著者
亀谷 哲治 津吹 政可 日暮 勝之 加藤 正 本多 利雄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.176-183, 1985

The stereocontrolled synthesis of steroid side chain has been developed. The major interest has been forcused on the synthesis of the side chain of ecdysone as well as crustecdysone from 20-oxosteroid via furan derivatives. Reduction of the olefin (21) over palladium-carbon afforded the (20S)-20-furylsteroid (22), stereoselectively, whose hydrogenation over rhodium-alumina, followed by ruthenium tetroxide oxidation and treatment with methylmagnesium bromide, gave the triols (28) and (29) having an ecdysone-type side chain, respectively. The stereoselective reduction of the lactone (33) as a key reaction to give the δ-lactone (35) and the γ-lactone (36), under various conditions has also been investigated. Grignard reaction of both lactones with methylmagnesium bromide led to the synthesis of the tetraol (37) possessing a crustecdysone side chain. The total synthesis of 2-deoxycrustecdysone (3) has also been achieved by application of the above method.
著者
加藤 正博 稲葉 美代志 板鼻 秀信 大原 英治 中村 好一 上里 新一 井上 博之 藤多 哲朗
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.288-292, 1990
被引用文献数
2

Twentythree crude drugs and related plants were examined for their anticoccidial activity by the use of the experimental coccidiosis in chicken. The activity was found in the dry leaves and calyxes of some Hydrangea plants. As the active components of H. macrophylla subsp. macrophylla forma macrophylla, febrifugines were isolated which have been known to be contained in Dichroa febrifuga and H. umbellata. However, although the febrifugines in the latter two plants were reported to be mainly trans, in the H. macrophylla plants, cis-febrifugine was found to be a major component and the trans-counterpart, a minor component. Furthermore, the cis-isomer showed no anticoccidial activity in chicken even at the concentration level of 25 times the effective dose (3 ppm, IE=100) of the trans-isomer.
著者
福島 圭亮 加藤 正史 市村 正也 兼近 将一 石黒 修 加地 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.56, pp.23-28, 2007-05-17
参考文献数
9

窒化ガリウム(GaN)は高出力,高周波デバイスへの応用が期待されており,GaNのバイポーラデバイスプロセスにおいてエッチング工程は不可欠である.GaNのエッチング技術としてプラズマエッチングの1つであるICP(Inductively coupled plasma)エッチングは有効であるが,試料表面にダメージ層を形成することがわかっている.本研究ではICPエッチング処理を施したGaNに対し,マイクロ波光導電減衰(μ-PCD)法により過剰キャリアライフタイムを測定した.減衰曲線の温度依存特性を測定することでICPエッチングダメージが導入する欠陥準位の特性を評価した.そしてICPエッチング処理を施したGaNにアニール処理をし,アニール温度による過剰キャリアライフタイムの変化を観測することでアニールの効果を議論した.
著者
加藤正恭 小川秀人
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.249-251, 2011-03-02

大規模組込みソフトウェア開発では,機能追加や変更による影響範囲特定が課題である。従来の影響分析では,まず変更点ごとに影響が波及しそうな機能に目安をつけて絞込み,そのあとで実際にどんな影響があるかを人手で分析していた。しかし,大規模なソフトウェアの場合は人手による影響分析では工数がかかる。本研究では,ソースコードから変数と関数の依存関係に関する情報を自動的に抽出し表形式(CRUDマトリクス)で可視化する手法を開発した。CRUDマトリクスを用いてレビューを行なうことにより,影響分析工数を削減することができるようになった。
著者
清水 康裕 鈴木 亨 才藤 栄一 村岡 慶裕 田辺 茂雄 武満 知彦 宇野 秋人 加藤 正樹 尾関 恩
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.527-533, 2009
被引用文献数
8 16

