〔男性が苦手な患児のバイタルサイン測定〕といった小児看護特有の困難もみられた。そして、これらの困難を軽減するためには、基礎教育や現任教育の充実とともに男性・女性看護師が協同していく必要性が示唆された。
著者
前田 麦穂 加藤 靖子 坂田 真啓 橋本 鉱市
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.133-149, 2015-03-31

The purpose of this article is to clarify the recognition to the ability formation that agency managers in training schools of six professions have ― nurses, registered dietitians, social workers, clinical psychologists, pharmacists and childcare workers. We conducted a survey to agency managers of training schools of these six professions, asking about the ability formation in their professional education. This article shows the results of quantitative analysis.
著者
松村 謙一郎 田島 平一郎 南野 毅 古賀 満明 前田 滋 矢野 右人
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1123-1127, 1987-08-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
17
被引用文献数
2

アマニタトキシン(キノコ毒)中毒による劇症肝炎の症例を報告する.45歳,男性,増強する黄疸を主訴として来院.入院時の血液生化学検査でGOT3,410IU/l, GPT 3,762IU/l,プロトロンビン時間150秒以上と著明な肝機能障害を認めた.経過中,肝性脳症II度発症したため,劇症肝炎の診断の下に治療を開始する.病歴,検査結果より典型的アマニタトキシンによる劇症肝炎と診断.血漿交換等を含む積極的治療をおこなった結果臨床症状は回復に向い,救命しえた.本邦においてアマニタトキシン中毒による劇症肝炎の報告はいまだなく,稀有な症例と考え報告する.

3 0 0 0 OA ぱいしくる

著者
前田 将希 池上 陽一郎 久保田 彰 佐藤 文宏
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.390-392, 2015-09-18

日本のドラマや漫画で甘酸っぱい青春シーンの定番と言えば,自転車 2 人乗りである.誰しも一度は憧れるが,気恥 ずかしさに邪魔をされたり,そもそも道交法違反であったりと実行に移すのは難しい.そこで本企画では,腰に回さ れる腕,予期せぬスキンシップ,ドキドキを生む不安定なバランスという 2 人乗りの必須要素を自転車型装置で再現 し,擬似青春体験を提供することを目的とする.また,女性には本企画を通して男性が求める女性の理想像に触れて もらい,参考にしてもらうことを目指す.
著者
平松 佑太 林 豊彦 前田 義信 渡辺 哲也 山口 俊光 遁所 直樹 矢島 大輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.164, pp.13-18, 2010-07-29

運動機能障がい者は,意思伝達装置,環境制御装置などの支援機器を利用すれば,より自立した生活を送ることができる.このとき,支援機器の操作に用いるのが「操作スイッチ」である.しかし,従来の操作スイッチは,不随意運動により大きく影響を受けるというが欠点あり,その結果として装置の誤動作が生じていた.それを克服すべく我々は,3軸地磁気センサを用いた新しい操作スイッチGSN/1の開発を試みてきた.このスイッチの特長には,1)固定・位置合わせが容易,2)随意異運動に対しては高感度,3)不随意運動に対しては低感度の3つがある.本研究では,1)随意運動/不随意運動の判別性能,および2)走査型オンスクリーンキーボードであるオペレートナビ^[○!R]の操作性能の2つを定量評価した.5人の健常者と1人の肢体不自由者を用いた実験より,GSN/1は,1)随意運動に近い不随意運動を入力しても誤動作しないこと,および2)オペレートナビ^[○!R]の操作における使用性が高いことの2っが明らかとなった.
著者
永井 雅人 大平 哲也 安村 誠司 高橋 秀人 結城 美智子 中野 裕紀 章 文 矢部 博興 大津留 前田 正治 高瀬 佳苗 福島県「県民健康調査」グループ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-10, 2016 (Released:2016-01-29)
参考文献数
24
被引用文献数
2

目的 東日本大震災による避難者において,生活習慣病が増加していることが報告されている。避難による生活環境の変化に伴い,身体活動量が減少したことが原因の一つとして考えられる。しかしながら,これまで避難状況と運動習慣との関連は検討されていない。そこで,福島県民を対象とした福島県「県民健康調査」より,避難状況と運動習慣の関連を検討した。方法 震災時に原発事故によって避難区域に指定された13市町村に居住していた,平成 7 年 4 月 1 日以前生まれの37,843人を解析対象者とした。避難状況は震災時の居住地(13市町村),避難先(県内避難・県外避難),現在の住居形態(避難所または仮設住宅,借家アパート,親戚宅または持ち家)とした。また,本研究では自記式質問票にて運動を「ほとんど毎日している」または「週に 2~4 回している」と回答した者を「運動習慣あり」と定義した。統計解析は,運動習慣がある者の割合を性・要因別(震災時の居住地,避難先,住居形態)に集計した。また,standard analysis of covariance methods を用いて,年齢,および震災時の居住地,避難先,住居形態を調整した割合も算出した。結果 運動習慣がある者の調整割合は,震災時の居住地別に男性:27.9~46.5%,女性:27.0~43.7%,と男女それぞれ18.6%ポイント,16.7%ポイントの差が観察された。避難先別では,男性で県外(37.7%),女性で県内(32.1%)においてより高かったが,その差は小さく男性:2.2%ポイント,女性:1.8%ポイントであった。住居形態別では,男女ともに借家アパート居住者が最も低く,避難所または仮設住宅居住者が最も高かった(男性:38.9%,女性:36.7%)。避難所または仮設住宅居住者に比し,借家アパート居住者で男性:5.4%ポイント,女性:7.1%ポイント,親戚宅または持ち家居住者で男性:2.0%ポイント,女性:4.2%ポイント,それぞれ低かった。結論 避難区域に指定された13市町村に居住していた者の運動習慣がある者の割合は,震災時の居住地および住居形態によって異なっていた一方,県内避難者と県外避難者との間では同程度であった。とくに借家アパートに居住している者における割合が低く,孤立した人々を対象とした新たな生活習慣病予防対策を立案・実行することが必要である。
著者
前田 智子 浅川 具美 森田 尚文
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1139-1148, 1999

