著者
前田 義信 伊藤 尚 谷 賢太朗 佐藤 輝空 加藤 浩介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.63-68, 2011-05-13
参考文献数
27
被引用文献数
1

社会問題のひとつである"いじめ"は強者から弱者に対して行われる従来型の一方的な攻撃から,対等な他者との間で加害者と被害者が流動的に入れ替わる双方向の攻撃へとその性質を変容させつつある.当事者はいつ自分が被害者になるか予想することもできない不安を常に持ち,それゆえ対等な他者からの承認を常に必要とする"フラット"な関係が築かれるようになった.また流動性ゆえに,教育者をはじめとする支援者も対策に頭を悩ませている.そこではどのような事態が生じているのか?本稿では,エージェント,価値,エージェントが起こす行動,相互作用で構成される形式的な人工学級モデルを提案し,マルチエージェントシミュレーションによってその現象を調べる.相互作用を繰り返すことによって自分が見出す価値数がゼロになった経験を有するエージェント(いじめ被害者)と,他のエージェントから反感性の行動を連続的に受け続けたエージェント(いじめ被害者の候補=潜在的いじめ被害者)を定義し,その状況を調べた.その結果,交友関係における対立回避i,相補性やべき乗分布に従ういじめの特性が観察され,支援者によるいじめ発見の困難さとの関連性を考察した.
著者
加藤 俊哉 橋爪 一光 笠松 紀雄 冨田 和宏 半澤 儁 籾木 茂 佐々木 一義 玉地 義弘 岡本 一也
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.22-27, 1996-01-25
参考文献数
10
被引用文献数
1

胸部X線写真, 胸部CTにて空洞性病変を疑い, 気管支鏡で空洞を直視し得た肺扁平上皮癌の2例を経験した。空洞形成機序を含め, 若干の文献的考察を加えて報告する。症例1は60歳, 男性。両上肺野に巨大嚢胞が認められ, 喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。気管支鏡検査にて左上葉支入口部より空洞内腔を直視した。症例2は63歳, 男性。胸部異常陰影の精査のため気管支鏡検査施行, 右上葉支入口部より空洞内腔を直視し, 気管支と空洞の交通部から中枢側に癌の直接浸潤が認められた。検査後の喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。剖検では両症例とも空洞壁及びそれに交通する気管支に広範な壊死を伴う癌の浸潤が認められた。両症例とも嚢胞壁に癌が発生し, これが増大, 周囲に浸潤し, 壊死を生じて, 気管支に開通したものと考えられた。
著者
加藤 修三 中瀬 博之 沢田 浩和 佐藤 勝善 原田 博司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.188, pp.217-222, 2008-08-20
被引用文献数
5

本論文は現在IEEEにて進められているミリ波(60GHz)システムの標準化(IEEE802.15.3c)のアップデートするとともに、その超高速性(マルチGbps)を生かしたミリ波システムの新しい応用,Super Digital Home及びSuper Infbrmation Portalを提案する。これらは来るべき"次世代移動通信システム"の核の一つとなるであろう。
著者
矢神 真奈美 加藤 大也 林 安津美 脇阪 涼子 小林 憲司 鷲野 香織 山本 絢子 立石 早祐美 澤井 喜邦 稲垣 一道 金山 均 片田 直幸 伊藤 光泰
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.430-435, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
18

2型糖尿病患者(60名)に対して食品交換表にて指導を24週間介入後,さらにカーボカウント基礎編を上乗せする指導(カーボカウント上乗せ群;30名:男性/女性=14/16)と,食品交換表による指導(食品交換表継続群;30名:男性/女性=16/14)に無作為に振り分け24週間介入し,各群介入前後で糖代謝,脂質代謝,BMI及びメンタル面の比較検討を行った.介入後両群共にHbA1c及びLDL-Cは有意な改善が認められた,さらにカーボカウント上乗せ群では,HDL-C,BMIの有意な改善が認められた.両群間の変化率の比較では,カーボカウント上乗せ群は食品交換表継続群に比べてHbA1c(-13.0±12.8vs-3.8±15.5%;p=0.014)及びHDL-C(12.7±19.5vs 3.0±15.1%;p=0.038)の有意な改善が認められた.メンタル面の評価では,カーボカウント上乗せ群では有意に食事の満足度が高く,食事療法継続の苦痛感が少ないことが認められた.故にカーボカウント上乗せ群では食品交換表継続群に比べてより糖代謝を改善し,さらに患者QOLを高める可能性が示唆された.
著者
加藤 清孝 葉 聰明
出版者
Japanese Association for Sport Management
雑誌
スポーツマネジメント研究 (ISSN:18840094)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.47-56, 2010
被引用文献数
1

