著者
神原 弘之 安浦 寛人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.95, no.171, pp.45-52, 1995-07-21
参考文献数
11
被引用文献数
2

KUE-CHIP2(Kyoto University Education-CHIP2)は,LSI設計教育と計算機ハードウェア教育のために開発した8ビットマイクロプロセッサである。本稿では,KUE-CHIP2の仕様とその教育への応用について報告する。計算機ハードウェアの入門教育用に開発したKUE-CHIP2を搭載したワンボードコンピュータは,40以上の大学あるいは高専で約260台が使用されている.LSI設計教育の設計対象として,KUE-CHIP2互換のマイクロプロセッサが,UDL/I処理系を用いて,九州大学の学生により設計された.実現された互換チップの動作テストはワンボードコンピュータに実装されて行われたKUE-CHIP2については,アーキテクチャからレイアウトレベルまで,すべての設計データが公開されている.UDL/I,SFL,VHDLなどの各種ハードウェア記述言語による動作仕様も作成されている.
著者
幸田 正典 中島 康裕 宗原 弘幸 苅野 賢司
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

最終年度である今年度は、現地調査は協同的一妻多夫魚カリノクロミス(以下カリノ)とハレム型社会を持つサボリの繁殖について主に調査した。カリノについては、特に雌の果たす役割に焦点をあて、現地での水槽実験も合わせて行った。また、国内では過去の資料を含め、マイクロサテライトを用いた血縁判定、並びに過去の資料の解析及び整理を行い、複数の投稿原稿として準備あるいは公表を行った。カリノは岩の割れ目を繁殖巣として利用する。これまでの野外観察からカリノの雌は、くさび形の形をした巣を利用すること、大型の雌ほどそのような巣を占めていることから、雌は多様な形の巣のうちから、くさび形の巣を好むと考えられた。水槽実験として、くさび形巣と'幅広巣'を雌に選択させたところ,多くの例で雌はくさび形巣を選んだ。このことは亜野外観察の結果と一致する。また野外調査では、産卵の観察事例を増やせた。本調査により、11産卵のうち10例では、雌はくさび形巣の中で大型のα雄が最も奥に入り込めるところに産卵することが確認できた。この産卵場所選択も雌が行っているとみなされる。これにより、雌はα、β雄の父性の操作を行っているとの仮説を立てた。共同繁殖する動物で雌による父性の操作の可能性および重要性が示唆されているが、この仮説が検証されれば、体外受精動物での初めての父性の操作となる。野外調査からサボリに、ヘルパーが存在することが確認された。おそらくこれは血縁ヘルパーと思われ、このタイプの共同繁殖がハレム型の社会を持つ種では初めての事例である。サンプルは国内に持ち帰っており、これらにより親子判定を現在実施している。また、サボリの生魚40個体をいかして国内に持ち帰っており、今後これらを用いて大阪市立大学にて水槽実験を行っていく予定である。
著者
幸田 正典 宗原 弘幸 渡辺 勝敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

協同的一妻多夫魚(J.transcriptus)を用い,(1)体サイズが婚姻形態形成にもたらす影響2)トリオ内でのαとβ雄での精子競争の実態,(3)協同繁殖トリオでの雌の父性の操作,(4)さらに雄による自分の子供の父性の認知様式の,主に4点について飼育実験を行った。特に本研究(3),(4)について集中的に検証研究を実施した。(3)については,ペアとトリオでの比較から,効果的に実験成果として示す事ができた。まず巣場所選択をみると,ペアの場合は幅広巣とくさび巣ともに選好性はないが,トリオの場合雌は明らかに楔巣を好む。