著者
松下 尚之 磯貝 雅裕 近藤 圭一郎 福永 剛隆 北村 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.2506-2508, 1998
被引用文献数
1

小腸大量切除施行後の縫合不全の為,長期間経口摂取ができない甲状腺全摘後の症例に対し,経直腸的に坐薬として甲状腺ホルモン剤(チラージンS,甲状腺末)の投与を行った.当初,内服と同じ量のチラージンSを粉末にし坐薬の形で使用したが,血中のf-T4, f-T3濃度は上昇しなかった.そこで甲状腺末200mgから300mgを坐薬とし使用したところ,血中f-T4, f-T3濃度は上昇してきた.坐薬挿入前後に急な血中濃度の変化は無かった.本症例では,術前T4(チラージンS<sup>®</sup>)として150μgを使用しeu-thyroidを保っていたが,今回経直腸的には甲状腺末が200~300mg必要であった.この量は,チラージンS 150μgの2~3倍に相当する.経直腸的に比較的大量の甲状腺ホルモン剤が必要であったのは薬剤の吸収がただ単に悪いというだけではなく,時折,便秘と下痢を繰り返す状況にあったこともその吸収において影響したものと思われる.
著者
北村 智紀 中嶋 邦夫
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.50-69, 2010 (Released:2011-04-08)
参考文献数
38

本稿は,わが国の典型的な30∼40歳代の男性会社員が労働収入を得ている家計を対象に,老後の生活に備えるための長期的な株式投資(資産保有·配分)の決定要因を独自のデータを利用して実証的に分析した.株式保有の有無に関しては,株式投資に対する期待リターン,年収,金融資産額が関連していたが,これ以外にも,金融や経済に関する基礎的な知識の多寡や主観的な株式投資コストの影響が大きかった.株式保有者の株式配分に関しては,株式期待リターン,主観的な株式投資コスト,基礎知識の多寡が重要な影響を与えていた.株式非保有者が今後に株式投資を行うかについては,株式期待リターンとの関連性が大きかった.特に,株式期待リターンは株式保有の有無,株式保有者の株式配分,株式非保有者の今後の株式保有の何れの意思決定にも大きな影響があったが,株式保有·株式配分については,金融や経済に関する基礎知識及び主観的な株式投資コストといった行動経済学的な要因が,過去の実証研究で重要な決定要因とされた年収や金融資産と同様に大きな影響力があることが確認された.
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.65-76, 1969-11-30
著者
吉村 貴克 徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 北村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.2099-2107, 2000-11-25
被引用文献数
92

本論文では, HMMに基づく音声合成において, スペクトル, ピッチ, 継続長をHMMの枠組みで統一的にモデル化する手法について述べる.本システムでは, スペクトル・ピッチ継続長モデルとして, それぞれ連続分布HMM, 多空間確率分布HMM(MSD-HMM), 多次元ガウス分布を用い, 音素環境, アクセント, 品調などのコンテクストを考慮したコンテクスト依存モデルを構築する.コンテクスト依存モデルは, 決定木に基づくコンテクストクラスタリング手法によりクラスタリングされる.決定木構築の際, 節分割はMDL基準により行う.このこめ, 新たにMSD-HMMに対するMDL基準によるコンテクストクラスタリング手法を導出している.音声合成実験において, 自然性の高い合成音声が得られること, 更に自動学習によりシステムを構築可能であることを認識した.
著者
香川 敬生 野口 竜也 赤澤 隆士 小林 明夫 北村 正志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

2007年10月より緊急地震速報が運用され,他にもP波センサーが機器の緊急停止に用いられ,計測震度計で得られた各地の震度が速報されている。しかし,これらは独立に設置・運用されており,有機的かつ総合的な活用には至っていない。そこで,市販の計測震度計に緊急地震速報受信およびP波センサーの機能を付加することでP波センサーによる推定震度,緊急地震速報を用いたその場所の予測震度,実際の揺れによる計測震度を出力する「三段階震度計」を試作し,その活用方法の検討をおこなった。
著者
北村 智 脇本 健弘 松河 秀哉
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.129-132, 2013

本研究では実践共同体としての学術共同体に対するネットワーク分析によるアプローチを試みる.特に学習としての正統的周辺参加に着目し,共同体における参加者の「位置」を定量的に表現する手法として中心性を採用する.中心性からみた共同体における参加者の「位置」の変化と,共同体における参加者の役割獲得の関係を分析し,実践共同体に対するネットワークアプローチの妥当性について検討する.
著者
北村 健太郎
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

