著者
加藤 輝之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.395-398, 2007-05-31
参考文献数
10
被引用文献数
3
著者
高桑 いづみ 勝木 言一郎 加藤 寛 樋口 昭 竹内 奈美子
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

三年間にわたって、地方の寺社や博物館が所蔵する雅楽・能楽の鼓胴を中心に調査をおこない、多くの収穫を得た。特筆すべきことは、雅楽から能楽へ至る過渡期の鼓胴を発見したことである。先回、科学研究費の交付を得て実施した「雅楽古楽器の総合的調査研究」でも石上神宮を神谷神社で発見したが、それとほぼ同形態のものを京都府日吉町、飛騨古川の荒城神社でも発見した。この四カ所の鼓胴は法相華文のかわりに黒漆を施し、雅楽鼓特有の鬘(乳袋上に突起した環)の代わりに線を彫り込んだ特異な形態で、線刻がなければ能の鼓胴、と言えるほど能の鼓胴に近い。荒城神社蔵の一筒を除くと規格もほぼ一定で、過渡期の段階である程度形態の規格化が進んでいたことがうかがえる。さらに福山市沼名前神社では、能への転用を意図してこの線刻の鼓胴に蒔絵を施したものを発見した。雅楽・中世芸能から能の囃子へ、鼓胴の流れを示す貴重な作例である。次に大きな発見は、平成10年に五島美術館で行われた「益田鈍翁展」に出品された「伎楽鼓胴」である。かつてない大きな法量の鼓胴で、「四ノ鼓」の遺品であろうと考えられる。今まで各称のみで実態が知られていなかっただけに、その発見意義は大きい。今回は能楽鼓胴、その他の雅楽鼓胴や鞨鼓、坐太鼓の調査も行ったが、新たな発見が多かった。
著者
加藤 伸彦 佐藤 直樹 和田 龍彦 黒田 聡 米岡 宗臣 佐々木 努
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

医療者の職業感染の防御に重要な役割を担っている手術用手袋の術中破損について検討を行い,その主要結果について本学会誌等をとおして報告してきた.とくに,演者らの研究グループで開発された三端子法を用いた高精度電気インピーダンス測定法の実用性の確立化,またこれを用いた手術用手袋の経時的変化,すなわちピンホール開穴の有無とその程度などの検討結果から、手術時間が2時間を超えると手袋にピンホールが発生しはじめ,6時間を超えると30%以上の手袋がバリア性に破綻をきたすことを証明した.感染防止を考えるとき,手術使用による手袋の材質変化,とくに手袋の化学的かつ経時的変化に関する検討は,無視することのできない重要課題である.本報告では,残された問題の一つである手術用手袋の経時的な厚みの変化,すなわち手術中の血液,脂肪成分等を含む体液の浸食により,手袋の厚みがどのように変化するかを検討した.その結果,いくつかの新知見を得たので報告する.なお,測定対象の手袋は,当院手術部にて手術に使用した使用済み手袋で,手術時間別の数十検体について,マイクロメータを使用してその厚さを測定した.比較対象の未使用手袋については,厚さ測定の結果から,無負荷時(テンションを加えていない状態)で220〜270μ(使用上を考慮して指部・手掌部・裾部では異なる),使用時の最も伸展した状態を想定(約5kg負荷)した場合では120〜170μであった.厚みの経時的変化に関するデータ蓄積は,手術時の手袋のピンホール開穴時期を考慮するときの主要情報の1つであることが明確となった.
著者
村山 敬 工藤 晋太郎 櫻井 健 水野 謙 加藤 紀夫 上田 和紀
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_47-2_77, 2008 (Released:2008-06-30)