対麻痺者の歩行再建には骨盤帯長下肢装具が用いられている.装具は,関節の自由度を制限することで立位や歩行の安定を得る.しかし起立・着座の困難や歩行時の上肢への負担が大きく,実生活での使用に限界があった.股・膝・足関節に屈曲伸展自由度と力源を有する歩行補助ロボットWPAL(Wearable Power-Assist Locomotor)を開発中であり,予備的検討として,従来装具であるPrimewalkと比較した.1)対麻痺者3名において,歩行器を用いての起立・着座の自立度と歩行距離を比較した.装具では介助や見守りを要した例を含め,WPALでは3 名とも起立・着座と歩行が自立した.連続歩行距離はPrimewalkの数倍であった.2)練習期間が最長であった対麻痺者1名でトレッドミル上の6 分間歩行における心拍数,PCI,修正ボルグ指数,体幹の側方方向の動揺を比較した.心拍数,PCI,修正ボルグ指数が有意に低く,体幹の側方動揺が有意に少なかった.下肢に自由度と力源を付与したWPALは対麻痺歩行再建の実現化を大きく前進させるものと考えられた.
著者
太田 信夫 加藤 正 向後 博 布田 由之 望月 一男 永田 善郎 河路 渡
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.183-188, 1976

日常診療において, 腰痛患者に接することは多く, 腰椎レントゲン上, 移行椎を見る事もまた多い。古くより両者の因果関係が多く論じられて来ているが, 今回少数ではあるが, 腰痛者, 非腰痛者の腰椎レントゲン写真を比較検討し, 腰痛と移行椎がはたして, かかわりあいを持つものかどうか改めて統計的考察を試てみたいと思う。
著者
堤 怜介 加藤 正治 小坂 哲夫 好田 正紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.305-313, 2006-02-01
被引用文献数
4

本研究では話し言葉の音声認識で問題となる各種変動要因のうち,不明りょうな発音などを中心とした発音変形の問題について検討する.一般に発音変形への村処として,一つの表記に対し想定される読みを複数登録する方法がとられる.しかし単純に読みを増加させるとマッチングの対象が増加し,逆に認識時に悪影響を及ぼす.そこで本研究では発音変形の言語的な偏りを利用するため,発音変形を考慮した形態素解析データに基づく言語モデルを提案する.以上を実現するため,「日本語話し言葉コーパス」(CSJ)の書き起こしテキストを利用して,約95万語からなる発音変形のエントリを含む学習テキストを作成,それに基づき言語モデルを学習する.CSJに含まれる講演音声の認識実験を行い,4講演の平均で単語誤り率(WER)の改善率は26.5%を達成し,話し言葉の認識においては,発音変形への対処が重要であることを示した.また言語モデルや音響モデルの教師なし適応法を導入することにより,更なる性能向上を目指した結果,WERが適応なしの場合の21.8%から,言語モデル及び音響モデルの教師なし適応を行った場合で17.6%に減少した.
著者
久保 敦士 一柳 保 國立 晃成 岡本 潤 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.514-521, 2022-06-20 (Released:2022-06-30)
参考文献数
19

背景:院外心停止(OHCA)の社会復帰率を改善させるため,わが国の蘇生ガイドラインでは,OHCAの胸骨圧迫率(CCF)80%以上を目指すことが示されている。目的と方法:搬送中のCPRが困難な場所における用手CPRと機械式CPRを比較し,その質を評価する。 消防学校の救急科学生を対象に,OHCA想定実習で実施した。結果:狭隘通路および階段におけるCCF 80%以上の割合は,機械式CPR群では40%(11/28)に達しているのに対し,用手CPR群では14%(4/28)であった。現場活動時間も機械式CPR群は用手CPR群と比べて短かった(p<0.05)。結論:搬送中CPRが困難な場所では,機械式CPRが目標値のCCFおよび現場活動時間の短縮に有用であることが示唆された。
著者
藤田 浩二 岩崎 安博 宮本 恭兵 米満 尚史 八子 理恵 上田 健太郎 中尾 直之 加藤 正哉
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.165-173, 2020 (Released:2020-12-23)
参考文献数
13