The Inter-High School Ski Championship, which is one of the biggest winter sports events in Japan, has faced difficulties in recent years. Few cities want to host the event because of the severe economic situation. From the sports tourism perspective, the championship is an important sports event because it can produce a positive economic impact on the host city through consumption by participants. However, there is little research conducted on the scale of the economic impact. Thus, the purpose of this research is to estimate the economic impact of the championship event on the host city.<br>According to the results of input-output analysis, the total economic impact of the participants' consumption and the expenses of hosting the championship were 187 million and 72 million yen, respectively. Thus, the total economic impact of the championship was estimated at 259 million yen: in total the event generated an income of 98 million yen for companies and individuals and tax revenues of 3 million yen for the local government of the host city.
著者
加藤 清孝 葉 聰明
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-73, 2009

Japan's first professional basketball league, the bj-league, was launched with 6 teams in 2005. The league has expanded its scale since that time. Many organizations in local cities intend to apply to expand franchise opportunities because the operation expense of a bj club is estimated to be 250∼300 million yen annually, which is much lower than that of other major professional sports leagues. However, it is still not easy for the organizations to enter the bj-league. Since the businesses of most local cities in Japan are still suffering from the long economic recession, finding enough investors to cover the expenses is not easy for them. Akita City also faces this situation. Even though an organization in Akita City has prepared to enter the bj-league, it suffers from a lack of investors. It is assumed that to present the economic impact of a bj club to the local business society would be very useful to getting the business society interested in the bj-league. Therefore, the purpose of this research was to estimate the economic impact of the proposed basketball club on Akita Prefecture. According to the results of the input-output analysis, economic impact, including the direct effects and the primary and secondary ripple effects, of the operation expenses of the club and hosting games at the home arena would be 253 million and 172 million yen, respectively. Thus, the total economic impact of the proposed club, was estimated as 425 million yen. The total economic impact will generate income of 170 million yen for companies and individuals, and tax revenues at 5 million yen for local governments in Akita.
著者
加藤 文夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.97, no.208, pp.79-88, 1997-07-25
参考文献数
15

情報理論において, 通信路符号化定理等の土台をなす重要な概念である漸近的等分配性について, その数値計算による検証を行う. 単純な (2元無記憶) 情報源を想定して, それから出力される十分長い系列の分布が具体的にどのような様相を呈するのか, また, 系列長が増大するにつれて, どのように変化して行くのかを調べるために, パソコンによる数値計算を行う. その結果を利用して重要な諸量の近似式を求め, 漸近的ふるまいを明らかにする. それを踏まえて, 漸近的等分配性とその簡略化された説明の妥当性を検討し, ややもすると誤解を生じ易い注意点のいくつかを指摘する. ここで提示される計算データや結果は漸近的等分配牲の正確な理解を促進することが期待される.
著者
松本 滋夫 平田 安廣 加藤 照之 渡辺 茂
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.239-248, 1985-11-08

1984年9月14日に発生した長野県西部地震による阿寺断層上の水平地殻変動を解明するため,同地震発生直後に阿寺断層地域の既設基線網において光波測量を実施した.今回の再測では,前回(1983年11月)にくらべて全般に基線長の縮みが認められた.大きいところでは2cmに達する縮みが認められ,これは測量誤差をやや上回る,有意なものと思われる.一方,断層モデルを設定し,各基線網か受けるべき歪変化を計算し,測量の結果と比較したところ,歪量はどちらも10-6程度で調和的である.また,両者は方向・大きさともかなり良い対応が認められた.ただし,面積歪に関しては必ずしも良く調和しているとはいえずさらに検討を要するものと思われる.
著者
中島 輝一 真野 泰成 大内 かおり 佐藤 大輔 岩田 杏子 樋口 安耶 江原 邦明 加藤 芳徳 廣澤 伊織 田島 正教 土屋 文人 山田 治美 小瀧 一 旭 満里子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.599-608, 2012-09-10 (Released:2013-09-12)
参考文献数
9
被引用文献数
4 17

We established a pharmaceutical outpatient clinic at the International University of Health and Welfare Mita Hospital. In the clinic, pharmacists provide mainly pharmaceutical care for cancer outpatients based on prescriptions from a doctor, and then feed back the contents of medication counseling and information about patients to doctors.In this study, we evaluated the role of the pharmaceutical outpatient clinic. From April to July 2011, we investigated retrospectively the contents of feedback from pharmacists to doctors. The contents consisted of three types of information such as medication counseling, history of side effects and allergy, and uneasiness from patients. Most of this information was on side effects. Approximately 42% of uneasiness from patients was about the side effects of chemotherapy. Furthermore, we conducted a questionnaire survey in 62 cancer outpatients that gave informed consent during the period as mentioned above. The results showed that the degree of understanding of drugs on treatment and prevention of the onset of side effects after consultation was markedly improved compared with those before consulting. Many patients (50/62) felt “uneasiness about treatment" and “some uneasiness" before consultation. However, 88.0% (44/50) of them noted that their “anxiety was eased" after consultation. The degree of reduction in uneasiness in patients with stage Ⅰ and Ⅱ breast cancer was larger than that with stage Ⅲ and Ⅳ. In conclusion, it is suggested that the clinic may play a role which makes it possible to enable cancer outpatients to participate in medical treatment with ease, in addition to enabling support for doctors.
著者
小玉 正太 平井 孝 加藤 知行 巻渕 弘治 藤光 康信 紀藤 毅
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.1706-1710, 1996-07-01
参考文献数
10
被引用文献数
11