これにより,卵の受精は大型のα雄と小型のβ雄の両雄がクラッチを受精させている。この際,巣の奥の狭い場所に産む事でβ雄が,手前の幅広い場所に産むことで,大型のα雄がより多く受精に成功している。すなわち,雌は巣の奥あるいは手前にと産卵場所を変更する事により,二雄の受精率を操作する事ができる。その際,β雄に受精させる事により,雌は自分自身の保護量を減らしていると考えられる。このような,雌による受精の操作ははじめて検証されたものであり,また魚類での雌の父性操作としてもはじめての例である。(4)のために,我々は,摺ガラスで作った半透明巣を用意した。この巣を使うことにより巣の内部での雌雄の関係をビデオに納めることができる。結果はまだ流動的ではあるが,今の所以下の点が示唆されている。β雄は飛び込み放精をするが,その飛び込み頻度と父性に優位な相関があり,β雄は飛び込み回数で父性を評価している可能性がある。逆にα雄は飛び込みを阻止する頻度と父性が相関しているようであり,これにより雄は父性を判定している可能性がある。また今後雌はこれらの雄の父性の指標を操作し,より多くの保護を雄からひき出している可能性も有る。このような視点での研究はまったくなく,これら一連の経緯は今後さらなる実験による検証が必要である。
著者
幸田 正典 中嶋 康裕 宗原 弘幸 狩野 賢司 渡辺 勝敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

最終年度には,安房田,大田,守田の三名を調査地に3ヶ月間派遣し,それぞれ,共同繁殖種オルナータス,雄の繁殖多型種ビッタータス,ランプロロギニ族全体の精子競争の問題の解明にあたった。まず,今回の調査でオルナータスは,おそらく脊椎動物の中でも最も多様な婚姻形態をとる種であることがほぼ明らかになってきた。一夫一妻,一夫多妻,共同的一妻多夫,古典的一妻多夫,多夫多妻とこれまで知られるありとあらゆる婚姻形態が確認された。大きな個体が雄だけでなく,雌にも存在する事がカワスズメ科魚類のなかでも最も婚姻形態が多様であることの要因であると言える。雌が雄より優位に振舞える点そして社会の複雑性の点で,鳥類の繁殖では,ドングリキツツキの共同繁殖に類似している。精子競争や婚姻形態の成立過程だけではなく,共同繁殖での操作,雌雄の対立,相互利他主義という極めて興味深い問題の実験材料として優れた対象動物であることが明らかとなった。今後様々な実験系を組むことで,実証研究材料として研究の発展が期待される。また,カリノクロミスについては,大型雌が存在しないため,鳥類の共同繁殖としてはヨーロッパカヤクグリ型と言う事ができる。ここでは最優位個体は雄である。このように種によるちがいの輪郭が明らかになってきた。ビッタータスでは,雄の代替繁殖戦術は条件次第で大きく変わりうる事,大きな可変性を持つ事が明らかになった。また,パイレーツ雄やスニーカー雄の存在は,共同繁殖のα雄戦術,β雄戦術の基本型とも見なしうる。本族の分子系統解析から,Telmatochromis属とJulidochromis,Chalinochromis属は類縁関係が近い事がわかってきた。雄の代替繁殖寄生戦術と共同繁殖におけるα,β雄の起源は相同的である可能性が高いことも示唆された。
著者
幸田 正典 宗原 弘幸
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

平成13-15年度、及び16年殿一部の期間で、協同繁殖魚のジュリドクロミス・トランスクリプタス、およびカリノクロミスを用い、実験条件下での雌雄の繁殖戦術について複数の実験を行うことができた。まず、協同繁殖条件下で、なわばり雄・ヘルパー雄の精子競争が引き起こされることが、ペアで飼育した雄のGSIとの比較から明らかにされた。このことは本種の雄が、置かれたでの精子競争の程度に応じて、精巣への投資をダイナミックに対応させていることを示している。雌による雄の受精への操作についても、繁殖飼育実験からほぼ実証することができた。