著者
岩崎 祐貴 折原 良平 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1J3OS22a4, 2013

<p>近年,ブログやtwitterなどソーシャルメディアの普及により誰でも気軽に情報発信できるようになった.それに伴い頻繁に炎上が起こり,ブログの閉鎖や個人情報の特定といった被害に合うリスクが高まっている.そこで本研究では,実際に炎上したtwitterやブログ記事を収集,分析することで炎上の原因を調査した.また,今後の炎上を防ぐため,過去の炎上事例を教師データとした機械学習の適用方法を提示する</p>
著者
石原 康成 堀江 翔太 立原 久義
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101316, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】腱板断裂では,上肢挙上の際に,肩甲上腕関節における求心位保持能力の低下と,それに伴う肩甲胸郭関節,胸郭運動の異常が報告されている.したがって,腱板断裂患者に対して理学療法を行う際は,肩甲上腕関節のみならず,肩甲胸郭関節や胸郭にもアプローチする必要がある.しかし,腱板断裂における肩甲骨の位置異常と胸郭運動の特徴については明らかになっていないため,機能評価と効果的に肩甲胸郭関節や胸郭へアプローチする手技の確立を困難にしている.本研究の目的は,腱板断裂における肩甲骨の位置異常と胸郭運動の特徴を明らかにすることである.【方法】対象は,当院で腱板完全断裂と診断され鏡視下腱板修復術を施行された24 名(以下RCT群)(男性14 名,女性10 名,平均年齢69 歳,49 〜 86 歳)と,肩関節に既往のない40 〜60 代の健常者16 名(以下健常 群)(男性8 例,女性8 例,平均年齢51 歳,43 〜 64 歳)である.これら2 群の,上肢挙上に伴う肋骨・胸椎運動と下垂位での肩甲骨の位置を比較し腱板断裂における肩甲骨位置と胸郭運動の特徴を検討した.測定方法は,肩下垂位と130°挙上位の2 肢位で胸部3 次元CTを撮影し,骨格前後像と側面像にて肋骨・胸椎と肩甲骨の位置を評価した.肋骨の動きは,肋椎関節を基準として肋骨先端の上下方向への移動距離を測定した.胸椎の動きは,第7 胸椎を基準として胸椎伸展角度を測定した.肩甲骨の位置は,内外転方向の位置として,脊椎から肩甲骨内側縁の距離(Spine Scapula Distance,以下SSD),挙上下制方向の位置として,肩甲骨下角の高さを,回旋方向の位置として肩甲棘の傾斜を測定した.統計学的検討にはMann-Whitney’s U 検定を使用した.【倫理的配慮、説明と同意】病院倫理委員会の承認を得た上で,本研究の目的とリスクについて被験者に十分に説明し,同意を得た.【結果】RCT群の下垂位から130°挙上位までの肋骨移動距離は,挙上方向へ平均5.8mmであった.最大は第7 肋骨の9.7mmであり,第7 肋骨から離れるに従い移動距離は小さかった.健常群では挙上方向へ平均5.2mmであった.最大は第5 肋骨の9.4mmであり,第5 肋骨から離れるに従い移動距離は小さかった.2 群を比較すると,第9,11 肋骨でRCT群の肋骨移動距離が有意に大きかった(p<0.05).すなわち,腱板断裂により肋骨運動の中心が尾側にシフトしていた. RCT群の下垂位から130°挙上位までの胸椎伸展角度は平均2.4°であった.健常群では平均3.8°であり差はなかった.RCT群における下垂位でのSSDは平均60.3mm,健常群では平均68.6mmであり,RCT群で有意にSSDが小さかった(p<0.01).下角の高さと,肩甲棘の傾斜には差がなかった.すなわち,腱板断裂により肩甲骨は内転位に変化していた.【考察】本研究より,上肢挙上に伴う肋骨運動は,健常者では第5 肋骨を中心に挙上するのに対し,腱板断裂患者では第7 肋骨中心に挙上することが明らかとなり,腱板断裂により肋骨の運動中心が尾側へシフトすることが明らかとなった.また,腱板断裂に伴い肩甲骨の位置は内転位に変化することが明らかとなった.従来の報告によると,腱板断裂に伴い肩甲骨他動運動と肋骨運動が制限される可能性が指摘されている.また,肩甲骨位置異常は,肩甲骨周囲筋のバランス異常の存在を示唆している.この事実は,肩甲骨周囲での胸郭運動が制限されていることを示しており,これを代償するために,胸郭運動の中心が尾側へ移動した可能性が考えられた.【理学療法学研究としての意義】腱板断裂が、肩甲骨の位置と肋骨運動パターンに影響を与えることが明らかとなった.肩甲上腕関節のみならず,肩甲骨位置や肋骨運動パターンを考慮することで,より有効な理学療法を提供できる可能性がある.
著者
田中 信孝 登 政和 針原 康 進藤 俊哉 青柳 信嘉 今中 和人 出口 順夫 上野 貴史
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.319-325, 1991-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