当初の平成19年度の研究計画は、入手済みの資料精査と研究のさらなる深化拡張であった。そして実際に、血友病に隣接する難病、C型肝炎などを中心に研究をすすめた。2008年初めのいわゆる薬害C型肝炎訴訟の終結という事態を受けて、『現代思想』vol.36-No.2(2008年2月1日発行)に、「C型肝炎特別措置法の功罪」を緊急執筆した。同訴訟の終結は、一般的な和解の形を取らなかったため、原告以外の人々にも多大な影響を与えた。しかし、この事象が複雑であることから、出版社の依頼を受けて即時に解説できたのは、採用者の私一人だけであった。また、2008年4月上旬に発行される、堤荘祐編『実践から学ぶ子どもと家庭の福祉』(保育出版社)の分担執筆に参加し、「子どもと家庭の権利保障を理解する」の節を担当した。現在、論文「大西赤人君浦高入学不当拒否事件」を障害学会学会誌『障害学研究』vol.4(明石書店)に投稿し、査読の最終段階に入っている。問題がなければ、今年の夏ごろに刊行される予定である。学会報告は、2007年11月17日、第80回日本社会学会大会(於:関東学院大学「福祉・保健・医療(1)」)で、「全国ヘモフィリア友の会の患者運動」と題する単独報告を行なった。また、2007年9月16日17日両日、障害学会第4回大会(於:立命館大学朱雀キャンパス)で、北村健太郎・川口有美子・仲口路子「難病者と福祉/医療制度-ALS療養者とその家族の事例から」、葛城貞三・仲口路子・福井アサ子・北村健太郎「ALS患者が自律する療養生活の実現へ-日本ALS協会滋賀県支部の取り組みから」、渡邉あい子・北村健太郎「京都府の難病患者の生活実態-京都難病連の相談員へのインタビューを通して」というポスターによる3本の共同報告を行なった。現在は成果として表れていないが、研究協力者とのラポール維持に努めると同時に、血友病をめぐる最新の動向を探るために「第5回患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会」に出席するなど、今後の研究に向けての活動を続けている。今後も血友病に隣接する問題系にも視野を広げ、研究の深化拡張に努めるとともに、課程博士学位請求論文「日本における血友病者の歴史-1983年まで」(2007年3月、博士(学術)授与)の書籍化の作業を進める。
著者
北村 聖
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.363-373, 2013

日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)は,日本医学会112分科会の機関誌の編集委員から構成される。JAMJEは,2008年の設立総会で,医学雑誌と編集者の自由と権利の擁護,医学雑誌の質の向上への取り組み,倫理規範の策定,国際的な連携という4項目を活動の目標とした。この目標に即した医学雑誌の編集方針のためのガイドライン(案)を作成した。ガイドラインには,世界医学雑誌編集者協会(WAME)による「方針書」と「編集者候補および新任編集者を対象としたシラバス」および国際医学雑誌編集者会議(ICMJE)の「統一投稿規程」に記載されている内容を盛り込み,さらに国内事情を反映させた。JAMJEの4つの目標に準じた章立てとしている。
著者
北村 倫夫 石田 宰 渡辺 謙仁
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 = Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
no.15, pp.99-118, 2012

This study was aimed at proposing a strategy for promoting Science and Technology Tourism (STT) in Hokkaido, and was based on the case study for about thirty examples in Japan and foreign countries. By definition, STT is "the tourism aiming at learning about science and technology by seeing, hearing and experiencing." Although STT has been recognized as an important domain of tourism in foreign countries, it has not been right in Japan. However, as people's concern about science and technology is increasing in recent years, STT is playing a more important role in Japan and also in Hokkaido. The conditions for a success of STT in Hokkaido are having fundamentally three functions which consist of an exhibition function, a knowledge exchange function, and a participating experience function. Moreover, realization of the "economies of scale in tourism," effective use of unique natural resources, use of advanced science institutions, organizing of science tours, training of science communicators, cooperation with school education, etc. are also desirable conditions to make STT successful.
著者
北村 拓也
出版者
滋賀大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

本研究の成果として「読解マップ」をいう新しいシンキングツールを開発し,それを授業に取り入れた。具体的には,文学的文章「走れメロス」の中で,「メロスは勇者か」に結びつく情報を読み取り,自分の解釈をまとめる場面で,また説明的文章「壁に残された伝言」で,「被爆の伝言は遺産である」と主張する筆者の根拠を読み取る場面で使用した。「読解マップ」とは,イメージマップをベースにしたシンキングツールで,文と文とのつながりと自分の意見をマッピングさせ,可視化できるように開発したものである。「読解マップ」について,生徒のアンケートによると「使いやすかった」「まとめやすかった」「見やすく整理できた」「つながりが意識できた」「後の自分の意見が書きやすかった」と97%の生徒がよい評価をしていた。また,授業を進める中で,読む目的や課題のステップがツールにも記入されているため,意識して読み進めることができ,課題に取り組むことができていたように感じる。何より「書く」という活動が増えるため,記憶に残る情報も多いのも良い点である。さらに,国語が苦手な生徒も,書ける情報は少ないものの,学習に参加をすることができており,この点もシンキングツールを国語の授業に取り入れる大きな利点であると感じた。「的確に読む」という点においても大きな成果が見られた。書きだすことにより気が付ける言葉があったり,可視化することにより読み落としに気が付いたりすることができ,広い情報の中から解釈をすることができていた。「走れメロス」の学習の中でも最初の解釈と最後の解釈で変容が見られたのも,より多くの情報の中から自分なりの解釈ができたからだと感じる。本研究を通じて,抽象的な思考が多い国語の中で,シンキングツールを使い,具体的に思考し,的確に読むことの重要性を改めて感じた。
著者
北村 寿宏 丹生 晃隆 藤原 貴典 川崎 一正 伊藤 正実
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.2_32-2_41, 2014 (Released:2014-07-02)
参考文献数
13