この場合もペア繁殖の場合となわばり雄・ヘルパー雄そして雌の鳥を出繁殖させた場合の雌の産の違いから検討されている。二匹の雄がいる場合、雌は卵塊を有意に幅広く産卵させた。DNA判定により巣のより奥に産卵された卵は小型雄が、手前の卵は大型のなわばり雄が受精させることが明らかになった。このことは、雌が産卵場所をコントロールすることで2雄の父性を操作しうることを強く示唆している。また、小型雄の受精率が高い場合、同雄による保護の頻度も高くなることも示唆され、雌の父性操作が雄の保護と関連していることも裏付けている。同属のオルナータスでは野外で一妻多夫の他、一夫一妻やハレムも形成されることが知られており、その主な要因は個体のサイズであることが考えられている。トランスクリプタスの雄雌をともに3個体用いた大型水槽での飼育実験から、雌雄にかかわらず、個体の大きさが婚姻形態の決定に大きな要因となることが示された。すなわち、雌雄ともに似たサイズでは一夫一妻が、一匹の雄が大きな場合は全ての場合で一夫多妻、一雌が大きい場合は一妻多夫の傾向になることが明らかにされ、個体のサイズが婚姻形態形成の上での重要性が、明瞭に示された。カリノクロミスでは、野外観察から雌がくさび形の巣を好むことが示唆されていた。タンガニイカ湖の調査個体群から持ち帰ったカリノクロミスを水槽で飼育し、雌の巣の選択実験を行ったところ、受精の操作が可能である「くさび形」の巣を選択することが明らかにされた。今後カリノクロミスでの雌による雄の父性の操作が成されるのかどうか、といった研究を継続する必要があるが、この結果は、非血縁のヘルパーを伴う協同繁殖において、雌による父性操作の重要性を物語っているといえる。
著者
原 弘久
出版者
国立天文台
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究では私が発案したマルチスリットを製作し、それを用いて太陽コロナを観測することで、(1)高い時間分解能で太陽コロナの分光観測を行うこと、(2)コロナ中を伝播していると予想されているアルフベン波の存在の有無をマルチスリット分光観測によりつきとめること、という二つの目標があった。昨年度と今年度の前半にそれらの観測を可能とするマルチスリット製作を行い、7月より国立天文台乗鞍コロナ観測所で観測時間をもらって観測を行った。しかしながら、7月,8月,9月中に計4週間の観測を行ったが、観測期間のうち晴れた日が数日で、それも雲間をぬうようなものであったため今回解析するのに十分なデータを取得することができなかった。現在、観測所が閉まる直前の10月後半に取得したデータを解析中である。スペクトルデータの初期処理を終え、視線速度データをもとに定在波・伝播波を捕まえようとしているところである。したがって、現段階でアルフベン波の存在の有無については十分な考察のもとで答えることができない。これについては、結果が肯定的でも否定的でも重要な結果となるので、解析終了後に論文にまとめる予定でいる。それでも今回の目的の一つであった高い時間分解能の観測は達成することができ、太陽活動領域中のコロナの速度構造が3分程度の間にかなり変化しているという様子を捉えることができたことは大きな収穫であった。このスリットを用いた観測を来年度も引き続き行い、コロナ運動の様子を高い時間分解能で観測してコロナ加熱領域の研究を継続することを考えている。
著者
野村 亨 WOLLNIK H. MEUSER S. ALLARDYCE B. SUNDEL S. 稲村 卓 RAVN H. 中原 弘道 松木 征史 HANSEN G. D'AURIA J.M. 永井 泰樹 篠塚 勉 藤岡 学 和田 道治 池田 伸夫 久保野 茂 川上 宏金 福田 共和 柴田 徳思 片山 一郎 NITSCHKE J.M BARNES C.A. KLUGE W.K. BUCHMANN L. BARMES C.A. MEUSEV S. D´AURIA J.M. SUNDELL C.