スポンジケーキは卵の起泡性を利用した菓子であり焼成後のケーキの組織や品質に生地中の気泡が与える影響は大きいと考えられる.そこで焼成前の生地の気泡, すなわち卵泡沫にバターを直接添加し, 泡沫の性状におよぼすバター添加温度の影響を明らかにした.泡沫は, 卵黄と卵白の両者を含む混合卵泡沫 (卵黄80g, 卵白120g), 卵黄のみの卵黄泡沫 (卵黄80g, 蒸留水105.6g), 卵白のみの卵白泡沫 (卵白80g, 蒸留水40.8g) の3種類を調製した.バターの添加量は30, 50,809とし添加温度は40, 75, 98℃とした.また対照としてバター無添加のものを調製した.<BR>(1) バター添加温度が高くなると, 混合卵と卵黄泡沫の比重および気泡力変動率は小さく, 戻り液量は少なくなり気泡保持と泡沫安定性が高まった.<BR>(2) バター添加温度が高くなると, 卵白泡沫の戻り液量は多くなり泡沫安定性が低下した.<BR>(3) 混合卵泡沫の安定性には卵黄, 卵白単独ではなく, 乳化性の高いLDLを含む卵黄と, 泡沫安定性の高いオボアルブミンを含む卵白と両方の存在が必要であると考えられた.<BR>以上の結果から, 混合卵に高温のバターを添加すると乳化安定性に優れたLDLを含む卵黄が, 油脂となじみの悪い卵白泡沫の破泡を抑制する.さらに卵白よりも低温で完全凝固する熱凝固性に優れた卵黄は, 若干の熱変性を生じ, 気泡膜を強化する結果, 泡沫安定性を高めると推察される.また, 卵白泡沫は油脂 (バター) の添加によって不安定とはなるが, 本来卵黄よりも泡沫安定性の高いオボアルブミンを含む卵白の存在は, 高温のバターを添加された混合卵泡沫の安定性には不可欠であると考えられる.このような卵黄, 卵白両成分の相互作用を考えると, スポンジケーキの調製において高温のバターを添加することは卵黄, 卵白両成分を別々に取り扱う別立て法ではなく, 両者をあらかじめ混合し泡立てる共立て法に用いることが特に有効であると推察される.したがって, 共立て法により調製された生地中の気泡保持と焼成中のケーキバッターの膨化は, 高温のバターを添加することによってより高められると推察され, これは前報の結果をさらに裏付けるものと考えられた.
著者
今井 長兵衛 前田 理
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-372, 1976
被引用文献数
3 11

京都産ヒトスジシマカを用いて卵期に発育を休止する現象を実験的に検討した。1)卵をDO高濃度の水や蒸留水, くみおき水に浸すと孵化率が低いが, DO低濃度の水やクロレラを含む水に浸すと高率に孵化した。2)短日(8時間日長)で飼育した成虫からの卵は長日(16時間日長)で飼育した成虫からの卵と比較すると低い孵化率を示した。また親成虫の吸血時期をおくらせると孵化率の低下がみられた。3)うまれた卵を24時間以上の保湿の後に7日間乾燥させると, くみおき水やDO高濃度の水での孵化率が著しく低下したが, その後にクロレラを含む水やDO低濃度の水に浸すと大部分が孵化した, 6時間以下の保湿の後に乾燥させた卵は大部分が死亡した。4)長日飼育の成虫と短日飼育の成虫とからの2卵群をそれぞれ二分して7日間乾燥させた場合と浸水放置した場合とを設定し, おのおのを高低3段階のDO濃度の水につけて孵化率を調べた。いずれのDO濃度においても長日浸水放置区に比較して他の3区での孵化率の低下がみられ, 最も低かった短日乾燥区では中濃度以上のDOに対する孵化率は0%であった。以上の結果にもとづいて, ヒトスジシマカの孵化反応性とその適応的意義について考察を行なった。
著者
前田 英雄
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,食前や食後に栄養素を理解することができるように食品中のミネラルのうち磁気性をもつ鉄とビタミン C の理解を深め,可視化する教材開発を行った。食品中の鉄の有無を検証するため 23 種類の食品を灰化しネオジウム磁石との付着度合いを観察した。ビタミン Cについては,酸っぱいというイメージをもっているためビタミン C のナトリウム塩やカルシウム塩を用いる官能検査や野菜や果物切片を用いてスタンプ法によるビタミン C の検出実験を行った。
著者
奥和田 久美 前田 さち子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.544-555, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
参考文献数
4

社会技術研究開発センター(RISTEX)は,これまでに終了した研究開発支援プロジェクトの報告書を,テキストマイニングを用いて俯瞰(ふかん)的に公開できるシステムを構築した。誰でも研究開発領域内の複数の報告書にビジュアルにアクセスできるような仕組みが試みられた。さらにこれらを,領域の枠を超えた俯瞰的な分析や従来とは異なる視点からの類型化分析と併用することで,今後の領域設計などの議論の際に新たな視点が加えられようとしている。過去の知的資産を総合的に可視化することは,研究支援組織の知的継承を助け,組織の将来につながる議論を引き出すことができる。