和歌山県では和歌山県立医科大学附属病院(以下,当院)に2003年1月からドクターヘリが導入され,積極的な救急医療活動を展開している.当院を起点としたドクターヘリが脳梗塞治療に寄与しているかを検証すべく,2011年7月より2017年12月の6.5年間で当院救急外来に搬送,入院に至った脳梗塞症例1479例を搬送手段別にドクターヘリ113例,救急車1039例,直接来院327例の3群に分け患者背景,治療成績を検討した.来院時年齢はドクターヘリ群(平均79.3歳)が他の2群に比し有意に高齢,病型はドクターヘリ群が脳塞栓(60.2%),直接来院群はラクナ梗塞(51.7%)が有意に高頻度であった.来院時NIHSSもドクターヘリ群(平均15.8)が他群に比し有意に高く,来院時重症であった.発症から来院までの時間はドクターヘリ群が有意に短く(平均210.3分),その結果アルテプラーゼ静注療法や急性期血行再建術の施行頻度も他群に比し有意に高かった.また和歌山県内を2次保健医療圏別に分け解析すると,ある医療圏では過半数の症例で当該医療圏内への患者病院搬送後に,当地の医師の判断で高次の治療目的に当院へのドクターヘリ搬送を要請,すなわち施設間搬送がなされていた.その一方で別の医療圏では施設間搬送依頼は極めて少なく,ほとんどが現着した初動救急救命士の判断で現場よりドクターヘリが要請されていた.このように医療圏によりドクターヘリ要請目的が大きく異なることが明らかとなった.本検討で和歌山県ドクターヘリは,遠隔地域の脳梗塞患者に対するアルテプラーゼ静注療法や血行再建術等の早期治療介入に寄与していたことがわかった.和歌山県ドクターヘリが拠点病院を核とする脳卒中診療体制を補完するには,地域毎に異なるドクターヘリ要請目的に応需する“柔軟性”の継続が重要である.
著者
加藤 正也 佐藤 雄也 中山 幸量 奥谷 真由子 福島 啓太郎 黒澤 秀光 吉原 重美
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.50-52, 2019 (Released:2019-04-12)
参考文献数
7

高リスク群の神経芽腫の治療において輸血は重要な補助療法である.小児領域で輸血を行うためには親権者から承諾を得る必要があるが,宗教的な理由で拒否した場合は親権停止の申立を考慮する必要がある.しかし,この行為は親権者と医療従事者との関係を悪くさせる可能性があり,神経芽腫の児の治療にとって望ましくない環境である.高リスク群の神経芽腫である18か月男児が入院した.両親は宗教的な理由で児への輸血を拒否した.医療ソーシャルワーカー(SW),児童相談所と連携し患児を一時保護で入院させた.輸血同意書を含めた全ての承諾書は児童相談所長がサインすることで両親から加療をする承諾を得た.親権停止の手続きは行わず,医療者と両親間のトラブルもなく予定通りの加療を行った.
著者
上田 健太郎 岩﨑 安博 山添 真志 川副 友 川嶋 秀治 山上 裕機 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.141-148, 2013-03-15 (Released:2013-05-29)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

【目的】壊死型虚血性大腸炎は全虚血性大腸炎の約10%と頻度は低いが予後が悪く,診断した時点で壊死粘膜を含めた広範囲の腸管切除の緊急手術が必要である。しかしながら,はっきりとした診断基準がなく手術時期が遅れることが多いのが現状である。我々は壊死型虚血性大腸炎の救命率改善のために早期診断基準と予後因子の検討を行った。【対象】2002年から2010年までに経験した壊死型虚血性大腸炎手術症例24例を対象とした。【結果】平均年齢は77.4歳と高齢であり,男性15例,女性9例であった。基礎疾患として全例が動脈硬化性疾患を有していた。術前現症は16例に腹膜刺激症状,10例に下血,12例にイレウス症状を認め,11例で急性期DIC,9例でショック,17例で代謝性アシドーシスを伴い全身状態が不良な症例が大半であった。また全例でSIRS(systemic inflammatory response syndrome)陽性・21例で血中乳酸値の高値を認める特徴があり,発症から手術までの時間が24時間以内だったのが12例(50%)であった。術中所見として,穿孔は7例に認め,壊死範囲は全結腸型(病変が回盲部・肝弯曲部・脾弯曲部・SD junctionのうち3箇所以上にまたがる)5例,限局型19例(右半結腸4例,左半結腸15例)であった。術式は壊死病変部切除および人工肛門造設術が23例,一期的吻合術が1例で,救命率は58.3%であった。上記の因子と血液検査のデータに対し単変量解析を行った結果,発症から手術までの時間(24時間以内vs.以上),年齢,PT-INR値が予後因子であり,これら3因子によるLogistic回帰分析を用いた多変量解析により発症から手術までの時間が独立予後因子であった(p<0.05)。【結語】動脈硬化性疾患を有する高齢者では腹部所見が乏しくてもSIRS陽性・血中乳酸値の上昇を認める場合,壊死型虚血性大腸炎を念頭に診療することが重要である。また本症の独立予後因子は“発症から手術までの時間が24時間以内”であり,早期診断,緊急手術により救命率が改善すると考えられる。
著者
加藤 正宏 山中 俊夫 小林 知広 渡部 朱生
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.285, pp.17-27, 2020-12-05 (Released:2021-12-05)
参考文献数
14

