著者
山本 聡 松永 安光 徳田 光弘 漆原 弘
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.3, pp.989-994, 2006-10-25 (Released:2018-06-26)
参考文献数
9

本論は、1990年代初頭イギリス政府都市再生政策「シティチャレンジ」の対象地域に選定されたマンチェスター市ヒューム地区を評価とモニタリングのシステムを適用したもっとも典型的な事例としてとりあげ考察したものである。このシステムはこのプロジェクトに当初から組み込まれていたものであり、現在に至るまで機能している。1997年と2002年当プロジェクトの節目には広範にわたる評価報告がなされている。現地の関係機関を通して入手された資料などを検討した結果、この継続的なプロセスの利点が明らかにされた。このシステムによればプロジェクト当初に策定された目標そのものも、その後の変化に対応して変更することが可能になることが判明した。これがわが国の、特に長期にわたる都市再生事業の評価システムに貢献することを期待する。
著者
杉江 夏呼 成原 弘之 野口 憲一 中村 洋祐
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.16, no.33, pp.761-766, 2010-06-20 (Released:2010-06-18)
参考文献数
6

Yokohama Raw Silk Inspection warehouses, completed in 1926 to keep all raw silks which had gathered to Yokohama. This summary reports on some observations identified during the dismantling. The followings were turned out; the ways of creation and installation, and the designs.The way of creation of RC canopy beam was also identified. Wood piles were used for improvement of the foundation. The joint parts of reinforced bars welded together were found from the basement. Moreover, the survey shows that warehouse D had a high quality of the way of welding compared to that of warehouse B; as for warehouse B, the parts were joined together with electric power, so-called flash-butt welding. As for warehouse D, the parts were joined together with electric power and compression, so-called upset-butt welding.
著者
田中 泉 田中 美香 石渡 明子 槫松 文子 佐藤 明子 鈴木 桂子 石原 弘
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.160, 2007

レトロトランスポゾンIntracisternal A-particle (IAP) DNA element は二つのLTRに挟まれたgag-pol遺伝子を所持するユニットであり、反復配列として正常マウスゲノムに数千コピー含まれている。これに由来するRNAは多くの正常細胞に含まれており、レトロトランスポジション機構により逆転写されてゲノムに組み込まれ、周囲の遺伝子に影響を及ぼす潜在性の内在変異原である。これまで我々はC3H/Heマウスにおける放射線誘発骨髄性白血病細胞においてIAP媒介性のゲノム異常の頻発することから放射線障害の過程においてレトロトランスポジションの頻発することを示唆してきた。細胞内には膨大な量のIAP類似核酸が存在するために、IAPの逆転写を解析することは困難であったが、IAP RNAの逆転写過程を解析するために逆転写レポーター遺伝子測定系を開発し、放射線による逆転写促進を見出したので報告する。<BR> 特殊なマーカー塩基配列を組み込んだIAP RNAを強制発現するようにデザインした逆転写解析用のトランスジーンを構築した。これを安定導入したRAW264.7細胞の核酸分析により、レトロトランスポジションの一連の過程の生成物であるtRNA-Pheをプライマーとした初期cDNA、逆転写中間過程のcDNA群、最終逆転写産物である完全長cDNAおよびcDNAの組み込まれたゲノム部位の同定により、レトロトランスポジションの発生を証明した。さらに、これらの逆転写中間過程のcDNA類のreal-time (RT-)PCRによる極微量定量技術の確立に成功した。この安定導入細胞に1-5GyのX線を照射したところ、線量にほぼ依存して逆転写物量が増加したが、RNA量に変動は見られなかった。このことからIAP RNAの逆転写過程が放射線により促進することが示された。
著者
工藤 翔二 植竹 健司 萩原 弘一 平山 雅清 許 栄宏 木村 仁 杉山 幸比古
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.632-642, 1987-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
44
被引用文献数
9

