著者
渡邉 一弘 成田 紘一 佐藤 静香 加藤 正
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.139, 2010

In multistep syntheses of complex natural products, selection of the most suitable protecting group for each hydroxy function is very important and sometimes holds the key to success. We are interested in the chemoselective deprotection to expand synthetic applicability of phenyliodine(III) bis(trifluoroacetate) (PIFA). The hypervalent iodine reagent such as PIFA is one of the promising reagent for development of environmentally benign oxidations. We describe not only the deprotection of more readily removable 3,4-dimethoxybenxyl (<sup>3,4</sup>DMB) protecting groups, but also selectivity among the three benzyl-type protecting groups, <sup>3,4</sup>DMB, <I>p</I>-methoxybenzyl (PMB) and benzyl (Bn). When the tetra-protected compound (having Bn, PMB and <sup>3,4</sup>DMB groups) was treated with 2.0 equivalents of PIFA at room temperature, the <sup>3,4</sup>DMB group was removed to give mono-alcohol with more than 97% selectivity.
著者
稲垣 宏之 杉谷 政則 瀬戸口 裕子 伊藤 良一 織谷 幸太 西村 栄作 佐藤 進 加藤 正俊 齋 政彦 山本(前田) 万里 亀井 優徳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.403-411, 2009-07-15 (Released:2009-09-01)
参考文献数
17
被引用文献数
6 6

エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3″Me)を始めとするメチル化カテキンを含有する茶品種「べにふうき」と,国内流通量の大半を占め,かつメチル化カテキンを含まない茶品種「やぶきた」の抗肥満効果を比較検討した.12週齢のC57BL/6J雄性マウス(n=10/群)に低脂肪飼料,高脂肪飼料,高脂肪飼料に2%「べにふうき」茶葉または2%「やぶきた」茶葉を添加した飼料を与えて5週間飼育した.2%「べにふうき」茶葉高脂肪飼料を摂取した群は,高脂肪対照群に対し,体重,皮下および内臓脂肪組織重量,血中レプチン濃度が有意に低減した.一方,2%「やぶきた」茶葉高脂肪飼料を摂取した群では有意な抗肥満効果は皮下脂肪組織重量のみで観察され,相対的に抗肥満効果が弱かった.また工業的利用性の高い「べにふうき」熱水抽出エキスを1日1回体重1kg当りのカテキン総量として100mg,50mgおよび25mgを強制経口投与した結果,用量依存的な抗肥満効果が認められた.以上の結果より,「べにふうき」は「やぶきた」よりも強い抗肥満効果を示し,その効果は用量依存的であることが明らかにされた.また,「べにふうき」の強い抗肥満効果は,EGCGよりも吸収性および血中滞留性に優れたEGCG3″Meを始めとするメチル化カテキンが特異的に含まれているためと考えられた.
著者
藤井 壮司 田中 寛 酒井 達也 喜多 由加里 加藤 正貴 土田 隼太郎
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第25回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2009 (Released:2010-04-21)

【はじめに】変形性股関節症に至るケースとして,先天性股関節脱臼の既往や臼蓋形成不全が因子としてあげられる.これら疾患は両側性に発症することが多い特徴があるため両側への治療の必要性が高いと考えられる.今回,臼蓋形成不全と診断され片側股関節痛を訴える症例に対し治療を行ったので報告する.【症例紹介】症例は26歳女性.先天性股関節脱臼・装具治療の既往歴がある.平成16年頃より左股関節に違和感出現.平成18年頃からは右寝返りの際に,左股関節前面に疼痛,脱臼感が出現する.現在は椅子に座り靴を履く時に脱臼感が出現する.【理学・X-P所見】骨盤後傾/前傾(右/左),筋力評価では左股関節周囲筋に低下を認めた.しかし,右外旋筋のみ左より低下.ROMでは股関節外転30°/25°,内転5°/0°,SLR(外旋位)70°/75°.Thomas Test陰性/陽性,片脚立位時の動揺(右<左).歩行では左下肢への重心移動が不十分.CE角23°/21°.臼蓋荷重面に軽度の骨硬化・骨棘がみられる.関節裂隙の狭小化・骨頭の変形はみられない.右大腿骨骨頭が外上方に偏位.【治療・経過】右外側hamstrings stretch,左腸腰筋stretch,左深部外旋筋再教育を施行.結果,骨盤のアライメントの改善,右外旋筋の筋出力向上,左内転可動域拡大,更に歩行でも左下肢への重心移動が改善され,靴を履く際の疼痛も軽減した.【考察】本症例において疼痛側だけでなく,反対側に対しても治療を行い疼痛軽減が図れた.理学・X-P所見から,右内転筋優位により骨頭が外上方に偏位し,さらに骨盤後傾により骨頭の被覆率が下がっていると考え,骨盤のアライメント改善から右大腿骨骨頭のアライメント改善を図った. 右骨盤の前傾が得られ,左股関節屈曲筋群の過緊張が軽減される事で立位歩行時の股関節の伸展が出やすくなる事で,左側への重心移動が改善された.【まとめ】両側性に発症する疾患に対しては,片側のみに症状が出現している症例においても両側を治療することで,疾患の進行を遅らせる効果が大きいと考えられる.
著者
小嶋 知幸 宇野 彰 加藤 正弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.172-179, 1991
被引用文献数
4