大面積の窓を有するエントランス・吹抜空間や,窓性能が低く暖房時に窓近傍の温熱環境悪化が懸念される場合にはペリメータファンおよび自然対流型ペリメータヒータなどの窓対策設備の使用が検討される。本報告では冷却された窓面下部に機器を設置した場合の詳細な現象の把握とシミュレーション検証データ取得を目的とした温度分布およびPIV による風速分布測定を行った。また,特に上下温度分布予測モデルの検証やモデル化に反映するため,窓面近傍の上昇流・下降流風量の推定と,室温・窓面熱流の測定値より,対流・放射熱伝達率を算出した結果について報告する。
著者
佐藤 清貴 加藤 正人
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.352-357, 2009-07-15 (Released:2009-08-10)
参考文献数
48
被引用文献数
1

脳保護を目的とした全身低体温療法は1955年から行われている. 体温30℃以下での脳外科手術が多くの症例で行われたが, 循環合併症が多く, 1970年頃から行われなくなった. 1987年, 軽度低体温の脳保護効果が実験的に示され, 1990年頃から臨床応用された. 脳動脈瘤手術, 頭部外傷, 脳梗塞, 蘇生後脳症などで軽度低体温管理が行われ, 2001年以降大規模臨床試験の結果が発表された. 心停止後の蘇生後脳症, 新生児低酸素脳症では有効性が確認されたが, 脳動脈瘤手術, 頭部外傷ではnegativeの結果であった. 脳温の低下は脳保護的に作用することは明確であるが, 全身の体温低下は感染, 出血など合併症の原因となり, 最終的な予後を必ずしも改善しない. 現在のところ, 短期間の軽度低体温は蘇生後脳症などで適応となる. 脳局所の温度下降が可能となれば, さらに有効な治療手段となる可能性がある.
著者
星 宣次 折笠 精一 吉川 和行 鈴木 謙一 石戸谷 滋人 伊藤 明宏 近藤 丘 今井 克忠 木崎 徳 鈴木 康義 加藤 正和
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.46-52, 1997-01-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
20

(背景と目的) 腎癌肺転移切除例を検討し, その有用性と手術適応を明らかにする.(対象と方法) 1981年より1994年末までに腎癌肺転移の切除術を行った17例 (男性14例, 女性3例) を対象とした. 肺転移手術時の年齢は, 45歳から73歳で平均年齢61歳. 原発巣術後に肺転移が出現したのが11例, 6例は腎癌診断時肺転移があり, 3例は肺手術を, 3例は腎摘を先行した. 他臓器転移が4例に見られ, 脳転移摘出, 対側腎転移に対する腎部分切除, 胸壁と肋骨転移部切除, 対側副腎転移の切除がそれぞれ行われた. 肺の片側手術例14例, 両側手術例が3例であり, 12例に肺部分切除が行われ, 5例に肺葉切除術が行われた.(結果) 肺手術後生存期間は10ヵ月から10年9ヵ月で, 肺手術による合併症は認められなかった. 疾患特異的生存率, 無病生存率はそれぞれ5年で55, 48%, 10年で27, 14%であった. 癌なし生存例はすべて10個未満の肺転移例であった.(結論) 腎癌の肺転移切除により長期生存例が得られ, 症例によっては大変有用であった. 肺転移数が10個未満の症例に予後良好例が認められた.
著者
加藤 正信
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.42, pp.31-46, 1962-10-31 (Released:2010-11-26)