たまたま経験した1症例の経験にもとついて, DPBにたいするエリスロマイシン (erythromycin base, erythromicin ethylsuccinate, 以下EM) の少量 (600mg), 長期 (6ヵ月以上) 投与を試みた. 18例のDPB (H. influenzae 16例, P. aeruginosa 2例) について, 平均19.8ヵ月の投与で, 全例に症状, 検査所見の改善を認めた. 労作時息切れ, 動脈血ガスの改善と寒冷凝集素価, IgM値の低下が, 3ヵ月以降比較的早期にみられ, 体重, 呼吸機能, 胸部X線所見の改善がそれに続いた. これらの改善は投与期間中持続した. 菌交代は1例をのぞいて認めなかった. 副作用として, GOT, GPTの軽度上昇がみられた (5例, 28%) が一過性であった. 投与終了9例について, その後平均11.6ヵ月間観察し, 4例に再然傾向を認めたが, うち2例は再投与にて改善, 全体として最終観察時に有意の悪化はみられなかった.本療法は, DPBの治療上きわめて有用であり, DPBを下気道の持続感染による特異な組織反応と考える立場から, EMの作用機序について考察した.
著者
川原 弘明 樋野 里子 佐藤 雄一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.109-111, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
3

吸入練習せずにラニナミビル使用した場合に吸入力不足で失敗する危険性について,吸入確認用の笛を用いて検証した.音が鳴るまでの吸入回数を評価し,56例のうち10歳未満は7/11=63.6%,10歳代は4/33=12.1%,20歳以上は2/12=16.7%で吸入力不足が判定された.吸入練習しないと,10歳未満の患者で6割以上,10歳以上の1割以上が吸入力不足で失敗する危険性がある.また,5回程度の練習でも鳴らなければ他剤に切り替えることを検討すべきである.
著者
白山 竜次 木戸 君枝 桐原 弘
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
15

同一消費電力のLED光源におけるR光チップとFR光チップの割合(R/FR比)と花芽分化抑制効果の関係を,電照による花成抑制が容易でない夏秋ギク品種‘岩の白扇’と容易な秋ギク品種‘神馬’の2品種を用いて検討した.試験は,波長632 nmのR光LEDチップおよび波長730 nmのFR光チップをそれぞれ5 : 0,4 : 1,3 : 2,2 : 3,1 : 4,0 : 5として,合計5チップになるように製作された6種類のLED電球を供試し,品種ごとにそれぞれ異なる長時間および短時間電照区を設置した.‘岩の白扇’では長時間電照区を4時間電照,短時間電照区を30分電照,‘神馬’では長時間電照区を2時間電照,短時間電照区を4分電照として,光質の違いによる花成抑制の効果の違いが検出しやすいようにした.長時間電照では,品種で光質に対する反応が異なり,‘岩の白扇’はR3:FR2,R2:FR3区で花成抑制効果が高かったが,‘神馬’は,R5:FR0区で高い花成抑制効果が得られた.短時間電照では両品種ともにR5:FR0で高い花成抑制効果が得られた.‘岩の白扇’はR + FR光による長時間の電照で高い花成抑制効果が得られたことから,フィトクロムの分子種の1つであるphyAを介した高照射反応(HIR)の関与が示唆された.
著者
又吉 ジョナサン 楢原 弘之 是澤 宏之
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2018年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.405-406, 2018-03-01 (Released:2018-09-01)

金属光造形はレーザーで金属粉末を溶融凝固しているため熱が発生してしまう。それが原因となってベースプレート(母材)に残留応力という形で現れ、造形後にひずみを引き起こしたり破断する原因となる。そこで本研究では造形におけるどの因子がひずみに影響を及ぼすのかを調査すると同時に造形物の精度の検証も行うことを目的とする。
著者
渡邉 仁志 井川原 弘一 横井 秀一
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.55-61, 2018-12-25 (Released:2019-02-02)
参考文献数
29