昭和53年より平成元年までの12年間に手術施行した938例の良性胆道疾患中, 4.8%にあたる45例の壁肥厚著明な長径5cm未満の萎縮胆嚢症例45例の外科治療につき検討した.胆石の合併を44例に認めたが萎縮胆嚢の特殊背景病変として内胆汁瘻,合流部結石,内視鏡的乳頭切開術後などがあげられた. CTでは86%で描出可能であったが, USでは診断は必ずしも容易でなく, 61%は高エコー,音響陰影像で推定された.外科治療として基本的に胆摘ないし胆摘+T-ドレナージが施行されたが,標準的胆摘は5例のみに行われ,胆摘困難例では胆嚢部分切除後粘膜破壊を加えた.主たる合併症である胆管損傷を1例に認めた.胆嚢癌の合併は2例4.4%であった.萎縮胆嚢の手術は安全性を優先しつつ可及的に胆嚢切除を意図すべきで,その際癌併存の有無の術前診断が困難であるため術中迅速病理診断は不可欠と考えられた.
著者
菅原 康介 岡村 純 下平 有希 足守 直樹 峯田 周幸
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.156, pp.171-176, 2021 (Released:2021-03-11)
参考文献数
17

All penetrating neck wounds are potentially dangerous and require emergency treatment, because there are important vessels, nerves, and organs in the neck. We report the rare case of a 71-year-old man with neck injury caused by a glass fragment that penetrated into the floor of the mouth from the submandibular region. The patient had accidentally fallen through a glass door and sustained a 15-cm long incised wound in his neck. He was initially transferred to a district hospital, where he was diagnosed as having arterial bleeding and a neck injury penetrating into the oral cavity; ENT surgeons at the hospital performed temporary hemostasis and tracheotomy under local anesthesia, and the patient was urgently transported to our hospital by ambulance. On admission, he was conscious, and his general condition was good. CT showed no damage to the major vessels, but revealed free air around the sublingual region. Therefore, emergency surgery was performed to repair the perforation from the neck into the oral cavity under general anesthesia. We found the facial artery and facial vein and ligated them during the operation, and the opening into the oral cavity was closed with absorbable sutures. The postoperative course was good, the patient resumed oral intake on day 4 after the surgery, and he was discharged from the hospital on day 9 after the surgery, with the only postoperative complication of palsy of the marginal mandibular branch of the facial nerve. In this report, we review nine cases of neck injury penetrating into the floor of the mouth and 11 cases of neck injury caused by a glass fragment reported in the literature and discuss their clinical findings.
著者
西澤 寛人 住吉 正孝 土屋 洋人 韋 靖彦 圓山 雅巳 岡井 巌 丸山 園美 岡崎 真也 井上 健司 藤原 康昌
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.S3_93, 2009

症例は90歳, 女性. 5年前より発作性心房細動のためベプリジル100mg/日内服していた. 心エコーで基礎心疾患なく心機能は正常範囲内であった. 2007年6月ころより下腿浮腫が出現, 近医よりフロセミド20mg/日の投与を受けていた. 2008年7月ころからふらつきが出現したため当院を受診した. 入院時心電図は心拍数65/分の洞調律, QT時間0.44 (QTc 0.46), V2~4に著明なU波を認めた. 入院後, 多形性心室頻拍 (PVT) が繰り返し出現, 硫酸マグネシウムおよびリドカイン静注によりPVTは抑制された. 血液検査でK 3.4mmol/Lと低カリウム血症を認め, ベプリジルを中止しカリウムを補正した後はPVTの再発はない.  ベプリジル投与中のPVT発症には明らかなQT延長を伴わない場合もあり, 血清カリウム濃度には十分に注意する必要がある.
著者
漆原 康子 原 太一 山田 哲史 藤永 周一郎
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-160, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
11