As an experiment in linguistc geography, the writer takes up in the present paper the distribution of a variety of forms denoting salix caprea in the Island of Sado. This word may not belong to the basic Japanes vocabulary, nor can its variation constitute such an important dialectological feature as the word for “bought”, which divides Japan into two areas, one (east) with the form katta and the other (west) with the form kota. Even the conclusion about the changes the word has undergone in that island may have little significance in itself. The writer's aim here is to present the procedures that have led him to his conclusion and invite critical comments from his colleagues.In actual field work, the writer was assisted by Mrs. Sadako Kato. They visited almost all the communities (160 communities in all) in the island except the northern region, from 1959 to 1962. In each community, they examined one informent, who was native to the community and born in the Meiji Era i. e. before 1912. As a result of the survey, 34 different forms have been recorded. If we represent these forms on the maps as they are, their distribution would look so complicated that it would be impossible to know where to draw a dividing line. Matters can be made much simpler, however, by classifying our forms into two groups, one containing the element inu ‘dog’ and one containing the element neko ‘cat’. Thus we find the ‘dog’ group distributed in the central part, and the ‘cat’ group along the seacoast.With respect to the history of the island, we know that it was the central part that was prosperous untill the sixteenth century, and, only later, important lines of communications developed along the coast. On the other hand, the ‘dog’ group contains certain forms affected by a law of vocalic change that must have been completed in the seventeenth or eighteenth century. These two considerations have led the writer to the conclusion that the ‘dog’ group belong to an older layer than the ‘cat’ group. If so, how did some forms of the ‘dog’ group come to be replaced by those of the ‘cat’ group? In order to answer this question, the writer reconstructs an approximate process of innovation on the basis of further material provided by his map, and considers factors involved in each case.
著者
加藤 正春
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.209-229, 2000-12-30 (Released:2018-03-27)

かつての沖縄では,若者の死の直後に若者仲間が墓に赴き,歌舞音曲をともなった伽をする習俗がみられた。ワカリアシビー(別れ遊び)などと呼ばれたこの儀礼は,死んだ若者のモーアシビー(野遊び。青年男女の野外交遊のこと)仲間が夜毎に墓前に集い,そこで一時を遊び過ごすものであった。儀礼はほぼ一週間ほど続けられたが,いくつかの報告では,幕内から死者の棺箱を出したり,その蓋を開け,死者を座らせて行われることもあったとされている。また,墓前の仮小屋に短く織った手拭い(いんきや織りの手さじ)を飾って集う例も報告されている。儀礼は昭和時代に入ると行われなくなった。本稿では,19例の報告事例の検討から,この儀礼が野遊びの形態をとって死後に行われる若者仲間の追悼儀礼であり,幕内の死者の霊魂を幕前に招き出して行う,生者と死者との直接交流・交歓であることを明らかにする。若者たちが墓前に集まり,棺箱を墓から引き出すのは,死者に近づいて交流しようとする意図であり,短い手拭いをさげるのはそれを霊魂の依代として用い,そこに寄り憑いた死霊を実感するためである。また,引き出した棺箱を開け,死者を座らせるのは,生前と変わらぬ形で死者と直接に交流しようとする試みである。ただし,このような儀礼行為の前提には死の認識があり,死体の変化に対する人々の知識と経験が存在する。なお,儀礼には死霊の危険性に対する忌避観念が表出されていないようにみえる。これは,若者たちが死んだ仲間を追悼するために,死霊の危険性を受け入れた上で儀礼を行っているからである。それは,若者仲間の同輩結合の強さを示すものである。
著者
江村 恒一 加藤 正隆 渡辺 英治
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1102-1107, 2022 (Released:2022-10-11)
参考文献数
13

思い込みや動静不注視などの交通事故要因には,人の予測特性が作用していると考えられる.本稿では,大脳皮質の動作原理として有力な仮説のひとつである予測符号化理論を組み込んだ深層学習機を用いて,運転において人の視覚が走行環境をどのように予測しているかをシミュレーションする新しいアプローチを提案する.
著者
加藤 正隆 江村 恒一 渡辺 英治
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1108-1113, 2022 (Released:2022-10-11)
参考文献数
15

思い込みや動静不注視などの交通事故要因には,人の予測特性が作用していると考えられる.本稿では,人の視覚をシミュレートする深層学習モデルを用いて,実際の走行映像から人が認知したであろう映像を生成し,実際の映像と比較分析することで,交通ヒヤリハットに影響を及ぼし得る人の予測特性の知見を得たので報告する.