著者
塚原 康博
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.130-136, 2003-10-31 (Released:2022-01-18)
参考文献数
16

本研究では,景気浮揚のための代表的な政策である公共事業と高齢化社会において拡大が不可避である社会福祉支出の生産波及効果を拡大レオンチェフ乗数(通常のレオンチェフ乗数,すなわち中間投入を通じた生産波及効果,と消費活動を通じた生斥波及効果の2つの効果の結合効果)を推計することによって比較分析した。この推計に当たり,取り上げる消費の範囲に関しては,2つの考え方がある。すなわち,消費の範囲を広くとる総最終消費支出ベースによる推計と消費の範囲を狭くとる家計現実消費ベースによる推計である。本研究では,両方の推計を行った。いずれの推計でも,社会福祉と公共事業の牛産波及効果の差は1%以内におさまっており,社会福祉と公共事業の生産波及効果はほとんど同程度とみなせる。この結果は,短期的な景気浮揚のための公共支出の配分において,公共事業だけでなく,社会福祉も選択肢の1つになりうることを示唆している。
著者
土井 政寛 德永 隆司 藤原 康祐
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.48-51, 2021 (Released:2022-02-08)
参考文献数
1

MX-30 EVモデルの外部充電は欧州仕様ではCCS2(TYPE2),北米仕様はCCS1(TYPE1),日本仕様ではCHAdeMO+AC充電(TYPE1)を搭載し世界の充電方式をサポートしている。これらの充電規格と充電設備全てに対して互換性を持たせることが開発の課題である。MX-30の充電システム開発では,これら多数の変化点を持った充電システムの同時開発が求められたことに対し,一括制御構造を構築し主に固定と変動に制御機能を分けて管理することにより効率化を実現した。加えて机上検証環境として充電設備モデルをMILS(Model In the Loop Simulation)及びHILS Hardware In the Loop Simulation)環境内に構築して充電システムの成立性を早期に検証した。本稿ではこれら外部充電システム開発について報告する。
著者
福永 晃太 圓﨑 将大 小味 昌憲 東 美菜子 平井 俊範 藤原 康博
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.663-673, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
29

【目的】Three-dimensional (3D) quantification using an interleaved Look-Locker acquisition sequence with T2 preparation pulse(QALAS)は,緩和時間を測定可能なシーケンスの一つである.3D-QALASは短時間に高い空間分解能で撮像可能な特徴があるが,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間の測定精度や従来法とのバイアスは明らかになっていない.本研究の目的は,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間を従来法と比較し,明らかにすることである.【方法】3D-QALASでファントムのT1値とT2値を測定し,それらの精度を評価した.次に,健常者の脳組織のT1値,T2値,プロトン密度を2D multi-dynamic multi-echo(MDME)と3D-QALASで測定し,それらの差を評価した.【結果】ファントムによる評価において,3D-QALASのT1値は,inversion recovery spin-echoのT1値より平均8.3%延長した.3D-QALASのT2値は,multi-echo spin-echoのT2値より平均18.4%短縮した.生体による評価では,3D-QALASの平均のT1値とT2値とPDは,2D-MDMEと比較して,それぞれ5.3%延長,9.6%短縮,7.0%増加した.【結語】3.0 Tの3D-QALASはT1値が1000 ms未満では測定精度が高いが,それ以上では過大評価される.また,3D-QALASのT2値は過小評価され,T2値が長いほどその傾向は大きくなる.
著者
田坂 佳資 松原 康策 仁紙 宏之 岩田 あや 磯目 賢一 山本 剛
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.727-732, 2015-11-20 (Released:2017-07-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