岐阜県南部のヒノキ人工林において,下層植生の植被率と優占種によって分類した従来の下層植生タイプ(シダ型,草本型,低木型,貧植生型)にササ型を追加し,これらの表土流亡の抑止効果を再序列化した。ササ型はシダ型に比べ高標高に出現し,光条件が悪化した林床にも出現する可能性が示された。表土流亡の危険性の間接的指標である土壌侵食危険度指数は,全植被率合計が高い林分で小さい傾向が認められた。一方,ササ型の林分では,全植被率合計が草本型や低木型と同程度であったが,土壌侵食危険度指数はそれらの林分より小さかった。ササ型は草本層の植被率合計が高く,葉層とリター層が重層的に地表面を被覆していることから,表土流亡が発生しにくいと推測される。したがって,ササ型をヒノキ人工林下の下層植生タイプとして独立させることは有効である。ササ型を加えると,土壌侵食危険度指数には小さい順にシダ型<ササ型<草本型≦低木型≦貧植生型の序列が認められた。この結果は,下層植生による表土移動量の評価手法の汎用性を高めることに貢献する。
著者
三隅 二不二 関 文恭 篠原 弘章
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
教育・社会心理学研究 (ISSN:0387852X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.173-191, 1969-03-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
23

本研究は, 討議集団におけるPM機能を, 集団成員による, 他者評定にもとづいて, 評定尺度の項目作成を試みた。第1研究から第4研究までの一連の因子分析による尺度項目の検討を行なった。その結果, 本研究で用いた評定尺度項目は, 討議におする2つの次元, すなわち討議の目標達成次元 (P次元) と討議の過程維持次元 (M次元) を測定していることが明確にされた。本研究で用いた討議集団のPM評定尺度にBurk (1967) の研究結果を加えると, P次元の項目には17項目, M次元の項目には14項目が含まるものとして考察された。
著者
横井 秀一 井川原 弘一 渡邉 仁志
出版者
岐阜県森林研究所
雑誌
岐阜県森林研究所研究報告 (ISSN:1882840X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.17-26, 2009-03
被引用文献数
1

間伐が遅れて過密状態になったヒノキ人工林は、下層植生が貧弱になる。下層植生が衰退すると、表土流亡の危険性が高くなる。このため、下層植生を発達させるためにも間伐が必要であるとされ、下層植生の発達を目的とした公共事業(例えば、保安林整備事業における本数調整伐)なども行われている。しかし、間伐が行われたヒノキ林で、必ず下層植生が発達するとは限らない。間伐されたヒノキ林に下層植生が発達しない理由として、中村は、間伐率が低いこと、間伐以前に無植生状態が長く続いていたこと、間伐間隔があきすぎていたことが考えられるとし、横井らは、下層植生が衰退したヒノキ林では埋土種子が少ないこと、下層植生の発達に対して間伐後の林内の明るさが十分でないことが考えられるとしている。ここで、その理由が間伐率の低さや林内の明るさ不足にあるとすれば、林内がより明るくなるような間伐を行えば、下層植生の発達が期待できることになる。間伐後の林内を明るくするには、間伐率を高くする(「強度な間伐」とする)ことの他に、間伐のときにところどころを小集団で伐採する(「群状間伐」とする)ことによって、部分的に明るい箇所をつくり出すという手法も考えられる。前者は林床全体に、後者は部分的にでも下層植生を発達させることで、表土流亡の危険性を低くすることができる可能性がある。本研究は、ヒノキ人工林における群状間伐と強度な間伐の、下層植生の発達に対する効果を検証する目的で実施した。本報告では、間伐後2年間の下層植生の変化を示し、下層植生の発達に対するこれらの間伐の効果を考察する。
著者
塚本 洋太郎 今西 英雄 矢原 弘子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.231-239, 1968 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

アフリカン•マリーゴールド1品種 (ポット•オブ•ゴールド), フレンチ•マリーゴールド4品種 (バターボール, ファン•タンゴ, ノーティ•マリエッタ, プチ• ハーモニー), シグネット•マリーゴールド1品種 (ウルスラ) を用いマリーゴールドの日長反応を研究した。実験結果からマリーゴールドは相対的短日植物であることがわかつたが, 3系統のうち, アフリカン•マリーゴールドは短日要求性が最も弱く, シグネット•マリーゴールドは最も強かつた。フレンチ•マリーゴールドは中間であつたが, 品種により反応差がみられた。アフリカンおよびフレンチ•マリーゴールドは日長に関係なく花芽分化を行なうが, 花芽発達は長日によつて抑制され, 短日によつて促進される。シグネット•マリーゴールドも同じ傾向を示すが, 花芽分化も長日によつてやや遅らせられる。フレンチおよびシグネット•マリーゴールドの場合, 短日が開花を促進し, 開花数を多くさせることは, これらを鉢ものまたは花床の苗として用いる際に利用することができる。
著者
原 弘道 松田 智明 月橋 輝男 松田 照男
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.485-497, 1995-12-15
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

