著者
木原 弘二
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.71-78, 1979-03-31 (Released:2009-09-04)
参考文献数
9
著者
梅原 弘光
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.20-40, 1987-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

1970年代のフィリピンでは,それまで停滞といわれていた稲作農業が,「緑の革命」と呼ばれた技術革新の影響で,非常に大きな変化を経験した.本稿では,それがどのような性格のものであったか,その変化のパターンはどうか,その地理学的意味は何か,を考察する.そのための接近方法として,ここでは革新技術の基本構成要素と考えられる種子,投入財,それに融資の三要素に注目し,それがもたらした変化を検討する. その結果明らかとなったのは,フィリピンでは稲作における種子生産の専門化が大いに進んでいること,農業投入財ならびに機械力への依存がますます高まったこと,資金需要の増大にたいする農業融資の著しい拡大,などである. ここで注目しなければならないのは,投入財需要が急速に増大したにも拘わらず,それが,よくいわれるように,国内の農業関連産業を大きく刺激することはなかった点であろう.むしろ,投入財はもっぱら外国資本もしくは海外からの輸入に大きく依存した.その結果,国内では商業部門だけが特に盛んとなった.「商業エリート」の台頭は,まさしくこうした事態を反映するものである. もう一つ重要なのは,稲作技術革新の普及が,結局,先進工業国による開発途上国の市場的統合に向かっている点であろう.特に興味深いのは,技術普及のための小農融資額が,米不足時代に近隣諸国から輸入した米の支払い代金の額にほぼ等しい点である.従来,フィリピンは食糧をタイやビルマなど域内諸国に大きく依存していた.技術革新の導入により米の自給を達成したものの,今度は投入財を先進工業国からの輸入に大きく依存することになった.政府の積極的な小農融資拡大は,フィリピンの対外市場関係のこの転換をもたらすものであった.
著者
林 亮太 櫨原 弘貴 添田 政司 深見 桜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.332-348, 2020 (Released:2020-11-20)
参考文献数
45

九州地区における実構造物の実態調査を基に,劣化の顕在化に与える影響要因を明らかにした.次に,室内試験および実構造物から採取したコアを用いて透気係数と各種劣化因子に対する物質移動抵抗性との関係性を明らかにし,透気係数を軸として劣化が顕在化し易いか否かについて評価を行った.その結果,「水掛かりあり」の箇所は鉄筋腐食の進行が早く,腐食ひび割れの発生や錆汁,剥離等の外観変状が早期に顕在化し易いことが分かった.また,同構造物において劣化部と健全部で透気係数を測定したところ,各種拡散係数が同等であっても劣化部の透気係数は,健全部に比べて大きくなっていた.採取コアを用いた透気係数の測定によって,将来的に劣化が顕在化し易いか否かを評価する指標として適用できると考えられた.
著者
菅原 民枝 大日 康史 川野原 弘和 谷口 清州 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.8-15, 2011-01-20 (Released:2015-04-06)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

【目的】新型インフルエンザ(2009 インフルエンザA(H1N1))対策では,発生時の早期探知,日ごとの流行状況をモニターするリアルタイムサーベイランスが必要である.そこで本研究は調剤薬局の院外処方せんによる薬局サーベイランスを運用し評価する.抗インフルエンザウイルス剤を処方された人数より,対策に必要な推定患者数を算出しその有用性も検討する. 【方法】全国3,959 薬局から自動的に抗インフルエンザウイルス剤データを収集し,インフルエンザ推定患者数を算出した.サーベイランスの評価は,感染症発生動向調査及び感染症法上届出の新型インフルエンザの全数報告との比較とした.推定患者数の比較は,感染症発生動向調査と岐阜県の全数調査に基づいた推定患者数で行う. 【結果】2009 年4 月20 日から新型インフルエンザ対策として薬局サーベイランスを強化し,翌日7 時には協力薬局および自治体対策関係者に情報提供した.2009 年第28 週から2010 年第12 週までの推定患者数は,9,234,289 人であった.発生動向調査との相関係数は0.992 であった.薬局サーベイランスのインフルエンザ推定患者数,感染症発生動向調査と2 倍強の違いがみられ,岐阜県全数調査で調整した発生動向調査の推定患者数は近似していた. 【考察】薬局サーベイランスは,流行の立ち上がり,ピークの見極め,再度の流行への警戒と長期間にわたってのリアルタイムサーベイランスとして実用的であった.発生動向調査と高い相関関係を示しており,先行指標となった.日ごとのデータによる早期探知,報告基準をかえずに自動的にモニタリングすること,常時運用という態勢は有用であると示唆された.インフルエンザ推定患者数は,発生動向調査の推定患者数の過大推計が示唆され,今後の課題点と考えられた.次のパンデミックを含むインフルエンザ対策として利用可能な手段であり,またインフルエンザに限定せず,アシクロビル製剤による水痘や抗生剤の使用状況のモニタリングといった広い応用が期待される.
著者
蒲原 弘継 ウィディヤント アヌグラ 熱田 洋一 橘 隆一 後藤 尚弘 大門 裕之 藤江 幸一
出版者
環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.247-256, 2009-07-31
参考文献数
42
被引用文献数
3