小児期の非チフス性サルモネラ属菌による侵襲性感染症の臨床像や,長期間に亘る発症頻度の解析報告は少ない.これらを明らかにするため,地域中核病院において1994~2014 年に無菌検体から同菌が分離された小児を対象に,診療録を後方視的に検討した.研究期間を第1 期(1994~1999 年),第2 期(2000~2004 年),第3 期(2005~2009 年),第4 期(2010~2014 年)に分けた.該当症例は17 例(日齢2~13 歳)であった.腸炎に菌血症合併例が13 例,菌血症・敗血症のみが2 例,骨髄炎,髄膜炎が各1 例であった.発症時期は,第1 期から第4 期の順に各々10 例,5 例,2 例,0 例と経時的に有意(trend p<0.001)に減少し,入院数で補正しても有意(trend p=0.009)な減少であった.新生児期発症2 例と骨髄炎1 例を除く,菌血症を呈した14 例では,入院時WBC は13 例(93%)が15,000/μL 未満で,CRP は0.8~20.4mg/dL と幅広く分布した.これらの菌血症の診断は,血液検査から推定することは困難で,高熱,全身状態不良,低年齢等の危険因子を考慮する必要があった.分離菌のO 血清群はO9,O7,O4 群が各々11 株,5 株,1 株であった.抗菌薬の感受性は評価した15 株中,ampicillin 耐性が2 株,fosfomycin 耐性と中等度耐性が各1 株であった.cefotaxime,ofloxacin またはlevofloxacin,trimethoprim-sulfamethoxazole は全て感性であった.日齢2 の敗血症例は下痢を伴う母からの垂直感染が,日齢14 の髄膜炎例は3 週間の治療後に再発を認めたことがそれぞれの特徴であった.本研究は,小児期侵襲性非チフス性サルモネラ感染症の臨床的特徴を明らかにし,20 年に亘って有意に減少していることを示した本邦初の報告である.
著者
直原 康光 安藤 智子 菅原 ますみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.117-130, 2023-06-30 (Released:2023-06-14)
参考文献数
66

本研究の目的は,第1に,離婚後の父母コペアレンティングと子どもの適応の相互関係,第2に,子どもの適応のうち「外在化問題行動」,「内在化問題行動」,「向社会的な行動」の相互関係について,交差遅延効果モデルを用いて,経時的な相互関係について検討することであった。離婚して2年未満で2―17歳の子どもと同居する母親500名に,3か月後,6か月後に追跡調査を行った。3時点のデータを用いて,交差遅延効果モデルによる分析を行った結果,「葛藤的なコペアレンティング」は,「外在化問題行動」に正の影響を及ぼし,「外在化問題行動」は「内在化問題行動」に正の影響を及ぼし,「内在化問題行動」は「向社会的な行動」に負の影響を及ぼすことが明らかになった。また,「内在化問題行動」と「向社会的な行動」の間には,互いに負の影響関係が認められた。変数相互間の関係性については,発達カスケードを踏まえて考察を行った。本研究の結果を踏まえた介入や支援への示唆として,離婚後の「葛藤的なコペアレンティング」を抑制することの重要性および子どもの「外在化問題行動」に着目することの重要性が示された。
著者
桑原 康人 石野 明美 桑原 典枝
出版者
日本獣医腎泌尿器学会
雑誌
日本獣医腎泌尿器学会誌 (ISSN:18832652)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.20-22, 2019 (Released:2019-04-03)
参考文献数
3

伴侶動物の尿道閉塞や膀胱麻痺に陥った症例に対する尿路変更術として、口径約1 cm程度の腹壁膀胱瘻設置術が実施されてきたが、瘻孔の早期閉塞や尿路感染が問題であった。今回、従来法よりも大きな口径で腹壁膀胱瘻設置術を行ったところ、上記問題の解消に有効であったので報告する。
著者
高橋 文孝 本阿彌 彩佳 赤木 浩之 菊地 勇輝 伊藤 大輔 畠山 祥明 土岐 美苗 藤田 幸弘 原 康 山口 伸也
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.7-14, 2023 (Released:2023-04-25)
参考文献数
20