クリ果実における渋皮組織の発達とタンニンの蓄積過程ならびに渋皮剥皮の難易について形態学的な検討を行った.<BR>1.ニホングリ果実の発育初期における渋皮のタンニンは渋皮細胞の液胞に蓄積されており, 液胞内に顆粒が分散しているもの, 液胞膜に沿って集合しているもの, 液胞内全体の電子密度が高くなっているものおよび液胞がタンニンで埋めつくされているものなどいくつかのタイプが見られたが, 収穫期の渋皮細胞ではほとんどの細胞が多量のタンニンで埋め尽くされていた. タンニンが高密度に蓄積された細胞は渋皮の中央, 外層部分に多く, 子葉に近い細胞のタンニン蓄積は少なかった.<BR>2.渋皮の剥皮には渋皮組織と子葉組織の接着程度によっていくつかの様相がみられたが, 品種に固有の様相は認められなかった.<BR>3.収穫期において渋皮の剥皮が困難であった果実の渋皮は, タンニンの蓄積が多く, 子葉に接する細胞の電子密度が高く, 細胞壁の崩壊が認められた. また, 渋皮と子葉の間には低電子密度のマトリクスと電子密度の高い網目状構造が特徴的に認められた.<BR>4.電子密度の高い部分は子葉表皮細胞壁にも浸潤していたが, これらの構造は, 従来推定されていた渋皮と子葉を接着するタンニン様物質によるものと考えられた.<BR>5.一方, チュウゴクグリの果実は渋皮の剥皮が容易であり, 渋皮が薄く, タンニンの蓄積密度が低く, 子葉に接する細胞の退化は遅かった.<BR>6.これらの観察結果は, 渋皮剥皮の難易が渋皮組織細胞に蓄積されたタンニンの多少だけでなく, 中間層および子葉に接する細胞の退化とも密接に関係していることを示唆している.
著者
久保下 亮 岡 慎一郎 田原 弘幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1397, 2012