本研究は,インドネシア産のパーム油を原料にしたバイオディーゼル燃料(パームBDF)の生産から,日本国内への輸入に伴う環境負荷として,温室効果ガス排出量とエネルギー消費量を評価した。評価は,インドネシア現地での調査結果に基づき行った。温室効果ガス排出量はバイオマスによって固定された炭素の収支を考慮して評価した。その結果,パームBDF生産・輸送に伴う正味の温室効果ガス(GHG)排出量は,軽油の生産・輸送・消費に伴なうGHG排出量に比べ約60%のGHG排出量であった。ただし,今後,パーム油工場で発生するバイオマス残渣やラグーンで発生しているメタンの有効利用が行われればGHG排出量のさらなる低減が可能であることが示唆された。一方,パームBDF生産・輸送に伴うエネルギー消費量の合計は,約10.4MJ/Lであった。仮に,日本で消費される軽油分のエネルギーをすべて代替するためには,約11万haのオイルパームのプランテーションが新たに必要となることが明らかとなった。
著者
桑原 弘太郎 加納 徹 竹島 由里子
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第281回研究会講演予稿
巻号頁・発行日
pp.337-338, 2017 (Released:2020-07-01)

近年,仕事やいじめなどで受けた過度なストレスから自殺に追い込まれてしまうケースが見られるようになってきた.自殺者はうつまたはうつに近い状態であったと考えられる例があり,自殺とうつ病には密接な関係があるとされている.自殺に至るまでの心境の変化は,Twitter などの SNS における投稿からも見ることができる. そこで本研究では,精神疾患であるユーザとそうでないユーザのツイートを 3 群に分けて収集した.そして,単語に感情を数値化した値を付加することで,ツイートの感情値を算出し,統計的な分析を行った.その結果,グループ間で感情値のばらつきに異なる傾向が観察され,本手法はうつ病の推定に有効であることが示唆された.
著者
佐藤 悠士朗 櫨原 弘貴 添田 政司 深見 桜
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.11-22, 2020 (Released:2020-03-15)
参考文献数
9

コンクリートの品質を向上させる施工方法の一つに振動締固めを行った後,一定時間をおいてから再び振動を与える再振動がある。しかし,再振動の明確な実施時期や実施方法に関する情報は極めて少なく,現場では感覚と経験に基づいた加振が行われているのが現状である。そこで本研究は,再振動の実施時期の指標としてN式貫入深さから求めたコンクリート抵抗値を用い,再振動の実施時期や加振時間の影響について検討を行った。その結果,コンクリート抵抗値が17×10-3N/mm2に到達した時期に再振動を行うのが最も効果的であることが分かった。また,再振動時の加振時間は,5~10秒程度で行うことでコンクリートの品質は向上する結果となった。一方で,再振動の実施時期が遅い場合や加振時間が長くなると,再振動によるコンクリートの品質の改善が期待できなかった。
著者
川原 弘靖 若色 薫 渡辺 顯 KAWAHARA Hiroyasu WAKAIRO Kaoru WATANABE Akira
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-1136 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1136, pp.27, 1991-12

航空機は大型化,高性能化が進むと同時に従来の操縦桿・操縦輪に代わり,サイドスティックによる操縦装置が,また飛行計器はグラスコックピットと呼ばれる大型CRTを用いた電子式飛行計器等が導入されるなどコックピットの近代化が進められてきている。さらに飛行計器の表示デバイスもCRTから液晶フラット・パネル・ディスプレイ(以下液晶ディスプレイ(LCD)と略す)にと変りつつある。航空機用液晶ディスプレイは3インチ型TCAS指示計が実用化されており,5~8インチ型が開発段階にあり,実用化の時期も間近の感がある。これら新しい表示デバイスを実機に搭載するにあたってはその前段階として飛行シミュレータによる機能,性能の評価が必須であり,実機搭載に十分な機能,性能を確認する必要がある。今回,日本航空電子工業(株)との共同研究で8インチ型液晶ディスプレイ(PFD,DMD)の機能,性能および表示フォーマットに関して,飛行シミュレータによる評価試験を実施した。その結果,ハードウエアについては従来のCRTの性能と同等あるいはそれ以上の性能を有していること,DMDディスプレイについては使用目的に対応した表示機能とすることにより,その有効性があることが確認できた。
著者
松原 弘晃 福吉 温 高橋 亘 太田 俊夫 浜田 豊比古 松本 行生 椎木 保人 伊藤 研二
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.148-162, 1959-03-31 (Released:2010-10-21)
参考文献数
22