第7頸椎頭側成長板骨折を受傷した幼猫2頭に対して、頸部腹側正中アプローチを行い、骨折整復およびチタンスクリューとポリメチルメタクリレートを使用した椎体固定術を実施した。2症例ともに術後徐々に、第5頸椎腹側部に骨棘形成の進行を認め、1症例では、胸郭および胸椎頭側部の変形所見が認められた。骨折の発症要因は不詳であるが、術後、インプラントの折損や緩みは認められず、臨床症状は改善し、歩行可能となったことから、本研究で用いられた手法は有効な治療選択肢の一つになりうる可能性が示唆された。
著者
伊藤 康一 石原 康宏
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

症候性てんかんの治療戦略上、脳浮腫発症制御は重要であるため、五苓散による予防的治療の可能性を検討した。重積発作(SE)側頭葉てんかんモデルマウスの海馬、扁桃体で、SE後初期の一過性BBB透過性亢進が血管原性脳浮腫を誘導したことを明らかにした。これらの指標に対して、五苓散はSE後、1日3回(300 mg/kg)経口投与に2日後に有意な抑制効果が認められた。さらにSE2日後、有意に増加したアクアポリン4、炎症性サイトカイン発現量は、五苓散投与で有意に抑制された。また、SRS出現はSE10日後でも観察されなかった。本研究において、五苓散のSE後脳浮腫に対する臨床適用の可能性を示した。
著者
塚原 康子
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近代日本において特異な役割を担った雅楽について、(1)近代の皇室祭祀との関係、(2)唱歌・儀礼歌など近代歌謡の創出との関わり、(3)公開演奏会・万国博覧会を通じた雅楽の国内外への発信、(4)近代の神社祭祀と雅楽の普及、に焦点をあてて解明した。主要な成果は『明治国家と雅楽』(有志舎、2009年)として刊行したほか、重要な史料である楽師日記の一部を『明治四年芝葛鎮日記翻刻・解題』(科研報告書、2011年)にまとめた。
著者
田淵 貴大 清原 康介 西浜 柚季子 村山 洋史 大川 純代 山地 太樹 柿崎 真沙子 金廣 有彦 野村 章洋 尾谷 仁美
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

本研究の目的は、日本における新型タバコに関して、(1)ライフコースに応じた詳細な使用状況(使用の決定要因の解明を含む)、(2)その他の健康行動、飲酒・肥満など様々な健康指標との関連、(3)禁煙への影響、を明らかにすることである。日本の一般住民を対象としたインターネット調査を毎年繰り返し、日本を代表するコホート研究データも活用し、新型タバコ研究を継続的に展開する。精緻な統計学手法で解析し、論文を出版し、結果として政策立案者に有益な情報提供をする。
著者
芳倉 太郎 西尾 孝之 藤原 康博
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.33-43, 2008 (Released:2008-02-07)
参考文献数
73
被引用文献数
2