症例は47歳の男性.肛門出血および腫瘍の肛門からの脱出を主訴として,平成6年8月1日近医を受診.平成6年8月18日,経肛門的腫瘍摘出術を施行された.平成6年9月12日当科入院.摘出標本上,高分化腺癌(mp)から,肛門粘膜上皮内にpagetoid spreadを認めたため,肛門周囲の皮膚生検を系統的に施行し,浸潤範囲を同定した.腹会陰式直腸切断術施行後1年4か月が経過したが,再発徴候なく外来通院中である.肛門管癌に合併した肛門周囲Paget病変は極めてまれで,文献上著者が検索しえた限りでは,自験例を含めて9例の報告のみである.また根治術施行前に肛門周囲の浸潤範囲を同定しえた報告は,検索しえた限り自験例のみであり,文献的考察を加え報告した.
著者
小坂 哲夫 赤津 達也 加藤 正治 好田 正紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.3201-3209, 2007-12-01
参考文献数
12
被引用文献数
4

本研究では,音素モデルを用いた話者ベクトルに基づくテキスト独立型話者識別について述べる.本研究の目的は,音声の音素コンテクスト情報を使用することによって,話者識別の性能を改善させることである.本話者識別システムはアンカーモデルに基づいている.このシステムでは,識別対象話者の発声とアンカーモデル間のゆう度からなる話者ベクトルによって,各々の話者が話者空間に配置される.このシステムの利点として,識別対象話者の音響モデルを必要としないという点が挙げられる.このため1発話程度の極めて少量の登録用発声で話者識別が可能となる.しかし対象話者の音響モデルを使用しないため,従来の手法では識別性能が低いという問題点があった.本研究では,性能の改善のために,アンカーモデルとして従来用いられている混合ガウス分布モデル(GMM)ではなく,音素HMMを用いる手法を提案する.音素HMMの対数ゆう度の計算には,音素認識器を使用する.30名の日本語話者識別タスクで本手法の評価を行った.実験では,平均5.5sのごく短い発話を識別対象話者の登録用データとして使用した.この結果GMMベースのアンカーモデルシステムと比較し,72.1%の相対的改善が得られた.

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著者
加藤 修
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.25, no.279, pp.162-166, 1977-04-05 (Released:2009-05-25)
参考文献数
10
著者
加藤 直樹 田中 宏 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.203-212, 2001-02-01
参考文献数
9
被引用文献数
7

本論文は, 手書きメッセージの読み書き, 送受信, 重ね書き, 筆記者・筆記時刻確認, 筆記再生などの機能を有する手書き電子メール環境について述べる. 我々は, 初心者にも自然な手書きをUIに採用し, 簡単に表現豊かなメッセージをインターネット上で送受信できるシステムを実現した.本システムは手書きメッセージが送受信できる点で, 近年急成長している携帯型情報通信端末に先行するものである.更に, 手書きの筆跡や図形, コード文字を表現できるように提案したフォーマットHandsDrawに従い, 手書きのメッセージを読み書き, 送受信する機能はもちろん, 受信メールへの上書き, 筆記者・筆記時刻確認機能, そして, 筆記再生機能を提供する.対話技法としては, ペン入力の良さを生かした囲み選択と, ペン入力の弱点を解決したボタンインタフェースを採用した.本システムを実際に使用してもらった上でアンケート調査を行い, また, 2年半にわたるインターネットでの公開や研究室内での使用によって多くの意見を収集した.その結果, 提供するすべてに機能に対して総じて肯定的な意見が得られた.その一方で, 手書きの文字をそのまま送りたくないとの意見も得られ, 文字認識機能の必要性が示された.
著者
澤田 傑 上坂 克彦 加藤 知行 森本 剛史 小寺 泰弘 鳥井 彰人 平井 孝 安井 健三 山村 義孝 紀藤 毅
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.2190-2194, 1996-11-01
参考文献数
17
被引用文献数
4

症例は52歳の女性.1981年7月,S状結腸癌を伴う大腸腺腫症の診断で結腸全摘および直腸低位前方切除術を施行した.1985年8月,CTで腹腔内デスモイド腫瘍が疑われタモキシフェン,スリンダクの内服治療を行い臨床上縮小した.1995年7月,内視鏡にて十二指腸多発性腺腫,および十二指腸下行部のVater乳頭対側に3個の腺腫内癌を診断した.9月7日全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除の予定で開腹したが,小腸間膜を広範に巻き込むデスモイド腫瘍のため再建不能と判断し十二指腸壁を切開し主だった腫瘍を摘出,小ポリープは可能な限り焼灼した.大腸腺腫症に十二指腸病変は高頻度に合併するが,傍乳頭部領域以外の部位から発生した多発性十二指腸癌の報告例はまれである.また,この際腸間膜のデスモイド腫瘍を併発すると外科的治療に制約が加えられることが有りえるので治療法の選択上注意が必要である.