各都道府県における企業の研究・開発活動の活発さを検討するために,特許出願件数の推移を調査した.その結果,特許出願件数は2000~2012年の13年間を通し,ほとんどの都道府県で減少傾向にあることが分かった.大都市圏や大規模大学を有する地域以外の各県においては,各県における特許出願件数とそこに位置する国立大学における企業を相手先とする共同研究の件数の間に緩やかな相関があることがわかった.特に,北東北や山陰,四国,九州に位置する各県の多くでは,他の都道府県に比べて,当該県における特許出願件数が少なく,そこに位置する国立大学においては企業を相手先とする共同研究の件数が少ない傾向にあることが明らかになった.この結果は,これらの地域では企業だけでなく当該地域に位置する大学を含めた地域の研究・開発活動の活発さが弱いことを示唆している.地域イノベーションの創出の観点からは,これらの地域では特に研究・開発力の向上に向けて,今後,地域の状況に応じた対策が必要であると考えられる.
著者
村戸 ドール 樋口 明弘 北村 正敬
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

喫煙は多くの疾患や健康被害の原因や増悪因子として考えられており、特に肺における閉塞性肺疾患や肺癌などの影響がよく知られている。眼表面は肺と同じくタバコの煙を含め外界からの影響を受けている。シトクロムP450(CYP)酵素系は眼表面に存在し、外因子に伴う障害を防ぐ作用も知られているがCYP1A1およびCYP2A6系は肺癌発症に関係することも報告されている。我々は6週齢雄SDラットをチャンバー内に入れ、シリンジを用いてチャンバー内に主流煙を添加することにより曝露した。暴露後、フルオレセイン染色液を用いて蛍光染色法により角膜障害を、綿糸法により涙液量を測定した。次に角膜および涙腺を摘出し、シトクロムP450(P450) 1A1, P4501B1および2B2のmRNA発現変動をリアルタイムPCR法により測定した。タバコ煙暴露ラットは角膜上皮障害が生じ、涙液量の著名な低下が認められた。角膜の免疫染色において角膜上皮障害を示すCYP1A1および8-hydroxy-2'-deoxyguanosineの酸化ストレスにより発現が上昇することが認められた。これらの結果は喫煙が角膜だけでなく涙腺にも影響したことを示唆する。
著者
小久保 卓 小山 聡 山田 晃弘 北村 泰彦 石田 亨
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1804-1813, 2002-06-15
被引用文献数
6

いまやインターネットは現代社会の中に急速に浸透しており,そのサービスの中でも特にWWW(World Wide Web)は新しいメディアとしてその情報量を増大させている.しかしながら最も一般的なWWW情報検索手法である検索エンジンは,必要な情報を得るためにある程度の知識や経験が必要とされ,多くの初心者にとって使いこなすのは容易ではない.こうしたWWW情報検索における問題の解決法の1つとして,ドメインを限定した専門検索エンジンの提供があげられている.そこで本論文では専門検索エンジンを構築するための新しい手法として``検索隠し味''を用いた手法を提案する.これはユーザの入力クエリに対しある特定のキーワードを追加すると,汎用検索エンジンの出力のほとんどがドメインに関係するWebページとなるという経験則を利用したものである.そして機械学習の一種である決定木学習アルゴリズムを元にWebページ集合からキーワードのブール式の選言標準形として検索隠し味を抽出するアルゴリズムを開発した.さらに本手法を料理レシピ検索に適用し評価実験を行うことで,その有効性の確認を行った.The WWW technology has come into wide use in our society as an infrastructure that supports our daily life. But gathering information from the WWW is a difficult task for a novice user even if he uses the search engines that are most widely used tool to retrieve information from the WWW. Because the user must have experience and skill to find the relevant pages from the large number of documents returned, which often cover a wide variety of topics. One solution to the problem is to build a domain-specific search engine. So this paper presents a new method that improves search performance by adding the domain-specific keywords, called keyword spices, to the user's input query; the modified query is then forwarded to a general-purpose search engine. We describe a machine learning algorithm, which is a type of decision-tree learning algorithm, that can extract keyword spices as a disjunctive normal form of keywords from Web documents. To demonstrate the value of the keyword spices, we conducted experiments in the cooking domain and the results showed the high performance.