The present document summarizes the achievements of Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences in the study of leachate control and management at a sea-based solid waste disposal sites in Osaka City.The document covers investigative research such as analysis of changes in water quality, advanced water treatment for the removal of nitrogen and micropollutans, water treatment using activated charcoal made from wastewood, and microbiological study.
著者
安井 健 鷲尾 智子 横田 一彦 粟井 直子 中原 康雄 緒方 直史 芳賀 信彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1569, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】副腎皮質ステロイドは自己免疫疾患をはじめ広く使用される薬剤であるが,投与期間が長期に及ぶことが多く,入院期間も長くなりがちである。副作用としての筋力低下は,遅発性に近位筋優位に生ずる点,生化学的検査所見の乏しさと確定診断の困難さ,発症の個人差などから見落とされやすく,ベッドを用い,階段の使用などに制限のある入院生活においては,転倒などの問題が顕在化してから主科よりリハ依頼があることがほとんどであった。当院では,理学療法を必要とする対象者の実態を把握し,もれなく早期から介入することを目的に,病棟と連携した試みを行っており,その内容と経過を報告する。【方法】対象病棟は,アレルギーリウマチ内科および呼吸器内科の専有病棟で,対象者は,ステロイドの長期加療(パルス療法と後療法,中等量(0.5mg/kg/day)以上からの漸減投与など)により長期入院が予定され,かつ,加療前の段階では歩行が自立しており,運動器障害による理学療法(PT)の介入の必要性が低いと考えられる患者である。この中で,病棟看護師のスクリーニング評価によって筋力低下が疑われた場合,看護師がリハサイドに報告するとともに主科にリハ依頼を提案,依頼のあった患者に対してPTを行った。スクリーニング評価の内容は,①近位筋の筋力評価(SLR,ブリッジ,頭部拳上,ベッドフラットからの起き上がり,ベッド端座位からの起立の各動作の可否やできた回数を,加療前と加療開始後4週毎に評価),②筋力低下の自覚症状を聴取,または患者からの自己申告,の2項目で,家屋状況の聞き取り(階段の有無,ベッド等の所有状況,しゃがみ立ちの必要性など)を補助項目とした。また患者への啓蒙のため,パンフレットを作成して対象者へ配布した。【倫理的配慮,説明と同意】リハ医学に関する後ろ向きの疫学研究に関して,東京大学医学部倫理委員会の承認を得ている。【結果】平成25年4月1日~10月31日に対象病棟を退院した患者のうち,ステロイド加療にて1か月以上入院した患者は28名(男8名,女20名,平均年齢60.0±15.6歳)であった。このうち,入院中を通して歩行が自立していたのは21名(男5名,女16名,平均年齢60.2±15.3歳),その中でPTが介入したのは6名(すべて女性,平均年齢57.8±15.0歳)で,すべてスクリーニングを通して依頼があった患者であった。歩行が自立していなかった7名は,入院前から有する運動器障害や呼吸障害の増悪,術後の廃用などの理由で既にリハ依頼があり,すべてにPTが介入していた。スクリーニングで選定された6名はすべて,上記①では問題を呈さなかったが,ステロイド加療開始後1ヶ月前後(平均36.2±20.5日,中央値28日,最大値77日,最小値23日)で自覚症状を呈し,PTの介入に至った。すべて自宅退院したが,自宅環境では,6名中5名において,階段昇降や床からの起立動作が必要であるなど,入院環境とのギャップがあった。診断のために%クレアチン尿の計測を行った症例はなかった。骨格筋の状態を,CT画像による大腿部や股関節周囲筋の筋量の変化で確認できた症例が1名あり,腸腰筋および大殿筋の明らかな萎縮を示していた。PTによる筋力評価は,起立や階段昇降の動作方法の介入中の変化や,入院前に行っていた方法との比較により行った。PT開始時の筋力低下の程度にはばらつきがあり,介入頻度は週2~5日で適宜調整した。退院時,6名中4名は入院前レベルの筋力まで回復せず,動作方法の指導や在宅環境調整を必要とした。【考察】スクリーニング症例はすべて,入院生活上では歩行に制限がなく,今回の関与がなければPTが介入することなく自宅退院となり,退院後の生活に困難さを生じた可能性がある。スクリーニングにおいては,とくに筋力低下の自覚症状の出現に着目することが有用である。生化学的検査所見に乏しいが,CT画像で筋量の推移を評価できる場合がある。PTによる筋力の評価では,全身性疾患や,呼吸・循環器系の障害をもつ症例には計測機器を用いた最大筋力の測定にはリスクを伴うため,起居動作や階段昇降における動作方法とそれに要する筋力に着目することが有効で,退院時指導の際にも有用である。【理学療法学研究としての意義】病棟看護師と連携することで,ステロイド筋症が疑われる患者へのPTによる早期かつ適切な対応が可能となり,円滑な自宅退院に寄与できる。
著者
窪田 英樹 萱野 茂 岸下 浩治 小笠原 康志
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.41, pp.1-10, 1989-10-25 (Released:2017-09-05)