小児のステロイド依存性微小変化型ネフローゼ症候群(SDNS)において,シクロスポリン(CsA)は非常に有効な免疫抑制薬であり,1 日2 回の食前内服が推奨されている。今回,SDNS 患児においてシクロスポリン1 日1回投与法による初回治療(以下1 回法,目標内服2 時間濃度600~800 ng/ml)を試みた23 例について有効性と安全性について,後方視的に検討を行った。1 回法はSDNS からの脱却率が65%,2 年間の無再発率は34.8%であった。さらに,1 回法におけるCsA 投与量は平均2.6 mg/kg であり,通常の2 回法より明らかに減量することが可能であった。しかし,1 回法も1 例(8.3%)に間質線維化を認めたため,2 回法と同様プロトコール腎生検は必要であると考えられた。SDNS 患児に対して,1回法はアドヒアランスの向上とCsA 投与量の削減が可能な有効な治療と思われた。
著者
田村 恵子 西山 知佳 星野 明子 平井 啓 森田 達也 清原 康介 本間 なほ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、地域社会で病いとともに生きる人々や家族、市民と専門職で創るケアリングコミュニティにおける対話プログラムの効果検証を目的とする。CBPR(Community-Based Participatory Research)を主軸に、ケアリングに基づく対話パターンの実践知の共有、世代を越えた人々とのケアする対話の場づくりの検討、病いとともに生きる意味を探求するスピリチュアルケアガイドの作成を行う。地域社会における対話プログラムの効果を検討することで、今後の少子高齢・人口減少を向かえるわが国において、病いとともに生きる人々と市民が支え合い、主体的に生き抜くための地域共生社会実現への貢献を目指す。
著者
秋枝 俊江 吉田 明弘 小笠原 正 朝比奈 滉直 宮原 康太 松村 康平 荘司 舞 島田 茂 島田 裟彩 谷口 誠
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.287-298, 2020

<p>経管栄養と経口摂取の要介護高齢者における口蓋・舌・咽頭の細菌叢を明らかにするために次世代シークエンス解析(NGS)を行い,さらに細菌叢に影響を与えている要因を検索する目的で主成分分析と相関比を用いた.経管栄養者20名と経口摂取者19名の要介護高齢者を調査対象とした.入院記録より栄養摂食状況,年齢,性別,疾患,寝たきり度を確認し,Japan Coma Scale,意識レベル,意思疎通の有無,残存歯とう蝕の有無,CPI測定を行った.検体採取は,口蓋,舌,咽頭をスワブ法にて実施し,DNA抽出,PCR法,次世代シークエンス・メタゲノム解析を行い,塩基配列を解読し,細菌の種類と構成率を評価した.</p><p>Shannon指数は,経管群で口蓋と咽頭において経口群よりも有意に低く,舌では,平均値で経管群が低かったが,有意差を認めなかった.経管群における口蓋,舌,咽頭は,好気性菌が有意に多く,通性嫌気性菌は,経管群で有意に多く認めた.経管群における口蓋,舌,咽頭の細菌叢は<i>Neisseria</i>属,<i>Streptococcus</i>属,<i>Rothia</i>属の割合が多かった.主成分分析による口蓋の第1主成分の寄与率は21.3%,舌で32.7%,咽頭で30.1%であった.「経管/経口」「意思疎通」「年齢」「全身疾患の種類」などを含めた18項目と細菌叢との関連を示す相関比は,「経管/経口」の相関比が最も高いことが認められ,口蓋・舌・咽頭の細菌叢に最も影響を与える要因は,「経管/経口」であった.</p>
著者
朝比奈 滉直 小笠原 正 秋枝 俊江 宮原 康太 松村 康平 荘司 舞 島田 茂 島田 裟彩 柿木 保明
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.375-381, 2020

<p>要介護高齢者は発熱がみられることがあり,さらに誤嚥量の増加,脱水,免疫機能の低下により肺炎となることが危惧される.要介護高齢者において発熱を予防していくことは重要である.今回,経管栄養者の患者背景および口腔内所見と発熱との関係を検討した.</p><p>対象者は要介護高齢者のうち経管栄養がなされ,一切経口摂取がされていない患者16名であった.入院・入所記録より年齢,基礎疾患,寝たきり度,調査時より過去6カ月以内の発熱の有無を記録し,意識レベル(Japan Coma Scale),意思疎通の可否を確認した.発熱は,37.5℃以上とした.口蓋粘膜より採取された膜状物質は,顕微鏡にて重層扁平上皮由来の角質変性物が認められた.発熱との単相関は,Fisherの直接確率計算,<i>χ</i><sup>2</sup>検定,あるいはStudentのt検定にて解析した.</p><p>年齢,性別,寝たきり度,意識レベル,意思疎通,基礎疾患,および残存歯,う蝕歯,CPIと発熱との関連は,統計学的に有意な差は得られなかった.剝離上皮膜の有無と発熱は有意差を認め,剝離上皮膜を有する者は発熱が有意に多かった.剝離上皮膜がみられる口腔や気道は乾燥傾向にある.口腔と気道の乾燥は,局所の免疫能低下と特異的な細菌をもち,発熱を起こすことが疑われた.発熱を予防するためには,口腔粘膜の擦拭と保湿の粘膜ケアが重要であることが示唆された.</p>
著者
神野 真吾 竹田 美和 茜 俊彦 平田 智也 久野 尚志 羊 億 磯貝 佳孝 渡邊 直樹 藤原 康文 中村 新男
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 2002