【はじめに、目的】 不慣れな運動を行った後や,過度な運動を行った後の24~48時間後をピークとして生じる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness;DOMS)は,遠心性収縮の収縮様式を用いた運動後に生じやすい。その原因は諸説様々な形で述べられている。運動中に生じる筋や結合組織の微細構造の損傷後の炎症反応に伴う筋内圧の増加などの機械的刺激や,筋温の上昇による熱刺激,ブラジキニン,セロトニン,ヒスタミン,カリウムイオンなどの発痛物質による化学的刺激それぞれが,多種侵害受容器であるAδ線維やC線維の自由終末に作用することによって痛みが受容されると考えられる。その評価方法に至っては,VAS(Visual Analogue Scale)やフェイススケールなどが簡易的に用いられており,その他,血中生化学的マーカーにより評価する方法,超音波画像法や磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)など筋内部の変化を画像化して評価する方法などが用いられている。今回は,プライオメトリクストレーニングを用いて意図的に大腿四頭筋にDOMSを生じさせ,トレーニング前後での内側広筋(以下,VM)と外側広筋(以下,VL)の筋硬度と膝関節伸展ピークトルクとにどのような変化が生じるのか検討してみた。【方法】 対象は現在運動器疾患を有していない学生20名(男性13名,女性7名),平均年齢20.7±0.2歳である。まず,被験者のVMとVLの筋硬度を背臥位にて生体組織硬度計PEK-1(井元製作所製)を用いて計測した。次に,膝関節伸展ピークトルクの測定を等速性筋力測定器であるBIODEX SYSTEM3(BIODEX社製)を用いて行った。角速度は60°/secで反復回数を5回とした。その後,プライオメトリクストレーニングとしてボックスジャンプとデプスジャンプを10回×3セット施行し,トレーニング終了から24時間後(以下,Ex後24h),48時間後(以下,Ex後48h)にVMとVLの筋硬度と膝伸展ピークトルクを測定した。統計学的分析には,反復測定分散分析を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には紙面を用いて研究内容を説明し,研究への参加による利益,不利益を示し,同意を得た上で本研究に参加してもらった。【結果】 膝関節伸展ピークトルクの平均は,トレーニング前(以下,Ex前)が167.8±10.6Nm,Ex後24hが163.5±10.6Nm,Ex後48hが159.3±11.1Nmであり,Ex前とEx後48hとの間に有意差を認めた(p<0.01)。VMの筋硬度の平均は,Ex前が40.1±0.7,Ex後24hが42.2±0.7,Ex後48hが45.2±0.8であり,全てにおいて有意差を認めた(p<0.01)。VLの筋硬度における平均は,Ex前が53.8±0.9,Ex後24hが55.0±0.8,Ex後48hが57.8±0.8であり,Ex前とEx後48h,Ex後24hとEx後48hとの間において有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 今回,VMやVLに対し強い遠心性収縮を要求するプライオメトリクストレーニング(ボックスジャンプ,デプスジャンプ)を行うことで,トレーニング後は筋硬度が上がり,膝関節伸展筋力も低下するという結果から,強い遠心性収縮を用いるトレーニングは筋を損傷させることにより筋機能が著しく向上することはありえないと思われる。野坂らによると,エクセントリックトレーニングにより筋機能の向上を図る際には,筋力の回復に長期を要するような強い負荷は効果的でなく,筋力の増加は,比較的軽度な負荷のトレーニングでも達成できると述べている。高負荷なトレーニング後は筋疲労が残存していたり,筋の緊張状態も高いことより,トレーニング後の休息ならびに次のトレーニングまでの間隔が,トレーニング効果を上げるために非常に重要な要素であることを示している。
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
伊藤 敞敏 菅原 弘 北澤 春樹
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

発酵乳用乳酸菌のもつ免疫賦活化能を調べる目的で実験を行った。まず、乳酸菌細胞壁の特徴を明らかにするため、L.bulgaricusとL.acidophilusの細胞壁成分を酵素的に可溶化させ、分画し、構成成分を調べることにより、両菌株の細胞壁の特徴を明らかにしました。次に、L.acidophilus グループ乳酸菌は、腸内で生育し、種々の生理的効果を示すことが知られているので、その生理的効果を追求する目的で、L.acidophilusとL.gasseriについて、マクロファージの腫瘍細胞障害活性に対する高揚効果およびインターフェロン誘起能について調べた。L.acidophilus9菌株の全菌体で刺激した場合、細胞障害活性は2菌株において高い値を示し、さらに4菌株に有意の活性がみられた。インターフェロン誘起能は、細胞障害活性の高かった2菌株を含む4菌株で高い値を示した。一方、L.gasseri13菌株のインターフェロン誘起能を調べたところ、5菌株が比較的高い値を示した。L.acidophilus9菌株については、有効成分を明らかにする目的で、菌体および細胞壁成分の免疫賦活化能を、マウス脾臓リンパ球に対する幼若化作用を指標として調べた。菌体全体を用いた場合は、有効性のみられたのは1菌株のみであったが、細胞壁成分では6菌株に有効性が認められた。そこで、特に活性の高かった1菌株の細胞壁成分をイオン交換クロマトグラフィーで分画し、各成分のリンパ球幼若化活性と組成の特性を調べた。有効成分はグルコース、N-アセチルグルコサミン、グリセロール、リンおよびムラミン酸を含んでおり、グルコースに対するN-アセチルグルコサミンの割合の高い画分の活性が高かった。これらの結果、L.acidophilusグループ乳酸菌の中には、腸内において免疫賦活やインターフェロン誘起などの生理活性を示すもののあることが示唆された。