LMNtalは階層グラフ書換えに基づく言語モデルであり,リンク構造による接続構造と膜による階層構造の表現・操作機能によって,動的データ構造や多重集合書換えを扱うプログラムを簡潔に記述することができる.LMNtalは書換え規則の適用を単位とする細粒度の並行性をもっており,正しく効率的な実装方式は自明でない.そこで言語処理系をJavaを用いて開発し,効率をできるだけ犠牲にせずに正しく動作する実装方式を確立した.処理系は中間命令列へのコンパイラ,その解釈実行系及びJavaソースへのトランスレータからなり,他言語インタフェースをはじめとするさまざまな有用な機能を備えている.複数の膜を貫くリンク構造を正しくつなぎかえるための処理や,複数の膜にある書換え規則を正しく非同期実行させるための工夫も行っている.本論文では,処理系開発において主要な技術的課題となった階層グラフ構造の保持方法,中間命令体系,安全な非同期実行方式等を中心として,公開中のLMNtal処理系の設計と実装について論じる.
著者
加藤 尚吾 古屋 雅康 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-14, 2004
参考文献数
25
被引用文献数
8

不登校児童生徒11名を対象に,電子メールカウンセリングを実施し,実施前と後で不登校状態を比較したところ,ほぼすべての児童生徒に改善がみられた.そこで,電子メールカウンセリングが不登校状態の改善に果たした役割を検討した.児童生徒が送信した電子メール文の内容分析の結果,改善の大きかった児童生徒の電子メール文中の「学校・学習関連」,「友達関連」語が,改善の小さかった児童生徒よりも多かった.また,それらは前半に送信した電子メールに比べ,後半に送信した電子メール文中により多かった.保護者へのアンケート及びカウンセラーヘのインタビューから,電子メールカウンセリングのための家庭へのパソコンの導入が家族の共通の話題を生み,家庭内のコミュニケーションが増加したことが分かった.また,インターネットを使って興味の対象を深く調べたり,パソコンを使って自己表現をしたりと,児童生徒の活動方法が広かったことが分かった.
著者
奉 鉉京 加藤 鉱三
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は類似する母語(日本語・韓国語)話者による英語前置詞の第二言語習得研究である。理論的方針として、英語の前置詞と日本語・韓国語の助詞を、意味的・統語的考察から、プトロタイプ理論に基づく習得仮説(Prototypicality Hypothesis)と生成文法に基づく言語習得仮説(Economy-Driven Development Hypothesis)を2つの実験研究を通じて検証した習得実験研究では、各々の中間言語、つまり、日本語・韓国語を母語とする学習者のL2としての英語の前置詞の心的標示を3つの構築段階に分けて記述し、母語の影響、習得難易度などについて議論しながら、経済性に統率された習得仮説の優越を提訴した
著者
加藤 光男 關 淳一 川勝 平太
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.401, pp.78-81, 2006-06-09

川勝 万博で元気になった名古屋などに比べて,大阪は少し取り残されたような状況にありました。しかし,ここへきてビッグプロジェクトが相次いで動き出してきたようですね。關 今後1〜2年で大きな動きがあります。大阪駅の北ヤードでは,現在,先行開発地区の事業者募集を進めており,これから再開発がスタートします。
著者
井口 征士 奥山 雅則 加藤 博一 佐藤 宏介 沼田 卓久 千原 国宏
出版者
大阪大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

研究計画調書・研究交付申請書に基づき、三次元立体物の画像認識のために非常に有効なデータである三次元画像を超高速に計測するICチップセンサを回路シミュレーションとディスクリート回路によるプロトタイプ計測装置でその構成技術を確立した。昨年度購入したシミュレーション用コンピュータ(Apple-MacIIfx一式)およびSPICEシュミレーショタソフト(Microsim-PSpice)、回路図入力CADソフト(Capilano-DesignWorks)により、回路図入力CADソフトで入力したセンサの回路構成をアナログ電子動特性シミュレーションを行った。その結果、昨年度の成果である、2つのホトディテクタを相補的に用いて素子のばらつきを補正させる点やDRAMのセンスアンプに似た電流比較回路が、通常のデジタルCMOS-ICの製作プロセスで製作可能な素子(CMOSインバータ、アナログスイッチ、ダイオード等)を用いて最終的な回路構成が決定できた。これにより実際に製作可能なことを確認できた。さらに、昨年度購入した制御用コンピュータ(Apple-MacIIci一式)およびデジタルストレージスコープ(日立電子VC-6045一台)、レーザダイオード、ガルバノミラーで、16×8画素のCMOS-ICを基本デバイスレベルとしたディスクリート回路によるプロトタイプ計測装置を開発した。120ヘルツ以上の動作を確認した。同時に、キャリブレーション方やこのシステムで得られる距離画像の時系列データから動く物体の認識を効率よく行うアルゴリズム、動距離画像の差分に基づく追跡アルゴリズムを開発した。
著者
小林 正裕 中山 英久 Ansari Nirwan 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.221, pp.131-136, 2007-09-13
参考文献数
17