ErP/InP heterostructure is one of the candidates for realizing new functional high-speed magneto-electronic devices. We have investigated growth morphology of ErP on InP (001) and (111)A. ErP/InP heterostructures were grown by face-down OMVPE. ErP formed islands on each orientation, while island size and height were quite different between two orientations.
著者
君付 隆 堀之内 謙一 外山 勝浩 春田 厚 紀井 登志哉 原 由紀代 鳥原 康治 松浦 宏司 大迫 廣人 竹中 美香
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.131-136, 2005-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
18

耳に掻痒感を訴える患者は多く、一般的にステロイド含有軟膏などの塗布が行われている。今回、耳掻痒感の訴えのある患者に抗ヒスタミン薬であるベシル酸ベポタスチンを投与し (T群) 、その効果をアンケート (かゆみスコア) により検討した。投与3日後、1週後で有意差をもってスコアが改善した。即効性の検討においては、服用後30分で既にスコアの改善を認めた。プラセボ群 (通常の治療群、P群) との比較においては、T群とP群の両群で1日後よりスコアの低下を認めたが、T群とP群間での差は認めなかった。
著者
須原 康夫
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.517-528, 1977-08-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
105
著者
清水 謙祐 鳥原 康治 中山 明峰 福留 真二 佐藤 伸矢 東野 哲也
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.96-102, 2012 (Released:2012-06-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

We report herein on psychiatric comorbidity in patients with dizziness in a psychiatric hospital with an otolaryngologist. Psychiatric comorbidity was revealed in 270 (68.9%) of 392 patients with dizziness. Of 270 patients with dizziness and psychiatric comorbidity, anxiety disorders were revealed in 149 (55.2%), mood disorders in 36 (13.3%), somatoform disorders in 5 (1.9%) and adjustment disorders or post-traumatic stress disorder in 15 (5.5%) but in addition organic mental disorders were also seen in 21 (7.8%) and schizophrenia in 15 (5.6%). Phobic postural vertigo was diagnosed in 30 (7.7%). These patients were not only treated by otolaryngologists, but also received psychiatric therapy or were prescribed psychotropic drugs. We believe that cooperation between psychiatrists and otolaryngologists in hospitals or regions can improve the mental condition and quality of life in patients suffering from dizziness with psychiatric comorbidity.
著者
大石 康介 小泉 貴弘 諏訪 大八郎 井田 勝也 石原 康守 大貫 義則 鈴木 章男 中島 昭人 神谷 隆
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.525-528, 2007-03-31
参考文献数
13
被引用文献数
2

腹部緊急手術後の, 感染による腹壁欠損症例を2例経験した。症例1 : 26歳, 男性。交通事故による左側腹部広範囲挫滅創, 腹腔内臓器損傷に対し緊急手術を施行した。術後, 創周辺に感染, 壊死を起こし, 15&times;10cmの腹壁全層欠損が生じ, Bard Composix Mesh<sup>&reg;</sup> (以下, メッシュ) で欠損部を充填し, 腹壁を閉鎖した。創部感染の収束を待ち, 腹直筋皮弁を用いた腹壁再建術を行い得た。症例2 : 77歳, 男性。閉塞性大腸炎による大腸穿孔をきたし, 横行結腸部分切除, 人工肛門造設を行った。術後, 空腸皮膚瘻による人工肛門周囲の感染を併発し, 同部周囲に腹壁欠損を生じた。人工肛門閉鎖時, 欠損部は5&times;10cmとなり, メッシュで欠損部を覆った。感染収束後メッシュを除去, 閉創を行った。高度感染を伴う腹壁欠損の2症例において, メッシュを用いた二期的再建が有効であった。