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は,原子核反応で生成するさまざまな短寿命の不安定核種を,その場で分離・選別し,さらに加速して二次ビ-ムとして実験に供する技術の開発とそれによる先駆的研究の実施であった。上記の実験技術は,現在世界的に注目されている先端的技術で,原子核物理学と関連基礎科学分野に全く新しい研究手法を導入するものと期待されている。本研究では,以下の研究課題を設定し,東大核研を軸にして,欧米の主な関係大学・研究所と共同開発・研究を実施した。その成果は,国際会議等に発表するとともに,論文として雑誌に報告されている。A.大効率・高分解能オンライン同位体分離器(ISOL)の開発・・・不安定核のその場分離・選別(ア)大効率ISOLイオン源の開発CERN(スイス)とTRIUMF(カナダ)等と共同開発を実施。表面電離型,FEBIAD型,ECR型イオン源を試作し,さまざまな不安定核原子のイオン化効率を測定。その結果を踏まえてイオン源の改良を行った。アルカリ金属元素については40%以上の大効率イオン化に成功した。また,ビ-ムバンチングについても成功した。(イ)超高質量分解能ISOLの光学計算M/ΔM【greater than or similar】20,000のISOLイオン光学系の設計を,東大核研・東北大・ギ-セン大学(独)の共同研究として実施。機械精度や放射線ハンドリングの観点から,そのフィ-ジビリティを検討。その成果は,東大核研の不安定核ビ-ムファシB.不安定核ビ-ムの加速技術の開発(ア)世界の現状の調査・検討不安定核ビ-ムの加速は,唯一例としてベルギ-の新ル-バン大学でサイクロトロンによって試験的に実施されている。そこでの現状を調査の上,CERN(スイス),GANIL(仏),TRIUMF(カナダ)等の加速計画を吟味し,種々の加速器の長所・短所を明らかにした。この結果は次の(イ)に反映されている。(イ)分割同軸型RFQリニアックの開発電荷質量比の極めて小さい,入射エネルギ-の非常に低い重イオンリニアックの設計・開発を東大核研で行った。そのさい,GSI(独)とTRIUMF(カナダ)の研究者に詳細な検討・批判をあおいだ。試作した分割同軸型RFQリニアックは順調に稼動し,世界的な注目を集めている。C.不安定核ビ-ムによる核物理・天体核物理学の研究(ア)レ-ザ-による不安定核の精密核分光GaAs,AlGaInPなどの固体結晶中に, ^<75>Br, ^<114m>In等の不安定核を打ちこみ,レ-ザ-による光ポンピングにより,娘核( ^<75>Seや ^<114>In)のスピン偏極を実現した。固体中の不安定核のスピン偏極は世界的に稀な成功例である。さらに,RADOP法により,娘核の核磁気能率を精密に測定した。これは,CERN(スイス)との共同研究である。(イ)不安定核の天体核反応率の測定東大核研・理研・GANIL(仏)との共同研究として宇宙における重元素合成機構において,不安定核の天体熱核反応に役割の研究を実施。 ^<13>Nの熱核反応率の測定に成功した。上述の研究成果の多くは,平成3年度に開催された国際会議(原子核・原子核衝突に関する第4回会議,於金沢;第2回放射性核ビ-ム国際会議,於新ル-バン大学[ベルギ-];第12回EMIS会議,於仙台等)の招待講演として発表されている。また,国際誌等に論文として報告した。本研究成果は国際的な反響をよび,東大核研の研究プロジェクトにその結果が活用されたばかりでなく,CERN(スイス),TRIUMF(カナダ),LANL(米)等の研究所から共同研究が期待されている。
著者
井口 洋夫 直江 俊一 田中 桂一 城田 靖彦 中原 弘雄 三谷 忠興 丸山 有成 高塚 和夫 加藤 重樹 大峰 巌 中村 宏樹 諸熊 至治
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1. 分子計算化学に関する討論会に参加ならびに調査、共同研究計画打ち合せ(諸熊、中村、大峰、加藤、高塚)今回の日程は、9月19ー21日は第23回英国量子理論会議に出席して若手の理論化学研究者と交流を深めた後、週末をはさんで、日本側5人、英国側12人出席の小さな合同シンポジウムで、質の高い情報交換と交流打ち合せを2日間行うというもので、いずれも会場、宿舎ともオックスフォ-ド大の古いカレッジの1つであるJesus Collegeが使われた。日英シンポジウムでは、シミュレ-ション、電子状態、動力学の各分野とも現役のトップクラスと新進気鋭をそろえ、英国側の並々ならぬ意気込みがうかがわれた。