&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;漢字の障害が軽度で,仮名に重度の障害を呈した失書症例1例に対して2種類の訓練法を適用し,訓練効果の比較検討を行った。1つは写字だけの訓練,1つは仮名1文字を,同一の音で始まる漢字1文字と対連合学習させる訓練 (キーワード法訓練) である。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;その結果,写字訓練は効果が訓練期間中のみに限定され,定着が困難と思われた。一方,キーワード法訓練は高い効果が認められ,しかも訓練終了後もself generated cueとして定着,実用化する可能性が示唆された。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;この訓練法は,漢字想起の処理過程を利用した仮名の想起方法であると考えられた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;障害された処理過程への直接的訓練より,比較的良好に保たれた処理過程をバイパスルートとして活用する訓練の方が有効であったことから,本症例の仮名文字の想起障害は,字形のエングラムそのものの障害ではなく,エングラムヘのアクセスの障害と考えられた。
著者
井上 宗宣 阿部 敏明 岩崎 克彦 加藤 正
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.29, pp.108-109, 2003

ナランタリド(<b>1</b>)は、2001年、メルク社のグループにより真菌(<i>Nalanthamala</i> sp. MF 5638)より単離、構造決定された電位依存性カリウムイオンチャンネルKv1.3阻害活性を示し、新しい作用機序を有する免疫抑制剤としての可能性が示唆されている天然有機化合物である。我々は、ナランタリド(<b>1</b>)の医薬的な価値に注目し、本化合物の効率的かつ柔軟性に富んだ合成法を開発することを主な目的として合成研究を開始した。今回、光学活性なナランタリドの全合成を初めて達成したのでその経緯につて報告する。 出発原料として光学活性なウィーランドミッシャーケトン類縁体(<b>2</b>)を用い、14段階を経てホモプレニル部を導入した化合物<b>3</b>を合成した。続いて、[<i>2, 3</i>]-Wittig転位(<b>3</b>→<b>4</b>)によりエキソオレフィン部の導入および5位の不斉中心を構築し、ピロン環(<b>6</b>)とのカップリング反応(<b>5</b>+<b>6</b>→<b>7</b>)を鍵段階として、光学活性なナランタリド(<b>1</b>)の合成に成功した(Scheme 1)。
著者
安藤 正規 鍵本 忠幸 加藤 正吾 小見山 章
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.286-294, 2016-12-01 (Released:2017-02-23)
参考文献数
43

落葉樹林に生育する樹上性の半寄生植物であるヤドリギ (Viscum album L. subsp. coloratum Kom.) の分布に,林冠構造が与える影響を検討した。落葉樹林に170×190m のプロットを設置し,各立木 (胸高直径≧20cm) のヤドリギの有無を記録した。立木位置,樹冠投影面積,樹高,梢端高 (樹高+標高) をもとに,解析木からある距離の円内に存在する立木本数を,各解析木の孤立や突出の指標とした。各解析木周囲の立木本数とヤドリギの分布との関係を調べるために,一般化線形混合モデルによるロジスティック回帰分析を行った。解析木周囲の立木本数の増加は,ヤドリギの存在に有意な負の効果を示した。梢端高を考慮しない立木本数のカウント方法に比べ,解析木より梢端高が高い立木のみを対象としたカウント方法においてモデルの妥当性が高かった。落葉樹林において,樹冠の孤立と突出が,ヤドリギの分布を決める重要な要因であると考えられた。ヤドリギの分布は林冠木の空間獲得競争に関係していることが示唆された。
著者
亀谷 哲治 津吹 政可 日暮 勝之 加藤 正 本多 利雄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 27 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.176-183, 1985-09-07 (Released:2017-08-18)

The stereocontrolled synthesis of steroid side chain has been developed. The major interest has been forcused on the synthesis of the side chain of ecdysone as well as crustecdysone from 20-oxosteroid via furan derivatives. Reduction of the olefin (21) over palladium-carbon afforded the (20S)-20-furylsteroid (22), stereoselectively, whose hydrogenation over rhodium-alumina, followed by ruthenium tetroxide oxidation and treatment with methylmagnesium bromide, gave the triols (28) and (29) having an ecdysone-type side chain, respectively. The stereoselective reduction of the lactone (33) as a key reaction to give the δ-lactone (35) and the γ-lactone (36), under various conditions has also been investigated. Grignard reaction of both lactones with methylmagnesium bromide led to the synthesis of the tetraol (37) possessing a crustecdysone side chain. The total synthesis of 2-deoxycrustecdysone (3) has also been achieved by application of the above method.
著者
北條 具仁 船山 道隆 中川 良尚 佐野 洋子 加藤 正弘
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.434-444, 2009-12-31 (Released:2011-01-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

脳損傷後に距離判断が困難となった症例の報告は非常に少ない。今回われわれは,脳損傷後に距離判断が困難となった 2 症例 (1 例目は右頭頂-後頭葉の脳出血,2 例目は両側頭頂-後頭葉の脳梗塞 )を報告する。本 2 症例は,Holmes の提唱したvisual disorientation (1 例目は不全型)を呈し,その1 症状として距離判断の障害が出現していた。過去の報告例における距離判断の障害の根拠は主に主観的な訴えであったが,われわれはより客観的な距離判断の障害を検出する目的で,1 例目の症例に対して,大型車や 2 種免許を取得・更新する際に用いられる距離判断の検査機種 (KowaAS-7JS1) を用いて距離判断の検査を行った。その結果,健常者群および左半側空間無視群と比較して有意な成績の低下を認めた。本 2 症例および過去の報告例から,距離判断の神経基盤は,右側を中心とした頭頂-後頭葉の後方,すなわち,上頭頂小葉,下頭頂小葉後部,楔部にある可能性が考えられた。