本論文は,伝統構法に基づいて復元されたカヤぶきのチセ(3.7×5.4m)における14箇月間にわたる調査の結果に基づき,その結果の一部を暖房環境を中心にまとめたものである.冬期採暖時のグローブ温度は炉端の居住者の位置では約20℃であるが,炉端から離れると急激に低下した.しかし,室中央のグローブ温度は,二風谷の最寒期(外気温約-10℃)においても外気温より15Kほど,また床上50cmの気温も約10K,それぞれ高い値を示した.また,居住域のガス粉じん濃度はそれぞれCO20ppm,CO_20.06%,粉じん2mg/m^3であり,日本産業衛生学会基準の10〜40%程度であった.換気量は1.3×10^3m^3/h程度と推定された.
著者
藍原 康雄 千葉 謙太郎 川俣 貴一
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.225-233, 2022 (Released:2022-04-25)
参考文献数
23

これまで, 難治性稀少疾患である小児脳腫瘍治療の疾患概念・最新知見・先端治療について述べてきた1) -9) 17) -19) . 現在, 医療体制と患児の自立支援問題については 「小児悪性腫瘍治療に伴う移行期医療の課題」 を中心に議論される機会が多い. 今回は, 初発症状の発症時から脳神経外科での初診, そして入院加療に至るまでのタイムラグ課題や入院加療期間中の治療環境課題, そして回復退院後の学童生活復帰での課題もしくは病態悪化から終末期に至る期間での小児脳腫瘍治療環境が抱える課題について共有するべく内容を提言する.
著者
野原 康弘 Yasuhiro Nohara
雑誌
英米評論 = ENGLISH REVIEW (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
no.17, pp.49-78, 2002-12-20

Traditionally people usually recognize adverbs by the commonest suffix -ly : absolutely, abruptly, absently, accurately, etc. There are many adverbs, however, which are not recognizable in this way : indeed, now, often, soon, etc. And there are also a lot of adjectives which have the same suffix -ly (which is called ‘adjectival -ly’): brotherly, friendly, ugly, weekly, etc. And some adverbs have two forms, each of which has a different meaning : dear
著者
梶原 康宏 梶原 正宏
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.37-48, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
18

安定同位体を利用した研究報告は数多くあり,今後,益々発展していくと思われる。今回,その安定同位体の分離・濃縮技術,1970年代から現在までの研究事例として13C-標識化合物を用いたビタミンB12の生合成研究,既に医療の現場で広く普及しているHelicobacter pylori感染診断のための13C-尿素呼気試法の概要について紹介し,医学・薬学における安定同位体の利用についてまとめた。
著者
福井 花央 片山 修一 後藤 隆文 中原 康雄 大倉 隆宏 人見 浩介 青山 興司
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1096-1100, 2018-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
13

卵巣広汎性浮腫massive ovarian edema(以下MOE)は正常の卵胞構造を有したまま,間質の浮腫により卵巣腫大を呈するまれな病態である.我々は女児に発症したMOEの2例を経験したので報告する.症例1は9歳,女児.主訴は食思不振,嘔吐,腹部腫瘤.下腹部正中から右側に,10 cm大の腫瘤を認めた.MRIで骨盤内腫瘤の被膜下にMOEに特徴的な所見であるネックレスサインと呼ばれる多数の小囊胞構造を認めた.術中所見では右卵巣が捻転しており,腫瘍や壊死の可能性を考え付属器切除術を施行した.症例2は4歳,女児.主訴は腹痛,嘔吐.MRIでネックレスサインを認めた.画像,臨床経験から術前にMOEと診断し,腹腔鏡下右卵巣捻転解除術および固定術を施行した.女児の急性腹症ではMOEの可能性を念頭におくべきである.