Thirty patients with chronic diseases were treated with fasting cure (for about ten days), and almost of them showed remarkable clinical improvement.Mechanism of the effects is not so evident, but we think that fasting may take curativeeffects as stress, that is, it may be one of alterable treatments.
著者
杉原 弘恭 田口 玄一郎
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.42-68, 2018

フレキシブルで多目的なフレームワークとしてのケイパビリティ・アプローチの汎用性を拡張するために,ケイパビリティの概念整理を行った.その際に,ルーツとしてのネガティブ・ケイパビリティを探るとともに,センの提唱したケイパビリティの定義式を基本とし,ヌスバウムとの比較を通じ,これまでケイパビリティを論ずる際に出されたいくつかのキーとなる概念を,(1) Positive-Negative, (2) Active-Passive, (3) Explicit-Implicit (Potential) の3軸として抽出し,その組み合わせによる静学的な8象限のケイパビリティ・キューブを提示した.さらに,システム論による定義式の解釈を行って,動学的能力と構造変化能力を兼ね備えていることを示した.続いて視座としてのケイパビリティに影響を及ぼすネガティブ・ケイパビリティ,ケア(caring)を概観し,加えて教育的なつながりを確認するために,リベラル・アーツとの関係,さらにはその延長線上に位置するマネジメントとのつながりについて述べた.
著者
立花 潤三 周 敦史 蒲原 弘継 後藤 尚弘
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.277-288, 2014-09-30 (Released:2015-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

陶磁器は少量多種のため使用後のリサイクルが進んでいない。陶磁器の産地では使用済み陶磁器を粉砕して,再生陶磁器の開発が実施されている。しかし,再生陶磁器の環境負荷低減効果,経済的効果は定量的に評価されていない。本研究では,再生陶磁器の環境・経済面の効果を明らかにするために,愛知県瀬戸市において開発された低温焼成再生陶磁器「Re 瀬ッ戸」のMFCA-LCA統合評価を行った。その結果,MFCAに関しては,資源ロスを表す負の製品コストが再生陶磁器製造では既存瀬戸焼と比較して粉砕・製土工程で20%,製造工程で1.0%低下した。また,環境影響については,粉砕・製土工程でLIME統合化指標が9.2%,製造工程で8.6%低下,全体では8.3%低下した。以上より,再生陶磁器の環境・経済面の有効性が明らかになった。
著者
福田 理明 笹原 弘之 松田 礼 堤 正臣
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.111-115, 2010-01-05 (Released:2010-07-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

This study describes a new machining strategy to make regularly aligned geometric pattern by ball-end milling process employing a patch division milling technique. The surface is divided into a lot of triangle patch segments which is machined with helical tool path. It is newly proposed the way to array cutter marks straightly in arbitrary triangle patches. In addition, it is shown that the inclination angle of cutter marks array against the feed direction can be controlled by the appropriate setting of feed per tooth and cross feed for an arbitrary triangle patch. It is shown that the experimental results and simulation results are in good agreement. It is also reported that the well arranged cutter marks arrays are formed on the triangle patches on the spherical model.
著者
内田 九州男 松原 弘宣 寺内 浩 山川 廣司 藤田 勝久 加藤 國安
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

[資料収集と現状把握](1)日本国内。2700件余の四国遍路関係資料・文献のデータを収集し、原資料では、納経帳等愛媛県歴史文化博物館蔵の資料、また接待資料や『四国霊験奇応記』、伊予小松藩会所日記等の写真を収集した。(2)海外。中国、チベット、スペイン、イギリスへ出張し、巡礼の現状、旅行・宗教のルート等の調査を実施した。[口頭発表](1)愛媛大学公開講座または愛媛大学法文学部開放講座を3年間で3回(年に1回)実施し、合計22本の講演を行った。(2)平成15年度に「四国遍路と世界の巡礼-その歴史的諸相の解明と東西比較-」(国内シンポジウム)を開き、12本の報告を行った。16年度はフランスから巡礼研究者2名を招き「四国遍路と世界の巡礼-歴史的諸相の解明と東西比較-」(国際シンポジウム)を開いた。このシンポジウムに国内からは11本の報告を用意した。また個人による個別の口頭発表を約20本おこなった。[学会誌その他の発表]遍路・巡礼・旅・いやし等多方面からの研究成果を50編余の論文・小論等にまとめ発表した。[印刷物]研究成果を以下のように刊行した。『四国遍路と世界の巡礼 平成15年度愛媛大学国内シンポジウムプロシーディングズ』(平成16年2月)、『愛媛大学「四国遍路と世界の巡礼」国際シンポジウム』(平成16年10月)、『愛媛大学「四国遍路と世界の巡礼」国際シンポジウムプロシーディングズ』(平成17年3月)。また個人の関係著書は9冊に及んだ。3ヶ年の研究活動を通して、国内の四国遍路や六部研究を初め古代ギリシャや近世イギリスの巡礼等、諸巡礼とその時代環境の解明等の個別研究を大きく前進させたと同時に、その国際比較の基礎を築いたと評価できる。