IPマルチキャストに代わるストリーム配信技術として,各ノードのストリーミングアプリケーションに依存してマルチキャストツリーを構成するApplication Layer Multicast(ALM)技術に注目が集まっている.ALMでは配信ツリーを構成し,そのツリー構造に従ってストリームを配信する.そのため,ツリーの上位に位置するノードの離脱により,そのノードよりも下位に位置するノードヘストリームが配信されない場合が生じる.そのような問題点に対して,Topology-aware Hierarchical Arrangement Graph(THAG)を利用してALMを実現するストリーム配信手法が提案されている.THAGでは,Multiple Description Coding(MDC)により,ストリームを複数の部分ストリームに分割しそれぞれの部分ストリームに対して,Arrangement Graph(AG)から独立にツリーを構成して配送する.しかし,THAGではすべて同じサイズのAGを用いるため,ネットワーク帯域が不均一な環境では帯域に適したストリームを配信できない可能性がある.本稿では,ネットワークの利用可能帯域に応じてAGのサイズを動的に変更する方法を提案する.提案手法は,THAGをネットワーク帯域が不均一な環境に適応させた手法である.ns-2を用いたシミュレーションにおいて,トータルスループットとBandwidth Satisfaction Rate(BSR)による評価では,THAGよりも提案手法が優れていることを示す.
著者
村田 一郎 加藤 照之 柳沢 道夫 長沢 工 土屋 淳 石井 紘
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

1.受信機の改良国産のGPS相対測位用受信機の開発が本研究の目的の一点であった。L1単波受信機としては、すでに昨年度完成していたが、測定精度向上のため、L1、L2の2波受信が可能となるよう改良を施した。L2波搬送波再生方式として、Pコード解読形を採用したので、好S/N比が得られた。この受信方式を採用した機種は米国に1機種あるだけで、特色ある国産受信機が製作されたことになる。ただし、受信チャンネルが8本と限定されたため、同時受信可能衛星数は4個ということになった。完成は今年度秋期であったが、データ解析処理ソフトウェアが未だ途中段階であること、さらに、GPS事情の激変のため、労力を外国製受信機の対応に取られ、現在までのところ、本確的な運用までには至らず、文京区地震研究所と三鷹国立天文台との間で試験観測を続けている。2.試作受信機による観測三浦・房総両半島を結ぶ基線網において、1987年06月と88年02月の2回試験観測を実行した。6月の観測については、昨年度報告済みであるが、2月の観測については、データ処理に時間的な余裕がなく、報告できなかったので、ここに結果の一部を記しておく。下表は基線長を前回の結果と比較したもので、10kmの距離を1cmの精度で計測するという研究当初の目的の一つを達成したものと判断できる。基 線 基線長(m) 前回との差(cm)間口ー野比 7813 2.9 1.0野比ー鋸山 12154 -1.2鋸山ー間口 13730 1.2また、対国立天文台基線(20km)を使い、外国製GPS受信機と並行観測を継続中で、この結果も含めた総合研究報告を現在作成中である。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011-04-20
参考文献数
33

トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり,微生物や昆虫では,エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方,植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから,長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され,高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし,植物中の蓄積量は極微量であり,貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で,トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では,植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011
参考文献数
33
被引用文献数
1

トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり, 微生物や昆虫では, エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方, 植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから, 長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され, 高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし, 植物中の蓄積量は極微量であり, 貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で, トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では, 植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。