また、交流を一層巾広くするため、英国側の講演者には比較的なじみのすくなかった若手が起用され、フレッシュなプレゼンテ-ションと高いレベルの討論が行われた。この分野におけるこの数年間の研究協力の成果をふるまえ、今回のシンポジウムは終始きわめてなごやかな雰囲気で行われた。特に、日英とも新しい世代のコンタクトが広がったことは今後の協力の発展の上に意味が大きいと思われる。2. 物質化学に関する日英討論会に参加、並びに大学・研究所訪問の調査、共同研究計画打ち合せ(丸山、三谷、中原、城田)「特異な物性をもつ有機分子性固体及び金属配位化合物」という主題に関する日英討論会が、1991年3月17ー20日の間英国バ-スにおいて開催された。日本側5名、英国側10名の招待者及びオブザ-バ-が参加し、5つにわけられたそれぞれのセッションで日本人1名、英国人2名の講演があり、活発な質疑応答が行われた。“高分子"のセッションでは光機能性ポリマ-の光電変換素子特性、高分子液晶などが報告され、“LB膜"では、膜構造の新しい評価法や機能性について議論がなされた。“分子性結晶"では導電性金属錯体及びその超伝導特性と電子構造との関連が考察された。午後のポスタ-セッションでは、多数の報告がなされ盛会であった。最終日の“フタロシアニン及び薄膜"では薄膜の構造と機能に関する最近の研究が紹介され、さらに新しいフタロシアニンの合成例も報告された。“混合原子価錯体"では、一次元遷移金属錯体のソリトン、ポ-ラロン状態及びそれに関連した光誘起構造相転移の可能性など最新の話題が紹介された。全体的な印象として、英国の現状はそれ程新奇な展開は認められないが独得な執拗さをもって新しい問題にとり組んでいる姿勢が印象に残った。3. 不安定分子の高分解分光法による研究(田中)1)速度変調法による分子イオンの赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光本法は高電圧交流電場を用い放電によりイオンを生成すると同時に荷電子の併進速度に変調を加え選択的にイオン種を検出する方法である。赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法に速度変調を組合せ、H_2O^+,PO^+,CS_2^+イオンの検出を行い充分な経験と成果が得られた。2)金属カルボニル分子の超音速分子噴流中における赤外吸収分光法Ni(CO)_4,Cr(Co)_6,やV(Co)_6などの金属カルボニル化合物は比較的高い蒸気圧を持ち、レ-ザ-光照射による光分解反応との関連により興味が持たれている。これらの金属カル化合物をArガス中に気化させ超音速自由噴流として真空中に噴射し、赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法により主にCO伸縮領域の振動回転遷移を観測した。4. 軟X線分光に関する研究・調査(直江)800〜4000eVのsoft XーRay領域でのビ-ムポ-トの状況、特に調整技術及び測定法について、UVSORの二結晶分光器との比較を含め調査し、さらに半導体試料について測定を行った。上記エネルギ-領域でも特に800〜1500eVの領域は、照射損傷のため分光結晶としてベリルという天然の鉱物を使用する方法が唯一のものとなってきている。第一結晶の水冷や各種薄膜フィルタ-の複合使用によって約1年程度の結晶寿命を実現している。また90%透過の薄膜を10モニタ-として使用し、放射光ビ-ムの変動に対応している点は注目される。試料槽はタ-ボポンプのみの排気により10^<-7>〜10^<-8>torrの真空度とし、測定の迅速化に努めている。しかし、今回の一連の単結晶試料の測定によって試料槽内での表面処理が重要であり、測定の迅速化だけが視点ではないことが判明した。
著者
内田 九州男 竹川 郁雄 寺内 浩 山川 広司 加藤 好文 川岡 勉 加藤 国安 小嶋 博巳 河合 真澄 関 哲行 弘末 雅士 稲田 道彦 大稔 哲也 野崎 賢也 伊地知 紀子 松原 弘宣 西 耕生 田村 憲治 神楽岡 幼子 黒木 幹夫 菅谷 成子 若江 賢三 藤田 勝久 高橋 弘臣 吉田 正広 木下 卓 矢澤 知行 岡村 茂 石川 重雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

シンポジウム・研究集会を3年開き31本の報告を実現、各発表は報告書に掲載した。巡礼の諸相の解明では、日本の四国遍路、熊野参詣、西国巡礼、海外では10巡礼地を調査し、キリスト教世界(古代東部地中海、中世ヨーロッパ、スペイン中近世、イギリス中世・現代)、古代ギリシア、アジア(中国中世、韓国現代、モンゴル中世、エジプト中世、ジャワ中世)の巡礼で実施。国際比較では、日本の巡礼とキリスト教巡礼での共通性は中近世では来世での霊的救済と現世利益の実現を願うことであることを示した。
著者
萩原 弘一
出版者
埼玉医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、(1)薬剤性肺障害に関与する遺伝子が「」common disease-common variant-common origin仮説」に従い日本人に広がった。(2)特発性肺線維症急性増悪に関与する遺伝因子も「common disease-common variant-common origin仮説」に従い日本人に広がった、という作業仮説のもと、両者が同一である可能性、異なる可能性を共に考慮に入れながら、ホモ接合ハプロタイプを用いた全ゲノム関連解析」を始めとする各種解析手法により両者の遺伝子を特定する。両者の遺伝子が同一か否か、比較対照しながら平行して研究する。本年度は、検体収集を開始した。各協力施設から送られてくる加ヘパリン末梢血サンプルより有核細胞を分離し、EBウィルスとともに培養してリンパ芽球細胞株とし、常にDNAを継続採取出来るように準備するとともに末梢血より直接DNAを採取した。各検体に対して同様の処理を行った。薬剤性肺障害、特発性肺線維症急性増悪ともに80例程度の症例を収集することができた。また、アルゴリズムの開発も継続し、HH-GWAS法(投稿中)、HMonHH法(投稿準備中)を開発することができた。HMonHH法は、わずか2名の個人から疾患遺伝子の存在場所を推定する手法である。また一部全ゲノムSNP解析もAffymetrix社SNPアレイ6.0を使用し開始している。
著者
宗原 弘幸 古屋 康則 早川 洋一 後藤 晃 後藤 晃
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

交尾は、肺呼吸、四足歩行と並んで、ヒトを含む脊椎動物が陸圏に進出する際の前適応である。交尾の進化過程を再現するため、近縁種に交尾種と非交尾種を含んだカジカ上科魚類をモデルとして、雄間の競争、特に精子競争の影響に焦点を当てて、実験的に調査した。行動形質の評価指標として繁殖成功度に注目した。その結果、射出精子量、交尾の順番が、繁殖成功度に影響し、先にたくさんの精子を雌に渡すという行為が交尾の進化動因であることが示唆された
著者
木原 弘一 内野 健一 奥野 幹史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

ディジタル伝送線路の回線等化機能は,その高速性及び経済性から専用ハードウェア(LSI)により実現される場合が多いが,設計パラメータや処理アルゴリズムの変更,及びシステム側とのインタフェースに対して柔軟に対処するためには,DSP(Digital Signal Processor)による実現が望ましい.そこで,DSPによる実現に適した時間領域回線等化アルゴリズムとしてDPLL(Digital Phase Locked Loop)制御を可能とするプリカーソル法を採用し,ラインビットレート320kbpsピンポン伝送の実験を行った.本文では,実現構成,機能構成,実験結果について述べる.
著者
木戸川 紀子 田原 弘幸 坂本 繁樹 山本 秀正 本田 亜紀子 田代 泰信 馬場 礼美 井口 茂
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.193-196, 1992-03-31

病院における事故について,リハビリテーションカルテ,看護日誌をもとに調査した. 対象は,昭和63年4月から平成3年11月までに当院に入院した患者,合計673名(男性274名,女性409名)である. 多数回事故を起こしている患者は痴呆を有し,それによる異常行動が原因と思われた. 事故多発時間帯は起床時・消灯時で院内の体制の再検討を示唆するものもあった.事故に伴う傷害で骨折では大腿骨,肋骨,上腕骨と全身的であった. この調査の結果から事故予防策を考えた. ① 移動・移乗能力の評価を厳密にし過大なプログラムを避ける. ② ベッド周囲の環境整備 ③ 事故報告の様式を整える.